表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/85

4 プロテア

神国プロテア


大きな石造りの壁に囲まれている街で、その壁は外壁・内壁と二重になっている。

二重の壁の中心には大きな白い教会があり、高さは10M以上ある。ただ高さがある分、シンプルな構造になっているようだ。


プロテア内壁の中にある区域はいわゆる富裕層やランクの高い教会関係者。内壁と外壁の間には一般住民やランクの低い教会関係者と分けられている。

そして外周壁の直径は2㎞。普通に歩いたら20分位は掛かりそうな広さだ。

また基本的にどの建物も石作りで、基本的に色は白で統一されている。

見渡す限りの白と象徴の教会。それが神国プロテア。



---

オレは外壁の門近くへと転送された。

目に入ったプロテアの景色に圧倒されるが、すぐに頭を切り替え走り始めた。

目的地はモンクギルド。

ナックル系のスキルを取得する為だ。


幸いな事にモンクギルドのある教会騎士団の建物は、転送された外壁近くに建っており走って1分程の距離だった。


教会騎士団の建物内へ入るために扉を押し開く。

その中にはプレイヤーの姿が2人と、教会騎士であろうNPCが数人居た。

入り口近くに立っていた、教会騎士のNPCにモンクギルドの受付場所を聞くと、部屋の場所を丁寧に教えてくれた。


オレは教えてもらった部屋へと足を踏み入れる。


「失礼します」


すると入り口近くの木でてきたカウンター内にいる、赤髪の女性NPCがオレを呼ぶ。


「プレイヤーの方ですね?こちらへどうぞ」


オレはそのNPCに目が釘付けになった。


そのNPCは髪形は胸の上くらいまであるロングで、ルビーのような透き通る赤い髪を前で分けている。

そして顔のほうは優しそうな美人で、少し垂れた大きなパッチリ二重の目、筋の通り高い鼻…微笑んだ顔の後ろに花が見えそうだ。

女性にしては高いであろう170cm程の身長、モデルのようなスラっとした体型。

そして…細い体型に似合わない、ウォーターメロン×2。


あれはリンゴですか?

いいえ、ウォーターメロンです。


教会関係者の制服であろう黒い修道服が、はち切れんばかりに延びている。

オレは視線が彷徨いながら受付に近づく。


「初めまして!私はモンクギルド受付のアイシャと申します。モンクギルドへどのようなご用件でしょうか?」


「えーと…プレイヤーで、上野 樹といいます。その…ナックル系のスキルを覚えたくて…」


アイシャと名乗った赤髪NPCの華やかさに押されているオレ。

話した経験が少ないので、女性免疫が無いのです。

そしてオレの言葉を聞いたアイシャそんの顔が、ぱあっと明るくなる。


「それでしたら!ぜひぜひモンクになって下さい!まずナックル系のスキルや格闘スキルは、モンク系列でしか取得できません!

そしてモンクの特徴は、なんと言っても高い近接戦闘能力!それに加えて自己強化や回復魔法まで!これはもうモンクになるしか無いですね!

いやもうモンク以外は許しません!」


急に口調が変わり、返事を挟むタイミングもない速度で話始めるアイシャさん。

圧倒されたが、オレは何とか言葉を捻り出す。


「えぇ…あ、はい…」


その言葉に満面の笑みのアイシャさん。

あーかわいい…。じゃない。


見事に流されてモンクになる事が決まってしまった。

元々なるつもりだったから、良いんだけどさ。

何か府に落ちない。

現実でも壺買わされないように気をつけないと。


「ではモンクの転職条件を説明させていただきます。宜しいですか?」


最初の丁寧なアイシャそんに戻った。

オレは安堵しながら頷く。


「転職条件は、プロテア内の教会へ寄付を行い、祝福を受けていただくことと、レベル10以上となる事で、モンクへの転職試験を受けることができます」


「教会への寄付と、祝福って何でしょう?」


「教会に一定の金額を寄付をすることで、祝福をして頂けます。教会関係者は必ず行なってます」


「…それはいくら位の寄付で?」


「最低で3000Gが相場となっています。祝福のランクが高いと、何千万Gという祝福も存在します」


「3000Gですか…」


プレイヤーに与えられた初期費用は1000G。

祝福には2000Gも足りない。

これは…時間短縮にアレをするしか無いだろう。


このゲーム内のお金はRM(リアルマネーと直結する。

その交換レートはゲーム内硬貨を買うと、日本円1円に対して1Gゴールド100円で100Gだ。

それに対してRMへ交換する場合は手数料込みで 1G で0.5円。同レート交換ではない。

祝福にかかる3000GはRM換算1500円。

初期職業の転職条件だけで…1500円飛ぶ。


「…分かりました。祝福を受けてからまた来ます。それと聞きたいのですが、モンスターの素材を買い取ってくれる場所はありますか?」


「それなら、冒険者ギルドに素材クエストや買取屋があります。基本的に冒険者の方はそこを利用してますね。ここを出て西側の門近くにあります」


「ありがとうございます。イッテキマス」


オレは部屋の外へ足を向ける。


「モンクはいつでも人材不足なので!絶対に来てくださいねー!」


去り際に、アイシャさんが元気な声を掛けてくる。


部屋を出たオレは、女性との会話からくる緊張から開放され、ため息をつく。


---


後にアイシャさんはRDOプレイヤーの間で有名となり、アイドル扱いされていく事になる。

RDO追加販売後にアイシャさん親衛隊という名のギルドが

作られる。そのメンバーはねずみ算式に増え、最終的には、第3ギルドまで作られる事になる。

オレはそのアイドルアイシャさんとの初対面だったのだが、オレは知る由も無い。


---


モンクギルドを後にした後すぐに、冒険者ギルドへ行き素材クエストを確認。

持っていた素材を全てクエストで売り払った。

そして…金額に落胆したオレは一度ログアウトすることに決めた。


(ログアウト)


オレが頭の中でそう意識すると、現実世界に意識が戻ってくる。


(あー…疲れた)


オレは近くに準備してあったスポーツドリンクの蓋を開け、一気に喉に流し込む。

思った以上に喉が乾いていたようだ。

部屋にあった時計で時間を確認した所、サーバーオープンから2時間程経っていた。


そしてオレはゲーム内硬貨のGを買うことを決意した。


何故なら修練場でスライムが落とした収拾品、スライムのカケラをクエストで納品したのだが、10個で100Gにしかならなかったのだ。

所持していた30個で、3回納品して300G。

持っている所持金と合わせても1300Gだ。

あまりにも時間効率が悪過ぎる。


それなら、と初期投資で10万円程Gに交換する事にした。

初期の金銭難解消は大きい、最低限の装備を準備出来るだけで、金稼ぎを効率的に行なえる所まで一気にレベリングできる。


カード番号を入力し、ゴールド購入。


(…100,000っと)


交換完了を知らせるシステムメッセージを確認。

オレは体をほぐしてから再度ログインする。


ログインすると、ゲーム内メールにより10万G届いていた。

そのお金を使って、最寄りの教会へ行き祝福をしてもらった。もちろん最低額の3000Gだ。

その金額からか、教会の司祭はあまり良い顔をしてなかった。

…居心地が悪かったので祝福印低(指輪)と祝福証明書を貰い、すぐに教会から立ち去った。


祝福印はMPが少しだけ上がるアクセサリーだった。

高額の祝福印だと、効果がもっと高いのかもしれない。


その後は武器屋と防具屋へ。

鉄のナックルと鎖帷子上下、鉄ヘッドギアとトゲのブーツを購入。

トゲのブーツはキックに攻撃補正が入るようで、種類としては攻撃靴というらしい。

防御は他の足装備より落ちるが、格闘メインだったので迷わず買った。


後は雑貨屋でホームストーンと呼ばれる町への帰還石と、ポーションを少し購入。

ホームストーン一個500G。RM250円だ。

RM換算すると良くないのは分かるが、どうしても考えちゃうよね。


今回の買い物で5万G程使ってしまった。

オレの5万円が10分弱で消えた。

スマホゲームもそうだけど、アイテム課金て怖いよねぇ…。

少し肩を落としながら、オレは町の外へと向かう。


門の外へ出ると、舗装された石の道。

道以外は踝程の高さの草が生えている草原。

草を踏みしめると、芝生のような感触だった。

RDOの再現度には驚かされてばかりだ。


門から一番近くにいた敵はスライム。

訓練用では無いが、強さは同じくらいだろうか?

装備のお陰か一撃だった。


その次に遭遇した敵は、ウサギ型のワイルドラビット。

スライムと比べると早いけど…何の問題も無く2回の攻撃で倒すことが出来た。

攻撃は単調で、一度も攻撃を受けなかった。

まあ最初だしね…。


そのまま30分位ワイルドラビットを倒した所でLv10に上がり、町へ帰還した。

もちろん徒歩で帰還。これだけで250円節約!


貧乏ゲーマー、節約しながらトッププレイヤーを目指す。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ