第48話
数日が経って暑さも弱くなってきたし夏ももうすぐ終わりそうだ、ブドウと桃のワイン熟成も順調に進んでいる。ブドウの時も雑にすり潰して樽に流し込みファウ特製キノコを投入、後は菌達に任せるしかない上手くできますように!
「アクアブレス」
毎朝の日課、住処の畑を中心に全体的に水をばら撒く。これのお陰で作物の水やりはスムーズである。この後アウラウネ達に作物の状況を聞いて手入れをしたり収穫したりしている。
「旦那ぁ!こっちもおねげぇしやす!」
「はいよ~」
次はガンプ達の鍛冶場へ向かい炉に火を入れる。個人的には差がよくわからないのだが、普通の火と竜の起こす炎は質が全く違うらしく作業開始時に竜炎を求められる。最高の魔剣を打つと皆張り切っているし手助けになるならいくらでも協力しましょうとも。でもあんまり使う機会無さそうなんだよね……
「次はと」
「ワン!」
イチカとヨゾラがカエルの山と待っていた。
「今日も多いなぁ」
イチカを撫でながらカエルの山を眺めている。ホント毎日どこから沸いてくるのか、しかも本来これでも強いらしいからちょっと驚いちゃう。
「主様、手伝います」
今日はソシエとソーナの燻製組が解体お手伝いらしい。彼女らのお陰でお肉の長期保存ができてとても助かっている、ちなみに燻製や乾燥用の小屋と保存庫も建築して大量のお肉が蓄えられている。中でも秘蔵の力作、シルバーワイバーンの足を丸々使った生ハムが絶品である。マジで美味しかったしお酒が欲しくなる味だった。
「今日のこいつらは燻製?」
「そうしようかなって思ってます、数が多いんで生だとダメにしちゃうんですよね……」
夏も終わりに近づき数が減ったと思ったんだけど、どうやら冬眠に向けて蓄えたいらしく狩られる数がまた増えてたりする。
「あ、そういえばジロルさんがカエルの足骨が欲しいって言ってました」
「あ、了解後でもっていこうか」
「はい!」
ジロルはここにやってきたドワーフの一人で鍛冶兼細工師らしく骨など生物素材を加工した武具を専門にしているらしい。
「イチカ、ヨゾラ持って行っていいよ」
「ワン!」
捌いた肉を渡していく、今回はジロルの希望があったので足は骨から肉だけ削ぎ落して渡した。内臓は勿論ミンチにして魚やエビ達の餌になっている、最近確認していなかったのだが溜池にすごい大きさの影がチラつく様になっている。そろそろ食べごろかもしれない……
「じゃあ後はお願いしちゃっていい?」
「はい! お任せください!」
これで日課は終了、この後は森の散策や畑仕事などなど状況次第で変わってくる。
「ワウ!」
セッカが今日の得物を狩ってきた。大ウサギだ、解体はまず蜘蛛さんズの誰かが木に吊るして首を斬り血抜きをする。解体作業はアズハが担当していて最近はアーシラも一緒に手伝っている。内臓はそのままフブキとセッカで食べてしまうので処理も困らない。毛皮もクーネリア工房に持っていかれ加工されてるし無駄なくしっかりと使っている。
「セッカちゃんちょっと待ってね」
あの巨体で大人しくお座りしているのはちょっとかわいい。ちなみに、アズハとアーシラには常にゴモクが付き添っている。どうやら姉弟で担当を決めているらしくゴモクは基本住処内で二人を守ってくれているようだ、普段のんびりしているが魔法戦闘能力がずば抜けて高くいざという時頼りになる。ちなみにイチカとシローがセッカ同様に狩りや俺の散策について来てくれてニコとミミが牧羊犬のように家畜の管理をしてくれている、畜産はホリィン達に丸投げしてしまっているのだがすごく助かっていると聞いた。
「セッカ! モフモフ~」
アーシラはセッカやゴモクによく抱き着いたり乗せてもらったりしている。結構面倒見がいい、ゴモクに抱き着いて寝てるアーシラを見たセッカがちょっと嫉妬しているようだったのも面白かった。ちなみに妖精達も一緒になってお昼寝してることが多い。
「ヘラクスさんそこの木材お願いします!」
セナ達は甲虫軍団と一緒に建築や補強をしてくれている。おかげでここもだいぶ立派になってきた、ちょっとした村よりしっかりしている。
「ご主人様~」
空からルーフェが降りてきた。普段はシンシアやレフィと戦闘訓練をしたり収穫を手伝ったりいろいろしてくれている。
「ルーフェおはよ」
ちなみにマリーは基本籠って研究しているが必要があればイチカを連れてフィールドワークに出かけたりしていて、ファウやコボルト達、甲虫のメスは洞窟で自分達の仕事をこなしている。
「ご主人様、今度エマルタに行きませんか?」
「エマルタって?」
「中立都市エマルタです、魔王国、シャジャル帝国、アレクロン王国、テレスド獣王国、フロンテス王国などなどの中央に位置してここからだと北にありますね。中立商業都市で冒険者ギルドの本部もありますから情報収集にもってこいなのです」
「確かに情報収集はしたかったんだよなぁ」
ここ最近、特にアレクロンとシャジャルにはいろいろやらかしているからどうなっているか気になってはいる。何より情報収集は大事だしここ以外を知らないから見に行きたい気持ちはある……どうしようかなぁ。
「お金はたくさんありますよ?」
「そう言えば扱いに困ってたのがあったね」
ルーフェがここに来る時に結構な大金を持ってきたのだが使う機会が無く倉庫でしばらく放置されているのだ。
「それに商業都市ですのでいろんな作物なども出回ってるかもしれませんし!」
なんとなく察しているがここまで行きたがる理由は情報収集ではないのだ。
「本音は?」
「デート行きましょ!」
ですよね。ルーフェには基本的にレフィがくっついているし俺もアズハを優先している、そこで一緒に出掛ける口実を考えた結果がこれなんだと思う。
「わかった、今度行ってみようか」
「約束ですよ! 絶対ですからね!」
そういうと喜んでルーフェは飛んで行った。これでマリー辺りを一緒にとか言ったらすごいことになりそうだし、二人で行ってくるかなぁ。




