第五話①
俺はブレスさんと会話をした翌日、『世界の扉』のある町から少し離れた町へと足を運んでいた。
勇者パーティとして冒険を始めた時とは真逆の道を選んだのだ。
1から始めると言った意味合いと、彼らに会うわけには行かないと言った理由からこの道を選んだ。
町にあったカレンダーを見るに、ヒロが死んでから約半年も経過していることがわかった。
そう考えてみれば再び出会う確率はあまりにも低いと感じたが、念には念を入れるべきだと思い、このような行動をとった。
それに俺が辿り着いたこの町は、あまり発展しておらず、人数が少ないということと、個人で依頼を受け付けているクエストが多いといった利点がある。
治安がよろしくない事が関係して、クエスト申請の基準があまりに高くなってしまった為、そのような事態になったそうだ。
個人での受け付けではトラブルがよく起こると聞くが、そもそも個人で受け付けるしか方法のない俺からすれば関係のない事だ。
このような特徴があるが故に、一般の方達からしたらろくな町ではないだろうが、俺みたいな素性を明かせない人間にとって、最高の場所となっている。
先ずはここに滞在して、ある程度これからやっていける程の力をつけようと考えた。
俺はまだ、前衛で戦うといった事を殆どしたことのない、言わば素人だ。
ここで難易度の低いクエストから始めて、何とかこの先の冒険でやっていけるほどの力をつけておきたい。
そこで俺はまず考えた。
自分の持つ力は何なのかと。
先ずは生まれた時から持っていた『神の刻印』、これは体を癒す力があるが、その代償として自身の筋肉や皮膚、そして臓器を蝕むと言ったデメリットがある。
だが、今の俺には皮膚や筋肉、そして臓器と呼べるものがない為、そのデメリットが通用しない。
無条件で回復を永遠と行えるのだ。
そしてもう1つが『反逆者』といった謎のスキル。
これは今まで生きたきた中で一度として聞いたことがなく、存在すら知らなかったものだ。
どう言ったスキル内容なのか確認しようにも、俺の今の体では魔力を持たない為、試しで使うことも出来ない。
自分の強さを考える中で、同時に弱さもを見えてきた。
魔力が使えないというのは、冒険者として致命的と言えるだろう。
それをマイナスと感じない程の筋力や戦闘スキルがあればいいが、俺のこの体は一般人よりかは力を持つ程度で、並の冒険者に敵うほどの筋力すら持ち合わせていない。
尚且つスキルも、肝心の魔力が無い為使えないのだ。
先ずはこの魔力が無いと言った欠点を補うことを意識するべきだろう。
ならばする事は見えてきた。
俺のこの体は、魔人か魔獣のものという事になるだろう。
もしそうならば、進化が行えるはずだ。
俺はひとまず進化を目標とする事にした。




