担任
僕は教室に行くまでいろんな事を考えた。
多分荒れているクラスで問題児ばかり集めたクラスなのだろうか?
「はぁ~厄介事押し付けられたなぁ」と嘆息しているともう教室に着いてしまっ
た。
僕は腹を括り教室のドアを開ける。
教室の中にいた生徒は皆自分の席について朝の読書を始めている。
何だこいつら、真面目じゃねぇか!
僕はホッとして出席をとりはじめる。
自己紹介は朝の読書が終わってからだ!
朝の読書はこの学校の伝統で、なんでも読書をすることで国語力を高めようとい
うことらしい。
この神聖な時間を自己紹介なんてもので潰すのも悪いしな・・・・・・・・
そんなことを考えているともう朝の読書は終わってしまった。
皆が本を片付けている間に僕は黒板に名前を書く。
なんだか名前を書くのは嫌だ。
なんでかって?
それはこの名前をあまり気に入ってないからな。
そして名前を書き終えたら深呼吸して僕は自己紹介を始めた。
「僕の名前は古太郎です」
生徒は黙って聞いている。
「昔はコタロウって呼ばれてました。まだ先生になったばかりの新米だからお手柔らかに以上!」
ノーリアクションだった・・・・・・・・
とても気まづい。
この沈黙の後、一人一人自己紹介を済ませて僕は1限目の授業があるクラスに向かった。
それにしても僕のクラス全員静かすぎないか?
そんな疑問を残しながら僕は人生初の授業を始めていった。
ここでも同じように自己紹介をしたが皆笑ったり、彼女はいるのか?とか定番の質問をしてきた。
そして初めての授業は終わりとりあえず職員室に戻った。
職員室には校長先生が僕の席に座って待っていた。
何か怒られるのだろうか?
職員室に入るなり校長先生に呼ばれた。
「古先生こっちこっち」
手招きをしている校長先生は死神に見えた。
なんでかって?
だってこれから怒られるのだろうからな・・・・・・・・・・・
校長先生は溜息をつきながら話を始めた。
「古先生のクラスの子供たちって少し静かな子供が多かったでしょ?」
なんだクラスのことか。
少し安心して僕は校長先生に自分のクラスのことを相談した。
「なんだか皆暗いというかあまり笑わない子が多かったですね」
「最初に古先生に謝らなければいけません」
僕は頭に?を浮かべて校長に「何の事ですか?」と聞いた。
そうすると校長は暗い表情で僕にクラスのことを教えてくれた。
「あのクラス実は去年保健室登校だったり引きこもりだった生徒を集めて作ったクラスなんですよ」
「え~!」
僕はものすごく驚いたけど確かにそれなら辻褄が合う。
「あのクラスを先生に任せたのにも理由があるんですよ。前にゆかり先生に聞いたよ、古先生は人を励ますのがものすごくうまいって」
ゆかり先生何言ってるんですかぁ~~~~~~~~~~~
確かに昔ゆかり先生を励ましたことがあったけどあの時は失恋したゆかり先生にテレビドラマの受け売りでいい言葉を言っただけなのに・・・・・・
「それはちがいm・・・・・・・」
僕が説明しようと思った校長が割って入ってきた。
「そんな古先生に期待してるんですからね」
正直そんな期待されても困る。とりあえず適当に返事しとくか・・・・・・・
「まぁできる範囲で頑張ってみます」
「お願いしますよ」
そして校長は霧のように消えていった。
今回の話は少し長めです。
他の小説と比べたら短いでしょうが・・・・・・・・・
更新不定期なので気長に見て下さい。