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第49話

「タカト様、商業区と冒険者ギルドどちらから参りますか?」

「ん~荷物考えるとまずはギルドかな」

「わかりました、では行きましょ! こっちです!」

 今日はこの前の約束通りルーフェと共に商業都市エマルタへやってきている、二人とも空が飛べるため思ったより早く到着した。いつもはご主人様呼びだが今日はペアの冒険者風の設定のため名前呼びをしているのだがルーフェ、すごく嬉しそうだ。

「結構広いね」

「都市運営は入国税と商売にかけている税で行われています。税と言ってもそこまで高くないですし国の思惑に左右されないので人気ですし最も情報の集まる都市国家ですね」

 大通りを歩きながらルーフェに案内されていく。今日の彼女は黒い鎧を纏った女騎士で翼は魔法で隠してい、ちなみに俺は魔法構成された私服が魔法剣士風なのでそれを装っている。

「活気があるし冒険者も多いね」

 周囲を見るとやはり武器を装備した冒険者であろう姿の人が多数見かける、国の兵士よりも多いと思う。

「ここはいかなる戦争行為にも干渉しない中立を貫いておりますからね、仮にここを攻撃するようなことがあったら周辺国家全てを敵に回すことになりますし。まぁ最初から周辺に喧嘩売ってた国もあったんですけどね」

 帝国が領土拡大に積極的だというのは聞いていたしそのことだと思う、最近勇者召喚をしたとか言うしどう動くつもりなのかも知っておきたい。

「ここがギルド本部です!」

「結構デカいね」

 なんだろ、中世バージョンの職業紹介所みたいでちょっとヤダァ。

「入って、とりあえず登録しておきましょう。何かしら役に立つと思いますよ」

 ルーフェに促されて中へと入っていく。何と言うか受付カウンターが正面にあって食事ができる長机と椅子に依頼書を貼るボード、まさにファンタジー作品テンプレ通りの光景が広がっていた。

「ギルドへようこそ、本日はどのようなご用件でしょうか?」

 カウンターに行くと受付嬢が応対を始めてくれた。

「冒険者として登録したいのですが」

「お二人とも新規でよろしいですか?」

「お願いします」

「はい、少々お待ちください」

 そういうと嬢は何かを取りに行った。ラノベとかでよく見る光景だけどホントにあるんだなぁ、ちょっと楽しい!

「お待たせしました、それではこちらの用紙に記入をお願いします」

 とりあえず文字は読めるし書ける、自分の前世の第一言語である日本語がこの世界の言葉と文字に自動的に変換されているようで全く問題なし、神様ありがとう! とりあえず書くことは名前や職などでたいしたものはない感じかな?

「これでいいですか?」

「確認します」

 見た感じステータスとかレベルみたいな概念は存在してないらしい。まぁゲームじゃないしね……

「問題ありません、そうしましたらこちらのカードに血を一滴お願いいたします」

 そういうと俺達の名前が記入された銀色のカードとナイフを渡される、指先をそのナイフでつつきカードにある血をここに垂らしてねと丸で囲まれている場所に垂らしてみせた。すると文字が発光し何かが刻み込まれたようだった。

「はい、これで登録が完了いたしました、以後ギルドの支援、依頼などを受ける際はこちらを提示してください。冒険者としての活躍を期待しております」

 受付嬢は笑顔でそういうとカードを渡してきた。これで冒険者登録は完了のようだ。

「ランクとか等級みたいなものはないんですか?」

「ありません、冒険者は皆平等。名声を得るも財産を得るも己の実力次第です、頑張ってください!」

 最初はEランクスタートですとかあると思ったけどそんなこと一切無いらしい、完全実力主義ってことね。

「これで狩った魔物の解体や素材の販売などもギルドでできますね」

 終焉の森の生き物持ってきたら大騒ぎになる気がするけどね……とりあえず目的は情報収集、周囲の噂話を何気なく聞いて回ろう。

「最近どうよ?」

「ここら辺は微妙だなぁ、皆バンダール領に行っちまってる」

 たしかお義父さんの領だったな、確かにこの前行った時冒険者多かったもんなぁ。

「あの地域は税が安いしダンジョンもたくさんある、しかも魔竜領域の生物が狩れればそうとうな稼ぎになるからな」

「レオフラッグも向かったんだろ? すげぇよな」

「な、俺なんてドラゴンの近くなんて行きたくもねぇわ」

「守護竜様ってバンダール領だと崇められてるんだと、なんでも帝国の騎士団を皆殺しにして解放してくれたとか」

「ヴリトラだっけ? おっかねぇドラゴンの気まぐれに振り回されてるだけだろ」

 なんかいろいろ言われてた……結構噂って広がってるもんなんだなぁ。

「帝国と言えば勇者召喚したんだってな」

「そうそう、なんでも最強戦力を立て続けに失って焦ったとかなんとか」

「また戦争でも仕掛けるんかねぇ」

「巻き込まれたくねぇしどっか行くかね?」

「ここが一番安全だろうよ」

「それか守護竜様の恩恵を受けに行くかだな」

 話してる冒険者達はそう話すとお酒を飲んで笑いあっていた。たいした情報じゃなかったなぁ……

「タカト様」

 ルーフェが手招きしているのでそっちに行ってみる。

「ガンプさん帝国から追放されたんだってな」

「ああ、最高の職人だったのに……」

「ワシなんぞガンプさんの武具目当てで帝国に行ってたくらいじゃぞ、まったくどこに行ってしまわれたのか……」

「ここいらで魔剣鍛冶師はもう居ないんじゃないか?」

「弟子のムサイってやつが工房を引き継いで魔剣鍛冶師をやってるらしいぜ?」

「性能は?」

「さぁ? ガンプさんが居なくなってから帝国なんて行ってねぇしわかんね」

「ダメだな、魔剣ではあるがガンプさんの作っていた作品とは比べ物にならねぇ、普通の武具も見かけはいいが粗悪品だ」

「人間至上主義のバカ共が……」

「あんま大声で言うなよ、気持ちはわかるけど」

 確かに仕事を見てればわかる。ガンプさんは凄腕だ、熱意がまるで違うしあの技術はそう簡単には得られない。

「アレクロン王国も魔竜領域のドラゴンに怨まれて王城が吹き飛んだらしいしどこに稼ぎに行くかなぁ」

「そのせいで今税が高くなってるんだろ? 十八番の魔獣も全滅、農民も逃げ出し始めててヤバいらしいな」

「噂じゃ帝国に習って勇者召喚でもするんじゃねぇかって」

「もういっそ魔王国にでも行ってみるかなぁ」

「それもありかもな!」

 なんだろう、RPGゲームで情報集めてるみたいでちょっと楽しい。

「こんなものじゃないですか?」

 ルーフェが隣でこそっと話しかけてきた、確かにもういい感じの情報は無さそうだし潮時かな。

「そうだね、行こうか」

「はい!」

 まだ時間はありそうだしいろいろ見て回るかな、一応デートということになっているし……

「ルーフェどっか行きたい場所ある?」

「特にないのでいろいろ見て歩きましょ! 今日は私の独占です!」

 すごく嬉しそうだしまぁいっかなぁ。

「エマルタは中央にある中立都市なんでいろんな国の商品が集まるしお店の質もいい感じなんですよ」

「確かにいろいろあって面白いね」

 ルーフェと共に商業区を歩いているが露店やお店がたくさん並び見たことのないような道具や武具、野菜や肉など様々な物があって楽しかった。

「タカト様、こちらです!」

 誘われて一軒のお店に入った、食堂? というよりバーという雰囲気かな。

「エマルタでも有名なお店なんですよ、一度は来てみたかったんです!」

 今更かもしれないけど、ルーフェはどこからこういう情報を仕入れてくるんだ? そう思いながら席に座り、美味しそうな雰囲気の物を注文しておく。

「そう言えば、さっき聞いたんだけどレオフラッグって何?」

「大陸最高峰と言われる冒険者の一党ですね。数々の偉業を成し遂げたという伝説もあって注目度も高いです」

「それがお義父さんの領に来るかもなのね」

「未開の土地ですからね、名をあげるには持って来いの場所ですよ」

 話していると料理とお酒が並んだ。さっきも見かけたがここらで使われている肉はヤギとブタが多い、育てやすいというのもあるのだろうがお店に並んでいる生肉はだいたいこれになる。今目の前に並んでいるのもヤギの骨付き肉などだ。

「香草焼きかな?」

 いい香りもするし塩味ベースかな? 美味しい!

「お酒もここら辺では一番おいしいですよ!」

 そういうとルーフェは一気にお酒を飲み干しておかわりを頼んでいる、結構好きみたいだ。

「美味しい」

 ここら辺では蜂蜜酒、ミードが主流らしい。確か水と蜂蜜だけで作れるんだったかな? 蜜の用意ができたら作ってみよう、甘くて美味しい。

「ここの北で養蜂がぁ、盛んなんですよぉ」

 酔ってる、めっちゃ酔ってる!

「ルーフェ大丈夫か?」

「らいじょーぶれふ~」

 あ、ダメっぽい……この堕天使お酒あんま強くないっぽい!

「おかわり~!」

 しかもまだ飲む気だ。こういう時はやめさせた方がいいのかな? それとも満足するまで飲ませた方がいいのかな?

「乾杯しま~しょ!」

「ほどほどにね」

 こっちに来て初めてのお酒だし俺ももうちょっと楽しみたい、もう少しだけ付き合ってもいいかなって思う。

「ほら、そろそろ行くよ、立てる?」

 しばらく食事とお酒を楽しんだ俺達はお店を後にした。外に出るとすっかり日が暮れてしまっている。

「夜のいどーは、きけ~んなので~宿に~とまりましょ~」

 酔っ払い堕天使に肩を貸しながら町を歩いていく、俺も酔ってるしこうなったら泊まる場所探すしかないよなぁ。ホントは一日でさっさと帰る予定だったのだが上手くはいかないものだなぁ。

「ほら歩きなさいなルーフェさん」

「抱っこしてくらはい~」

 すごく甘えてくる、酒臭いけど! そんなルーフェを連れてどうにかこうにか宿屋に着いて受付をすませた、一つしか部屋は借りれなかったけど仕方がない。部屋に着いたらルーフェを横にしてあげて一息ついた。

「ご主人様ぁ~夜は~これからですよぉ~」

「何を言ってるんだよ、さっさと寝な!」

「何言ってるんですかぁ~せっかくの二人っきりのデートぉ恋人同士のやることは決まってるじゃないれすかぁ~」

 こいつ、最初からそのつもりだったのかっ!!

「酔ってるのに?」

「らいじょーぶれふ! きょーは寝かせませんよ~!」

 今宵も大変疲れる夜になりましたとさ、何が起きたかは察してください。

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