第11話
「ぬしさま! 黒鱗粉すごいの! キノコみんな元気元気!」
ここに来て数日、ファウはすっかり気に入ったらしくキノコ育成用に原木を増やしてほしいとお願いされ、キノコルームが拡張された。特に地面にも撒いてあるが原木にも撒くとすごくよく育つと黒鱗粉をとても気に入ってくれているようだった。
「大きくなってきてるし順調だね、このまま頑張って!」
「おまかせです!」
今日気づいたがファウの足が地面と一体化して歩くというより根で這うという感じになっていた。そして坑道もとても広くなっていた、これは鉱物輸送のための何かが必要かもしれない。ちなみに、アル達三姉妹以外のコボルト達は基本的にこの坑道から出てこない、食事などもアル達が運んで行き全て坑道ですまし採掘をし続けているのだ。このまま採掘を続けていけば鉱物の他に宝石など様々な石材も出てくるとのことで期待して待つことにした。
「ヴリトラ様!」
外に出るとリリが木炭の作成を始めていた。この工房では主に彼女が木炭をウルが採取できた銅や鉄を加工、まだ質が安定しないし武器などは加工技術が無いため簡単な物しか作れないとのことだったので釘の量産をお願いした。これのお陰で家もだいぶグレードアップして数も増えてきた。
「リリ、順調?」
「まだ試行錯誤ですが、冬までにはどうにかできそうです!」
「がんばって! 期待してるよ!」
「はい!」
エルフ達皆言えるのだがすごく美人だ。幼い雰囲気からお姉さんっぽい雰囲気の美人まで揃っていてドキドキしてしまう。ちなみに、他のエルフ達はリサ達三姉妹の家と新しい住民やお客さんが来た時のことを考えて貸し出し用の家、仮宿の建築をお願いして蜘蛛さんズと協力して現在作業中である。
「ワン!」
どうやらセッカ達が肉を取ってきたようだ、最近は蜘蛛さんズの一匹がアズハのお手伝いをして解体をしている。セッカ一家も最近体制が変わってきている、シローとニコはセッカについて一緒に狩りに行くように、イチカとミミは土地の警備に走り回りフブキは基本的に家の周辺で何かあった時の為に備えているようだ。そしてゴモクはアズハの近くでのんびりしているが基本的に離れない、警護してくれているみたいだ……あれ? 解体で出た内臓を貰って食べてる、もしかしてあれが目的なのか?
「秋だなぁ」
周囲を見ると木の葉の色が赤みがかりまさに秋という雰囲気であり作物の収穫も進んでいる。あとクーネリアは作業場にこもり冬用の服を作ってくれている。
「これ食べれると思う?」
前に植えた柿の木が実を大量につけたので一つ取って近くに居たナナホシさんに聞いてみると、しばらく臭いを嗅いでるのか触覚と足で調べるとこっちを向き足で大きくバツを作ってみせた。ダメらしい。
「渋柿か……」
ナナホシさんは頷いて見せる。ここまで意思疎通ができるともう立派な仲間である。てか干し柿の作り方を調べなければ、皮を剥いてお湯に通して吊るして干すんだったかな?
「加工すれば食べれるし収穫しちゃおっか、ナナホシさん手伝って」
ナナホシさんは木に登り柿の実を取ってくれるようだ。
「あ、ナナホシさん! 実の付いてる枝ごとお願い、干す時に使うから!」
そういうとナナホシさんは器用に枝を切り実を落としてくれる、それを俺が作ってもらった蜘蛛糸ネットで受け止め一定数溜まったら束ねて別のネットを広げると繰り返しどんどん収穫していった。
「来年もたくさん実を付けてもらうために少し残しておこうか」
ナナホシさんは木から降りてきて柿がいっぱいになったネットを運ぶのも手伝ってくれた。蜘蛛さんズは見かけによらずパワーがあり結構な力仕事もこなしてくれている、ホント優秀だ。
「さてと、今日も少しやりますかね」
次にやることは土地の拡張兼木材採取、要するに木を引っこ抜いて雑草を燃やすいつものドラゴンパワーゴリ押し作業である。ここの生活を始めて思っていたがホントドラゴンって農業でもやったほうがいいんじゃないかというくらい相性がいい気がする。トラクターより優秀な自信がある!
「あっそうだ!」
俺は完全に忘れていた大事なことを思い出した。
「アズハ、悪いんだけどちょっと付き合ってね」
「任せて!」
翌日、俺はアズハを連れてお父さんの領地に向かった。ちなみにバンダール公爵領と言うらしい。
「ヴリトラ様! アズハお嬢様、今日はどうかいたしましたか?」
到着すると早速領民が集まってきた。
「ちょっとお願いごとがあるんですけどいいですか?」
「守護龍様とお嬢様のお願いなら何でも応えますぜ!」
なんかすごく信頼されている気がする。
「お願いと言うのは干し草を分けて欲しいのです」
忘れていた大事な事、クーネリアと蜘蛛さんズのお陰で布ができた。おかげで様々な物が作れたのだが、冬が来るつまり寒い、なのにあったかい布団が無かった。つまり布団を作り干し草を入れたふかふかあったかベッドが作りたかったのだ!
「それでしたら今年の収穫分がたくさんありますので好きなだけ持っていってください!」
帝国に無理矢理働かされ、増産させられていた食料が全部自分達の物になりしかも領地もヴリトラの庇護下となったおかげで税の徴収も無しと今年は余裕があるらしく小豆を新しくしかも結構な量頂いた、ここら辺ではお米の代わりに小豆を水で煮て食べているとのことらしい。
「小豆はいろいろ使えるから嬉しいね」
正直、保存のきく小麦や大豆はあるだろうと踏んでいたが小豆がメインだとは思わなかった。嬉しい誤算かもしれない!
「そうなの?」
「後で教えてあげる」
「うん!」
「あの~ヴリトラ様、申し訳ないのですが……」
「何か願いでも?」
聞いたら俺が殺した帝国兵の装備や物資を奪った後死体の扱いに困ってまだ山積みで放置しているからどうにかできないか? とのことだった、何というか人間って逞しいというか残酷というか……
「ファイヤーブレス!」
小豆もたくさんもらってしまった手前断れない。しょうがないので死体を全て焼き払い灰にした、ここまですれば勝手にどうにかできるだろう。ちょっと気になったのが首のない死体がちらほらあったことだ、後でアズハと話したところ恐らく他国に懸賞金が掛けられてた豪傑などが混ざっていて、それを売ったのではないかとのことだ。人間ってマジ残酷! てかちゃっかりしてるなこいつら!!
「それじゃあありがたく貰っていく」
「皆さんもお体にお気をつけてくださいね!」
「ヴリトラ様、お嬢様、またいつでもお越しくださいませ、歓迎いたします」
そういうと領民達は頭をさげて見送ってくれた。結果的に大きな藁ロール三つに小豆のいっぱい入った樽四つを貰ってしまった、納税に比べたら痛くも何んとないから持って行ってくれとのことなのでありがたくいただいた。
「アズハの領地、逞しいね」
「皆元気そうでよかった!」
「俺らも冬を越えれるよう頑張らなきゃね」
「そうだね」
首元に抱き着いてくるアズハに愛しさを感じながら俺達は家へと帰って行った。




