第61話
木々の葉は落ち雪が積もり始めた、ついに冬の到来である。
「さっむい!」
「あっという間に雪積もってきたね」
「皆の冬服間に合ってよかったよ」
ここ最近クーネリアにはだいぶ負担をかけてしまった。すごい勢いで暖かい服を各種族、各個人に合わせて猛スピードで製作してもらっていた。仕事量がすごかったのもあってヒトホシさんとヤツホシさんが冬眠せずに作業を手伝っているらいし、他の蜘蛛さんズと昆虫軍団は洞窟の部屋に籠り冬眠を既に始めている。春まではこのままかな。
「クーネリアがすごく張り切ってたしね、皮の回収以外で珍しく外に出てると思ったら採寸して回ってたし」
「おかげで新作たくさん作ってもらったよ」
確かにアズハもかわいい皮のコートを作ってもらっていた。最初は茶色など皮の色が基本となっていたが、最近はコボルト達のお陰で着色料がたくさん用意できたのでカラフルな雰囲気になっている。
「主よ!」
「ガレオン、今日も研究?」
「うむ、この前教えていただいたマヨネーズとタルタルソースというものを作ってみたので後で感想を聞きたい!」
「了解、後で行くよ」
「バスフライを用意して待っている、たのんだぞ!」
ラノベとかで現代地球の知識で料理無双とかよくあるけど、結局はその専門家にお願いしたほうがはるかに完成度が高いことがわかった。こういうのがあるよと教えるとこの世界の食材で同等、もしくはそれ以上の作品を仕上げて持ってくるのだ。そもそも異世界の作物、品質が全く違う物で地球と同じようなということが無茶なのだからあくまで知識として専門家に提供したほうが理にかなっている。
「お酢、だっけ?」
「そう、作るのに必要な酢酸菌ってやつがファウの生み出してたキノコの中にあって、それを使えばサガイの酒造所で量産できることもわかったのが大きいね」
「タカト、いろいろ不思議なこと知ってるよね」
「ドラゴンの知識!」
嘘、現代地球の知識。動画を見てそのまま説明してるから俺自身はたいして理解できてないけど、そこから正解を導き出す専門家はホントすごいと思う。ちなみにマヨネーズは都度都度ガレオンが作っている。保存できないのは手間だが美味しいし彼自身も作るのを楽しんでるから大丈夫だと思う。
「あ~るじさま~」
「うお!?」
ホロンに後ろから急に抱き着かれた、胸の超兵器が押し当てられ精神が吹っ飛びかけたがどうにか耐えることができた。
「ホロン、どうしたの?」
「主様とアズハさん暇そうだったのでつい!」
ついであんな超兵器を当てられたら男は耐えられません!
「放牧はしてないんだっけ?」
「はい、天気のいい日は外に出すんですけど、寒いですから全部小屋に居れてます。ニコちゃんとミミちゃんが誘導してくれるのですっごく楽ですよ」
「なるほど、ところでホロンさん、いつまで抱き着いているのでしょうか?」
「寒いじゃないですか、私体温高いんで暖まりますよ!」
確かに暖かいんですけど後頭部と背中にかけた感触が凶器です狂喜してしまいます。そしてアズハさんも対抗して腕に絡んできてます可愛いです。そして動けません……
「主様!」
「サラ、今日も走ってきたの?」
「はい、ここのご飯は美味しいですからついつい食べ過ぎてしまうんですよね」
ケンタウロスは体格もあって結構な大食いでよく食べるのだがサラは太るのを気にして毎日ランニングしているのだ、今はその帰りなのだろう。
「ところでホロンさん、主様にくっつきすぎでは?」
「え~寒いしいいじゃないですか~」
ちなみにアズハはここではナンバーツー的な立ち位置なのでなにも言われない。正妻的な扱いみたいだ。
「ずるぃ……それでも主様を独り占めはよくないのです!」
前と後ろに胸の最強兵器がっ! ケンタウロスもミノタウロスも体格が大きいせいか胸部兵器が凶悪すぎる。それに挟まれるとか幸せなんだけどマジで動けなくなる。
「ご主人様、モテモテじゃないですか!」
「ルーフェ急に来たと思ったらそのまま左腕を拘束するのやめていただけませんか?」
「空いてるんですからいいじゃないですか」
美女達に囲まれた。確かにこの娘達はうちの中でも積極的なんだけど昼間からこれはいろいろまずい、ドラゴンでも男は男、理性が本能に負けることだって結構あるんだぞ!
「とりあえずさ、ガレオンに試食頼まれてるから皆で行かない?」
「行きます!」
「はい!」
「是非!」
「うん」
皆即答だった。
「マヨネーズと野菜の組み合わせって美味しいんですよね~」
「今回はそのマヨネーズを更に改良したタルタルソースだって」
「それは楽しみです!」
「そういえばサガイさんも新作がもうすぐできるって言ってましたね」
やはりやることが減るせいか研究開発が冬は進むなぁ。ワインとかもそろそろ飲めそうな気がするし宴会でも今度しようかな。実はいくつかやりたいことはある、全部試せるといいな。
「じゃあ行こうか」
俺達はガレオンの試作品を食べに仮宿の厨房へと向かっていったのだった。




