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第102話

 俺はルーフェからの知らせを受けて彼女とレフィ、シラユキに乗ったイリオを連れて飛び立った。雰囲気的にすぐにでも対応しなければいけないような気がしたから飛行可能で博識なメンバーを集めてすぐに出発した。

「で、黒嵐って?」

「昔からこの大陸で不定期に発生する災害で、特徴として発生すると黒い魔力を渦のように纏っていることから黒嵐と呼ばれるようになったと聞きます。その光景はまさに黒い風が吹き荒れ町を滅ぼす災害だったとか」

「それが今発生したと?」

「はい、しかも西から真っ直ぐに終焉の森目掛けて直進しています」

 ということは放置するとアリッサの故郷を潰して家に直撃する可能性があるってことね……これはさっさと吹き飛ばさないとまずいことになる。

「なんでこう厄介事って勝手に近づいてくるのかねぇ」

「力持つ者の宿命ですかね。良くも悪くも力に振り回されるものです」

「でも今回のは天災でしょ? 自然現象まで敵対するとか勘弁して欲しいよまったく……」

 しばらく飛んでいき、森を囲む山脈を超えたあたりから空気が変わるのを感じた。今まで出かける時にはこんな感覚感じたことは無かった、雲行きも怪しい。というより暗雲が立ち込め、雨が降り風が吹き荒れて完全に嵐という感じだった。

「皆平気?」

「シラユキちゃんが風の結界を張ってくれているので私達は大丈夫です」

「ならシラユキから離れないように、俺は問題ない先を急ぐよ」

 嵐の中俺達は更に突き進んでいく。既に黒嵐って雰囲気は出てきている気はするが、この位なら地球でもあったと思うし言うほどの被害は出ないと思う。つまりもっとひどいエリア、中心があるということだ。

「過去にあった被害によると確かに村や町が滅んでいるんですけど不思議なことがあるんです」

「不思議なこと?」

「はい、村や町一か所を滅ぼしたらしばらくその場所に居座って消滅するのです。確実に一つの町や村を消し去るのですがそれ以上の被害が起きないのです」

「なにそれ、まるでそこを攻撃するために現れてるみたいじゃん」

「そうなんです、天災と言われていますが、その動きはまさに戦略魔法という感じなんですよね」

 え、それって俺を消すために黒嵐を使ったってこと? 誰だよまったく……心当たりが複数あって逆に思い浮かばない……

「ご主人様見えてきましたよ。恐らくアレが中心地だと思います」

 ルーフェの声に正面を見るとそこには黒い竜巻? 暴風のような物に包まれた真っ黒な触るな危険という雰囲気の物体がゆっくりとしかし確実に前進していた。

「なにあれ……」

「風の結界ですかね?」

「あの中にこの現象を生み出してる元凶が居るとは思いますけど、とてもじゃないけど近づけないですね」

「あれぇ? なんか居ますよ?」

 レフィが指差す方を見ると何かが例の黒い風の塊に正面からぶつかっては吹き飛ばされてを繰り返していた。人間だろか?

「アーデっ! 正気に戻ってくれ!! 頼むっ!!」

 黒い風に斬りかかりながら叫ぶ青年の声が聞こえてきた。あの風の中に誰かいるのだろうか?

「とりあえず、こっちも見物してるわけにもいかない。イリオあの子の事任せてもいい?」

「はい、お任せを!」

「ルーフェとレフィは何かあった時の補助を」

「はい!」

「は~い」

「主様は?」

「情報がないなら調べるしかないでしょ!」

 俺は黒い風の塊の正面に着陸する。すると同時に青年が暴風に吹き飛ばされた。

「うあぁ!?」

 それを空中でシラユキがキャッチして上空へと退避した。青年は何が何だか理解できてないみたいだがそこらへんはイリオ達に任せよう。

「目には目を風には風をってね!」

 俺は魔力を口元に集中圧縮していく。挨拶代わりの一発にしては強すぎるかもしれないが一撃で吹き飛ばすつもりでやらせてもらう!

「バスターストリーム!!」

 俺は風の圧縮弾を黒い風の塊目掛けて撃ち放つ。それは風の壁に命中し一部をえぐり取ったがすぐに風の壁は再生してしまった。いや、塊が小さくなっている。

「削り飛ばせば最終的には消えるのね、了解」

 俺は翼を広げ魔力を集めていく、バスターストリーム一発じゃ削り切れなかった。ならば同等以上の広範囲攻撃をぶつければ吹き飛ぶはず。

「ウィンディペンタストリーム!!」

 俺は口と翼に集めた合計五つの圧縮した魔力核を解き放つ。早い話がバスターストリームを五連射したのだ。この威力には黒嵐も耐え切れなかったようで風の壁は完全に吹き飛んだようだった。

「さぁ中心とご対面だ!」

 爆風が流れ、あの風の中に居た奴が姿を現した。

「女の子?」

 そこに立っていたのは女の子だった。もちろん普通の状態じゃないのは一目でわかる、目には精気が感じられないしその体格で持つには相応しくない黒く禍々しい片刃の大剣、太刀と言った方がいいかもしれない。

「アーデェェェェ!!」

 上空でシラユキに掴まれている青年がもがいている。この娘に用事があるようだ。

「ご主人様! 離れてっ!!」

 ルーフェの声に正面に視線を戻す、次の瞬間女の子が剣を構え俺に向かって飛び込んできたのだった。

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