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第25話

 しばらく時間が経った、マリーの住居兼研究室、ルーフェの家、ホリィン姉妹の家が完成。周りの木々にも花や葉が生えだし春がやってきた、異世界二年目が始まったのだ。

「セナ達は説明した通り苗を田んぼに植えてって貰っていい?」

「わかりました!」

 セナ達エルフチームにお米の苗、田植えを任せた。前もって発芽米を育てて苗を準備しておいたから問題ないだろう、むしろ問題はこっちだ。冬の間無駄に広げてしまった畑、ブドウの木とマリーの薬草はすでに終わってるけど他の作物の配分どうするか……

「小麦、大麦、大豆、小豆、が多めで他を均等にしていきますか?」

「ん~ジャガイモとサツマイモもいろいろ使えるから多めにしたいんだよね」

「決めたとこから始めましょ、終わらなくなっちゃいます」

「そうしようか」

 畑が大きすぎるためホリィン達やアル達にも総出で手伝ってもらっている。トマトも無いと困るし葉野菜やトウモロコシ、作りたいのが多すぎる……

「そういえば、コボルト達は大丈夫?」

「あ、はい! 産後も順調ですしお父さん達はすでに採掘を再開してますよ」

 一年中採掘しているコボルト達だがつい先日子供が生まれたらしい、まだ会ってないが順調に育っているとのことで安心だ。

「牛の方ももうすぐ生まれると思うから、余裕ができたらそっちにも付いていてあげたいです」

「あぁ~そうなったらホリィン達に任せるよ」

「はい!」

 ちなみに昨日、冬眠していた蜘蛛さんズも起きてきて挨拶してくれた。初めて見るメンバーは驚いていたが予めクーネリアが話していたし気絶するほどではなかった。マリーだけはすごい顔してたけど……

「悪いけどしばらくは種まきになると思うけど、付き合ってね」

「お任せくださいご主人様!」

 ここでの作物について分かったこと、それは成長が早い、実が巨大化する、一度に超大量の実をつけるなど地球の常識が通用しない成長をする傾向があるのだ。とりあえず去年わかったのは葉野菜はめっちゃ早い、イモや根野菜系は異常にデカくなる、トマトやトウモロコシなどは実が多くなるなどなどだった。成長パターンがまだ理解できてないためいろいろ試行錯誤が必要だが冬に向けて食料を蓄えなければいけないことも考えるとそうそう実験もしてられない。やっぱ問題はたくさんだ……

「ワン!」

「イチカ達が帰ってきたみたいだね」

 春になり、イチカ達五姉弟が狩りを始めた。早速何か捕ったみたいだから見てみると……

「いっ!?」

 まだ暖かくなってきたばかりだしあまり期待してなかった、期待してなかったけど……イチカ達五匹の横に狩ってきた獲物が山になっていた。

「あ、ギガマウスですね、暖かくなって冬眠から起きてきたんだと思いますよ」

「これ、食べれるの?」

 イチカ達が狩ってきた獲物、それはイチカ達の倍くらいの大きさのカエルなのだ……確かにウシガエル捌いて食べてる動画は見たことあるよ? あるけど、これはデカすぎない? しかも大量、ちょっと怖いんだけど……

「主様、ちょっと解体手伝ってもらっていいですか?」

「え、あ、うん。どうやるか教えて?」

「ギガマウスは部位で切断して、切り口から皮がべろんと剥けるんですけど結構力が必要で」

 要はドラゴンモードで皮を剥がして欲しいということだった。

「あ、皮は貰ってもよろしいですか? 新しいタイプの皮なんで実験したいです!!」

 カエルの山を見たクーネリアが興味深そうに観察していた。彼女も暖かくなって活発になっていた。

「内臓は何が入ってるかわからないのでイチカちゃん達も流石に食べないので破棄になりますね。とりあえず切り込み入れていきますので主様、剥いてください」

「了解」

 俺はイルが切り裂き、内臓などをかきだした巨大カエルの皮をドラゴンパワーで剥いていく。ずるりと気持ちよく剥けるので結構楽しい、それにバラしてしまえば普通のお肉で最初の抵抗は無くなってくるものだった。ちなみに種まきチームはアズハに任せた。

「ワウ!」

 解体しているとゴモクが一回吠えて森の中へまた出かけてしまった。ゴモクは姉弟の中でもすごいマイペースで凄いことをやらかす傾向があるからちょっと心配……

「あ、食べる?」

「ワン!」

 解体した肉をイチカ達が待っていたので剥いた肉をあげる、やっぱカエルの食べれるところは足がメインという感じだ。てか骨ばってて足以外あんま食べれる場所がない、ちなみにイチカ達は骨ごと砕いて食べてる。ボリボリゴリゴリと音がすごい。

「ギガマウスは鳥のような味がして結構美味しいらしいですよ」

「そうなんだ、てか去年こんなの見なかったけどなぁ……」

 セッカはカエルを捕ってきたことはなかった。やっぱ好き嫌いがあるのかな?

「カエル肉ってヒトボシさん達も食べれる?」

 疑問に思ったが前足二本で丸を作って見せてくれている、大丈夫らしい。イチカ達が結構な数狩ってきたから今日の夕食はこれになりそうだ。

「ワゥ!」

「ゴモクおかえ……り……」

 しばらくしてゴモクが帰ってきた。ギガマウスの倍ぐらいの大きさがある亀を咥えて……てかどうやって持ってきたのこれ!?

「ゴモク、これ狩ったの?」

「ワン!」

 よくよく見ると普通の亀じゃないこれ、甲羅も硬い感じがしない、全体的にブニブニしている感じだ……てか、スッポンだこれ!

「首に一撃入ってそれが致命傷になってますね」

 イルが巨大スッポンのぐったり伸びきった首を見ながらそう言った。この娘は肝が据わってるっていうかなんというか……

「あぁぁぁ!!」

 なんか遠くから大声が聞こえたと思ったらマリーがすごい勢いですっ飛んできた。

「これ、ソフトシェルザウラーじゃない!!」

 なんかすごい名前だなこの巨大スッポン。

「どうしたのこれ!?」

「ゴモクが狩ってきた、珍しいの?」

「沼地の奥深くに隠れててなかなか出てこないレアな生物よ! 初めて見た……」

 マリーの目がすごくキラキラしている。

「この大きさならしばらく持ちそうね」

「そうだね、食べるなら鍋かなぁ……」

「でさ、要らない素材研究に使いたいんだけど貰ってもいい?」

 なるほど、マリーはスッポンの素材が欲しいのね。

「いいよ、何が欲しいの?」

「爪や軟骨、後は血とか内臓もいくつか欲しいのあるわね」

「了解、じゃあ解体しながら必要な部位取り出しちゃおう」

「ワン!」

 どうやらゴモクがこれの肉を欲しがっているようだったのでとりあえず足を切り落として爪を剥ぎ、ゴモクに渡すと咥えて何処かへ運んで行った。どうやらセッカとフブキに食べさせてあげたかったようだ。

「とりあえず捌いたら分割してなるべく早く食べちゃおう、傷むの早そうだし」

「そうですね結構なレアものですし楽しみです!」

 騒いでいたからいつの間にか作業中の皆も集まってきてしまっていた。

「生き血もすごく貴重な薬だからそのまま飲めるわよ」

 俺は知っている、動画で生き血を飲んで食中毒を起こした配信者を……

「飲むなら火を通してからね、生は流石にヤバいでしょ」

「まぁそうね……でもまさかこんなレア素材が手に入るなんて、ゴモク様様ね!」

 マリーはホント嬉しそうにしていた。

「これは夜が楽しみですね、ご主人様!」

「確かにカエルもあるし豪勢にいけるね」

「いえ、ソフトシェルザウラーなんですけど強壮、精力増強効果があるんですよ」

「……」

「精力増強です!」

 二回も言われた、すごい笑顔で。

「えっと……」

「夜が楽しみですね!」

 なにモジモジしてるんだこの堕天使は! てか周りの雰囲気が何か……

「これだけの量があれば三日位は余裕でいけますね」

「……」

 ゴモクゥーーーーーー!!! なんてことをしてくれたんだぁ!!!

「楽しみですね!」

 春の始まり、頑張ることがたくさんある始まりの季節。俺は無事に一年過ごせるのだろうか……

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