第五話③
依頼内容を簡単に纏めると、この町から数キロほど歩いた場所には小さなダンジョンがあり、そこで収穫出来る薬草を摘んできてほしいと言った、至って簡単な内容だった。
通常のクエストと何ら変わらない。最も一般的な依頼内容なのだが、俺は1つの大きな違和感を感じていた。
「これで50万?報酬と依頼内容の差が、あまりにも激しい気がするのだが……」
すると相手はどっとため息を吐きながら、面倒くさそうに話を始める。
「お前はどうやら今日この町にきたばかりみたいだな。この依頼の内容の難しさを理解できていない」
「この依頼内容がわからないことと、今日この町にきた事が関係しているとは思えないのだが」
「この町で1日過ごせば、このクエストのヤバさを理解できる。何せ町の奴らはこのダンジョンの話題を1日に一回は出すからな。それすら知らないってことは、そういうことだ」
俺はつまりはどう言ったことなのかと思い黙り込んでいると、相手は仕方がなそうにしながらも説明を始めてくれた。
相手曰くこの先にあるダンジョンの難易度は、腕利き冒険者でも挑むのを躊躇する程なものだそうだ。
そんな中にある薬草を取りに行くというのは至難の業だという。
そして何より、今回依頼された薬草というのは、そのダンジョンの最深部に咲くものらしい。
そこには強力な魔獣がその草を守るように立ち塞がっており、薬草を取ろうとした多くの冒険者達は、帰らぬものとなったそうだ。
「受けるのか受けないのか、今この場で決めてくれ。長く考えるのなら、他の冒険者パーティにでも依頼する」
本来、これから修行を重ねていく段階の俺が受けるようなクエストではないのだろう。
だが、スタートがあまりに遅れてしまった俺は、こう言った話を逃している余裕があるのだろうか。
そして何よりも、これ程難しいダンジョンの方が、今の俺自身の実力を測るのに、最も適しているのではないだろうか。
そのような考えを巡らせたのち、俺は頷いてこう答えた。
「……わかった。その依頼、受けさせてもらう」
相手は俺のこの答えを予想していなかったのか、不意を突かれたかのように、目を開いて驚いた顔を浮かべる。
「頼んでおいて何だが、本当にいいのか? 見たところそこまで強そうには見えないが…? 行って死なれちゃあ俺としても気分が良くないんだ」
「大丈夫だ。死ぬ事はない。……俺自身、どうやったら俺が死ねるのか、わからないほどだからな」
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