第十三話②
「ここの人間は従順で気分がいいな。ケヒャヒャ」
先頭で肩を切りながら歩いているその男は、乱れた長髪の金髪を靡かせながら、その道の中央を堂々と歩いている。
その背後には100にも及ぶ魔族の群衆、武装しているものもいれば、奇妙な音楽を奏でるものや踊り子のような者もいる。
武装している中でも屈強な男たちは、家の前に置かれた貢物を台車にせせこらと入れて回っている。
「おい、村長は何処だ? 俺様が来てるんだぞ、姿をみせろ!」
「こ、ここにおりますルビニスター様……」
叫び散らかすルビニスターのすぐ側にいた村長が、真剣な表情で前に出た。
怯えているのはわかるが、村長としてある程度堂々とした態度で、ルビニスターの前に立っている。
「おー村長、1ヶ月ぶりだな。今回の食料の質はどうだ?」
「どれもこの村で収穫した一級品のみを貢物として集めております。きっとルビニスター様の舌も唸るほどかと」
「そうか、それならばいいんだ。それで、今回用意出来なかったものはどれ程いるのか、話してもらおうか?」
「今回も用意出来なかった者はおりません。皆、均等に目標を達成しております」
「嘘はついてねぇな?」
「……勿論でございます」
するとルビニスターは、自分の仲間たちの前に勢いよく体を向けた。
「お前ら、貢物はしっかり足りていたか?」
「えー、皆目標数を達成しております」
「そうか……それならばいいんだがな」
「ルビニスター様!! こっちのボロ屋が貢物を1つも出しておりません!!」
この言葉を聞いた途端、村長は顔を青ざめながら、どっと汗を流し始めた。
「どういう事だ……ケヒャヒャ。そこには誰も住んでいないと、以前報告を受けた筈だがな!」
「それにしちゃあどうも人間臭え、少し中を見てみますぜ」
野蛮な格好をした魔族は、壊す勢いで扉を開けた後、その家の中を物色し始める。
物を壊すような鈍い音が聞こえたその後直ぐに、高い悲鳴のような声が、その家から聞こえ始めたのだ。
「見つけましたぜルビニスター様! 女の大人と子供が1体ずつです!」
「やめてください! その子の髪を引っ張らないで!」
子供の髪を鷲掴みにして、その魔族は家の中から意気揚々と出来た。止めに入る母親と思われる女性を振り払いながら、泣き叫ぶ子供をケタケタと笑いながら、ゴミを扱うように地面へと叩きつける。
「落ち着くんだあんちゃん!!!」
気がつけば俺は、その魔族の元へ飛びつこうと体を動かしていた。
周りの村人たちが必死に俺を止めてくれたみたいだが、我に帰った今でも、アイツを殺してやろうかといった怒りが治らない。
「良くぞ見つけたぞ、流石俺の仲間だ。ここの奴らとは出来が違う! ……おい村長、これは一体どういう事だ?」
先程まで上機嫌だったルビニスターは、村長に魔族特有の獣のような鋭い目で睨みつけながらそう問いかけた。




