第69話
春になってから農作業、建築などなど多くのやることをしていたらあっという間に時間が経ってしまった。
「畑も大きくなりましたけど、人も増えたのでどうにかできましたね」
「リサも指導とかありがとね、助かったよ」
「私も慣れたものです!」
リサは腕をあげて力こぶを見せるような格好でアピールしてみせる、彼女には畑に関してのことを一通り任せてしまっていた。穀物やアブラナ、サトウキビなど主食や調味料などはもちろん各種野菜やユグドラシルの加護で巨大化するイモ類の成長範囲の確保などなど上手くやってくれた。
「そう言えば蜘蛛さん達に子供できたそうですね」
「そうそう、まだ小さいから足元に気を付けてって皆に伝えているんだよ」
今年ペアはわからないが蜘蛛さんズに子供が産まれた、蜘蛛にしては数が少ないとは思うがそれでも十何匹、結構な数が居たと思う。クーネリアが言うにはエリートスタースパイダーは基礎能力が高い代わりに繁殖能力では一般の蜘蛛に劣るとのことだった。まぁ個体のスペックが高いからそれでも成長できるんだろうね、ここは天敵も居ないだろうしなおさら。
「ここは安心して暮らせますからね~、ご飯も美味しいし温泉もある。毎日楽しいです!」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
「後は子供ができれば言うことなしですね~」
そっと目を反らす、結構時間が経ったしそういう考えの娘は結構居たりする、初期からのメンバーはなおさら。現代日本と比べるとやはり子孫を残したい、子供が欲しいと思う人が多いし意志が強い気がする。
「相手が多いかもしれないですけど頑張ってくださいね!」
そこはいいのね……前は一夫一妻が当たり前の世界だったがこっちは一夫多妻に皆抵抗が無さすぎる。俺がドラゴンで特別というのもあるのだろうけど、前に教えてもらったけどドラゴンは長寿の種族であるため繁殖力が高くないらしい。早い話が夜の営みをたくさんして楽しんでも子供が出来にくいのだ。まったく、いいのか悪いのか……
「ワンワン!」
リサと話していたらセッカが吠えている。この感じだとなにかあったかな?
「主様!」
「イリオ、どうしたの?」
セッカの横にイリオが立っていた。どうやら遠くを見つめてるような感じだ。
「あれを」
イリオが指を指す。その先をみるとそこは山かな?
「空です、よく見てください」
そう言われて上空に目を凝らすと緑色の何かが見える。なんだか動いているような?
「なんだあれ?」
「ワイバーンです」
「あっちはたしか魔王国の方だよね? 使役獣的な感じ?」
「確かに魔王国は強力な国ですけど、ワイバーンを持っているとは聞いたこと無いです」
前に帝国のシルバーワイバーンが襲ってきたからなぁ……ちょっと不安はある。
「それに、あれは私達のトライブを襲撃した個体と似ていますし……野生種だと思います」
「ワイバーンってそんな居るもんなの?」
「生息域には結構な数が居ますけど、ここら辺は滅多に居ないはずです。しかもこの距離であの大きさなら結構立派な個体ですし、なおさらいないと思います」
「なるほど、じゃあ仕留めちゃっても問題ないよね?」
「えっ?」
「ワン!」
「リサ、皆に準備させておいてもらっていい?」
「わかりました!」
リサは早速走って行った。
「あの、いったい何を?」
イリオはキョトンとしていた。まぁ普通はそういう反応だよね。
「いやさ、前食べたワイバーン。すっごく美味しかったんだよね」
「あの、まさか……」
俺はイリオに笑顔で親指を立てて見せた。
「じゃあちょっと行ってくるね!」
俺はドラゴンモードになって飛び立った。前回の戦いでなんとなく感覚はわかっている、今回はシンプルに効率的に行こうと思う。
「ミラーハイド」
まずは姿を隠す、野生の飛竜ならまさか自分より強い奴に急に不意打ちされるなんて思ってもみないだろう、俺は姿を隠しワイバーンより更に上空から接近していく。ワイバーンはどうやら小さな村を襲っているようだ……
「さっさと終わらせますかね!」
上空から急降下! 全体重をかけて思いっきり踏みつけ、そのままの勢いで地面に叩きつける。ワイバーンは自分に何が起きたのかすらわからず大ダメージ、可哀想かもだけどそのまま首に噛みつき思いっきり捻り折った。
「よし、おわりっと」
結構デカいけど前のシルバーより手早く片付いてよかった。ここの住人は人間だったのかな? すごく唖然とこっちを見つめてきている。
「邪魔したな」
俺は倒したワイバーンを担いでその場を飛び立つ、帰ったら早速加工して美味しくいただこうと思う。前のワイバーン生ハム美味しかったなぁ、こいつも期待しよう。




