2.キャラクリ
「ゲームスタート」
サーバーオープンと同時にVRヘッドギアを起動する。
起動が完了すると同時に、意識がゲーム内に引っ張られる感覚。
気付いた時には視界は既にゲームのログイン画面に切り替わっていた。
VRヘッドギアについて。
VRヘッドギア内に脳の信号を読み取る機能がついており、頭で思い浮かべただけで全て自由自在に操作できる。
現実の動作と支障が出ないよう調整機能がついており、細かな動作も違和感無く行なう事が可能。
取説より、引用。
オレがログインIDとパスワードを思い浮かべるだけで、ログイン完了。
視界が暗転しオープニングムービーが始まる。
“神々が作った世界・・・もうすぐ世界の終焉を告げる・・・”
(スキップ)
オレはオープニングムービーを無視し、スキップした。
1秒でも速くゲームする為に動画で確認済み。
はい、次!
次はMMOでは定番となっているキャラクリ (キャラクタークリエイト)の画面へと移った。
プレイヤーが操作するキャラクターの名前・容姿・ステータス傾向を決める画面だ。
MMOはキャラクリで全てが決まると言っていいかもしれない。
キャラクターの容姿は、大きくプレイのモチベーションに影響してくる。とても大事。
このゲームでは出来ないが、モチベーションアップのために男で女の子キャラを使うのなんてよくある話。
俗に言うネカマ。そういえば昔…うっ頭が!
次にステータス傾向に関して。
職業によって重要なステータスや不要なステータスが存在する。
職業に合わないステータスが多くなってしまった場合は、職業の理想的なステータスを持つプレイヤーとの強さに大きな差が出てしまう・・・。
物理攻撃職が魔法に影響の与える知能を上げても、多くのゲームでは無駄になってしまうのだ。
RDOではRMが関わってる以上、ネタステータスに走るプレイヤーは少ないと思われる。
一般的なMMOの話をしてしまったけれど、RDOでは名前や容姿がほぼ決まっている。
というのもRM交換があるせいか、名前は本名のみ。
キャラクターの容姿も実際の姿をベースにしており、
身長を5cm伸ばす、縮める。太っているなら少し細身にする、逆に太らせる。
髪型を変更する、髪の色を変える等しか変更する事が出来ない。
そしてプレイするキャラクターとリアルが一致している事を考えると、RDO内の悪評がそのまま現実世界へ影響してくる可能性がある。
そのために悪さをするプレイヤーは少ないんじゃ無いかな。ゼロになる事はないと思うけど。
プレイヤー名は変更不可の為、上野 樹。
身長、体重は現実と変えないことに決めていた。
これはリアルとVRゲームの身長差による動きのズレ防止。
リアルで格闘技をしていたオレは、実戦経験がある事で自分の射程や動きも何となくだが理解している。
それにズレが出るのは、咄嗟の事態にミスになりかねない。
髪型は前髪が目に掛からない程度の長さ、髪色は黒に近い茶髪。
…現実世界と同じだからか、ゲームキャラという感じがしないな。まるで自分の顔を鏡でみているようだ。
あーもう少し目が大きくて、鼻筋が通っていれば…ってそんな事を考えている場合じゃなかった。
補足すると、居ない暦=年齢の地味メンだ。
顔は中の下…オレはまだ本気出してないだけ。
さて、キャラクターの容姿を決定後はステータス傾向の設定だ。
RDOには6つのステータスがある。
STR(力) ・・・主に近接武器による攻撃の攻撃力
VIT(耐久力) ・・・防御力や最大HP
AGI(速さ) ・・・攻撃速度や回避率への影響。
DEX(器用さ) ・・・武器による命中補正。遠距離武器の攻撃力へ影響。魔法の詠唱速度に影響。
INT(知力) ・・・魔法の効果や最大MPへ影響。MP回復速度へ影響。
LUK(運) ・・・クリティカル率やラッキーガードへ影響。状態異常全般に耐性(微)。
その中でステータスの成長傾向を決めていく。
6つあるステータスの中で、どれを伸ばしていくかだ。
1が上昇しにくく、5が一番成長しやすいとの事。
初期は全て1で、その上で12ポイントを振り分ける。
樹はこのように傾向を決めた。
STR 5 VIT2 AGI 5 DEX3 INT2 LUK1
もちろんVRMMOである以上、ステータスが全てではない。
PCでプレイするMMOとは違って自由度がある事で、プレイヤーの動きによる影響は大きくなっている。
クリティカル率が低くても、敵の弱点を突けばクリティカルとなり大ダメージを与える事が出来る。
ステータスはクリティカルの範囲を広げてくれたり、命中の際に補正を掛けてくれたり
補助的なものとなっているそうだ。
もっとも攻撃力や防御力はプレイヤースキルだけでは覆りようが無い部分があるそう。
攻撃力が低く相手の防御力を下回っていれば、0ダメージ。それではクリティカルを出そうが、0ダメージは0ダメージで変わりようが無い。
オレはリアルでの経験を生かす方向で、ステータス傾向を決めた。
高STRと高AGIでの回避型高速アタッカータイプ。
前衛にしてはVITが低いが、敵の攻撃に当たらなければいいのだよ。
最後に初期武器を選択する。
オレは数多い武器種の中から、一番慣れているであろう打撃武器のナックルを選んだ。
よし、これでキャラクリは完了だ。
再確認を終えると頭にゲーム内音声が聞こえてくる。
神々を止めてください・・・意味深だがスキップ。
これでやっとゲーム開始だろうか。
期待に胸が躍る。
漲ってきた!
…それにしても、いつの間にここまでVR技術が進歩したんだ?
この間出たVR格ゲーは、3Dの荒さに加えて動きのタイムラグで違和感だらけだったのに。
RDOでは違和感全く無いぞ?
オレは疑問に思いながら、次のマップへ転送されていった。
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こうしてただの1プレイヤー上野 樹はRDOを始めた。
トッププレイヤーになる為、出来ればお金を稼ぐ為。
最初はそんな簡単な気持ちだった。
今後自分の人生や、自分を取り巻く環境がどう変わるかを分かるわけもなく。
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上野 樹 (かみの いつき)
Lv.1
ステータス/
STR - 5
VIT - 2
AGI - 5
DEX - 3
INT - 2
LUK - 1
スキル/
なし
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