第80話
現在、睦の港は交易船が来ているということもあり様々な人が集まっている。人種や種族はバラバラだが話す言葉は全員一緒というのは不思議な感覚だ、ここは地球よりも遥かに交流しやすいしいいところだと思う。
「この香りは。コーヒーか?」
「おや、知っておられるのですかな?」
コーヒーであっているらしい、嗅いだことのある香りだと思った。交易品を売っている屋台を見る感じ、やはり保存のきく種や乾燥品、武器や防具、家具といった生産物が多いようだ。まぁ果物や肉とか運ぶのはさすがに難しいかな?
「すこしね、いい匂いだ」
「旦那、いい趣味してますね! この珈琲豆はいい品ですぜ?」
確かにお酒ばっかってのもよくないし飲み物系も増やした方がいいよなぁ。
「これの種とかは売ってたりする?」
「もちろん、ただこの大陸の気候で育つかどうか責任持てませんがね」
そこは問題ない。だってユグドラシルの加護と肥料でゴリ押し育成するんだからね。
「種とそうだね豆も貰おうか」
「まいど!」
俺はまずコーヒーの種と豆を大量に購入した。アズハ達は普通に買い物を楽しんでるし食料関係はこっちでやってしまおう。
「主様、お持ちしますよ」
サラは俺に付き合ってくれるらしく荷物を腰にぶら下げて運んでくれている、正直めっちゃ助かってる。
「重かったら言ってね?」
「大丈夫です!」
とりあえず次を見よう。種が売ってるなら持ち帰って育てることができる、そういう作物を狙って買っていけば安定するだろう、お金はおっちゃんが出してくれるしね。
「主様、あれトウモロコシじゃないですか?」
「ん? ほんとだ」
次に目に入ったのはサラが気づいたトウモロコシなのだが。普段作って食べている物とは品種が明らかに違う、粒がめっちゃ硬そうなのだ。そして俺の記憶通りならあれだ!
「硬いですね」
サラが袋いっぱいに入っていた粒をいくつか取り出し触ってみている。
「こいつは通常種よりそうとう長持ちする種類なんだぜ、まぁ硬くて食えたもんじゃないが。値段も安いしどこでもよく育つ、家畜の餌としては持って来いだと思うぜ?」
違う、これの本来の価値は家畜の餌ではない。たぶん乾燥させてバターと塩で焼くと弾ける美味しい食べ物、ポップコーンの品種だ! これは買い占めてもいいレベルの価値がある!
「いいね、これこの袋一つと種はある?そっちも買うよ」
「たくさんあるぜ!」
「うちには大喰らいがたくさん居るからね」
「毎度!」
ちょっと買い過ぎた? まぁ実際皆で食べたらあっという間だし困らないでしょ、なんせあの巨大なタコ足が一日で消滅した位なんだから。
「帰ったら面白い物見せてあげるから期待しといて」
「はい!」
こういう露店を眺めているのも楽しいなぁ。肉系は除外していいかな、野菜もだいたい揃ってきてるしここにある物は買わなくても大丈夫そうかな。
「主様、デカい種があります!」
「え?」
サラが指差す方を見たらそこには確かにデカい種のようなものが並んでいた。てかこれ、カカオじゃない? チョコの原料だよねたしか。
「カカオ?」
「おう、カカオを知ってるなんざ珍しいな。加工すると美味いものができるぜ?」
チョコかココアのことかな? 動画探せば加工方法出てきそうだしありかもしれない、てか考えたらチョコ食べたくなっちゃう!
「買った! そっちのは苗木? 一緒にそれも買うよ」
「兄ちゃんそんなお金あるのかい?」
「立派な後ろ盾が居てね」
そう言いながらおっちゃんを親指で指差すと商人は納得したようで準備してくれた。せっかくなんだ、こっちもおっちゃんの権力を利用させてもらうのだ。
「また御贔屓に!」
「面白い物が手に入って楽しいね」
「私にはよくわからないですけど、主様がいろいろわかってるみたいですし楽しみにしてます!」
「てか、重くない? 大丈夫?」
「問題無しです、ケンタウロスのパワーはすごいのです!」
確かに馬ではあるのだが現代地球で育てられている馬より小柄なのだ。あまり無理させるのも悪い、女の子だしなおさらだ。
「一度戻ろうか、種とかばっかだけど結構買っちゃったし。流石に往復しなきゃ持ち切れない量になっちゃった」
「わかりました!」
「海産物もまだ控えてるしね」
「楽しみです!」
俺とサラは話しながらコンテナに戻って行った。正直日帰りを考えていたが、そもそも料理や薬の研究に来てるのに一日で帰るというのは無理があった。家の方はセナも居るし少し空けても大丈夫でしょ、おっちゃんに少しお世話になろうかな。




