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第96話

「それじゃあ最終確認。本当に二人だけでいいんだな?」

「お願いします」

 俺はドラゴンモードに変身しコンテナを背負いアズハと共にお義父さんの町に行く準備をしていた。冒険者パーティのバルガスとサムも連れて行くことになっているが、サムがすごく嫌そうな顔してる。

「じゃあ出発する、しっかり掴まっていろ」

「タカトも支配者モード大変だね」

「ははは……」

 頭に乗ったアズハがこそっと言う。俺がお客や他の国の人間などと話す時、すこし雰囲気を変える意識をしている。あまりフランクに行くと舐められそうだし喧嘩腰もよくないと思う、ということでなるべく知恵ある強者感を出しているのだが……もうホント疲れるからめんどくさい! 早く解放されたい!!

「行くぞ!」

 俺はアズハと冒険者二人を乗せて出発した。今まで乗せた人はすごく楽しそうにしてたがこのサムという男すごいビビってるし嫌そうにしてる、この反応は新鮮だけどちょっと不快に感じた。

「見えてきた」

 俺はいつも通り町の上空を旋回して来たことを知らせ中央の広場に着陸する。初見の冒険者はビビって逃げ出すけど元々ここに住んでる人達はすっかり慣れちゃったね、ヴリトラ様と笑顔で手を振ってくる。

「それじゃヴリトラ様、また機会がありましたら」

「元気でな、死なないことを祈ってるよ」

 そう言うとバルガスはギルドへと歩いて行った。サムは終始嫌そうな顔して無言だった、ああいう人とは関わらないのが一番いいね。

「ヴリトラ様!」

「お父様~」

 頭の上のアズハが手を振っている。お義父さんがいそいそとやってきた。

「そろそろ来る時期だと思っておりました」

「久しぶりだな、元気そうでよかったよ」

「はい、お陰様で以前よりも暮らしやすくなりました」

 実際また町が広くなった気がするし人口も増えた気がする。

「タカトがここを自分の縄張りって言ってるから周辺の国々は手を出せないし税も安いしで一般の人からしたら魅力的なんだって」

「よく知ってるね」

「この前イリオちゃんが教えてくれたの」

「なるほどね、でも領地広げちゃって大丈夫なの?」

「問題ありません、ここら辺の国境は曖昧でしたし。ヴリトラ様の名前を出せばだいたい何も言われませんので」

 お義父さん、結構やり手かもしれない……

「まぁいいや、いつも通りだ。問題なさそうなら干し草とか分けて欲しい」

「勿論です、ヴリトラ様と娘の為に多めに用意しておりますので」

 流石に手慣れてきてる感がすごい。こっちは助かるからいいけどね。

「お父さん、冒険者以外に兵士さんも居るみたいだけど雇ったの?」

「ああ、余裕ができたんで私兵を集めることにしたのだ。さすがに冒険者への依頼だけじゃ限界があるしな」

 確かに兵士が結構いる。てか黒い鎧着て目立ってる……

「ヴリトラナイツと名乗らせていただいてます」

 あ、俺の名前しっかり利用されてる。

「俺の名前を使うなら変な奴を使うなよ? 最悪皆殺しにするぞ」

「わかっております。兵士は責任感の強い者を選別させていただいております、ご安心ください」

 これで変なアニメみたいに権力を持った兵士が暴走とかやめてくれよマジで……俺の名前を使われた以上こっちにも大なり小なり影響出るじゃんか。

「基本的には何も言わないし好きにして構わないけど。最悪お義父さんでも覚悟はしておくのだな」

「……はい」

 申し訳ないけど少し脅させてもらおう。これで釘がさせたかはわかんないけど、意思表示は絶対しておいた方がいいと思うから。

「お父様、ヴリトラの名の重さ。しっかりと理解してくださいませ」

「ああ、そうだな。徹底しよう……」

 アズハもこちらの意図を理解してくれているようだ、ホントいい妻だよねまったく。

「まぁそれはいい。そちらの食料など越冬は大丈夫そうなのだろ?」

「はい、農民も増え続けており作物の量も年々増えてきているくらいです」

「ならよかった」

 流石にドラゴンモードで歩き回るのは目立つなぁ。てか、俺がドラゴンモードで歩き回れる道幅に調整して町が作られていることに今気づいた。そして様々な視線を感じる、憧れ、尊敬、感謝から恐怖、不安などなどホント様々だ。

「今回は干し草や藁だけでよろしいですか?」

「そうだね、アズハは欲しいものはある?」

「ん~私は大丈夫なんだけどぉ……」

「なんかあるの?」

「お父さんがどうにかして欲しい物があるみたい?」

 あ、お義父さん今ビクッとした。図星みたいだ、まぁ町がデカくなればその分問題も増えるかな。

「何かあるなら聞くぞ?」

「ありがとうございます……実はですね」

 まぁ俺に解決できることならやってあげようかな、お世話になってるし家族だしね。

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