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第51話

 エマルタから帰ってきて数日が過ぎた。スイカやメロンは皆で美味しく食べて来年栽培するための準備も済んだしレモンの木も植え替えして順調に成長している。他の買ってきた物もとりあえず倉庫に突っ込んで備蓄にしたり来年の準備に回した。

「おねぇ様ぁー!!」

「いい加減そろそろ離れてくれません?」

「いーやーでーすー!」

 後で聞いたのだが、ルーフェは俺と二人で出かけるためにレフィを布団で簀巻きにして部屋にぶん投げて来たらしく帰ってからずっとべったりされている。

「秋だね、葉の色が変わってきたし柿ももうちょっとしたら収穫かな?」

「そうだね~備蓄的にも越冬は大丈夫そうだよ」

 俺も帰ってきてからアズハと一緒に居る時間がちょっと増えてる気はする。森も秋になり紅葉して雰囲気ががらりと変わってきたし収穫の秋というだけあって畑もいい感じだ。

「シンシアの嬢ちゃん、また試し切りお願いしてもいいかい?」

「あ、例の刀ってやつですね? いいですよ」

 ガンプ達だが刀をお土産に渡したら面白い作り方だと言って早速自分達の技術にしようと研究を開始した。ちょっと驚いたのが渡した刀の一振りを柄から外して刀身を切断したりして完全にばらしてしまったのだ。断面を見たりしたかったらしいがあれで理解できる辺りやはりプロは違うのだと思う。

「これ、主様の鱗使ってないんですね。切っ先が欠けてしまいました」

「やっぱ硬い物を斬るには薄い分強度が足りねぇか……」

「私の技量不足もあるのでしょうけど、普段使ってる剣や槍とは雰囲気が全然違いますね」

 能力的に適任なのだろうか刀の研究にシンシアが付き合わされている。彼女も修練になると喜んでいて今も丸太を見事に切り裂いて見せた、欠けたらしいけど。

「叩き斬るというより斬るに特化した武器らしいからな、今まで見てきた武器と癖が違うらしい。また改良してくっからできたら頼むわ!」

「わかりました、その時は呼んでください」

 鍛冶場もだがセナ達エルフ組も建築だなんだと走り回ってくれている。仮宿も部屋が増設され集会所としても利用できるくらい拡張されたし温泉建設も順調に進んでいる。今年こそは入りたい!

「あ、今回は食べちゃったけどメロンもワインにできたのかな?」

「雰囲気的にはできそうな気がするね、ファウちゃんも居るし」

「来年たくさんできたら試してみよう!」

「うん!」

「主様~」

 アズハと話しているとホロンがやってきた。

「ガークを一匹〆たんですけど、今回は何にします?」

 ビッグフットガーク、まぁでっかい丸々としたカモでありセッカ達が捕まえてきて今はここの牧場に馴染んでしまった元野生生物である。このビックフットガークは普段逃げ足が速くなかなか捕まらないのだが、歳を取り寿命が近くなると肉が熟成し一気に旨味が上がるがタイミングを逃すとすぐに硬直しダメになってしまうという特徴があるらしい。

「タイミング見極めるのホント上手いよね」

「それほどでもないです!」

 ホロンはちょっと照れて見せた。家畜関連はホロン達三姉妹に任せているのだが彼女達、ガークの食べごろの見極めが完璧で見事に〆てくれるのだ。前に焼き鳥にした時もすっごく美味しかったし上手く絞めればジャーキーやソーセージなどや保存食としてもトップクラスで美味しいらしい。

「とりあえず次はソシエ達にお願いしてソーセージとかにしてもらう?」

「わかりました、羽毛はいつも通りで?」

「うん、それでお願い」

「はい!」

 ガークはカモだが中身としては牛や豚に近い不思議な生物らしく何にしても美味しい、ただし見極めが難しいという。家畜化しているここでは肉にできるが野生化じゃほぼ無理だろうなと思っていたらやはり超高級食材でめっちゃ高く売れるらしい、マリーが教えてくれた。

「ホロンちゃん達が見極めてくれるから無駄にならなくていいね」

 向こうも老衰してそろそろというのがわかるらしくあまり抵抗しないと言っていた。ちなみにガークの世代交代は問題なくできていて次の世代も羽化して順調に成長している。この前聞いて驚いたのが大人のガークがいつの間にか増えていたらしい、何でもここに居れば安定して子孫を残せると学習したのか柵を飛び越えて野生個体が勝手に合流してくることがあるらしく、そんなことあるの!? とちょっと笑ってしまった。

「そう言えば穀物をあげると肉が良くなるとか聞いたことある気がする。来年はもっと大量に生産しようかな」

「そうなの? なら作ったほうがいいと思う、牛さんとかも増えてきてるし。もし足りないならまたお父さんのとこに買いに行ってもいいと思う、国に納める税が無くなった分余裕があるみたいだし」

「ならちょっと考えようかな、越冬もあるし。また近いうちに行こうか」

「うん!」

 ヤギ、羊、牛、馬、ガークと家畜もたくさん増えたし買い付けを考えなきゃ足りなくなるかもしれない。家畜は冬も食べるしね、てかまた干し草や藁貰ってこなきゃダメかな……

「ん……ねぇね」

「あ、アーシラちゃんおはよ、目が覚めたね」

 アーシラはロクロやレイト達おチビと遊びまわってそのままゴモクに抱き着いて包まれるようにしてお昼寝していた。レイト達もロクロ達も兄弟のように仲良くじゃれ合っているし関係も悪くないと思う。ホントはアーシラと同じくらいの、子供がいたらもっと楽しいんだろうけどなかなか難しいなぁ。

「ご主人様~お客さんみたいですよ?」

「ん、今?」

「はい、結構な大人数ですよ」

 アーシラとアズハを見ていたらルーフェがべったりなレフィを邪魔そうにしながら降りてきた。なんだろう、これはいつものパターンな気がする。

「ワンワン!」

「あ、来たみたいです」

 子の住処には明らかにここから入ってくださいというような森に面した入り口っぽいものが勝手にできてしまっている。今回もそこからやって来るようでイチカとシローが吠えて俺を呼んでいるようだし、警戒してるわけじゃないから大丈夫なお客だとは思う。

「ちょっと行ってくるね」

「うん」

 アズハに声をかけて俺は入り口の方にむかった。イチカとシローを撫でながら待っていると十人ちょいくらいだろうかな? あとなにか動物も連れている集団が近づいてくる。それは硬そうな鱗に覆われた二足歩行のトカゲ、イグアナっぽい雰囲気の集団だった。

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