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第68話

 すっかり暖かくなって花も咲き始めた。転生して三年目の春がやってきた、とりあえずやることは畑の再開! 雪の下で休ませた畑に特製の肥料、黒鱗粉を撒いてドラゴンモードの爪で土を耕していく。皆に任せてもいいがこれは自分でやるのが一番楽だし早い、一人だけ暇してるのも悪いしね。

「主様~畝を作ったら早速植えてっちゃっていいですかぁ~?」

「お願いしていいかい? 去年やってるからわからないことはリサ達に聞いて」

「わかりました~!」

 マオ達獣人組も畝作りと種植えをやってくれている、冬の間も木材確保を兼ねて畑の拡張をしていた。ガレオンの持ってきた香辛料なども量産予定、大豆や小豆。野菜各種も生産数を増やしていく予定だ。

「主様、こちらも始めてしまってよろしいですか?」

「君は、ヅダだっけ? 任せてしまっていいかい?」

「はい、お任せください」

 彼はヅダ、リザードマンの一人だ。彼らは水辺の活動に長けている、だから水田の方を全面的にお願いしている。こちらも冬の暇な時に拡張していた、餅の評判がすごくよかったからもち米の生産数も増やすことになっているしお米自体主食、お酒、お酢などと加工にもだいぶ使うためこちらも数が必要になる。一年に数回収穫ができるほど成長率がいいけどその分家族も大食いだ、養うにはそれなりの数が必要になってしまうのだ。

「主様~ヘラクスさん達が起きてきましたよ~」

「お、もう動けるの?」

「大丈夫みたいです!」

 後ろでヘラクス達が前足で丸を作っている、もうすっかり動けるみたいだ。

「じゃあセナ、悪いんだけど改築の方任せていい?」

「お任せください!」

「ではヘラクスさん達、これからのお仕事なんですけど」

 冬の間、家族も増えてきてとりあえずで建築していった家々の調整再建築を考えていた。一部の家は解体、再建造立地を調整して見栄えを良くしようという計画だ。設計図は既に完成しているしアルやカル達の石材チームの協力もあるから以前よりも立派なものが作れるようになったしいい機会だと思う。

「しっかし、広くなったなぁ」

 あらためてここを振り返ると最初の二人と七匹からは考えられないほど大きく立派になったものだ。地球の文化レベルで考えると全然まだまだな感じだけどあれはあれで悪い物もある気がするしこっちの生活も悪くないと思う、住めば都とは言うけどこういうことなんだなぁと実感する。

「タカト、頑張ってるもんね」

「管理運営って意味ではアズハのお陰だけどね」

 俺は確かにここの旗印、最高責任者みたいな感じだけど内政、というか運営や住人の生活管理や倉庫管理など大事な裏方はアズハが主導で行われているのだ。俺がふらっと出かけられるのは彼女のお陰としか言えない。流石俺の嫁である!

「皆頑張ってるからね~」

「感謝だね~」

 実際現状のままでいいのか考えることはあるのだが、現代地球の日本人と比べると間違いなくいい顔いい笑顔を皆しているんだよなぁ。ストレス社会とは言われてたけどこうも実感させられるとあの世界が間違っていると考えちゃいそうだ、実際俺もこっちに来てからの方が笑ってるし大切な人たちがすごく多くなった。世界というのはわからないもんだなぁ。

「主様~結構綺麗になってきましたよ~!」

「サラ、さすがのパワーと速さだね。畑仕事が一気に楽になったよ」

「それ程でもないです!」

 ケンタウロス達には土を平らにする機材を装着して俺が耕したエリアを整えてもらっていたのだが、さすがの速さと馬力という感じであっという間に進んでいく。初日にしては順調すぎるくらいだ。

「種まきは手伝えませんからね、この位はやらないと」

 彼女達は体のつくり的に種まきみたいな作業はきついだろうしこういう走る仕事や荷物を運ぶことを重視してやってもらっている。適材適所とはよく言ったものである。

「主様」

「ホルン、そっちは大丈夫そう?」

 ミノタウロス三姉妹の次女ホルン。姉妹の中で一番真面目でキリっとしている風紀委員っぽい雰囲気だが姉妹にもれず胸部の圧迫感は圧倒的である。

「はい、牛、羊、ヤギ、沼豚の方は問題なし。お腹の大きいのも居ますのでそのうち赤ちゃんが生まれると思いますよ」

「おぉ、順調だね」

「鶏も順調に卵を産んでますし今は食用と繁殖用に分けて管理しています。それでですね」

 あれ? なんか問題あるのかな? あと説明されてないのは確か……

「ビックフットガークなんですけど。大人が増えました……」

「え? 去年出産して世代交代してたよね?」

 実際俺も寿命近くなり〆たガークを食べたが熟成された濃厚な味わいでめっちゃ美味しかったし骨からも凄くいい出汁が取れて最高の食料だったのだけど。

「はい、最初から居た個体はこちらで管理して世代交代も成功させたのですけど……野良の個体が柵を飛び越えて合流してきました……」

「それって……」

「自分から飼ってくれと言わんばかりにやってきます」

 おい、野生生物。お前たちはそれでいいのか!

「どうしましょ?」

「ちなみに、逃げる気配は?」

「全く無いです、むしろうちの個体と群れを作ってとけこんでます」

 自ら家畜になりに来るって何なの……最終的には食べられるのよ? それでいいのかお前達……

「とりあえず、一緒に面倒見てもらっていい?」

「わかりました、それでですね。繁殖とガークの合流を考えると家畜小屋の大きさが若干怪しくなってきまして、拡張をお願いしたいのです」

「あぁ……そっかそっちの問題があったかぁ……」

「まだ少し余裕はあるんですけど今年の繁殖を考えると足りなくなる可能性が高いですね」

「わかった、ちょっとセナ達と相談しておくよ。今はホルン達に任せる、何かあったらすぐ知らせてね」

「承知しました! あと、妹ばかり構ってないでたまには私も相手に誘ってくださいね?」

「あ、はい……」

 風紀委員チックな真面目だと思っていた女性の不意打ちというのはなんでこんなに破壊力が高いのか……度肝を抜かれてしまった感だ。

「あ、アズハさん、これはですね……」

 本人公認ではあるのだが、本妻の前で言われるとどうも気まずい……一夫多妻、ハーレムは男なら夢に見る環境ではあるが思っている以上に気を遣うし消耗する。やるなら覚悟しておけよ!!

「わかってます、でも。一番は私だからね?」

「もちろん、アズハを愛してるよ」

 アズハが俺の頭を抱きかかえて優しく撫でてくれる。この人に俺は敵わないだろうな、最高のパートナーだ。

「さぁ、今日中に基本は終わらせちゃおうか!」

「うん!」

 俺達は新春の農業準備を家族全員で頑張ったのだった。

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