第98話
「こいつあ驚いた……見たことねぇ剣だなぁ」
「魔剣の類ですかね? でも普通の物より魔力量が桁違いですし何で出来てるかもわからないですね……」
家に帰り、早速鍛冶場に居るガンプやアリッサ達に例の剣を見せている。マリーにも聞こうと思ったのだが、私の専門は地層学で剣なんてわかんないわよ! と拒否られてしまった。ちなみにここの皆はすごい興味津々という感じだった。
「融合してるらしいが違和感とかねぇのか?」
「ん~特に感じないんだよね。むしろ手足みたいに自由に使える感じ」
俺は目の前で剣を出したり消したりして見せ、ブンブンと振り回して見せた。この剣はバスターソード、本来両手でも重くて扱いが難しい部類の武器のはずなのに全く問題なく扱える。まぁ片手で振り回せるのはドラゴンの力のおかげだろうけどね。
「この剣、持たせてもらってもいいですか?」
「ん、いいよ。重いから気を付けて」
アリッサに剣を貸そうとしたその時、鍛冶場にルーフェが飛び込んできた。
「ダメです!」
「え?」
彼女の手が剣に触れるのをルーフェはギリギリで止めたのだ。
「その剣は主を選ぶ武器、使用者以外が触ると最悪殺されますよ」
「ひっ!?」
アリッサはピョンと後ろへ飛び退いた。俺はルーフェにそう言われて剣を見つめる。
「その剣は神滅器だと思います」
「なにそれ?」
「神が神を倒させるために作った武器のことですね」
「そんな回りくどいことしないで直接いけばいいのに」
「それじゃ何も変わらないのです。同等の神同士で戦っただけで勝っても負けてもあまり影響はないのですが、神が下位の生命体に倒されると神格が削ぎ落されるのです」
つまり神が敵対する神の神格を落として蹴落とすため、人間など神の創造物に倒させる目的で作られた武器とのことらしい。
「まぁ神を倒すことが目的の武器ですからその分使い手も限られますし、希少な武器なのは間違いないですよ」
ドラゴンと言えば神話では神を殺す敵役として描かれることが多いしそういう意味では神殺しの武器とは存在的に相性が良かったのかな? と言っても俺戦う時はドラゴンモードでゴリ押しだから使う機会あんま無さそうなんだけどね。
「その剣、名前とかないんですか?」
「そう言えば名前とか聞かなかったなぁ。どうなんだろ」
「ご主人様、融合してるなら剣の記憶を見れるかもしれませんよ?」
「剣の記憶?」
「はい、魔剣や聖剣もそうですけど、長く使われた道具には魂が宿ると言われています。主を選ぶ、つまり意思のある剣なのですから意識を集中すればいろいろわかると思いますよ?」
「じゃあちょっと試してみるよ」
俺は剣に意識を集中していく、剣の中に潜り込んでいくイメージかな? すると少しずつ頭の中に映像が流れてきた。なんか神々しい人物に斬りかかるところ、イカツイ化け物を斬り裂く瞬間、大勢の兵士を一撃で薙ぎ払う場面、今度は怪物の群を吹き飛ばすところ。などなど様々な記憶が流れては消えてを繰り返していく。そんなことを繰り返していくうちにやがてこの剣が作られた瞬間が見えた、神は本来世界を見守り不干渉を貫く。しかし自分の気に入った種族や人物を優遇しようとする者も居る、ある程度なら許容できるがそれでも限度はある。ある時代、神が気に入った一つの種族を優遇するあまり強力な加護と共に自分自身も大地へ行き文字通り世界が変わるほどの干渉をしてしまった。それを重く見た他の神々が作りだした剣、その一振りがこいつだったようだ。
「ガルザーク」
「見えたのですね」
「うん、世界に降り立った暴走する神を殺すために作られた一振り。神滅剣ガルザークってのがこいつの名前らしい」
記憶を見た感じ他にも姉妹剣が何本か存在しているらしい、実際その剣を使う英傑達が命がけで神狩りが行われた。やがて神格を削ぎ落された神は神域へ連れ戻され世界へ干渉する力を失ったとかそんな感じらしい。
「ガルザーク、ちょっと調べてみますね。古文書もいくつかありますし」
「わかった、よろしくね」
「あ、ちなみに神滅剣は引き合うって聞いたことがあります。ご主人様も気を付けてくださいね!」
「……」
そう言うとルーフェは鍛冶場を出て行った。てか最後にすごくめんどくさそうなフラグを立てて行った気がするんだけど気のせいだよね? 面倒事は勘弁して欲しいんだけど……
「よっし、ワシらもガルザークに負けない剣を作るぞ!」
「私も刺激されちゃった! がんばるよー!」
鍛冶場にはいい刺激を与えたようで大盛り上がりだった。まぁこういう影響を与えてくれるなら悪くはない貰いものだったのかな?
「じゃあ俺も行くよ。皆頑張ってね」
「おう!」
「はい!」
神滅剣ガルザーク、こいつはこの先俺達にどういう影響をもたらすのか期待しておこうと思う。とりあえず今日も収穫と畑の拡張しますかね。




