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万能工具で異世界修理屋  作者: 武川やまね
プロローグ 万能工具の性能確認編
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これはもうもしかして万能工具か? ー ナビロボットを直そう①


建造物っぽい所を探索する。


明かりで照らすとよく分かるが所々が廃墟っぽい感じで汚い。壁の一部は塗装が剥げてサビみたいに茶色くなってたりしている。


どこと無く「オフィスビル」のような雰囲気を感じる。



そんな中、まず目についたのは個室っぽい所。ベッドがあってクローゼットがあって机と椅子があって。そんな小さめの個室がホテルみたいにたくさんあった。


ざっと50部屋以上。


扉は全て開いておりスライド式で手で動かそうとしでびくともしなかった。その個室の全てがカラだった。


他にはトイレ、シャワールーム、空っぽのアングル棚がある倉庫っぽい部屋……



あっ、倉庫っぽい部屋で埃をかぶったメカを見つけた。


これは……人型ロボットか? 金属で出来た人型のものが倉庫に置いてあった。ただの人型の模型かもしれないが金属製なので直感的にロボットかと思った。



そのメカに近づいてみると……


ジジッ……!


と音を立ててそのロボがビクッと動いた。


「うおっ! ……やっぱりロボットか? でも壊れているっぽい。」


ロボはちょっと動いただけで動かなくなった。そのロボをよく見ると頭に「ナビロボット」と「読める字」で書いてある。


ナビか。


こいつを直せたら色々と教えてもらえるかも?



俺はこいつを直せるか試してみることにした。


「バッテリー切れとかだったら難易度高いけど……どうなんだろう。」


その人型ロボットをよく観察してみる。腕、足、体、頭は人の体と同じくらいのサイズ。体型は女性に近い。しかも人と同じくらいの数の関節を持っているように見える。


これはかなり細かい動きが可能な高性能ロボットか。



で、観察していると胸のあたりにネジ止めされているフタを見つけた。


「ここは外れそうだな。」


ネジの頭を見ると星型のようなよくわからない形。この星型のネジに合う工具は……と頭の中で考えると、


頭の「ライト付きヘルメット」はそのままで、

滑り止め付きの「作業手袋」と「静電靴」を装備して、

手のツルハシが「電動ドライバー」に変わっていた。


万能農具っていうかこれはもうもしかして万能工具か?


その電動ドライバーの先を見ると普通のプラスドライバー。その頭を見ながら「星型〜」と考えると電動ドライバーの先がそのネジにぴったりと合うような星型の形に変化した。


これを使えば開けれるはずだ。

電ドラをネジに合わせてボタンを押すと、

勢いよくネジが回って外れた。


おお、速い。さすが電ドラ。


もう一個のネジも……と思って電ドラを回すとなんだか空回りを始めた。


「ん? ……あっ! ネジの頭がナメてる!」


ネジが腐ってて脆かったのか俺のやり方が悪かったのかネジの頭の星型が崩れて円になってしまっていた。これではドライバーが噛み合わずにネジが外せない。


「どうしよう? このネジを取るには…………あっ!?」


電動ドライバーの先が変化を始めた。

何かを挟み込むようなラジオペンチみたいな口に。


それを頭がナメてしまったネジに近づけると、


ガシッ!!!


ネジの頭の周りをしっかり噛み込んで固定した。

これならネジを回せるはず。

。ゆっくりと電ドラのボタンを押すと……。


「おお! 取れた!」


ネジが取れた。このネジはギザギザの歯形がついたりしてもう再利用は出来ないだろうがとりあえず取れた。



他のネジも慎重に外していく。そしてフタを開けると……


「うわっ…… 配線がメチャクチャ多い。」


狭い体内の隙間を埋め尽くすほどの配線、配線、配線。一部の配線がいくつか剥がれて電線が剥き出しになってたり切れたりしているのが見える。


「切れてるのをつなげたりすれば直るかな?」


と思ったが切れたりしているのは1本とか2本とかの数ではなくしかも全ての配線が同じ黒色の被覆のためどれをどれに繋げれば良いのかわからない。


「これは……無理だ。こんなのどう直せば良いんだ。」


開けてみるとこの人型ロボットはかなり複雑なつくりをしていた。仕組みを少しも理解できない俺が直せるはずが……。



ん?



持っている電ドラがいつのまにか「デジカメ」に変わっていた。これは手のひらサイズの1万円くらい出せば買えるデジカメだ。


これも万能工具か?


確かに工事現場の人が「工事写真」を撮るのに使っているのを見たことがあるけど……。これでどうする?とりあえず配線の様子をパシャっと撮ってみる。


「……あっ! なんだか仕組みが理解できる!」


このデジカメで撮った部分が頭の中で3Dの図面を描いてどのような配線がどのようにつながってどのような機能か大体が理解できるようになった。


「これは……胸の奥のバッテリーから体の各部位に繋がる電線で……これは頭からの信号線。これは感覚を伝える信号線。これは……」


など各部位の配線の種類が理解できた。


数が多くてすごく複雑なんだけど一個一個の機能をちゃんと理解すればちゃんと意味のある事だとわかるし配線の多さに辟易してた嫌な気分が少し良くなった。


しかも頭の中の図面では一部の配線が赤く表示されている部分がある。それらは現物では断線している所だ。そんな事もわかるんだ。



図面によるとこの配線の山に隠れて向こう側にバッテリーがあるはず。と思って配線に手を突っ込んだら……。


「……っ! あばばばば……ばあっ!」


体が引き込まれるように痺れた。


このままではマズいと思ってなんとか手を引っ込めた。


「はあっ、はあっ……あれ? 今、もしかして……俺……感電した?」


100Vのコンセントに触った時以上に痺れたからそれ以上の電圧なのか?


あーっ、びっくりした。


確かに海から上がって体はまだ少し濡れている。


濡れてると感電しやすいっていうし。特に海水は。


ちょっといきなり手を突っ込むのはやめよう。




ネジじゃなくてビスって書こうとしたけど伝わるものか?

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