第三章 決戦の地ダレム帝国編 登場人物・用語解説
ダレム帝国での戦いにおける登場人物たちの紹介です。また、用語や戦闘の経緯についてもまとめています。本編をより深くお楽しみいただける材料として、ご一読いただけると幸いです。
【登場人物-シルメア-】
天城ナガト
ウルガルナ遠征軍を直属の部隊として率い、ランディア大平原の戦いに臨む。自身の采配で本陣に迫る魔獣兵や巨大人造兵を退け、勝利を決定付けた。リリアスとともに魔道塔イクリペル最上階にてメルフェトと対決し、因縁の決着を着けた。
リリアス
シルメア軍の総指揮官としてランディア大平原の戦いに臨む。その後はナガトともに魔道塔イクリペル最上階にてメルフェトと対峙。自らの手でメルフェトを無力化し、戦争終結へと導いた。
アルジュラ
ランディア大平原の戦いにて敵陣の隙を見つけ、多数の帝国兵を討ち取る。さらに魔鉱人造兵の突進を利用し、メルフェト本陣へ肉薄した。魔道塔イクリペル制圧戦では武器を剣に持ち替え、魔獣兵を切り伏せた。
イゼル
狼騎兵を率いてランディア大平原の戦いに参戦。魔獣兵の投入に一時撤退するも、隙を見せたオルトルを逆に捕縛する戦果をあげる。魔道塔イクリペル制圧戦ではケイレスとともに突入部隊を指揮し、アルフォン、オルトルの猛攻を退けた。
ジルヴァ
餓狼兵を率いてランディア大平原の戦いに参戦。序盤は攻勢に出るが、魔獣兵の本陣襲撃を食い止めるために帰還。強力な魔獣兵を肉弾戦で撃破している。魔道塔イクリペル制圧戦においてもオルトルの繰り出した魔獣兵と対峙し、これを打ち破った。
オルグ
ドワーフ兵を束ね、天城ナガトの指揮下でランディア大平原の戦いに参戦。人造兵を撃破するために考案された大槌部隊とともに戦場を巡り、多数の人造兵を沈黙させた。魔道塔イクリペル制圧戦でもアルフォンの執念で繰り出した人造兵を破壊した。
ヴィラ
エルフ兵を束ね、天城ナガトの指揮下でランディア大平原の戦いに参戦。従来シルメア軍が苦手としていた遠距離戦を一手に担当し、弓矢や魔法の攻防の中核を担った。巨大人造兵撃破に貢献したほか、イクリペル制圧戦でも多彩な魔法で突入隊を援護した。
【登場人物-ダレム帝国-】
バルディア
メルフェトが帝国軍全軍を掌握することを阻止するべく、ギークスとともにメルフェトと対立する。要塞都市イリューガルの戦いでは、弓矢の応酬や騎兵の運用で兵の練度の差を見せつけた。ランディア大平原の戦いではシルメア軍とともにメルフェト軍と対峙するも、後から到着したセスメント軍に対応するために軍を反転。以降はセスメント軍と戦闘を繰り広げ、彼の軍とメルフェト軍の合流を阻止した。
ケイレス
要塞都市イリューガルの戦いでは騎兵隊を率いてメルフェト軍を翻弄し、さらに投入された人造兵の半数を罠にかけて殲滅する戦果を上げる。ランディア大平原の戦いではジェノンとともに騎兵隊を率いてメルフェト軍へ突入する隙をうかがい、アルジュラの攻勢に呼応して本陣に迫った。魔道塔イクリペル制圧戦では突入隊を指揮し、アルフォン、オルトルの攻撃を防ぎ切った。
ジェノン
要塞都市イリューガルの戦いではケイレスとともに騎兵隊を率いてメルフェト軍を翻弄した。ランディア大平原の戦いでは騎兵隊を指揮し、メルフェト本陣に迫った。魔道塔イクリペル制圧戦では天城ナガト、リリアスとともに最上階に籠るメルフェトを追い詰めた。
ギークス
バルディアとともにメルフェトの目的を阻止するべく参戦。自身の本拠地ボルニアに籠り、戦力の片腕であるセスメント軍と対峙した。セスメント軍がメルフェトの命で帝都ベルザに後退する動きをみせると、反転攻勢に出てこれを阻止した。
メルフェト
帝国議会にて皇帝リオルドと軍団長セスメントを懐柔することにより、帝国軍全軍を統括する立場を手に入れる。自身の立場を盤石にするべく、残った軍団長バルディアとギークスを征伐しようと試みたが、シルメア軍の介入により逆に自らが窮地となる。高位雷魔法にてランディア大平原の全てを破壊しようと画策するも、落雷のほとんどが魔鉱人造兵に吸収されたため、シルメア軍に損害を与えられずに終わる。魔道塔イクリペル最上階にて最後の抵抗を試みたが、ナガトらとの交戦に敗れ、その野望は叶わなかった。
アルフォン
要塞都市イリューガルの戦いではケイレスの策略で半数の人造兵を失い、さらにランディア大平原の戦いでは、自ら巨大人造兵を駆ってシルメア軍に突貫するも、ヴィラたちの炎魔法と風魔法の連携により敗れる。巨大人造兵内部で死亡したと思われていたが、最後の力を振り絞ってイクリペル大聖堂に駆け付け、命尽きるまで突入部隊と対峙し続けた。
オルトル
ランディア大平原の戦いにて魔道兵器である魔獣兵を投入。狼騎兵を撃退し、ジルヴァら餓狼兵をも圧倒して本陣に迫るも、本人の隙を突かれてイゼルに捕縛される。イクリペル内部では未調整であった魔獣兵を解放して突入隊を追い詰めたが、自身が濃密な魔力の餌となっていることに気付かず、制御を失った魔獣兵に噛み砕かれて死亡した。
リオルド
ダレム帝国皇帝。以前は聡明な王であったが、メルフェトとの関わりを持つ中で、次第に人格が変わっていったという。彼がメルフェトに帝国軍全軍の指揮権を得ることを承認したことによって、今回の戦争は引き起こされた。
セスメント
帝国軍北方軍団を統括する将軍。バルディア、ギークスの反乱ではギークスの本拠地ボルニア方面を担当していたが、メルフェトの招集により帝都ベルザへ転進することになる。背後に食らいつくギークス軍に半数の軍をぶつけ、残り半分の軍でランディア大平原の戦いに参戦した。
【用語】
雷魔法
術者から電撃を放つ魔法。元素魔法のなかでも特に修得が難しく、ランディア大平原の戦いにてメルフェトが使い手であることが明らかになった。まともに浴びればあらゆる生命を絶命させる威力だが、ミリス鉱によく伝導する性質を逆手にとられる。
風魔翼刃
風魔法の応用魔法。風を束ね、刃として発射する。実態のない刃のため、重装備の帝国兵士や人造兵、魔獣兵のような巨体には効果が薄い。
高位雷魔法
ランディア大平原での劣勢を覆そうと、メルフェトが戦場に向けて放った高位魔法。天空の雷雲より幾百もの雷が降り注ぎ、全ての灰燼に帰す威力がある。しかし落雷のほとんどが魔鉱人造兵に吸収され、範囲は限定的なものになった。
魔獣兵
オルトルらの人工生物を創る研究の末に生み出された異形の魔獣。生命活動は停止しており、あくまで魔力によって稼働している存在である。ジルヴァに拮抗するほどの攻撃力を持っている上、炎魔法を駆使することもできる規格外の怪物。半面魔力の消費量は人造兵よりもはるかに多く、常に魔術師が追従して魔力を供給し続けなければならない。さらに行動を制御することも最後まで難渋しており、その結果は生命を弄んだオルトルに還されることになった。
魔鉱人造兵
帝国軍の人造兵から着想を得たナガトが、オルグたちドワーフの加工技術とヴィラたちエルフの魔力を借りて完成させた魔道兵器。鉄とミリス鉱を混ぜ合わせた材質でできており、帝国軍の人造兵よりもはるかに効率よく稼働させることができる。さらに突撃に特化した形状をしており、実戦においても棒立ちしていた人造兵を粉砕した。メルフェトの雷魔法により魔力伝導が途切れて沈黙してしまったが、後の高位雷魔法を防ぐ布石となった。
巨大人造兵
鉱山都市キルゴス占領に失敗し、ミリス鉱を入手できなくなったアルフォンが切り札として用意した試作兵器。稼働時間の課題を、自らが内部に乗り込み魔力源となることで解決しようとした。さらに直接内部から魔力供給することで、従来の人造兵よりもはるかに大きな質量を動かすことができるようになったため、兵器としての攻撃力も飛躍的に向上した。アルフォンは巨大人造兵に乗り込み突撃を敢行したが、有人であることの弱点をつかれ、シルメア軍本陣には届かなかった。
~戦闘の経緯~
要塞都市イリューガル防衛戦
【参戦者】
ダレム帝国軍(バルディア軍):バルディア、ケイレス、ジェノン
ダレム帝国軍(メルフェト軍):メルフェト、アルフォン、オルトル
【参戦戦力】
ダレム帝国軍(バルディア軍):歩兵20000、騎兵2000
ダレム帝国軍(メルフェト軍):歩兵50000、魔道旅団500、人造兵100
【戦闘の経緯】
バルディアたちを征伐するべく、メルフェトはダレム帝国本国軍を率いて要塞都市イリューガルに迫った。しかしバルディア軍の弓矢射撃や騎兵への対応の拙さから、メルフェト軍の練度の低さが露呈した。アルフォンは人造兵を起動させて形成逆転をねらうが、事前にケイレスが張り巡らせていた落とし穴にその半数が滑落。さらに敷き詰めていた火薬に着火し、人造兵は爆発四散した。メルフェト軍が意気消沈しているところにシルメア軍までもが戦場に到着し、メルフェトはイリューガル攻略を断念。帝都ベルザまで撤退を決めた。
ランディア大平原の決戦
【参戦者】
シルメア軍:リリアス、アルジュラ、イゼル、ジルヴァ、オルグ、ヴィラ、天城ナガト
ダレム帝国軍(バルディア軍):バルディア、ケイレス、ジェノン
ダレム帝国軍(メルフェト軍):メルフェト、アルフォン、オルトル
ダレム帝国軍(セスメント軍):セスメント
【参戦戦力】
シルメア軍:歩兵17500、狼騎兵1500、餓狼兵1000、ウルガルナ遠征軍4000
ダレム帝国軍(バルディア軍): 歩兵19500、騎兵2000
ダレム帝国軍(メルフェト軍): 歩兵44000、魔道旅団450、人造兵50、魔獣兵20
ダレム帝国軍(セスメント軍): 歩兵25000
【戦闘の経緯】
メルフェトは帝都ベルザの正面に広がるランディア大平原に布陣し、シルメア軍とバルディア軍から成る同盟軍を待ち受けた。戦闘序盤から人造兵を前面に出して同盟軍を圧倒したが、ヴィラたちの水魔法やオルグの大槌隊の連携によって数体の人造兵が撃破され、メルフェト軍側の被害も少なくなかった。
オルトルは戦場の端に待機する狼騎兵を撃退するため、魔獣兵を戦場に投入する。魔獣兵の攻撃でイゼルら狼騎兵は撤退した。その隙をみてアルフォンは人造兵を攻撃にまわし、シルメア軍本陣を狙った。この攻撃に対しナガトは魔鉱人造兵を投入し、本陣に迫る敵を撃退した。
戦闘開始よりしばらくすると、戦場の南東方面よりセスメント軍がメルフェト軍の増援として現れる。バルディア軍はこれを抑えるため、軍を反転させた。その影響でメルフェト軍は全部隊がシルメア軍に向かってくることになり、戦闘は苛烈さを増していく。
オルトルら魔獣兵は狼騎兵を撃退した後、反転してシルメア軍本陣に迫る。これをジルヴァら餓狼兵がなんとか抑え込み、イゼルがオルトルにできた隙を狙って彼を捕縛した。さらにナガトは魔鉱人造兵をメルフェト軍本隊へ突撃させる。メルフェトの雷魔法により本陣手前で停止してしまうが、メルフェト軍に甚大な被害を与えた。さらにこの攻撃の隙に、アルジュラ、ケイレス、ジェノンらがメルフェト本陣に迫り、本陣は陥落寸前となった。
アルフォンはメルフェトを魔道塔イクリペルに脱出させたのち、自身が巨大人造兵に乗り込み、シルメア軍本陣へ突貫する。しかしこの攻撃はヴィラたちの魔法攻撃の連携で阻止された。魔道塔イクリペルに撤退したメルフェトは高位雷魔法にて戦況を覆そうとするが、落雷のほとんどが魔鉱人造兵に吸収された。高位雷魔法の発動にて各戦線の戦闘は終了することとなった。
魔道塔イクリペル制圧戦
【参戦者】
シルメア軍:リリアス、アルジュラ、イゼル、ジルヴァ、オルグ、ヴィラ、天城ナガト
ダレム帝国軍(バルディア軍):ケイレス、ジェノン
ダレム帝国軍(メルフェト軍):メルフェト、アルフォン、オルトル
【参戦戦力】
シルメア軍:餓狼兵50、ウルガルナ遠征軍200
ダレム帝国軍(バルディア軍):歩兵250
ダレム帝国軍(メルフェト軍):魔道旅団40、魔獣兵10、人造兵4
【戦闘の経緯】
同盟軍の突入部隊は魔道塔イクリペルに撤退したメルフェトを追って、帝都ベルザ内部をすすみ、イクリペルの内部である大聖堂にたどり着いた。ここで案内役であったオルトルが地下の魔獣兵を解放し、同盟軍に襲い掛かる。リリアス、ナガト、ジェノンが最上階へ向かい、残りの者は大聖堂の制圧を担当した。
魔獣兵との激戦のさなか、死亡したと思われていたアルフォンも人造兵を従えて大聖堂に到着し、同盟軍は挟み込まれることとなる。しかし同盟軍はイゼルとケイレスの指揮のもとそれぞれが奮闘し、すべての敵を撃破した。オルトル、アルフォンもこの戦闘で落命し、大聖堂は同盟軍によって制圧された。
イクリペル最上階ではメルフェトが待ち受けており、雷魔法で最後の抵抗を試みたが、ナガトとリリアスの連携により敗北。メルフェトはジェノンにより逮捕され、長きにわたって続いた戦争は終結へと向かった。




