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第13話

 冬も中頃だろうか? 雪が降りだして家の中で過ごすことが多くなった。個々の家に居る場合もあるが広めに建築した仮宿の広場、ちょっとした宴会場で雑談したり屋内で出来る作業をしている。ちなみに、最近はトマトをペースト状にしたソースを使ったミネストローネのようなスープが流行っている。個人的にはちょっと薄味だが美味しい問題ない。

「干し柿、美味しい」

 ナナホシさんと収穫した渋柿は全て干し柿に加工した。結構な量だったのだが皆すごい勢いで消費していき、春が来る前に無くなってしまいそうだ。ちなみに、エルフは肉を食べない、コボルトとアラクネは肉を食べるというイメージがあったがそんなことはなく。皆、好き嫌いはあるが野菜でも肉でも何でも問題なく食べれるとのことだった。

「コボルト達は大丈夫そう?」

「はい! 干し肉と木炭たくさんいただきましたし問題なしです、地下坑道の方も順調に拡張しています」

 コボルト達の坑道に入ると入り口付近に居住スペースが出来上がっていて、そこで暮らしている。そこで交代して休みながら坑道の拡張と使える鉱物を採取してくれている。この土地は地下に大きな手つかずだった鉱脈が眠っているらしく、それなりの量が期待できるとのことだった。ちなみに、ファウの方は寒いかなと思い藁を居住スペースに敷いてあげたらほぼ冬眠状態で潜っている。

「干し肉とかはイル達が作ってくれてたし好きに使ってて大丈夫だよ」

「ありがとうございます!」

 氷魔法で作った冷蔵庫のお陰で食べ物の長期保存ができている上、皆が皆今までの生活で得た保存技術を生かしていろいろ作ってくれているのだ。まだまだ冬は続くが順調であり、一年目の越冬にしてはできすぎてるくらいだと思う。

「ワン! ワオーン!!」

 仮宿でのんびりしているとセッカの鳴き声が聞こえる。セッカ達は冬場でもここの警備や狩りに周辺を走り回ってくれている、そして何かあるとこうやって知らせてくれるのだ。

「なんかあったみたいだよ?」

「ちょっと見てくるよ」

 めんどくさい事じゃなければいいなぁと思いつつ外に出る。流石セッカはいる場所を把握しているらしく扉の前でお座りして出てくるのを待っていた。

「お待たせ、セッカどうしたの?」

 セッカは俺が出てきたのを確認するとこっちきて! と何処かへ連れて行こうとしている。そっちは丁度土地の入り口みたいになっている森に続く道だったかな?

「イチカ、ニコ、ミミ、シローもどうしたの?」

 入り口付近に行くとイチカ達も集まり唸り声をあげながら警戒している。セッカがワン! と吠えて入り口の先、森の方を睨みつけている。雪も強くなってきているのになんだと思っていたら、この警戒している感じ何かが近づいてきてるようだ。だが敵意はないらしい、敵意があったのなら恐らくセッカ達によってすで攻撃が開始され、早ければすでに仕留めて褒めてモードで待機しているはずだからだ。

「まだ待ってね、待てね~」

 次第にザク、ザク、と雪を踏み分ける足音と何かの影が近づいてくる。近くなればなるほどセッカ達の威嚇が次第に強くなっていく。

「人?」

 近づいてくるそれはどうやら一人の人間のようだ。連れは誰も居ないし物凄い荷物を背負って杖のような物をついている、そうとう疲弊しているのか今にも倒れそうな感じだ。

「君は誰だい?」

 目の前までやってきて足が止まった。イチカ達が臨戦態勢で取り囲む。

「タカト~大丈夫?」

 心配したのかアズハとセナ達もやってきた。

「外れの森の奥深く、人を娶った黒い魔竜が住まう。そこにはエルフ達が住まい、黒き竜に認められれば安全な生活が保障される土地がある……」

 女性の声だろうか? 何かを話し出した。

「人の女性にエルフ達……私は、たどり、ついたっ……」

「え? ちょっ!?」

 女性はそう呟くとその場で崩れるように倒れてしまった。

「え、ちょっと!? 生きてる?」

 女性から荷物を降ろして揺さぶってみるが反応が無い。

「セナ、アズハ、何か暖める物とか用意して。仮宿に運ぼう」

「わかった!」

 アズハたちは急いで戻り準備を始めてくれた。

「セッカ、この娘の荷物とか運んでもらってもいい?」

「ワン!」

 俺は彼女を抱きかかえ、仮宿へと急いだ。抱き上げて気づいたが明らかに体温が低いし顔色も悪い、そうとう消耗しているようだった。なんで真冬の雪の中一人で無茶してこんな辺境まできたのかわからないが、このまま死なれては寝覚めが悪すぎる。とにかく急いで助けよう!

「主様、準備できてます!」

 仮宿に入ると暖炉の前に布団が敷かれ、着替えが準備されていた。彼女は冷たさで気づかなかったが、雪のせいで衣服が湿っていたのだ。俺はアズハたちに彼女を任せて一回外に出た。

「セッカ、ありがと!」

 荷物を持ってきていたセッカを撫でまわしていると、杖を持ったイチカ、ニコ、ミミ、シローと並んで撫でられるのを待っていたので順番に撫でて五匹と触れ合っている。

「タカト、もう大丈夫だよ」

「ありがと! セッカ達も休んでいいよ」

 セッカ達はフブキも待っているし自分の家へと戻って行った。ちなみにゴモクだがどこに居るかというと仮宿の暖炉前で寝ていた。ホントちゃっかりしている子だ……

「大丈夫そう?」

 俺は荷物をまとめて部屋に入り状況を確認する。

「酷く消耗してますけど、暖かくして寝て、このまま体力が回復すれば元気になると思います。見た感じ最初のうちは魔法で防寒と体力の消耗を押さえてたみたいなんですけど魔力が尽きて衰弱しつつもここまで歩いて来たって感じですね」

「なんでこんな場所まできたんだかね」

 彼女の荷物を置いて寝ている彼女見る。もうぐっすりで当分目を覚ます気配はなかった。

「本やスクロールばっかですね」

 荷物を見ていたアルがそう呟いた、詳しく調べるのは彼女に悪いのでざっと見た感じだが本や巻物、スクロール系が大量に入ってて食料などは最低限と冒険者にしては無謀な荷物だった。

「とりあえず、この娘が目覚めてからだね」

 よくよく見ると彼女は紫色の髪を肩まで伸ばした可愛い系の娘だった、特徴的なのは尖った耳だろうか? でもセナ達に比べると短い気がする。

「この娘ってエルフ?」

「いえ、ちょっと違います。たぶん、ハーフエルフだと思います」

「人とエルフのってこと?」

「だと思います」

「ハーフエルフって大丈夫なの? その、差別とかいろいろ……」

 ここに居るエルフ達は皆人狩りや奴隷として売られようとしていた娘達だ。ハーフエルフとなると扱いもあまりよくない気がする。

「そうとう苦労すると思います。人族の国は私達亜人種を奴隷として扱うことが多いですし、亜人国家でも人とハーフだと混ざりものって呼ばれてあまりいい顔されないですね」

 ちなみに、亜人種でも部族や種族で敵対など仲が悪く上手くいかない、差別が発生することが多くいろいろ難しいらしい。

「身なりからして魔導士だと思うんですけど、詳しくは本人に聞かないとわからないですね」

「とりあえず無事そうでよかったよ」

 俺は寝てるゴモクの頭を撫でながら、彼女が回復して目を覚ますのを待つことにしたのだった。

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