第65話
「改めまして、先程は助けていただきありがとうございました」
俺とアルはお散歩に行った先でイリオとグレースというゴブリンの女性二人を助け、帰ってきた。
「怪我もないみたいでよかったよ」
「はい、まさか有名なヴリトラ様に助けていただけるとは思いませんでした」
「偶然、アルが気づかなかったら助けられなかったしね」
今は仮宿のテーブルで俺とアル、イリオとグレースの四人で座って話していた。
「さっき森を抜けたいだけとか言ってたけど、よかったら送ろうか?」
「いえ、さっきはああ言いましたが、私達の目的はここに来ることでした」
そう言えばゴブリン族で女性は希少なんだっけかな? 前にそんなことを聞いた気がする。ここに居るゴブリン皆女性だけど……
「うち? ここって結構危ない場所なんでしょ? どうしてまた」
「そもそも貴女達はジェネラルにパラディン、本来なら部族、トライブを率いる上位種のはずなのにどうしてそんな存在がしかも二人して」
確かにアーシラのプリンセスもだけどジェネラルやパラディン普通に強そうってか群れのリーダー的存在だよね。アニメとかでもそんな感じだったし。
「てかルーフェ、いつの間に?」
「ご主人様居るところルーフェリアスありです!」
「さいですか……」
「私達は一つのトライブに一緒に居ました」
「魔王領南東の山脈に群れを作って暮らしていたのですが、ある日ワイバーンの襲撃を受けてしまい群れが壊滅。どうにか逃げきれたのは私達二人だけでした……」
「ワイバーンってあいつかな?」
「シルバーの事でしたら別個体だと思いますよ、あれは一応希少種ですし軍事作戦に扱うはずです。集落の襲撃にはそうそう使わないし野生種かと」
あのワイバーンうちを思いっきり襲撃してたんだけど? 別個体なら倒したというわけではないのね。
「群れも崩壊、私達二人じゃ新たな群れを作ることもできませんしどうしようもなく領内を放浪している時に終焉の森の魔竜領域の話を聞きました」
「私達は受け入れてくれそうな場所はそこしかないと思い無理を承知で魔竜領域を目指しました」
「ルーフェ、この二人じゃ群れが作り直せないってどういうこと?」
「ゴブリンと言えば数、圧倒的な繁殖能力で一気に数を増やす特徴を持つ種族ですが、それはあくまでもオスの話であってメス、つまりは女性の場合繁殖能力的には一般の人間と変わりありません。母親の才を受け継ぎ上位種が生まれやすいという特徴がある分子供が出来にくいくらいです」
つまりこの二人はゴブリンの中でも希少な女性、しかも上位種。だけど性質的に群れを再生することができないと。
「そこで考えた結果、群れが作れないのであれば強力な群れに合流しようと!」
「はい?」
「魔竜ヴリトラは様々な種族を率い、終焉の森を支配した最強の長。その元にたどり着き群れに加えてもらえたなら私達は安泰です!」
なんか極端? な思考じゃないかなぁ……また女性を囲うとかなんか言われそうな気がする。まぁよくあるハーレム物の作品みたいな感じかなぁ。
「俺としては構わないよ、作業とかいろいろ手伝ってもらえれば」
「さすがヴリトラ様! 慈悲深き守護竜様です!」
「何卒よろしく願いします!」
まぁ悪い娘じゃないだろうし、アルも笑顔だし。いいよね……
「ご主人様は何と言うか女性に弱いですよね」
ルーフェはちょっと不満そうだ……小声でまたライバルが増えるとかなんとか言ってたぞ……
「まぁ俺も男だし?」
「まったくもうですね……」
やれやれという感じのルーフェ、すっかり奥さんという雰囲気になってしまった。
「とりあえず、二人とも。これからよろしくね」
「はい、私の知識と!」
「私の力で!」
「「必ずお役に立つと約束いたします!」」
こうしてまた住人が二人新たに加わったのだった。
「話は済んだようだな、こっちもできたぞ!」
タイミングを待っていたかのようにガレオンが食事を持ってやってきた。
「マカロニと言うものを作ってみたのでそれとシチューをアレンジして主の言っていたグラタンという物を作ってみたぞ! 食べてみてくれ!」
「おぉ、美味しそう」
「いい匂いですぅ!!」
アルの尻尾がブンブン振っている。イリオとグレースも初めて見る食事に興味津々という感じだ。
「いい焦げ目!」
「主の言っていた美味しそうな焦げ目というのがわかったのだ! これは食欲をそそる出来だと自負している!」
「じゃあ皆、食べようか。いただきます!」
「いただきます~!」
ガレオンの新作グラタンはものすごく美味しかった。冬ももうすぐ終わってまた春がやって来る、家族も増えてきたし皆が安心して暮らせるように頑張らねば!




