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REBORN  作者: ソラニヤマイ
第一章 再戦
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第三話①

 陽の光を感じる。

 鳥の囀りや、草木が風で揺れ動く音、何とも聴き心地よく耳障りがいい。

 やはり俺は死んだのだろうか。

 だとしたらここはあの世で、俺は生まれ変われなかった事になってしまう。


「それは……困るな」


 俺が口を開いてそう口にした途端、何者かがガサガサと物音を立てて動いた。

 確認するために目を開くと、目の前には俺を囲むように、数匹の動物達がいた。

 人間に近づいてくるとは珍しい。

 野生の動物は警戒心が高く、自分たちから人間に近づく事など滅多にしない。


 だが大体の理由に察しはつく、俺を死体だと勘違いしたのだろう。

 ならば近づいてきた事にも納得がいくからな。


 俺はゆっくりと立ち上がり、辺りを見渡した。

 そこでようやく気がついた。景色が変わっている。

 一体俺が眠りについてから、どれ程の時間が過ぎたのだろうか。


 綺麗な緑色だった葉や草は、すっかり色が抜けたように土と同じ色になっていて、世界の色味が褪せているのがわかった。


 これ程の変化があるという事は、少なくとも3ヶ月、もしかしたら半年ほど過ぎているかもしれない。


 というよりも、何故俺は死んだ場所に、未だ存在しているんだ?

 こうして辺りを観察できる事が出来て、考える事が出来て、動物達は俺を認識していた。


 まさか俺は生きているのか?

 だがあんな状態でどうやって生き延びたと言うんだ。

 それに食事すらとっていない。

 数ヶ月もの間、何も食べずに生きていられる程、俺の体は丈夫じゃない。


 もしかしてだが、神の刻印が自動的に発動されたのか?

 それで何とか体を維持する事が出来て、俺はこうして生きていられている。

 だとしたら奇跡だ。神様がもたらしてくれた奇跡としか考えられない。

 そもそもその力で死にかけていたのに対して、その力で生きながらえていたとしたら、それはどれほどすごい事だろうか。


 俺は興奮気味で走り始めた。

 不思議と体も軽い。まるでついていたおもりをとったかのようだ。

 それに内臓の痛みや、皮膚の痛みも感じない。

 息も透き通るように、吸う事が出来ており、久しぶりに呼吸を苦しくなく出来ている。


 素晴らしい。

 度重なる悲劇に哀れみを、きっと神様かけてくれたのだ。

 今まで感謝などした事はなかったが、今なら言えるかもしれない「ありがとう」と。


 俺はひとまず胃に何かを入れようと思い、近くにあった川へ急いだ。

 到着した川の前で手袋をとって、俺は水面に向かって手を伸ばす。


 その瞬間、俺は驚きのあまりに身を後ろに大きく下げた。

 川の底に魔物がいる。

 今一瞬だが、はっきりとそれがわかった。


 俺は腰に刺してあった短剣をゆっくりと取り出した。

 血を拭き取っていなかったせいか、酷く刃は錆切っており、使い物にならなくなっていたが、ないよりかはマシだろう。


 俺はゆっくりと川へと近づいて、水面に向かって剣を突き刺した。

 そこでようやく気がついたのだ。


 そこに魔物などいなかった事に、いや、厳密にはいはするのだが、それは川底にいるのではない。

 俺の直ぐ側、真隣、と言うよりも俺自身だ。


 俺はゆっくりと、鏡を使うように川を見つめる。

 反射して見える俺の姿は骨のみであり、確かにあった筈の肉や皮膚は、綺麗なまでになくなっていた。

 そう言えば、近づいてきていた動物達は、俺の体を舐めていた気がする。

 もしかして、動物達に俺は肉を食べられたのか?


 それか、俺が眠る直前の段階で、かなり肉は朽ちてきていた。

 そう考えると、既に皮膚や肉は剥がれ落ちたのかもしれない。

 いや、今考える事はそのことではないだろう。


 俺は次に、直接自分の体を観察し始めた。

 衣服を脱いで、全身をくまなく見つめる。

 どう見てもただの白骨死体だ。

 だがそれにしては、あまりに骨は健康的であり、それにこうして動いているのだから、これは死体ではないと判断した。


 そして何より、俺は先程から川に移る自身の姿を見て、あるものとあまりに似ている事に気がつき始めていた。

 認めたくないが、そうかもしれない。


 俺の今の見た目は、あまりに『スケルトン』と同じだ。

 俺とスケルトンを横並びに配置して「どちらがスケルトンでしょうか」と問題を出せば、どちらもそうだと言った答えが返ってくるだろう。


 俺は魔獣になったのか?だがどうやって?

 スケルトンとは魔人が死んだ後、何らかの魔法や魔術、魔力が加わったりだとか、偶然が重なって何らかのスキルが発動した事により動き出すと言ったものだ。

 それにそもそもスケルトンに自我はない。

 ただひたすらに人を襲う。そんな魔獣だ。


 ここで俺は、ようやくある事を思い出した。

 慌てて服を漁って、あるものを取り出す。

 それは冒険者カードだ。これには自身のレベルなどと言ったステータス、そして所持しているスキルが記載される。

 俺は元々スキルを持っていない。

 生まれ持った『神の刻印』と言った、言わば加護に近いものを所持してはいるが、成長するにつれて得られる筈のスキルは所持出来ていなかったのだ。


 だが、そのスキルが今は記載されている。

 そういえば俺は眠りにつく際に、このカードに何か文字が付与されているのを確認していた。


『反逆者』スキルの欄にはそのような記載がある。

 今まで見たことも聞いたこともないスキルだ。

 だがだからこそ、俺が今類を見ない状況になっている理由付けには、最適なものとなっている。

 断言は出来ないまでも、俺が今こんな事になっているのは、殆どこれが原因だと見て間違いないだろう。


 反逆者、つまり俺は人間から魔人に寝返ったのか?

 いやそれか、もしかしたらだが、死が生に寝返ったたのかも…いや、意味がわからないな。

 あの際、俺は確実に死んでいた。


 ダメだ。

 考えたところでわかるはずがない。

 ひとまずは身を隠して近くの町に立ち寄り、ギルドで身体鑑定をしてもらおう。

 そうすればきっと、何か分かるはずだ。

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