第十二話①
「本当なのか? この村での飲食店など限られているが、何処にいったんじゃ?」
「……鍛冶屋のすぐ近くのところだ。兎に角俺は大丈夫だから、申し訳ないがこれも2人で食べてくれ」
俺はそう言って立ち上がり、逃げるように自分の部屋と戻った。
怪しまれてしまったかもしれないが、この村で貴重であろう食料を、私的な理由で粗末に扱うことなど出来ない。
それにしてもどうしてこの村はここまで貧困なのだろうか。皆は休むことなく仕事をして、食糧が収穫できないというわけでもなさそうだ。
やはり今日見かけた魔族の旗が関係してくるのだろうか。
元は彼女にここでの問題を聞こうと考えていたが、魔族などが関わるとするならば、聞くべきではないだろう。
恐ろしくなり、泣き出してしまうかもしれないからな。
――
少しして、部屋の扉がゆっくりと開いた。
そこには女の子が立っており、俺の様子を伺っていたので「入っていいぞ」と声をかけると、笑みを浮かべて勢いよく部屋の中へと入ってきた。
「外での話だったか? 大した話は出来ないが、それでもよければ話してやれるぞ」
「それもあるけどね……ありがとう」
「ありがとう? 俺は君に感謝されるような事をした覚えはないが…」
「さっき私たちに気を使ってご飯残してくれたんでしょ? お兄さんって優しい人なんだね」
バレているかもしれないとは考えていたが、それはあのご老人に対してだ。まさかまだ幼いこの子にバレているとは考えもしなかった。
子供とは案外感が鋭いとは聞いたことがあったが、それを実感されられた気分になった。
「そんなんじゃないとも、本当にお腹が空いていなかったからそう言っただけだ」
「そっか、でもありがとね」
誤魔化すように見え透いた嘘をついたが、この子は素直にその言葉を受け入れてくれた。この子ならこれも嘘だと理解しているのだろうが、問い詰めたりはしないところを見るに、よく出来た子だと思う。
「それじゃあ外の話を聞かせて! 私今日はずーとそれが楽しみだったんだ!」
「そうか……大した話ではないからな、期待はするなよ」
俺がそうして話し始めたのは仲間達との冒険譚だった。
自分は仲間の傷を癒すだけで戦ってすらいなかったのだが、彼女を楽しませるために仲間の活躍を自分の話かのようにして話した。
情けない話しだ。
ここ最近での俺個人の冒険を話しても良かったかもしれないが、大抵は地の利を生かした戦い方や、はたまた逃げるなどと言った、あまり聞いていて楽しくない話ばかりだ。
その為俺個人の話をしないまま仲間の話をずっと話していた。
その選択は正しかったようで、彼女は目を輝かせながら話を聞き入っていた。
「次はどうなったの!?」「凄い、そんなところがあるんだ!」など、話しがいのある反応は彼女はしており、俺も話していて少し楽しくなっていた。




