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VRMMOを始めただけなのに、何故世界の危機に巻き込まれたのだろうか。  作者: 飛楽ゆず
2章、そして全てが動き出す
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28.海底散歩

頭を悩ますのを中断し、一度ログアウトして食事を終わらせた。

そしてすぐに再度ログイン。

生放送までの時間を、レベリングに全力を注ぐ。


オレが全力で走って着いた所は、以前逃げ帰った砂漠にある蟻の巣。

中級モンクになった事で遠距離攻撃である気弾を習得した。

それであの蟻達ににリベンジしに来たのだ。


考えた狩りの方法は…気弾を射程限度ギリギリで放ち、一匹仕留める。

もしもリンクして来たら蟻の巣の外へ出て、攻撃対象になっているのを解除する。

そしてまた蟻の巣に入り、戻っている途中の敵にまた気弾、そして攻撃対象を解除の繰り返しだ。


試した結果は…。

気弾一発で蟻を一撃で仕留めることができ、敵も多いので経験値効率は十分。

一匹の経験値としてはサンドワームの方が多いが、蟻一匹を倒すまでのインターバルが違う。

そして新たに習得した気功術のおかげで、MPも数分の休憩で全回復する。

オレは何十回も同じ動作を繰り返し、蟻の巣入り口に溜まっていた蟻の群れを全て処理した。


後は歩き回りながアントとアントソルジャーをとにかく効率的に倒す。

一匹だと通常攻撃数発で倒せてしまうのだが、敵の数が多く、リンクで敵が寄ってくるので敵を探すロスが少なかった。

そのまま生放送までの時間をとにかくレベリングに費やした。


その結果…レベルは61まで上がった。

それで分かったのが、レベル60から次のレベルまでの必要経験値が急に上がること。

60でこれだと70以降がとても不安になる。


そして生放送の開始時間が近づき、プロテアへと帰還する。

…徐々にテレポートストーンを使うのに躊躇が無くなってきている。一回250円也。


帰還後すぐに生放送が始まり、簡単な挨拶とステータス画面を見せて現在の状態の説明。

プレイしている中で分かった情報を全て話す。特に武器の過剰精錬について。

そしてモンクについての詳細な説明と、注意も忘れない。

後は…生放送の反響の大きさに対する感謝。


そして…視聴者が一番聞きたがっているであろう、恋のキューピッド事件について、だ。

ララさんとルークさんの話を多少ぼかしはしたが、何があったかはちゃんと伝えた。

その内容により、何人か泣いていた。


そしてこのやり取りをしている間に…オレは船に乗っていた。

何故なら海底ダンジョンに行く為だ。

船で片道20分掛かるが、挨拶や説明でちょうど良い。


オレが海底ダンジョンに行った理由は…洞窟内の綺麗な景色だ。

視聴者と共にその景色を共有したかった。

ただ、まあ、本当は女の子が良かった。


そしてどうせ海底ダンジョンに来たので、前回では到達していない地下4F以降を攻略してみよう!と思った。

以前はスキルクエストで関係があった地下3Fで帰ったからね。


島に着くと、船のおじさんには帰ってもらった。

海底ダンジョン入り口に近づき、カウントダウンを始める。


「ではダンジョンに入ります。3…2…1…0!」


0と同時に、オレは海底ダンジョンの中へ足を踏み入れ…周囲を見渡す。


(何度見ても…幻想的な光景だな…)


壁の青い光が反射し、洞窟内が全体的に青く輝いている光景。


視聴者が喜んでくれるか不安だったが、どうやら杞憂だったようだ。

コメントには感動を伝えるものが多く、言葉に出来ない視聴者も居るようだ。皆と共有出来て素直に嬉しい。

ここから広まることで、今後RDO有数の観光名所になってくれると思う。


暫く景色を楽しんだ後、地下3Fを目指す。

やはりヒドラの触手に男性視聴者が興奮。

…女性視聴者はドン引き。


地下2Fへ降り…そのまま地下3Fまで来た。

そこで出迎えてくれたモンク先輩こと半漁人。

早速手合わせを願おう!

その難ありの見た目には視聴者が悲鳴を上げていた。


またその攻撃の早さ、アクティブスキル連打拳で視聴者から驚きの声が上がる。

まあ最初戦った時はオレも驚いたし当然だろう。


そのまま地下4Fへの階段を探しながら先輩と戯れる。


階段を見つけ、地下4Fに降りると…周囲の景色が変わり、これはまるで水中にいるようだ。

イメージとしては薄暗い海の底だろうか。

ただ、呼吸は問題なく出来るし、水中で動きが鈍ることも無い。

その洞窟とは違った神秘的な景色に見とれて息を呑む。


地下4Fで遭遇したモンスターは、マーメイドと言う人魚型モンスターとブレードフィッシュ…まんま魚。

そしてマリンジュエルという名前の大きな丸い細胞のようなモンスター。


マーメイドはオレが出会った初めての魔法を使うモンスターだ。

人魚と言っても髪がうようよと水に漂っており、目が白目で怖い。

どうやらここでは美人な人魚と会えることは無いようだ。

視聴者も「…チェンジ」とのこと。


マーメイドが使う魔法はアクアボールという魔法。

名前の通りに、圧縮した水の球を高速で放ってくる。

見た目に反してかなりの威力で、水球をかわした際に偶然岩に当たったのだが…なんと岩の一部が欠ける程だった。

直撃したらダメージは大きいだろう。

ただ、魔法を使う時に魔法詠唱のエフェクト…青い光が体から出るので使用が分かりやすい。その為、足を止めさえしなければ当たることは無さそうだった。

更に、攻撃で魔法が中断されるようで、一度攻撃が届けば一方的で、サンドバック状態になった。


次にブレードフィッシュ。

鱗が剣のように鋭い体長1m50cm位の魚。

攻撃手段は鱗の鋭さを利用した体当たり。

見るからにその一撃は強力だと思われるのだが…動きはそこまで早くない。

ただ問題があり、体が鋭い鱗に覆われているので…殴れる箇所が鱗の無い顔部分しかない。

体当たりをかわすと、鱗で覆われている後姿になってしまうので、体当たりに攻撃を合わせるタイミングを掴むのに苦労した。

攻撃特化なのか耐久力は低い。


そして2つのモンスターを抑え、一番の厄介モンスターだったマリンジュエル。

1M位の丸い魚卵の姿。

中には細胞のようなものが見えている。

ノンアクティブで攻撃しても反撃してこない。


ただこのモンスター…一つだけスキルを使ってくる。

それは「自爆」。

ある程度ダメージを与えたところ…急にマリンジュエルがブルブルと震え出した。

オレは身の危険を感じ、とっさに離れたのだが…その直後マリンジュエルが爆発した。

爆発の範囲は半径5m程あり、直撃したら間違いなく即死な気がする。


地下4Fは基本的に一本道のようになっていた。

その事にオレは嫌な予感がしていた。


そして地下5Fへの階段が見える最後の広間。

うん…予想通りモンスターの群れで凄いことになっている。20Mくらいの広間にモンスターが数十匹密集しているのだ。

道中倒したモンスターが再ポップした際に、この部屋に集まったんだと思う。

まあ…一本道のダンジョンでは良くあること。


流石にソロで処理するのは難しいので、オレは帰ろうかとも考えたのだが、一つだけ実験することにした。



まずマリンジュエルを5匹近くから持ってきます。

自爆しないようにそっとね!

そしてマリンジュエルを少し殴り、調整をして自爆手前にします。


そして…マリンジュエルを、モンスターの群れ中心部にぶん投げます。

5匹全て同じように投げる。


なげた直後。

ブルブルと震えて自爆する5匹のマリンジュエル。


ドゴオオオオッ!


更にその自爆の衝撃で周囲に居たマリンジュエルもダメージを受け…自爆する。

次々とマリンジュエル爆発が連鎖し、海底ダンジョンに爆発音が鳴り響く。

頭の中ではふぁいあー、あいすすとーむ、だいあきゅーとと声が聞こえてくる。

視聴者もコメントで言ってた。

そして残ったのはモンスターが居ない綺麗な広間。


……ちょっとやりすぎたかもしれない。


オレは反省しながらも、落ちていた収拾品を集める。

一本レアドロップと思われる剣も入手した。

剣の名前は剣魚の剣。街に戻ったら売却かな。


とても楽しかったが、経験値は最初のマリンジュエル分しか入らなかった。残念だ。


少し後ろめたい気もするが…回収が終わると、そのまま地下5Fへの階段を下りるのだった。

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