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万能工具で異世界修理屋  作者: 武川やまね
プロローグ 万能工具の性能確認編
6/37

今回万能工具の活躍なし ー 戦艦ノアを探索しよう。



管理者(マスター)の初期設定を開始します。」


女性の声で喋るロボット。その声は滑らかだしなんだか懐かしい感じがするしこの状況で聞く「人の声」というのは俺を少し安心させた。


「マスターを登録します。私の前方に立って下さい。」


ロボットの前に立つと俺をスキャンし始めた。



「登録完了。マスターの名前を登録して下さい。」


空中で入力するタイプのキーボードが現れた。


キーボードの文字は不思議と「読める字」だ。



デンダ ツヨシ



「私の名前を決めて下さい。」


この人型ロボットの名前か。その名を決めるのに俺の手はキーボードへ自然と動いた。



カナコ



「デンダ様、よろしくお願いします。カナコです。」


あー、やってしまった。初恋の仲の良かった女の子の声に似てたから。しかもこの人型ロボットはフォルムが女性のものだし。

……ちょっと顔が赤くなる。


まあ、でもカナコと名付けてしまったからにはカナコと呼ぼう。



「初期設定は完了しました。

 艦内設備をチェックします。

 …………


 メインエンジン……オフライン

 サブエンジン1……オフライン

 サブエンジン2……オフライン

 サブエンジン3……オフライン

 UPS……オフライン

 機関室……オフライン

 ボイラー室……オフライン

 クーラー室……オフライン

 ドック設備……オフライン


 ……

 ……

 ……

 データベース照合……失敗


 艦内設備チェック完了。

 異常停止している設備があります。

 メンテナンスを実行して下さい。」


唐突にカナコが艦内チェックを始めた。

 

えっ? 艦内設備? ここって船だったの?


「はい、ここは汎用戦艦ノアの第52備品倉庫です。マスターデンダはこの艦に着任されたばかりでしょうか?」


あれ? 今、俺に返事した?


「はい、マスター。」


なんとこのナビロボットのカナコは対話が可能らしい。とりあえず俺は新しくこの艦に着任したエンジニアという事にして色々とカナコに話を聞くと。


ここは汎用戦艦ノア。この未開惑星の調査に来た宇宙船。この異世界のさらに宇宙から来たらしい。


とりあえず戦艦ノアを案内してもらう。


ぐ〜


あっ、ちょっとお腹がすいた。


何か食べれる物がある場所ってある?


「こちらへどうぞ。ご案内します。」



案内された場所は食堂。だが誰も居ない。他の部屋と同じく廃墟のように机と椅子が散乱しているし薄汚れている。



そういや、なんでこの艦はこんな廃墟みたいになっているんだ?


「データベース称号中……失敗。その原因はわかりません。すみません、マスター。」


いや、わからないならいいんだ。とりあえず食堂を物色する。調理場っぽい所の中まで入って冷蔵庫っぽいのを開ける。


その中は……見てはいけない物を見たようだ。元食糧だったグロテスクな物体。冷蔵庫はそっ閉じ。他にも何か無いか探すと。


あっ! 水のペットボトルと缶詰!


調理場の隣の倉庫に保存食を見つけた。


お腹も空いていた俺は水のペットボトルと缶詰にがっついた。



ふいー、お腹いっぱい。割と美味しかった。この倉庫にはこういう保存食は山ほどある。勝手に食べちゃったけど問題なかっただろうか?ここの人に会ったら謝らないと。


と、思っていたがこの戦艦には誰も居なかった。見つけたのが艦長っぽい人の日記。かなり朽ち果てていたけど部分的には読めた。


「アンノウンウイルスで……クルーは……ほとんど死んだ。」


まじか。


「調査が足りなかった。……私の命も……もうすぐ……。だが……私は艦長として……この地でワクチンを探す。原住民は……ウイルスに耐性を持っているはず……。」


かろうじて読めたのがこれ。この戦艦のクルーは大変な目に会ってたみたい。この艦長はワクチンを探しに行ったみたいだけど最終的に見つけられたのかな?


でもこの戦艦がこうやって廃墟みたいになっているって事は……。……うーん。南無南無。



他にも色々探すと。


ドッグには、いくつかのメカメカしいバイク。いくつかのバギー。そして、


「おお、人型メカ!」


人型メカがあった。


高さは5メートルほど。細身のロボットが3体で全部同じタイプ。興味が湧いた俺は早速「デジカメ」で撮ってこの人型メカの図面を見た。


図面を見ると故障しているかどうかわかるが……


「だめだ、大部分が壊れてるな。駆動はバッテリータイプか。でもバッテリーが赤くなってるから壊れてるか……それともバッテリー切れか……。」


簡単ではない修理が必要なようだ。


「しかもこの人型メカは……搭乗タイプか。」


乗るタイプの人型メカ。使えそうなら使ってみるのに。


……修理するか? ……いや、まあ時間ができたらにしよう。




「なあ、カナコ。外への出入り口って無いか?」


ちょっと外へ出てみたくなった。


「こちらへどうぞ。ご案内します。」




案内された場所は戦艦の1番上部の方。


「非常ハッチです。」


手でハンドルを回すと開くタイプか。早速、回そうとしたがちょっと思いとどまった。


「そういやここって海底か?」


非常ハッチを開けたら海水が一気に流れ込んだりして?


「カナコ。この外って海?」


「データベース照合……失敗。わかりません。すみません、マスター。」


「いや、わからないなら良いんだ。」


自分で調べてみよう……と思ったがこの戦艦には窓という物が少なくあってもシャッターが下りていて外の様子がわからない。


これは……どうしようか。戦艦の設備が生きてればな。外の様子をチェックするカメラとかぐらいあるはずなんだけど。


……もういっそこの戦艦を修理していくか? 


それしか無い気がしてきた。



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