第31話
アリッサがやってきから数日、鍛冶場がすごい進化していた。金床や水溜など必要な物全てを自分の手で作ってしまったのだから驚いた、火と水は俺がブレスで提供し、鉄にも鱗を粉にしたもの混ぜて作ったせいかドラゴンツールとか言う最高級の道具が揃ったと大喜びだった。今は俺の鱗を加工する技術を研究して日々を過ごしていて興味があるのかウルも一緒になって研究、ついでに鍛冶の技術を教えてもらっていた。
「竜の炎で鍛えた鉄、もう何があっても負ける気がしない!」
「はい! 師匠!」
ドワーフ村からもらってきたリンゴは柿の木の近くに植えて順調に育っている。ちなみにこの数日もいつものメンバーと探索し、柿の木も三本程増えている。今年も豊作になってくれるといいなぁ。畑の方も順調で残ったメンバーが面倒を見てくれている、そういえば牛が赤ちゃんを産んだとホリィンから報告を受けた。順調に育っているらしくこちらも問題なし。
「シラユキ、骨もだいぶ繋がってきたかな? まだ無理はしちゃダメよ」
マリーは毎日シラユキの様子を見てくれている。シラユキの方も順調に回復してきていて折れていた頭の飾り羽も生えてきて凛々しくなってきた。ちなみに毎朝の咆哮は続けている、てか元気になるにつれ声が大きくなってきてる気がする。
「セイッ!」
そして本日の俺は何をしているかというと、絶賛戦闘中でございます。ニコがこっち来てと催促するのでついて行ってみたら家の近くに十メートルくらいのバカでかい熊が来ていたのだ、そんなのとエンカウントしたらもうやるしかなくなってしまったのだ。
「ワン!」
ニコは戦闘を見ている尻尾をブンブン振って興奮しているみたいだった。手伝ってくれてもいいんだよ? こいつデカいだけあって想像よりタフで困っている、ブレスで倒すとお肉も素材も手に入らないから使いたくないし肉弾戦でケリをつけたいけどパワーもなかなかあるしめんどくさい。
「そろそろ肉になってね!」
熊の頭と腕を掴み、力任せに押し倒しそのまま喉元にかぶり付く。ブチブチと何かが切れていく感触そしてやがて硬い何かが牙に当たってくる、そうしたら勢いよく首を捻りながら手放す。鈍い音を立て首が変な方向を向いて熊は動かなくなった。
「ワン! ワン!」
お見事ですとでも言いたそうにニコは嬉しそうに吠えている。手こずったけどほとんど外傷のない熊が手に入った、今日はお鍋かなと思いながら熊をズルズル引きずってニコと家に帰って行った。
「うわ、でっか……」
帰ってきてそうそう言われたのがこのマリーの一言でした。実際ビックリするくらいデカいし気持ちはわかるけど……
「こいつタウンデッドリーじゃないですか?」
「なにそれ?」
「現れたら最後、街がこいつ一匹に滅ぼされると言われていた災害指定の超危険生物ですよ?」
セナが教えてくれた、そうとう危険な生物だったらしい。
「ちなみにお肉美味しい?」
「さぁ? 元々はグレートベアだと思いますしそれなりに美味しいかと?」
「とりあえず血抜きしなきゃなぁ」
流石の大物で手間がすごかった、住人総出での解体作業が始まった。血を抜くだけでも俺が足をつかんで空中に飛び上がりぶら下げるというめんどくさい事をして時間がかかった。
「ワン!」
「あ、欲しいの?」
「ワンワン!!」
お腹を切り裂いて内臓を掻きだすとそれをイチカ達が欲しがったので全部あげることにした。いくらかセッカとフブキの元にもっていき残りは姉弟で仲良く平らげてしまった。
「皮は私にくださいな!」
次は皮むきだったのだがこれはクーネリアが蜘蛛さんズと協力してあっという間に、しかも綺麗に剥がして持って行った。頭まで綺麗に剥いで行ったせいでちょっとグロい物が転がったがそこはモザイクでもかけておいてください!
「結構硬いですね」
「すごい筋肉質、煮込むのが一番いいかな?」
ついに牛乳を始めとする乳製品がここにもやってきた。今ある材料でシチューみたいなのは作れるかな? 試してみるのもありだと思う。
「ん~」
「アリッサ、どうかした?」
「いやね、このレベルの獣の骨や爪、牙って武器づくりとかですごく重宝する貴重な素材なはずなんだけど……」
その優秀な素材を簡単に解体していく俺の鱗製の道具が溢れてて微妙に感じるらしい。
「とりあえず用途が見つかるまで保管でいいんじゃない?」
「そうします」
山盛りお肉を欲しそうにシラユキが眺めていたので分けてプレゼントしておいた。出産が近いかもということなので体力を付けてもらわなければいけないし多めにあげておく。もちろんセッカとフブキにも分けている。流石の大物でお肉に余裕があり過ぎる、欠点はちょっと野性味あふれる臭いがするくらいだ……
「ワンワン!」
ご飯を食べた後速攻でどこかに飛んで行ったシローが帰ってきた、なんか呼んでる雰囲気がする。
「シローどうした~?」
「あの、主様、お客様です」
シローと一緒にどこかに行っていたようでソシエが一緒に立っていた。
「お客?」
「はい、団体様ですよ」
ソシエはニコっとして森の方を指差す。そこにはモフモフな体に耳と尻尾、コボルトの集団が立っていた。先頭には三人、直立した狼という感じのコボルトよりもより人に近い体型をした女性が立っていた。早い話がアル達と同じハイコボルトだ。
「私達は西の洞窟に住んでいた一族です、この度は訳がありましてヴリトラ様の元に来ました」
いつの間にかヴリトラという名前が浸透していた。
「何かあったの?」
「はい、実は私達が暮らしていた洞窟が、ダンジョンと繋がってしまい。様々な魔獣が現れ群れが崩壊してしまいまして……」
「できることならヴリトラ様の庇護下に置いていただきたく」
早い話が住処を失ったからここに住ませて欲しいという願いだった。コボルト達の技術はわかっているし別に困らないけど……
「主様、お呼びですか?」
しばらくしてアルがやってきた。
「あ、アル、この子達が住処を失って一緒に住みたいって言ってるんだけど、共存ってできる?」
「あ、はい大丈夫ですよ、私達の世代は大丈夫ですけど今後の事を考えると別の部族の血も必要ですし」
早い話が子供が近縁者だらけだと後々困るから全然問題ないということだった。
「そっちもいい?」
「はい! 私達も問題はございません」
よく見ると子持ちのコボルトも数匹見受けられる、さすがにダメですなんて言えない。
「そっちにも習慣とかいろいろあるだろうし詳しいことはアル、任せてもいい?」
「お任せください主様!」
デカい熊を仕留めておいてよかった、結構な人数が加わったし疲労もあるだろう、今日は豪勢な食事にしようと思った。




