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第81話

 睦港近海、赤に髑髏とクロスした骨が描かれた旗を掲げた船が波を裂き海を走っていく。狙いは入港準備に入った交易船、黒は抵抗しなければ命は取らないで赤にドクロは容赦なく皆殺しだったかな? なんかそういうルールがあったけどこっちの世界でも共通かどうかはわからない。まぁどちらにしろ海賊には変わりないんだけどね。

「ノッテルねぇ。でも残念、運が悪かったね」

 次の瞬間、海賊船は轟音と共に燃え上がった。乗組員は残念だけど助からないだろう、もし生きてたらダイスの出目でもよかったのかな? 俺が居るの知らなかったんだろうなぁ、可哀想に。

「おっちゃん、貸し一つね」

「勘弁してくれ、もう返しきれなくなっちまう」

「ははは、まぁ好き勝手させてもらってるしこれくらいなら構わないさ」

 俺はドラゴンの姿から人へと戻り、リョウゾウと歩いていく。

「おかげでここら辺で名を馳せた厄介な海賊共が軒並み全滅だ。感謝しかないよ、まったく」

「その代わりお礼の海産物期待してるよ。安心して漁に出れる環境を作ったんだから」

「あぁ、任せてくれ。そのくらいはしないと借りに殺されちまう」

 睦に来てからだいぶ経ってしまった。領主の家に完全に居候状態となってしまったのと暇つぶし感覚で近海に出る海賊を薙ぎ倒していた。もう数えるのもめんどくさくなるくらい吹き飛ばした気がする。美味しい海産物を食べるのに邪魔するなら容赦なく仕留める、慈悲はない! まぁあれだけ吹き飛ばすとゲーム感覚にもなってしまうというものだ、ただでさえドラゴンになってから人を殺すこと、生き死に対しての抵抗どころか感情すら希薄なのだから……ただし家族や仲間、仲良くなった人達は別だ。絶対に死なせない、たとえたった一人を守るためだとしても国一つ滅ぼして見せる。そう決めているしたぶん俺だけが理不尽だとは思えない、他の理不尽が迫った時それすらも薙ぎ倒さなければならないのだ。我儘に生活している分すべてが自己責任、それ全てを背負わなければいけない。まったく、夢にまで見た異世界生活もマンガやアニメみたいに気楽なもんじゃないね。

「ご主人様~!」

「ルーフェ、おかえり。向こうはどうだった?」

「問題なしですね、収穫も順調ですし丁度いい機会ですのでセナさん達で区画整理も進んでおります」

「ならよかった」

 長期的に家を留守にしてしまっている現状、お互いの報告の為にルーフェとレフィにここと家を行ったり来たりさせてしまっている。レフィが家でルーフェはこっちに滞在、何かあった際に知らせに来てくれる算段になっているのだ。

「あ~るじ~さま~私、うどんがたべたいで~す!」

「ホロン、すっかり気に入っちゃったね」

「はい!」

 ここに滞在が決まり一度俺も買った物を置きに帰ったのだが、その際にこっちに来る……来たがったメンバーが増えている。ホロンにフラム、アリッサが追加でやってきた、主様と買い物したい! と騒いだホロン、お姉ちゃんばっかズルいと吠えたフラム、こっちの方の技術がみたいアリッサと断れないくらい圧がすごかった。

「アズハ、ルーフェも行く?」

「うん!」

「勿論です!」

「今日はきつねうどんにします!」

 ガレオンに会いに行って知ったのだが、ここには豆腐や油揚げもあったのだ。日本の食文化に近い発達をしているようで鰹節や昆布、煮干しなどから出汁を取る方法も確立していた。すごいね!

「あ、でもあのお寿司も美味しかったんですよね~」

  港町ということでもちろん寿司もあった。もちろん新鮮だからめっちゃ美味しい、しかし現代日本と違うことがあった。おにぎりのように寿司一貫がデカいのだ、あれには驚いた。でも歴史系動画見てて知ったのだが江戸時代の寿司はこんな感じだったらしいし感覚的にもそのあたりの時代と同じ感じなのかな? まぁ居住区を見ると和風の家と洋風の家がめちゃくちゃに立ち並んでいるすごい風景なんだけど……いろんな技術を取り入れた結果らしいがゲームの居住エリアみたいなカオスな雰囲気で笑いそうになってしまった。

「お寿司とうどんが食べれるお店があるってガレオンさん言ってたような?」

「あ、じゃあそのお店にしましょ! タダでご飯食べれるんですから遠慮なしです!」

 おっちゃんは食費だけで経費が尽きちまう! って泣いてたけどまぁその分恩は返してるしいいよね。おっちゃん、ありがとう!

「おっちゃんも来る?」

「いや、これから兵を集めて海賊の拠点を占領する。奴らのアジトはわかってるしあらかたヴリトラ殿が始末してくれたからな、一気に仕留める!」

「了解、がんばってね!」

「おう!」

 海賊は危険な存在だ。そんなの誰でもわかる、だからアジトがわかっていてもなかなか踏み込めないし下手に刺激すると取り返しがつかなくなるせいで黙認せざるおえなかった。しかし俺が現れて海賊の本体を船ごと吹き飛ばしているせいで瀕死になった。おっちゃんはそこを見逃さなかった、吹き飛んだ海賊を確認、そのアジトを一切容赦なく壊滅させていったのだ。おかげで海賊のため込んだお宝全没収で結構稼いでるっぽいし俺達も楽しく過ごさせてもらっているのだ、感謝しよういろいろとね。

「ここの町は種族の違いを気にしないですからね、居心地良いですね」

「俺、結構見目あるでしょ?」

「違ったら滅ぼしてる癖に……」

「何のことでしょうか?」

 まぁ実際いい町だと思う、そもそも領主のおっちゃんが民と共に生きるを体現している存在だった。だから仲良くなろうと思ったんだ、皆オシャレして美味しい物を食べて買い物に出かけて。こんな暮らしも悪くないなと思う一日だった。

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