第12話
「さっむい!!」
藁ロールを貰って帰ってきてから一カ月くらいだろうか? 森の木は葉を落とし草は枯れ落ちた。ついに冬が到来した。俺達はと言うとどうにか越冬準備はなんとか間に合い、住居なども少々変わった。まずは洞窟倉庫を拡張、ジャガイモや穀物類を保存する場所に変更し、更に洞窟倉庫をもう一か所増設、こちらは魔法で全体を凍結し冷却して肉やトマトなど傷みやすい物を入れた冷蔵庫となる。
「布団戻ろうかな……」
クーネリア達にお願いして布団やベッド用の大きな布袋を作ってもらいそれに藁を敷き詰め作った物は暖かくて超重宝しているし馬小屋やセッカ達の部屋にも藁を敷き詰めて寒さ対策をしてあげた。そしてちょっと意外だったこと、思い付きと見様見真似で作った小豆を入れた枕が流行し皆使いだした。気持ちよく安眠できるらしい。
「ドラゴン様、おはようございます!」
「皆、おはよ」
エルフ達も完全にここの暮らしに慣れたらしく自主的にいろいろ作ったりしてくれている。今は木を削りお皿やコップなど日用品を作成しているらしい。
「タカト~そろそろご飯できるよ~!」
石の鍋をかき混ぜていたアズハが手を振っている。家を建てているエリアの中央に丸太を積み上げキャンプファイヤーのようなものを作ってみた、寒さ対策もあるが集まって皆で食事をするときなどに使っている。
「主様、おはようございます!」
アル達も起きてきた。ちなみにクーネリアは寒いと暖炉のある作業場に引きこもり半冬眠状態で蜘蛛さんズは完全に冬眠、コボルト達はいつも通り採掘作業、ファウはキノコルームから出てこない。たまに水を欲しがるのでアクアブレスを霧状に散布してあげる感じでのんびり過ごしている。
「ワン!」
セッカ達は寒いのか少し籠り気味で少しペースは落ちているが平常通り狩りに行ったりしてくれている。ちなみに、もしかして遊ぶかなと思い木製のフリスビーやボールも作ってみた。すると何というか大好評でセッカ一家が道具を持って遊んでほしいとやってくるようになった。特にイチカ、ニナ、ミミが気に入っているようだし、エルフ達にアズハや俺など暇そうな人を見つけてやってくるあたりはホントお利口だと思う。ちなみに、遊んで居るとたまに本能なのかアル達三姉妹が一緒になってフリスビーキャッチしている姿が目撃されている。
「食料的には大丈夫そう?」
「全然平気、まだまだ余裕あるよ」
「我々は砂糖の抽出と油の抽出をやってみようと思います」
「俺も手伝うよ!」
「ありがとうございます、ですが主様は夜のために体力を温存していただければと」
「……」
今日の予定などを話しながら食事をしていて俺は笑顔のままフリーズした。エルフ達が作っていた用途不明の新しい家の使い方、と言うか建築した意味が最近判明した。俺専用の寝室らしい、ベッドがやけにデカい以外は普通の部屋だったのだが問題はそこじゃない、毎晩毎晩ここに住んでいる女性達が順番にやってくるのだ。
「確かにやり方は教えたけど……」
最初はアズハが居るからと断ったのだが、当の本人からここの長なら全員を背負うくらいの甲斐性見せてくださいと笑顔で言われてしまった。なんでも自分が本妻で一番としっかり格付けを行ってもらえれば皆の願いを叶えて欲しいとのことだった。その結果、希望者のみということにしたら女性陣全員が順番を決めてローテーションでやってくるようになってしまった……この夢のようなハーレム状態、願わない男はいないと思うが人数が増える度になにか責任が重くのしかかってくる気がしている。ドラゴン化して体力や肉体的には大幅に向上しており問題無いが皆すごく元気です。ちなみにアズハが言うには最初住人から相談を受け、自分一人じゃ体力が足りないのでむしろ推奨したらしい。ちょっと申し訳なかった。
「大丈夫です、お任せください!」
やる気満々なので任せることにしよう。でも、そうなると俺のやることが一気に無くなってしまう、冬場になり畑も休ませているし狩りはセッカ達がやってくれる、魚も冬眠中で動かないからできることがマジで無いのだ。どうするかなぁ……
「デップ、コルト餌だよ~」
結局見つけたやること、連れてきた馬二頭のお世話だ。最初はドラゴンの俺にビビりまくって全然近づいてすらくれなかったが最近ようやく慣れてくれた。この感じだと今後畜産する場合誰かにお願いしなきゃいけなくなりそうだ。ちなみに狩りは感知されない範囲で補足して一気に突撃して仕留めるスタイルでやっている。普通にやろうとするとこれまたビビって獣が出てきてくれないのだ、強すぎるのも問題だなと感じている。
「さむさむ……」
馬達と戯れた後、自室に戻り布団に潜り込む。やらなきゃいけないことも特にないし何より寒い! 全ての家にアル達のお陰で石材も十分あったので暖炉も作成、木炭もたくさん作ってくれているのでいい感じに暖かい。夜は別の意味で暖かいし問題はあるけど問題なかった。
「サバイバル系の動画見漁っとくかなぁ、でも推しのアーカイブも見たい……」
特典で貰った脳内動画再生を駆使して今のうちに知識を蓄える。アニメやラノベだと簡単に作っているがケチャップやマヨネーズ、その他もろもろの加工品だが科学物質や菌などいろいろ必要な物が多く材料が足りなくあのクオリティの味と品質は再現できない。マジであの人達どうやって作ってるのよ……
「そもそも存在してる物質に違いがある、味も違うし再現は無理かなぁ……」
今セナ達が加工してくれているアブラナやサトウキビも向こうの世界と似たような形だったからそう言ってるだけで正式名称が別にあるらしい。皆そんなの気にしないから俺に合わせて呼んでくれているだけだ。
「料理のさしすせそだったけ? あれは集めたいなぁ」
大事な調味料、現在塩と砂糖はどうにかなりそうだが他がまだ無理だ。大豆があるから醤油と味噌は作り方を調べればどうにかできそう、酢に関してはお米が必要らしいからどうにかして入手しなければいけない。てかお米あるのかな? この辺では小豆を蒸して食べてるらしいし遠出しなければダメなのは確実だしどうしたものか。
「なんか、地球人の頃よりいい生活してないかこれ」
布団にくるまり動画三昧、これでポップコーンとコーラがあれば言うことなしの状態だ。
「……」
なんか働いてる皆に申し訳ない、罪悪感を感じた。
「ワン~」
布団でぬくぬくしているとお客さんが来た。ゴモクだ、この子はすごくちゃっかりしていて今回も俺が布団で暖まってるのに気づき入ってきた。ちなみにちゃんとドアの開け閉めができる。部屋に入るとそのまま俺が寝てる布団に潜り込んで一緒に寝るのだ、基本的にゴモクはおっとりしている性格らしくこんな感じで生活している。ちなみに基本的にはアズハか俺の傍に居る、他の者の近くには行かないので何か理由があるのかもしれない……ちゃっかりしてるだけかもしれない。
「あったけ~」
セッカ達は体温が高い、お陰でこういう時は湯たんぽみたいになってすごく暖かいのだ。てか温泉も欲しい……
「タカト~いる?」
アズハが部屋に入るとそこには気持ちよさそうにゴモクを抱きしめて寝ているタカトの姿があった。
「アズハさん、主居ました?」
セナが来るとアズハは指を口に持っていきシーとジェスチャーして二人で笑っていた。
「なんかかわいいですね」
「ね!」
「用事あったなら起こす?」
「いえ、ちょっとお願いしたい魔法があったのですが起こすのもかわいそうな感じが」
はははと頭を掻きながらセナは笑っていた。
「私にできそうなら手伝うよ?」
「あ、じゃあお願いしてもいいですか?」
「任せて!」
二人は部屋を後にして作業場へと向かっていった。まだ冬は始まったばかり、皆で乗り切り春を迎えるのだ。




