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第22話

 積もっていた雪も無くなりだんだんと暖かくなってきてる気がする。採取してきたブドウの木はすでに植えなおし終わった、お酒が作れると聞いた途端皆の眼の色が変わった気がした。マリーの集めていた薬草は本格的に春になってから植えるとして場所はすでに確保したので問題なしだ。

「主様、例のエリア作ってみたのであとで見てください!」

「わかったよ」

 例のエリア、溜池の近くを大きく整地し泥のような水分を含む場所を開拓した、早い話が田んぼである。東の方にお米を作る土地があると聞いたのでそれを分けてもらおうとい根端の元先に育てる環境を用意したのだ、圧倒的人員不足という問題も継続中だが……

「アズハ、今日中に行ってみようと思うんだけどいい?」

「うん、大丈夫だよ」

 俺は他の国や土地に行く場合、絶対にアズハを連れていく。理由簡単、取引や交渉が苦手だから丸投げしてしまっているのだ。それでも嫌な顔せずに付き合ってくれるアズハはホントにいい妻である!

「じゃあ、出発!」

「田んぼも問題なかったからそのまま拡張お願いね!」

「はい、お任せください!」

「行ってきます!」

 俺はアズハを連れて東へと飛び立った。東方面は今まで行ったことなかったが、聞いた感じ文化がだいぶ違うらしい。北側、アズハパパと方は小豆が主食なのに東はお米というようにもういろいろ違うみたいだった。

「そう言えば、いろいろ違うみたいだけど言葉は平気なの?」

「あ、うん。昔神様が決めた世界共通語があって全国で同じように進化していったはずだから通じるはずだよ、ちょっとなまりとかあるみたいだけど」

「じゃあ大丈夫だね」

 神様が仕事していると言葉の壁が無いということらしい。つまり多言語祭りの地球の神は完全放置ということなのか? 仕事しろ! そうすればもうちょっと生きやすかったわ!

「タカト、こんな動き回って大丈夫なの?」

「なにが?」

「一応ドラゴンだし、少なからずいろんな国に影響出ると思うんだけど?」

「別にいいんじゃない?」

「でも、有名なドラゴンって基本的に眠ってて世界に無関心だからこそ抑止力として機能するけど影響も少ないんだよ?」

「一匹くらいアクティブなのが居てもいいでしょ、俺はそこまで枯れてないし、いろいろ楽しまなきゃもったいない!」

 俺は景気づけと言わんばかりに大声で吠えて見せた。アズハは苦笑いしてたけどまぁいいでしょ!

「あ、あそこじゃない?」

 しばらく飛んでいくと田んぼが見えてきた、まだ水は張ってないけどあの感じは田んぼで間違いないと思う。

「人集まってきちゃったよ?」

「武器構えてる人居るね」

 様子を見るために田んぼの周辺をぐるりと回っていたら村の人だろうか? 人々が一か所に集まってきてしまった、というより密集して危険に備えてるという雰囲気だ。

「ん~……」

 集団の近くに着陸すると槍や農具を構えた男たちが前に出てきた、女子供を守るためという感じだけど明らかに顔が青ざめて絶望していた。襲うつもりないんだけどなぁ……

「あの~、村長さんって居ますか?」

 俺の背中からアズハが顔を出し俺の手を伝って降りてくるのを見て村人はポカンとした顔をしてフリーズしていたがやがてハッと我に返りザワザワしだした。

「わ、わたしが村長をやらせていただいてる者でごぜぇます……」

 すごくガタガタしたおじいさんが出てきた。歳のせいか足腰が悪いのだろうか? と思ってたらいきなり土下座してきた……

「この村にある物は何でも差し出しますぅ、ですからっどうか、どうか村人のお命と村の破壊だけはご勘弁をっ……お話の分かるドラゴン様でしたらどうかっ!!」

 超ビビられてた。

「あ、あの、大丈夫です彼はヴリトラ、私の夫です。今回は皆様と取引をするために参りました」

 村人全員がすっごい顔してフリーズしていた。全員同じ顔だった。

「取引、ですか?」

「はい、私達はここで育てられている作物の種、もしくは苗を頂きたいのです」

「お米の事ですか?」

「はい!」

 アズハはまんべんの笑顔を見せて回答した。

「もちろん無理に全部とは言いません余裕のある範囲でいいので譲ってほしいのです。もちろん対価もお支払いいたします」

「商売ということですか?」

「そうです!」

 また村人がザワザワしていた。しばらくして若い男が前に出てきた。どうやら村長様はいろいろ限界になってしまったらしい、お大事に。

「私は村長の息子です、米が欲しいということですが何と交換していただけるのでしょうか?」

「あなた、お願いします」

 アズハが笑顔で合図する。俺はそれに合わせて何枚か鱗をぼりぼりと掻き落とした。

「夫の鱗と交換でいかがですか? 武器や農具に加工しても最高級、王都で売れば一攫千金の額じゃないですか?」

 村人は急に飛び出た超高級素材に文字通り眼が飛び出ていた。

「ドラゴンの素材は今回のお取引でお米が足りなくなったとしても十分買い付けできる額だと思うのですがいかがですか?」

 村人達はしばらく話し合い、村長の息子が再び代表で前に出てきた。

「確かにドラゴン様の素材は高価な物ですが、品質と言いますか種族の格差が大きいと聞きます。中には鉄より価値のない存在も居るとか……」

 つまり俺が雑魚ドラゴンかどうか確認したいということかな? ちょっと失礼な奴、食べちゃうぞ!

「人の姿になってもらっていい?」

「おっけ~」

 俺は人間モードへと目の前で変わってみせた。確かこの世界だと最上位のドラゴンしか変身できないんだよね?

「これでいい? 文句はあるかい?」

 村長の息子はすごい勢いで首を振っている、もげちゃいそう。

「ついでだ」

 俺は近くに居た男から槍を奪い鉄製の刃の部分を握りつぶして見せた。

「他に証明はいる?」

「し、失礼いたしましたっ!!」

 村人はまた全員で土下座してみせた。

「では夫の鱗と交換してもいいということでよろしいですか?」

「はい! ちなみにお米は普通に炊いて食べるものと蒸して潰すと粘り気の出るものの二種類あるのですがどちらがお望みで?」

 まさかの収穫、もち米発見!! これはどっちも欲しい!!

「どうします?」

「両方貰っても構わないか?」

「はい! もちろんでございます!!」

 そしてしばらく待っていると蔵から米俵が八つほど出てきた。

「二種類を俵四つずつでいかがでしょうか? 土に水を張って土壌を作れば育つと思います!!」

「これでいい?」

「いいよ」

「では、鱗とこちらの穀物で交渉成立ということで」

「あ、あともしよろしければこちらもどうぞ」

 そういうと紫色の物体がいっぱいに入った籠が三つほど出てきた。これは間違いない、サツマイモだ! 焼き芋食べたくなってきた!!

「いいのですか?」

「はい、今年は豊作で大量に収穫できましたしどうぞお収めくださいませ!」

「お代はこれだけで足りますか?」

 さっき剥がした鱗を積んでアズハが確認する。

「十分でございます!!」

「そうそう来ることは無いと思いますがまた何かありましたら是非御贔屓に」

 アズハが笑顔で微笑むと村人は土下座して答えていた。

「じゃあ帰ろうか」

「うん」

 再びドラゴンモードになりもらった米俵とサツマイモを籠に突っ込んでアズハを背中に乗せる。

「では世話になった。騒がせて悪かったな」

「とんでもございません! ヴリトラ様のまたのご来訪、お待ちしておりますっ!!」

 俺はそのまま飛び立ち家へと帰る、一日で住んでよかった。後から聞いたのだが俺の鱗は常識的に考えると数枚であの程度の村なら丸ごと買い取れる価値があったらしい。ほっといたら勝手に剥がれ落ちる物がそんな価値とは、いろいろ感覚がバグってしまう……

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ヴリトラってのは神龍相当でしょう?鱗一枚で最強装備になるんじゃないのかな、二枚以上出したら取引として不成立な気がする。
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