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VRMMOを始めただけなのに、何故世界の危機に巻き込まれたのだろうか。  作者: 飛楽ゆず
2章、そして全てが動き出す
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34.リリーとサラ

そうリリーが言うと、フレンドコールが切られた。


特に用事もないし、気分転換になるかもしれないから行くか…。

でもVRMMOで女の子と狩りとか、そう思っただけで胃が痛くなりそう。


(え、えーい!なるようになれ!)


そのままオレの足は教会墓地ダンジョンへと向かっていた。


電話のようなフレンドコールと、直接話すのは訳が違う!

それは、コミュ力のあるリア充には決して分からない緊張感だ。


まあ、どう会話すれば良いのか考えるが全く分からない。

…そういった経験が無いんだから答えが出る訳がないのだ。

そして着いてしまった。


教会墓地ダンジョン入り口に、二人の外人女性が立っている。


女性の一人はリリーさんだろう。

綺麗なプラチナブロンドの髪を、ポニーテールのように束ねている。

そして誰もが見惚れるであろう、その整った顔と緑の瞳は見間違えようが無い。


もう一人は…リリーさんよりも背の高い女性。

髪型は明るい茶髪で、ショートボブカットといえば良いのだろうか。

スレンダーで細身、高身長のモデル体系。オレよりも身長高くない?

端正な顔立ちで、かっこいいイケメン。…女の子だが。

肩に弓と矢筒を背負っている所からハンターか。


二人並んでいると美男美女のカップルのようにも見える。


…そんな2人の所に行けと?地味メンなオレに?何て拷問?


オレは覚悟を決めて二人に近づいていく。

すると、リリーがオレに気付き手を振ってくる。


「樹!ここだよ!」


リリーが微笑みながら手を振っているが、何故か恥ずかしくて手が振り返せない。

返事もせずに、よっと手をあげるのが精一杯。

そしてそのまま2人の元へ。


「えーと…お待たせしました。上野 樹です。よ、よろしくお願いします…」

少し噛んでしまった。


それを知ってか知らずか、リリーの隣の背の高い女性が挨拶する。


「ふーん…あなたが樹ね。私はサラ=グレース・ヒルよ。サラって呼んでかまわないわ。私も呼び捨てで呼ぶから。よろしくね!」


少し強引な感じがするが、逆にありがたい。


「ああ、上野樹だ。勿論呼び捨てで良いよ。よろしくサラ」


女性の頭上には、サラ・ヒルと表示されていた。

そうか、英語圏の人ってミドルネームもあるのか。

ゲーム内ではファーストネームとファミリーネームだけのようだけど。


…とそんな事を考えていると、リリーさんが割り込んできた。


「そういえば!私もちゃんと名前を言ってなかったかな?本名はリリー=ローズ・グリーンって言うの」


「へーそう言えば、さっきフレンドコールで聞いたような?花の名前に緑か。綺麗な名前だね」


「え、あの…あ、ありがとう」


(や、やっちまったぁぁあ!!何急に綺麗な名前とか言ってんだオレェェッ!!)


リリーはそのままオレから顔を逸らす。

そこにサラから助け舟が。


「えー?リリーが綺麗な名前なら私は?」


「え、えーと…優雅で、壮大な感じで…?」


「…何よその感じでって…。リリーとの扱いの差を感じるわ。うえのき君」


「うえのきって昔のあだ名じゃないか…やめてくれ」


「いやよ。私が納得するまでうえのきって呼ぶわ」


「サラ様やめてください、お願いします」

オレは真面目に懇願する。



「「あははっ」」

…サラとリリーの笑い声が聞こえて来る。


「からかって悪かったわ樹。でも悪い人では無さそうね。ま、思ったよりちょっと頼り無いけど」


「頼り無いは余計だ。それと…心臓に悪いからお手柔らかに頼むよ…」


「ね、樹と話してると面白いでしょ?それに普段は頼り無さそうだけど、ゲームでなら頼れるはずだよ!」


「り、リリーまで…」


それとフレンドコールでも感じた違和感だが、もしかして…リリーはオレを知ってる?

まるでRDO以前の事を知っているような。


「あのさリリー、オレのこt…「あ、そろそろ行かなきゃ!日本は夜中だし、早くしないと樹に悪いね!」


また遮られた…その様子を見てたサラが腹を抱えて笑っている。

くっ!つ、次のチャンスで必ず!


まあ結果として自然に会話することができてホッとしている。

そして2人の気遣いを感じた。

まあ、それだけオレが緊張してたのが分かりやすかったんだろう。


それはさておき、そこからは冗談交じりに会話をしながら教会墓地ダンジョンを進んだ。もちろん目指すのは地下3Fだ。



道中、2人のステータスを聞くと、リリーは中級モンクLv54でサラは中級ハンターLv56のようだ。

二人とも中々レベルが高いが、MMO経験者だろうか?

まあこのレベルなら、スケルトンくらい問題無く倒せるだろう。


「樹、夜遅いのに誘ってごめんね?」

リリーが申し訳なさそうに首を傾げて話しかけてくる。


「いや、オレは今学校も無いし全然平気だよ」


「なら良かった!私たちも卒業式までは学校は無いんだよー」

リリーさんが安堵しながら、話し掛けてくる。


「卒業って高校?」


「「そうよ」」

二人揃って答える。


「じゃあオレ達同い歳だね。オレも卒業式まで学校が無いから、ゲームし放題」


「そうね!昨日は二人とも徹夜してしまって、二人で怒られたわ!」

サラが興奮気味に話してくる。


「あはは…2人はリアルでも仲良いんだね。でも、2人とも随分とゲーム慣れしてない?」


「あー…それは私達が「ちょっと…!サラ!」


リリーが大きな声で皿の話を遮る。


「あははははー…ついつい。それについてはまた今度。是非リリーから聞いてねー」


サラが手をひらひらと振り、先を歩いていく。

それを少し怒った様子で追いかけるリリー。


これについても、はぐらかされて終わってしまった。

うーん、謎が深まるばかりだ。


そのまま地下3Fへと降りる階段がある部屋に着いた。


また、道中のグールさんは見えた時点でサラがヘッドショットして倒していた。

見るからに弓の経験者なのは分かったが…何より精度が凄い。

吸い込まれるように頭を貫き、思わず感心してしまった。


そして階段に近づき2人に声を掛ける。


「さあ、地下3Fだ。準備は良い?」


「うん」

「いいわよ」


そうして、3人で地下3Fへの階段を下っていった。

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