第34話
鶏が来てから数日、小屋と放牧エリアが作られ一定数の卵が取れるようになった。一応鶏はオスが三羽、メスが十二話の計十五羽となっている、最初のうちはほどほどにして繁殖を優先させていく予定だ。
「主様、おはようございます」
「ホロンおはよ、新しいのは平気?」
「はい、基本的には牛ちゃん達と一緒で大人しいですし喧嘩もしないので楽ですよ。餌も同じのでいいみたいですし」
鶏を手に入れて喜んでいたのを見たせいか翌日、セッカ達が巨大で丸っこいカモのようなアヒルのような鳥を数匹捕まえてきた。最初はどう扱えばいいのかわからなかったが基本的には牛と同じ扱いで大丈夫のようだし定期的にダチョウのような大きさの卵を産んでくれる。味は濃厚だし量もあるので助かってはいるが、ここに来た時のセッカ達に囲まれて絶望した捕虜のような表情はすごかった……
「ビッグフットガークだっけ?」
「はい、逃げ足が速いので本来捕まえることすらできない幻のお肉と呼ばれている鳥です」
お肉って可哀想な呼ばれ方だけど、結構凶暴な生物がたくさん居るこの世界じゃしょうがないかなぁ。
「なんというか、ここに来た時の怯えようはどこ行ったというくらい馴染んだね」
「ここ程安全に過ごせる場所は無いですよ、動物でも本能でわかるんだと思います」
こいつら鶏よりも馴染むのが早かった、野生の感というかなんというか安全だとわかったら繁殖も始めているようだった。
「正直、数が増えるという意味では牛よりも相当早いし安定すると思いますよ」
「でも逃げ足が速いんでしょ?」
「セッカさん達ならいけるかと?」
土地内で狩りさせるというのもなんかなぁ……とりあえず卵や肉に関しても目途が立ったと思う、穀物や野菜の成長も順調だし住人総出で行えばどうにかなる感じではあるかな。
「ワン!」
「イチカおはよ」
ホロンと話しているとイチカがやってきた、これは昨夜の成果を教えるためだ。
「また来たのね、しかもデカい……」
「冬眠明けで餌が欲しいんだと思います」
最近の悩み、夜の事だが牛達やガークは小屋にしまうから大丈夫なのだが魚や甲殻類が増えてきたせいかそれを食べようとギガマウスがやって来るようになってしまったのだ。それを毎晩イチカ達が仕留めて朝死体が転がっているというのが続いている。
「また足とか食べれるとこは肉にして残りはミンチで魚の餌かなぁ」
「ギガマウスは成長が早いし繁殖力が強いですからね、数が増えやすいんです」
どこに行ってもデカいカエルは厄介だなぁ……
「主様~お姉さま見かけませんでしたぁ?」
「今日は見てないけど家じゃないならアリッサのとこじゃない?」
レフィリアーゼ、レフィはまだ家がないので宿屋で寝泊まりしている。ちなみに、ルーフェの家で一緒にと聞いたらすごい勢いで拒否された。
「ありがとうございま~す!」
そう言うとレフィは黒い翼を羽ばたかせて飛んで行った。ここに来て数日、彼女の姿は煌めく銀髪のショートボブに青い瞳そして黒い翼へと変化していた。はい、堕天しました……させました。お姉さまと一緒がいいとかお姉さまとできてワタクシとはできないのですか!! などなど大騒ぎの挙句こうなってしまった、お姉さまも混ぜて三人でとか言い出した時はどうしようかとホント大変だった……
「朝から元気なことで……」
「あはは……」
レフィは堕天してもあまり変わらない感じだ、天使と言ってもいろんな性格の人が居るのは同じらしい。
「ホロン、悪いんだけどカエルの解体手伝って」
「はい!」
俺とホロンはイチカ達が夜の間に倒したギガマウスを順番に解体していく、所々イチカ達がつまみ食いしつつ順調に進んでいく。ちょっと調べて分かったのだが水路を繋げた川の近くに池ができているらしく、そこで繁殖したカエルが餌を求めてやってきてるようだ。ギガマウスというだけあって牛やガークくらいの大きさでも平気で丸のみにしてしまうらしい。悪食すぎる……
「あ、この前はありがとうございました、またお願いしますね」
「うん、違和感とか不調はない? こっちも初めてだったしバランス感覚おかしくなってたら申し訳ないなって」
「はい! 好調です!」
何の話かというとこの前ホロンの蹄を手入れしたのだ。あまり放置しすぎると伸びて歩きづらくなるとのことだったので興味もあったが触らせてもらった、初めてだったがそこは元プラモデラー削ったり整えたりは任せてほしい! もちろん姉妹全員分綺麗にしました!
「その、もう一つの方も……」
「あ、はい」
ホロン達ホルスタスは女性のみの種族で胸がすごく大きい、初対面で目がそっちに行ってしまうくらいにはインパクトがすごい。そして種族特性で乳が出るらしく、定期的に搾らないと痛くなったり張ったりして辛いらしい。何が言いたいかというと、夜のあれこれの時に定期的にやってほしいというお願いです。ちなみにホロンが姉妹の中で一番積極的だったりする。
「今まではお姉ちゃん達にお願いしたり自分でやったりしてたんですけど主様にお願いしたほうがその……」
そこで恥ずかしがられるとこっちまで照れてしまう。てかカエルバラしてる時にこんな話しないでほしい、グロとエロで頭がおかしくなる……すっごくハーレムに憧れたこともあったけど実際その立場になると想像以上に大変だし理性が吹っ飛ぶ。ハーレム物のアニメや漫画で女の子に手を出さないのは男としてバグってるし絶対無理! あと、環境や境遇もあるんだろうけど女性陣の折り合いがすごく上手くいってるのが不思議……地球だったら修羅場どころか殺されてる自信がある。
「とにかく、その時はまたその時にね?」
「は、はい」
とりあえず話を流しておこう、いろいろ考えてしまう。
「シラユキにもあげなきゃ」
最初は抵抗があったがもう慣れた、自分達でも普通に食べているがこのカエルの肉は脂肪が少なく高たんぱくなためシラユキ達にはいい餌になっている。
「内臓はいつも通りすり潰して魚にですか?」
「うん、そのつもり」
「そう言えば溜池見ました? すごいことになってますよ」
溜池で魚を飼育し始めて今年の春、大量の稚魚が産まれていた。もう水面の色が変わるくらい大量に産まれていて共食いしたとしても余裕で残る数だと思う。
「見た、あんなに増えるとは思ってなかったね」
二人で作業しながら笑いあった。とりあえず今日も一日頑張ろう!




