第十二話②
「お兄さんは色んな冒険をしてきたんだね……いいな、私もそんな冒険してみたい!」
「君はまだ幼いからな……もう少し大きくなれば、俺と同じような冒険が出来るようになるとも」
「……うん、……そうだね!」
今の俺の発言で、彼女は一瞬ではあるが儚げな表情を浮かべた。
まるでそんな願いは叶うことはないと、悲しみに暮れるように、暗く重くこの子から現れる表情とはとても思えない、そんな様子を浮かべていたのだ。
――
あれから暫く話し込んだ後、21時ごろには彼女の瞼は徐々に閉じ始め、今にも眠ってしまいそうになりながら、体をゆりかごのように揺らし始めていた。
「今日はそろそろ終わりにしようか」
「うう……まだ聞きたいよ……」
「ならば明日また聞かせてやる、だから今日はここまでだ」
「うーん……わかった……」
随分と聞き分け良く俺のいう事を聞いてくれ、彼女はうとうととしながらゆっくりと立ち上がり、自室へ戻って行った。
その後直ぐのこと、「今日はありがとう」と小さな声と小さなで俺に手を振りながら再度部屋へと現れて、そのまま俺が返事を返す間も無くすぐにその場を去っていった。
よく出来た子だなと今日だけで何度感じただろうか。
子供と接する機会は今まで多くはなかったが、それでも彼女が飛び抜けていい子だという事は理解出来る。
さて、そろそろ彼女も自室へと戻り眠りにつこうとしているだろう。
俺は立ち上がり、ご老人のいると思われる部屋へと訪れて、扉を軽く叩いた。
「ん、あー…にいちゃんかい、どうかしたか?」
「話がある、少しいいか?」
俺は自前のランタンを取り出して、ご老人の部屋の中央にそれを吊るしかけた。
強い光ではないが、この狭い部屋を照らすには十分な光と言えるだろう。
「話っていっても……何の話かは大体検討がつくの……何が聞きたい?」
「話が早くて助かるな…それでは聞くが、この村はどの魔族に支配されているんだ」
早速俺は踏み込んだ質問を投げかけた、村としては……というよりも、このご老人としては、客である俺にその事を知られたくはなかったのだろう。
その為魔族の旗のことすら俺には話さず、あの子が持ち帰った食糧の件で、俺が不審に思った態度を取っても、何かしらの弁明をしようとはしなかった。
「やっぱりもう魔族のことは気がついてたんじゃな……そうだとも、この村は魔王軍関係のものに支配されておる」
やはりかと思いながらも、これ程までに予想が当たって嬉しくないことはない。出来ればもっと違った、簡単な悩みならばどれほど良かったか。
「詳細を聞きたい。魔族と言っても、派閥が多く存在しているはずだ」
「わしも詳しくは知らん、そんは派閥があるということすら今初めて知った。ただ知っているのは、この村を支配している者の名は『ルビニスター』、そしてその者が慕っているボスの名が『ギンギラ』という事だけじゃ」
どちらも聞いた事がない名前だ、つまりはやはり、俺が今まで見てきた魔族とはまた違った派閥の魔族という事になる。
今まで見てきた2つの魔族は、それぞれボスの姿すら見ていないものの、その側近である者の姿は何度か見てきた。なんならそのうちの一体とはリーダーが直接対決している。
その際何とかリーダーの勝利で幕を閉じたが、側から見ていた俺は、決してあんなものには勝てないと感じたのを覚えている。
あの時よりかは力をつけたのだろうが、果たして俺で今回の魔族には太刀打ちできるのだろうか。




