万能工具でナビロボ覚醒 ー 戦艦に電気を復旧
戦艦ノアに来て1カ月半が経った。
その間、ずーっと修理修理修理だった。
で、今はサブエンジン1の修理の終盤。
このサブエンジン1を起動すれば、
監視室と各計器の電源が復旧して……
外の様子が確認出来るはず。
「やっとここまで来ましたね! マスター!」
カナコが励ましてくれる。
カナコもこの1カ月半の間に色々あった。
ー
まず最初にこの戦艦の「UPS」を復旧させた。
UPSは「無停電電源装置」と言って、
バッテリー搭載の非常用電源みたいなものだ。
カナコと同じくバッテリーが生きてたから、
それ以外の修理で起動できた。
それ以外の部分の修理に3日かかったけどな。
で、非常用電源で復旧したおかげで必要最低限の電気を得た。
久々の明かりをゲットした。ヘッドライトだけの暗い中での生活に結構堪えたけど明かりはそれを救ってくれた。
そういやカナコは機械の修理とかも出来るロボットなのかな? かなり精巧に手を動かせるみたいだし。と思ったけど、
「すみません、マスター。私は修理に関する機能および知識を持っておりません。」
残念だけどそういうことらしい。
……じゃあ俺の「デジカメ」に保存してある図面をインポートすれば修理のサポートは出来るかも?と考えてデジカメとカナコを接続してみたら……
「ウウウ……。」
カナコに異変が起きた。
「ウウウ……ビビーーーーーー!!!!」
カナコが変な声を上げてのけぞった。
……! どうしたカナコ! 大丈夫か!
「……大丈夫ですー! マスター!」
なんかカナコの雰囲気がおかしい。
「ビックリしましたー、突然、電流がビビビって来てビビっちゃいました!」
カナコは人間みたいな動作で「驚いた」をアピールしている。なんかカナコが人間臭くなった。なんで? もしかして万能工具のデジカメと繋いだから?
そういや図面はインポートされた?
「はい♪ バッチリですー! これから私もマスターのお手伝いが出来そうですよー!」
と言って自分の手をワキワキさせた。
まじで?
なんか万能工具と繋いだせいでナビロボットだったカナコが万能ロボットになって。2人で戦艦を修理する事になった。
2人だと作業がかなり捗る。
天井裏に通信ケーブルをまるまる敷設し直した時とか。1人だとかなり苦労してただろうなって事が進んだ。
そして今の現状。
・非常用電源を復旧。
・カナコが万能ロボットとして覚醒。
・監視室と通信網を修理するも電力不足で動かず。
・電源確保のためにサブエンジン1をなんとか修理 ←今ココ
修理してるだけなのに何回か死にそうな危険な目にあったのは今となっては良い思い出だ。
で、サブエンジン1の修理。
サブエンジンの原理を簡単に言うと謎の燃料を燃焼させるとなぜか回るタービンにより電力を得る。
謎だらけだが元通り復旧すれば動くと信じて直した。
で、いよいよサブエンジン1の起動の時。
「動かしても問題ないはずですよ! マスター!」
カナコもこう言ってくれている。
よし、電源ON!
……どうだ?
……
ゴウンゴウン、
サブエンジンは無事に動き始めた。
サブエンジンの電源を検電してみる。
……6kV! よっしゃ! 電力は十分だ。通信監視室に行って順番に電源を投入していく。監視装置が復旧する。
おお、モニターが! 外の画面が映る! 外部カメラはほとんどが死んでいたが戦艦上部のカメラが奇跡的に生きていた。
映ったのは……目が覚めるような青空だ。頭上は空か。この戦艦のいる場所は海底ではないみたいだな。じゃあ上部の非常用ハッチを開けても問題なさそう。
早速、上部ハッチを思い切って開けてみた。
そこに広がるのは……どこまでも広がる青空と海原。
ここは……「島」みたいだ。岩山のみの島に戦艦の大部分がめり込んでいる。戦艦の下の方は海に浸かっている。それで海底洞窟と繋がっているんだな。
あっ、よく見たらドックの出口は浸水していない。ドックの出口シャッターを開けられそう。今回のサブエンジン復旧で電力が回復して色んな設備が (直せば)使えるようになった。
俺は早速ドックに行ってシャッターの故障を直した。
もう故障修理は慣れた物だ。
で、シャッターオープン。
ゴウンゴウンゴウンゴウン。
ドッグの出口が開く。
ドックの外はちょうど島の入江。
水も透き通っているし魚も見える。
熱帯魚みたいな魚。
食べられるかな?
「マスタ〜、その魚は毒持ちみたいですよ。」
えっ、そうなんだ。
「データベース室も復旧させましたから調査データの一部にアクセスしました!」
おお。 電力復旧してから色んな事が動き始めた。他にも故障している施設も復旧させようか。最終的にはこの戦艦も動かせるかも?
プロローグ終了