第28話
「ピャアールルルルルルラー!!」
「!?」
最近の朝、というよりスノーホワイトが来てから数日、彼女は毎日朝になると空に向かって大声で叫んでいる。おかげで皆朝が早くなった……毎朝毎朝、まるで何かを呼んでいるみたいにも最近聞こえている。
「おはよ、シラユキ」
流石に名前が無いのも不便ということでスノーホワイトにシラユキという名前を付けた。そのまんまだけど……
「シラユキの羽、少しずつだけど生えてきたね」
「まだ骨が繋がってないから固定しっぱなしだけどね」
シラユキの体は傷が目立たなくなってきて順調に回復している。そして彼女自身もシラユキが自分の事だと理解しているらしくしっかり反応してくれる、何というかこの世界の生物賢くない?
「主様、今日はどうします?」
「今日は南西の方に行ってみようかなって」
「わかりました!」
今日も探索に出かける予定だ。メンバーは前回と同じで俺、セリィ、ナナホシ、シローだ。
「じゃあ早速出発!」
「いってらっしゃい!」
いつも通り全員を背中に乗せて飛び立った。
「こっちの方は森林地帯なんだね」
「はい、木の実や果実系はこっちの方が多いと思います」
「植えれそうなやつはそのまま持って帰りたいね」
「そうですね」
てきとうな場所に着陸して探索を始める。森林地帯、果実などが多いせいか動物の気配もいくらか感じる。だいたいはドラゴンの気配を感じると逃げてしまうので気にしなくても大丈夫だとは思う。
「ウゥゥゥ」
シローが何かを気にしてるようだ、狼なだけあって鼻がいいからなにかを嗅ぎつけているのかもしれない。視力や聴力ならドラゴンの俺も負けてはいないと思うが、正直視力はセリィに聴力はナナホシさんに劣る。このメンバーを選んでいるのは皆が調査に特化している能力を持っているというのも大きい。
「シロー何か感じる?」
「ワン!」
いつもみたいに周囲探索に飛び出さないあたりだいぶ警戒しているようだ。
「セリィ、あまり離れないようにして」
「わかってます、なにか様子がおかしいみたいです」
セリィも短剣をすぐに抜けるように構えている。ちなみにこの短剣は俺の鱗を加工したものでそこら辺の雑魚なら相手にすらならない代物だ。
「どうしたのナナホシさん」
俺の頭の上にナナホシさんが飛び乗り前足で前方を示している。何かいる? いや、なにか来るみたいだ。
「何か来ます!」
セリィが叫ぶとナナホシさんが示した方向から、何かが飛び出して来た。少女だろうか? 小柄な赤茶色の髪をした女の子が俺達の元に飛び込んできた。
「ワン!」
そして少女を追うように黒い犬が飛び出してくる。またヘルハウンドだ……
「またかい!」
飛び出してくるヘルハウンドをベチベチと叩き落とし、角で突きながら吹き飛ばしていく。
「大丈夫?」
「エル、フ?」
「主様、意識はあります、大丈夫みたいです!」
「そのままちょっと待ってて」
前回と同じようにシロー、ナナホシと協力して山のような駄犬を薙ぎ払った。
「終わったよ」
「流石です!」
周囲に居た駄犬はあらかた始末できたと思う、シローが警戒してくれてるし話す時間くらいあるでしょう。
「君は?」
「……」
赤茶の髪をツインテールというよりはただ両側で束ねただけという雰囲気の少女は俺の姿を見てすごい顔をしていた。初めてドラゴンを見たらやっぱこういう反応なのだろうか。
「怪我は?」
「擦り傷とかはありますけどたいしたことはないかと」
「そう、この姿なら大丈夫かい?」
俺は人間モードに戻りあらためて少女に話しかける。
「あ、はい……ありがとう、ございます」
キョトンとしながらも話し始めてくれた、たぶんシローやナナホシさんも見てるけど大丈夫そうだ。
「彼女はドワーフですよ、こう見えて成人だと思います」
「あ、はいドワーフのアリッサ・ドーンと申します、危ないところを助けていただき、ホントにありがとうございました」
落ち着きを取り戻してくれたようだ、てかドワーフキタ! ホントにロリ体型っていうか少女のような姿で成人なんだ!
「あなた、フェーリス族ですよね?」
「フェーリス?」
「あ、はい、ドワーフの中にも種族がありまして。彼女はフェーリス族、女性比率の多い人間でいう幼い体型が特徴の種族です」
ドワーフの中でもいろいろあるらしい。ちなみにフェーリス族の男性はまさにショタという雰囲気らしい。
「ドワーフの貴女がどうしてこんな森林に? 普段鉱山で暮らしてると思ったんですけど……」
セリィの言葉を聞いてハッと我に返ったようでアリッサは突然頭を下げてきた。
「お願いします、仲間をっ! 皆を助けてください!!」
「えっ?」
セリィと顔を合わせてどうしようと思いつつも、断れないだろうなぁといろいろ察したのだった……




