表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
REBORN  作者: ソラニヤマイ
第一章 再戦
21/93

第五話②

 ただでさえ栄えていないこの町を南に進むと、そこには既に使われなくなった建物がズラリと並んでいた。

 屋根は崩れ落ちており、壁は剥がれ落ちて建物の中は丸見えになっている。

 とても住めるような環境ではなさそうだ。

 

 ここが発展しなくなった原因の1つとして、人口の減少が関係しているといった話を聞いた事があるが、この場所はそれを正に表しているかのようだった。


 当然このような環境で、人がいる気配はしない。

 だが、そこかしこに人が通った後や、先程まで人がいた痕跡が見受けられるのだ。


 まだ新しい足跡に、乾燥していないまだ熱を持つタバコなど、分かりやすいくらいに誰かがいた跡があった。


 やはりここで間違いないだろう。

 この近くに、クエストを募集している人間がいるはずだ。


 クエスト申請を通さずに依頼する事は、国によっては禁止されており、それに違反すると何らかの罰則が待っている。

 勿論今いるこの町も、クエスト申請は義務化されており、それを行わずにクエストを依頼する事は禁止されている。


 その為クエストを個人で依頼する人間は皆、人気の少ない場所を選んで冒険者を待っている。

 広い町なら人気のない箇所を探し回らないといけないが、この町の広さなら人気の少ない場所は限られている。

 その為依頼者を見つける事に、そこまでの苦労はしないはずだ。


 俺はその周りを先へ先へと進むが、未だ依頼者どころか誰1人として人間と出会わない。

 元々人通りが少ないとはいえ、先ほどの痕跡を考えるとここまで人と会わないのは不自然だ。

 もしかしたらある一定こ決まった場所に、依頼者や冒険者は固まっているのかもしれない。


 そう思った矢先の事、とある一軒の建物から淡い光が見えた。

 俺はそれを手掛かりと捉え、辿るように建物の中にはいった。


 軋む床を歩いてその光へ向けて進むと、その家を抜けた先にもう1つの道を見つけた。

 そこは建物に囲まれており、この建物の中を通らなければ辿り着けないようになっている。


 誰かの話し声や、人間特有の匂いがする。

 間違いない。依頼者はここにいる筈だ。


 先へと進むと、やはりチラホラと人が見られ始めた。

 大体が2人1組で会話をしており、お互い真剣な顔で向かい合っている。

 身なりを見るに、片方は冒険者で間違いないだろう。

 ならばもう1人は依頼者なのだろうと、あらかた予想はついた。


 そこで俺は複数人、まだ1人でいる人たちを見つける。

 彼らはまだ依頼を受けていない、もしくは既に受けた後の方達だろう。

 俺はこの中から1人を選んで話しかけてみる事に決めた。


 少し悩んだ末に俺は、その中で最も高齢の方へ声をかけた。

 高齢といっても、まだ半世紀も生きていない程の方だ。

 ある程度整った身なりを見るに、金に余裕はあるのだろう。

 だが俺の選んだ理由はそこではなく、1番この場に落ち着いた様子でいたことだ。


 他の人たちは皆、何処か動揺や緊張感が感じられた。

 それもそのはずだ。なんせやっている事は法に反すること、こんなところ警察に見られでもしたら直ぐに捕まってしまう。

 それなのにこの高齢の方はそれに動揺していない。

 肝がすわっているというよりも、この場所に慣れている。

 つまりは、ここで長くやってきているという証拠であり、それは信頼へと繋がる。


 こう言った申請を通していないクエストではトラブルがつきものだ。

 依頼をこなされた後報酬を払わないなどは、昔よく聞いた事がある。

 その時は、わざわざ申請の通っていないクエストを受けるからだと、自業自得だと感じていたが、まさか自分がそう言ったクエストしか受けられなくなるとは思いもしなかった。


「何か手伝う事はありませんか?」


 直接的にクエストと言った言葉は使わない。

 リスクを増やさない為だ。


「そうだな…。表か裏か2つあるんだが、どちらを受ける?」

「表だ。裏に興味はない」


 表か裏か、噂には聞いていたが本当にあるのかと悪寒を感じた。

 表は通常のクエスト、あくまでもクエスト申請というものを踏んでいないだけの、内容は概ね普通のクエストと変わらないものだ。

 それに対して、裏はそもそも申請の通るはずのないクエスト。

 それはものにもよるが、どれも聞いていて気分の良い内容のものではなく、胸糞が悪くなるような仕事内容ばかり、そんなものが本当に存在している事に、俺は露骨な嫌悪感を抱いてしまった。


「……見たところ何かやらかしたってわけじゃなさそうだが……どうしてこんなところでクエストを受ける事になった?」

「話す必要があるのか?」

「依頼者とそれを請け負う冒険者、信頼は必要だ。それもこんな場所じゃ尚更な」

「……諸事情で素性を明かさず生きていくしかなくなった。俺はもう正規のルートでクエストを受けれない」

「素性を明かせない?それは役所の人間にってわけじゃなくて、友人や家族にもか?」

「……そうだな」

「それはなんつうか…生きていて楽しいのか?」


 そう言って相手は下品な笑いを浮かべる。

 決していい気分ではなく、言い返してやりたい気持ちもあるが、そんなのはトラブルの元だ。

 俺は黙って相手が依頼内容を話すのを待つ。


「いやぁ何だ、まぁ頑張れよ。それじゃあ依頼内容を話すから、忘れずに聞いてくれ」


 相手は満を辞して、ようやく依頼内容を話し始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ