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皆の注目が集まるなか、アムロ公爵令嬢が倒れると他の令嬢達も次々と同じように倒れていく。


バッタン…。

バッタン…。

そしてバッタン…。


規則正しいその倒れ方はあまりにも不自然だった。

さっきまで元気だったのにいきなり倒れるなんて、それも一人ではなく四人もだ。


 食中毒かそれともあれなの…?


食中毒を疑ったけれども、それならばこの舞踏会で一番食べていた私が最初に倒れるはずだろう。

だから食中毒の線は薄い。



それならば残るは…あれしかない。



キョロキョロと周りを見るがそれらしい人物を見つけることができない。

そうしているといつの間にか隣には王子が戻ってきていた。


「リリィ、大変だったみたいだね。

すまない、一人にして」


大変でもなかった。お気の毒な令嬢達とちょっと話していただけだから。


「大丈夫ですわ。それよりも探すのを手伝ってくれませんか。近くにいるとは思うんですけれど、なかなか見つからなくて…」


このチャンスを逃したらもう会うことはないかもしれないと思うと焦ってしまう。


「いいけど、何を探しているんだ?」

「亀の甲羅を背負っている人ですわ。たぶん…かなりのお年寄りかと」

「………」


令嬢達が不思議な倒れ方をしたのは、絶対に波動によるものだ。手を触れずに倒すなんてそれしか考えられない。それならばこの広間にはまだその遣い手がいるはず。


「……亀の甲羅を背負っている人物はここにいない。きっとどこにもいない」

「でも、それでは令嬢達が倒れた原因が、」


私は言い終わる前にスナイル王子が話を遮る。


「あれは一種の自己防衛で、まあ貴族令嬢達の得意技だな」


…知らなかった。私もまだまだ学ばなければいけないことがたくさんあるようだ。


「お恥ずかしいことですが知りませんでしたわ。今度義母か義姉達に教わっておきますね。あと、かめ…ではなくて、疲れたようなので少しだけ休んできていいですか?」


「教わらなくていいから。

リリィには使う機会など訪れないと思う。

…それと休むついでに亀の甲羅を背負った人物を探すのも禁止だからな。…絶対にいないから、断言する」


なんで分かったのだろう。

抜け出してこっそりと探そうと考えていたことが。



 これって以心伝心…。

 言葉にしなくても目と目で通じ合うなんて。


優しく見つめてくる王子に言うべき言葉は一つだけ。

精一杯心を込めて言葉を紡ぐ。


「分かりましたわ。今回は諦めます」

「今回も…」


あの人物に会いたい気持ちよりもスナイル王子との時間を大切にしたい。

だってこんなにも通じ合っているのだから、今のこの雰囲気を二人で堪能したい。


時間はいくらだってあるから…。

捜索はまたの機会にしよう。



『まあリリィらしいな』とスナイル様は苦笑いしながら私の手を取り庭園へと歩いていく。少し離れて護衛のためガードナー様がついて来ているけれども、他には誰もいない。


辿り着いたその場所は二人が初めて会ったあの思い出の場所だった。




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