41.迷いの森2
迷いの森入り口到着したが、ゲーム内で徒歩20分は遠い…。
転送システムの実装は無いのでしょうか運営様。
そして着いた迷いの森入り口には教会騎士団の調査団テントが設置されていた。
テントは二つ有り有り、その周囲には2名の騎士が立っている。
その片方の若い騎士と目が合い、そのまま声を掛けることにした。
「こんにちは。私は冒険者の上野樹と言います。教会騎士団のレイモンドさんから調査依頼を受けました。」
「調査依頼か。話は聞いているよ。調査団の団長のキースさんがテントの中に居るから、そこで話をしよう」
そのままオレは騎士に連れられてテントの中へ。
テントの中には小さいテーブルと椅子が一つずつ置いてあるだけ。
テーブルの上には長剣と、書類と思われる紙束。
そして書類と睨めっこしている騎士の男性がおり、オレ達が入るとすぐに気付き目を向けてくる。
「キースさん。調査依頼を受けた冒険者が来ました」
キースと呼ばれた騎士は…30台前半だろうか、教会騎士団で見た騎士達の中では若手に入るであろう年齢。
ただ、その年齢には似合わない程の、熟練の騎士の雰囲気を纏っている。
「調査依頼を受けました、冒険者の上野樹と言います。一人ですが…逃げ足には自信が有るのでよろしくお願いします」
キースさんは椅子から腰を上げて、オレに向かい会釈をする。
「私は現在調査団の団長を任されているキースといいます。調査依頼を受けて頂き感謝します」
キースさんに倣いオレも会釈を返す。
そしてキースさんはそのまま話を続ける。
「レイモンドさんから話は聞いていると思うので、調査内容は割愛します。現在調査団は入り口のみ監視しているのですが、ここ最近魔物との遭遇頻度が異常です」
「今は何とか魔物の対処は出来ていますが、その代わりに森の中を調査するだけの人員が裂けません。そこで冒険者ギルドに依頼を出した次第です」
「なるほど」
「それと疑うわけではないのですが、上野さんの実力を確認しても良いでしょうか?実力不足の方を迷いの森へ入れて、怪我を負われるとこちらも少し問題が有りまして……」
キースさんは俯き、申し訳なさそうにしている。
実力不足の冒険者に調査をさせて、怪我かでもしたらキースさんが責任を問われるのかもしれない。
「分かりました。では迷いの森入り口付近で、魔物と戦って実力を証明しましょう」
「ご協力感謝します。では早速迷いの森へ行きましょうか」
キースさんも同行するようで、机の上に置いてあった長剣を慣れた手つきで腰に掛ける。
そしてキースさんはテントへ案内をしてくれた若い騎士へと声を掛ける。
「同行は私だけで構わない、君は持ち場に戻ってくれ」
「分かりました」
それだけ言い残し若い騎士はテントの外へと退出した。
「では行きましょう」
オレとキースさんはテントの外へ出て、迷いの森の中へと足を踏み入れる。
森の入り口には騎士が3名立っていて、入り口から森の奥を監視していた。
3名の騎士はキースさんの姿に気付くと、それぞれがお辞儀をする。
「異常は無いか」
「はい、あれからワイルドボアが2匹やって来ましたが問題なく対応出来ました。こちらに被害はありません」
「分かったありがとう。彼は調査依頼できた冒険者の上野君だ。そこでまずは彼の実力を見ようと思う。私は実力をみる為に付き添って、少し奥へ行ってくるよ」
「了解しました」
キースさんに向けて騎士の三名は敬礼をする。
キースさんよりも明らかに年上の騎士が、敬礼しているということは彼は相応の実力者なのだと感じた。
オレとキースさんは迷いの森奥へと進んでいく。
その途中、キースさんに話しかけられる。
「大事な説明を忘れていた。迷いの森はその名の通り、森に入った者の方向をわからなくさせて迷わせるんだ。調査団はその対策として木に目印が付けている。ほら、そこの木に付いている赤い紐がそうだ」
キースさんが指をさした木には、枝に赤い紐が結んであった。
「迷った時にはその目印が付いている木を探すんだ。目印を辿れば入り口に帰ってくることが出来る。」
「成る程了解です」
でも何故これだけ大事な事を言い忘れるのはちょっと…。
キースさん意外と抜けている?
「…上野君敵だ。あのワイルドフットと戦ってみてくれ」
進路方向には、ワイルドフットと呼ばれた大きな熊の姿が見えた。
「分かりました。キースさんはここで見ていて下さい」




