2023年10月10日ー2023年10月17日の誰かの日記
フィクションです。毎日投稿ではなく、期間を設けて毎日投稿するような形です。
水になれたらどれほどいいかな。
この世に限りがあるし、条件に応じては何にでもなれるし。
気体になれる、個体になれる、液体になれる。
人を殺すこともできる、人を生かすこともできる。
ほとんどなんだってできる。
私が持っている筆の先についている絵具も流してくれる。
私の書いてしまった、この汚い絵も、なかったかのようにできる。
何より、見分けがつかなくなるのもいい。水に着色でもしない限り、さっきまでコップに入ってた水を排水溝に流したら、蛇口から出る水と混ざってどれがどれだかわからなくなる。
自由に、自分が変わったことすら気づきそうにない水になりたい。少なからず、今ここから見える景色とは真逆の、美しい景色が待っているはずだから。
無言で落ちる。雨のように、水のように。重力に流されるままに。
今まさに、雨のように落ちる私の体。最後の最後に夢がかなった。