デルマ人の末裔
エース攻略に悪戦苦闘する中、ロロア達はクレジットを稼ぐために別の任務に就くことに。
しかしそれはメルヴィアや人間の負を巡る旅だった。
仮想空間に私の叫びが響く。
「もうこの間なんて頭に来ちゃって───!!」
私はひし形の『ユナのデータ』に愚痴を溢すのが日課になっていた。
私だってアステロイドだけど、もちろん暴言を言われたら傷が付くし、嫌な記憶は『キャッシュ』として“余分なデータ”として残る。
その"キャッシュ"に対して何か自分で納得しないと、いちいち"タスク"として記憶から引っ張り出され、嫌でも脳裏をよぎるのだ。
だから、こうして愚痴を溢す事で自分の中で整理して、上手く収集をつけてデリートしている。
こう言う時、“大人”はどうしているのか分からないけど・・わざわざテリンコさんに言って蒸し返すのも嫌だった。
だって毎回やってくるサイフォノイスをどうにかしてくれるとは到底思えないから…・。
「───それでね、サイフォノイスの中にも種類がある事に気付いたの!
一つは“理想を吠える人”タイプよ」
私の横に忌まわしきサイフォノイスがホログラム化されて現れる。
眼を剥き、人差し指を突き立て、大きな口を開けている。
「とにかくこのタイプは私の意見なんて聞いてもくれないの!一番多いタイプで、それでいて自分達の非を断固として認めないタイプね!人の揚げ足を取るのと
被害者意識の塊で、アメルア人である事と兵士でいる事に強い誇りを持っているわ。一番救いようがないバカで、内に秘めた悪意を棚に上げて私に説教をしてくるわ!」
続いてその横に、前屈みの体勢で見上げるように見ているサイフォノイスが現れた。
「このタイプは基本的に睨みつけて静かに私の言い分を聞いてくるタイプね。聞く耳を持っているならまだ“マトモ”だと思うでしょう?でも違うの!!
彼らは私の言葉から“使える言葉”を抽出するのよ!
例えば私がこんな事を言うとね?
“アメルア兵は、言葉ばかりは一丁前で、実際の問題にはなにも対処できないわ!それがあなた方の価値であり、それが歴史なのよ。だってエースを攻略するのに第一部隊から変わらない戦術を頑固にやってる。ZM達が想定した網の中に自ら飛び込んで行くなんてどうかしてるわよ!!”
って言うと“それはアメルア文化への侮辱か!?我々の科学の粋で造った傑作AIを外国人が批判するとは何事だ”って返してくる。問題の根本は作戦内容と犠牲者の数なのに彼らは自分の国の事を批判したと勘違いして建設的な会話がまったくできないの!!」
ユナのひし形のデータが感情的になっているかのように激しく点滅する。
特に良く見る反応なので私は説明を続けた。
「もう1人は“傍観者タイプ”ね。特に自分の意見も持たず、特に主張してくる訳でもなく。ただただ強い者に流されている連中ね。もちろん、会話なんてできないわ!話しかけるとオドオドして強い人の後ろに隠れちゃう。被害者と傍観者を兼ね備えた、一番の卑怯者よ!んあーーっ!!」
私は不意にサイフォノイス共の暴言を思い出して、そんな男達のホログラムに蹴りを入れた!
サイフォノイス達は消え、私の怒る所が面白いのかユナのデーターの真ん中に付いているコアが激しく動いた。
「ハァ、ハァ。ちくしょう」
私は乱れた髪を王冠に結い直すと、手元に"紙"をイメージして、ホログラム化した火の中に投じた。
こうする事でユナに話すほどでも無い小さな不満を目に見える形でデリートするのだ。
時刻は4時30分。
あと2時間後に私の身体は目覚めるだろう。
「ふう」
一通りデリートが終わってユナのデータにもたれる。
そして腹話術のようにユナに語りかけた。
「ねえユナ?もしも私が破壊されずにアナタの出番が来なくても、ちゃんと復活させてあげるからね。その時はきっと平和なメルヴィアで、こんなくだらない戦争や歪んだ思想なんてない世の中にしてあげるから・・」
(その時はロロアちゃんはどうするの??)
「私?もちろん平和な世界に一緒に住むわ」
(私と?)
「うん!」
(楽しそうね!)
「ね!きっとメリルもユミルも喜ぶわ。みんなでお茶会をしましょ?その時は、妹として紹介してあげるから」
「・・・・。なにやってるんだろ私・・」
不意に客観的になって小恥ずかしくなる
もちろん、私の頭の中なのだから外部のセキュリティーを掻い潜らなけらば誰も入れる筈は無い・・。
しかし目視で見たこの仮想空間は、ただただ広大で、直立不動のデータのダイヤマークの間から誰かが覗いているんじゃ無いかと変な想像が脳裏を過った。
「ごめんねユナ。それじゃあ目覚めるね」
私はこうして目を覚ました。
──────
シード:「ロロア、良く眠れたか??」
「ん?うん」
起きるとシードがコーヒーを淹れていた。
マイキーが寝癖もそのままに私にかまわず着替えはじめる。
マイキー:「いつもサイフォノイスの訳のわからない奴が絡みに来るもんな。ストレスで眠れないだろ・・同情するぜ」
「同情してもらわなくて結構よ。いつも寝る時にデータを消してるから私は大丈夫。私は引き摺らないタイプなのよ」
マイキー:「え!?データを消してるのか??データーを??」
「デリケートな事なんだから聞かないでよ」
マイキー:「デリケートな事なのか??」
シード:「マイキー、ロロアは女の子なんだ。プライベートに入りこむような会話はするもんじゃない。着替えもそうだぞ?ロロアに見えない所で着替えるんだ」
マイキー:「ごめんロロア」
「・・別にいいよ。男の褌なんて見てもなんとも思わないし」
アモン:「"フフフフフ"」
『おーい!みんな起きろ!!起床したかー!?』
不意にジャックから通信が入り、ホログラムとして映し出される。
外を見ると、ランニングしている兵士も足を止めてホログラムを見ているので全員に送っているのだろう。
『ビッグニュースだ!近くに未攻略のキリカルテが見つかった!どうやら通信を失った単独部隊らしい!午後には帰れる簡単な作戦だが、安定してクレジットを集めたい奴には損な話じゃないと思うぜ?それじゃあ、参加を待ってる!オーバー!』
((オオイェア!!行ってやろうぜ!!))
(イェアー!!)
窓から雄叫びが聞こえ、暇を持て余した兵士達が我先にヘラクレスや装甲車の後ろに乗りこむのが見えた。
アモン:「""俺も行きてえ。エースの苦戦でフラストレーション溜まってんだ。暴れようぜ!""」
「行こっか」
私もスパークライフルを掴んで言う。
マイキーは何か言いかけて辞め、皆の出方を伺っているようだった。
シード:「決定だな。出撃だ!」
マイキーは緊張しているのか不健康そうなゲップをする。
「マイキー、大丈夫?」
私はマイキーの手を握る。
すると案の定冷たく、それでいて脈が早かった。
おそらくエースでの戦いですっかり臆病風に吹かれてしまったようだ。
マイキー:「ありがとうロロア。大丈夫さ。クレジットを稼がないと良い生活できないもんな」
「その粋よマイキー」
マイキー:「ああ」
────
今日は快晴だった。
私達はライフルを背負うと、アトムナイフと弾薬の入った弾帯を腰に付けた。
私のリュックにはA缶と携帯食糧、止血用のベルトと衛生用品。
そして厳しい夜間に備えたマーマレドと断熱用のポンチョが小さく折りたたまれて入っている。
リュックは背中のマグネットで着脱可能で、他の兵士達もアーマーを着用することで同じことが出来た。
止血用のベルトやマーマレドはアステロイドの私には不必要だけど、マイキーには必要な物なのだ・・。
停車しているヘラクレスには合皮のヘルメットを被った工兵が居て、私達を認めると灰皿に刺した煙草を指で消して私達に背中に乗るように促した。
「君達が最後か。さぁ乗ってくれ!」
シード:「さぁ、行こうぜ!!」
アモン:「“”ピクニックだ!!“”」
「行こう?マイキー?」
マイキー:「おう」
工兵:「(みんな!しっかり捕まっていてくれよ!!)」
乗り込んだ工兵の放送が聞こえる中、私達はヘラクレスの固い前羽根に隠れるように背中に乗った。
他の兵士も同乗していて、10人くらいの分隊になる。
ヘラクレスは棘のある強靭な6本の脚を動かしてアメルア軍の陣地を抜けて、合流した他のヘラクレスと共に荒廃した街を走った。
私達のように群れる兵士も居れば、こうして何かしらの理由で独りになり、作戦の内容次第で合流する兵士も居る。
アモン曰く『独りになるのは理由があるが、皆何かしらの理由で兵士になってるんだ。こちらから話しかけたり詮索しない方がいいぞ』と言われた。
兵士:「お嬢ちゃんポッキー食うかい?」
「えっ」
ヘルメットの上から帯を巻いた兵士が私に棒状の菓子を差し出した。
少し困ってシードを見ると少し笑っている。
アモンは顎が機械なので遠慮するように手を振ったあと『食えばいいだろ?』と顎を指差した。
「お、俺、貰うよ。ありがとう」
マイキーが沈黙を破って数本貰って口にする。
兵士は満足そうにニヤリと笑うとヘラクレスの尻に座って外を眺めた。
街を抜け、ヘラクレスはバスターの砲撃でボコボコになった高速道路を走った。
放置された浮遊型乗用車が道路脇に密集しており、おそらく避難しようとして渋滞になって放置された後、アメルア軍の進撃の為に押し潰されるように隅に追いやられたのだろう・・。
上部のガラスは完全に無くなっており、どの車両も座席は焦げているのか真っ黒で中を伺い知る事は出来なかった。
ただ、持っていく筈だった家財道具がそのまま放置され、キャラクター物のレジャーシートやベビーカーが車から出ているのを見ると内部を目を凝らして見る気には決してならなかった。
たまに風向きが変わって湿った泥の臭いと溶けたビニールと死臭がする。
それでもまだエースよりはマシなのだけれども・・。
アモン:「””───それで、シード。この間の賭けで負けただろ?君の身の上話を聞かせてくれないか?””」
シード:「だから、記憶が無いんだ。あったらとっくに話してる」
「””分かるヤツがいるだろ。ホラッ””」
マイキー:「ああ、そうだ。ロロアなら」
「えっ!?」
気付いたら私の話になり、思わず聞き返した。
マイキー:「ロロア、頭上に兵士のプロフィールやら情報が見えるんだろ?読んでやれよ」
「えっ!?いいけど…シードの許可を貰ってないし」
私が言うと、シードは手を上げる仕草をした。
シード:「どうせ明日も生きれる保証はないんだ。それに俺が何だって明日には忘れているかもしれないしな。俺も自分の記憶が気になるし」
「ヒャッホー!」
「"ずっと気になってたんだ!皆の手札を見ながら自分だけ見せないのは無いぜ!”」
シードの許可に、マイキーとアモンが足をバタバタさせながら喜ぶ。
シードは軍服を正すと正座になり、私もシードの前にしゃがんで彼のプロフィールを見た。
クルスティア・エイラッハ(98)
出身:アメルア
アメルア軍 エース攻略隊 第2大隊所属
アステルヒル出身。
─────
マイキーとアモンは呑気に私に聞く
「""どうだ?""」
「シードの前の職業は公務員かもな!」
「シード、あなたの本当の名前はクルスティア・エイラッハ。アステルヒル出身ね!」
アモン:「“”む??アステルヒル??あそこ・・人が住めるのか??“”」
トカンッ!
シード:「敵襲だ!!」
緊張が走る。
バスターがヘラクレスに当たり、シードは正座から素早く伏せながらスパークライフルを構えた。
シード:「バグズはどこからだ!?どこから撃ってきた!?」
皆も伏せて慎重に外を見る。
『あそこだ!』
ヘラクレスがZMを捕捉し、すごい早さで大砲を向ける。
(いかん!バレた!)
(撃ち方はじめい!)
ヘラクレスの素早い方向転換に気付いたのか、ZMのヘビースパークライフルが飛んできた。
銃声からしてターナ574だろう。
「""みんな!頭あげんなよ!!""」
アモンが叫び、ヘラクレスの流線型ボディーを流れるように極太の赤いバスターが頭上を駆ける。
トンカッ!
パンッ!
と言う音と共にヘラクレスの装甲をバスターが叩き、たまにプキュン!と分光したバスターが私の太もも付近に着弾した。
『発射!!』
ドカン!ドカン!
と言う音と共にヘラクレスが振動する。
少しの時間差の後に遠くで炸裂音がして、ヘラクレスがお返しとばかりに2門のヘビースパークライフルを飛ばしてきた。
目の前でしゃがんでいたポッキーをくれた兵士が伸びをするように腕を伸ばし、身体を不気味に反らせた。
目は白眼を剥き、アーマーが赤く染まる。
「あっ!」
おそらく即死で、身体が反射的に動いているのだろう。
次のZMの砲火が来た頃には数発のバスターが兵士の身体を貫き、数回身体をビクビクと動かして、溶けるようにダラリとヘラクレスにもたれた。
『ヘビースパークライフルの沈黙を確認!!随伴歩兵よ!前へ!』
兵士達:「おう!!」
兵士達は次々とヘラクレスの身体から飛び降りるとぬかるんだ地面に着地した。
兵士:「クリア!」
先頭の兵士がスパークライフルを構えると、私達も降りる。
アモン:「“”くそ!ピクニックにしては最高なロケーションだぜ!!“”」
私達は周囲を警戒する兵士の肩を叩いて降り終わった事を知らせると、後方を警戒した。
ここはハイウェイからかなり離れた果てしない平地で、所々に繊維質化した人工樹木の残骸が雨水と土で汚泥になっていた。
進行方向には枝を失った若い人工樹木が黒く変色して直立した不気味な森を形成し、マッド師団時代の塹壕やトーチカが廃墟のように存在している。
マイキー:「なるほど、ここはずっとマット師団崩壊の時から制圧済みとなっていたんだな」
アモン:「“”だからって気を抜くなよ??あくまで軍には脅威とみなされて無かっただけだ“”」
「ああ!気をつけるよ!」
兵士:「裏切り者の娘め!」
突然、背中を叩かれて私は飛び上がって後ろを向く。
完全に無警戒の所だったので飛び上がりそうになった。
「えっ!?なに?私が何をしたと言うの?」
兵士:「俺らのデータをジャックから得て、何を企んでいる?俺らの個人情報をバグズに売り渡すつもりだろう?サイフォノイスが言ってたぜ?」
「はぁ!?急になに??」
私達のトラブルにシードが駆けつける。
シード:「おい!作戦中の個人的なトラブルは禁止されている!慎め!」
兵士:「うるさい!どうせお前もグルなんだろう!?俺ら兵士をたくみに誘導して袋の鼠にするのが魂胆なんだ!!」
『コラッ!何をしている!!塹壕のZMを殲滅せよー!!』
ヘラクレスが怒ったように蒸気を気門から吐き出すと私達に叫ぶ。
私は頭に来るとスパークライフルを構えた。
兵士:「な!やっぱりバグズの手下!!ウワー!!」
兵士がしゃがみ、私は引き金を引いた。
「ギャッ!!」
後ろで奇襲を仕掛けてきたZMに命中して吹き飛ぶ。
「ひいい!」
私はしゃがみこむ兵士にツカツカと近寄るとヘルメット越しにゲンコツして胸ぐらを掴んだ。
マイキー:「あ!おい!!その辺にしとけって」
「これで分かった!?アンタのような雑魚なんて後ろから狙わなくたっていつでも殺せるのよ!!私についてバグズの手下とか陰謀論を言っている奴らに伝えなさい!!“”バカ言ってないで戦え“”って!!!!あなたにはここがお似合いよ!」
「ウワーー!やめてくれー」
私は胸ぐらを掴んで持ち上げるとヘラクレスの背中に放り投げた!
倒れ込んだ哀れな兵士が、先に死んだ優しかった兵士の上に倒れ込む。
「ひいい!!」
「督戦隊に告発はしないでおくからそこで黙って見ていなさい!!そこで散った優しい兵士の死に様を見ながらね!!!」
シード:「そう言う事だ!戦場で背中を預けられない奴は失せるんだな!そのほうが皆の為だ!」
私が怒りの表情を隠せないでいると、アモンとマイキーが守るように立ちはだかった。
「・・アスケルの娘ってなに??」
私は腹立ちを抑えるように2人に聞いた。
「“”神話に出てくる邪神に仕えた巫女だ・・。つまり裏切り者や内通者って事だな。気分を悪くするなロロア。戦争は人を変えちまう。きっとアイツも捌け口が欲しかったんだろう“”」
「まったく。本当にクソッタレね。みんな!私がそんなに怖いなら、私の後ろにいなさい!私が先に行く!!ムーブ!!」
兵士A:「俺はロロアに賭けるぜ!」
兵士B:「ああ!」
アステロイド兵士:「俺もついていく!」
ヘビースパークライフルを砲撃されたZM達は殆どが壊滅していた。
死んだZMが覆い被さり、かろうじで動く者が最期の抵抗を続けている・・。
「く・・くそう!!」
「突破されそうだ!!」
「上様・・!!」
私達がライフルを構えてもZM達は残骸の中から使えそうな武器を探す。
味方を鼓舞し、こちらを何度も見ながら私達が撃たないのを救いとばかりに。
降伏の素振りがないので私は引き金を引いた。
「うぎゃ!!」
動けるZMの頭が吹き飛び、他のZMに覆い被さる。
「クリア!!」
私は後方で増援部隊を警戒していたヘラクレスに手を振って合図すると、金属の擦れる音と共にヘラクレスがやってくる。
ヘラクレスは様々な土砂や残骸を角で持ち上げるとZMの陣地までやってきた。
危機を察した瀕死のZM達は下半身を引き摺って逃れようとする。
そしてZM達は声にならない悲鳴をあげながらヘラクレスに土砂ごと埋め立てられてしまった。
『各小隊!前進!!』
他のヘラクレスもやってくるとそれに続き、いつしか私達は一個小隊から分隊。
そしてヘラクレスと行動を共にする強力な大隊に変化した。
兵士:「いけいけ!!」
シード:「祭りだ!!バグズを許すな!!」
ヘラクレスがバキバキと枯れた人工樹木を角で掴んで退かし、私達は嵐のように木を跨ぎながら進撃した。
ZM達はヘラクレスに動揺しアメルア兵の嵐のように降り注ぐバスターの餌食になる。
マイキーも調子づいたのか果敢だ。
シード:「コンタクト!あそこにいるぞ!」
裂けた樹木の繊維を束にしてZMの物陰が動く。
ZM達は私達の大群をみとめると、片腕に装着した先端が窄まった片腕兵器を向けてきた。
シード:「む!?あれは、ホイップだ!!気をつけろ」
「ホイップ!?」
シード:「伏せろ!2人とも!!」
私とマイキーが伏せると、トワン!!トワン!トワン!毎秒2発の独特の渇いた連射音と共に、拳大の赤い火の玉のような重い比重のバスターがバウンドするように飛んできた!
兵士:「・・っ!!当たった!」
兵士B:「大丈夫か!!」
前方にいた兵士がたまらず銃とリュックを捨て、腹を見る。
「なんだこれ!ち、ちくしょう!!ちくしょう!」
腹にバスターが当たったようで高熱の玉がアーマーに貼り付いていた。
それを見た兵士が助けようにも、緩やかにアーマーを溶かしながら、やがて白い煙をあげはじめた。
そして人体の脂肪分が焼けて焦げる臭いが死の森に充満し、兵士は苦悶と恐怖の絶叫をあげた!
「助けてくれ!!たすけっ───!!」
高熱のバスターが人体に入り込み、兵士は仰向けに倒れ、恐怖の悲鳴をあげながら吐血する。
やがて煙が消え、バスターが完全に埋没する頃には兵士は肩を動かす死戦期呼吸を始めていた。
衛生兵もこれには助けに向かう事が出来ず、高熱の玉が森を駆け回るのをただただ見ている事しかできなかった。
シード:「木の物陰に隠れろ!マイキー!頭をあげるんじゃないぞ!!」
他の兵士が折れた巨木に隠れるも、重いバスターは放物線を描きながら兵士の背中を砕き、ヘラクレスもバスターを見るとたじろぎ、砲撃をするために脚を踏ん張るのを躊躇った。
『畜生・・!!ホイップはヘラクレスの装甲では受け流せない!!どうにかして突破口を作ってくれ!!』
ヘラクレスの腹にホイップのバスターが入り込み、赤い閃光と煙が立つ。
『あちち!!』
ヘラクレスはジタバタと脚を動かすと慌てて退避する。
ZMの”タコツボ”はすり鉢の絶妙な窪みの中心に掘られており、構造上角の上にあるヘラクレスの兵器では2門の大砲や機関砲を使う事が出来なかった。
ZMの方を狙おうとするも、バスターがバウンドしながらこちらに飛んできて、私達は地面に頭をつけるように必死にバウンドを交わすのが精一杯だった。
アモン:「“”畜生!サーダ将軍のホイップクリームめ!!“”」
シード:「共民主義の兵器がなぜここに!?これじゃあ動けない!!」
マイキー:「援護射撃をしようにもバウンドして飛んで来るんじゃあな・・!!」
何か突破口を探さないと…!
私は地面に頭をつけながら次にバスターが飛んでくる確率を計算した。
そうだ!
「そこのアナタ!アナタよ!」
私は、私達から離れた所でしゃがんでいる兵士に呼びかけた。
前戦でやられている兵士を目の当たりにして、すっかり動けないでいるようだ。
兵士:「はぁ!?俺かぁ!?」
「そうよ!!援護射撃をしてZMの注意をひきなさい!」
兵士:「じょ、冗談じゃない!そんな事をしたらこっちに玉が飛んでくるだろ!」
シード:「ロロアの言う通りにやれ!このままじゃ全滅するぞ!」
「私を信じて少しの間、気を引いて!!必ずやっつけるから!」
マイキーは地面の土を巻き上げんばかりの荒い息をしながら顔を上げて兵士の所に向かおうか迷う。
「マイキーは私の手伝いをしなさい!!変な事考えないで!」
マイキー:「おう!!・・でも、、俺は一体何をするんだ!?」
「私のために手榴弾の安全ピンを抜いて!」
「でも、ここからじゃ届かないだろ!?」
「マイキーがとどかなくても私なら届く!!アナタも分かった!?」
兵士:「や、やってやるか!」
兵士は引ける足腰を叩いて奮い立たせながらヘルメットの緒を締め直して叫んだ!
兵士:「カバー!!!!」
数名の兵士達が賛同し、3点バーストの嵐が地面スレスレを駆け抜ける。
それに驚いたZMの声が聞こえる。
(撃ってきたぞ!)
(攻撃浴びせたれ!)
トワン!トワン!
ZMの注意がそれ、不気味な火の玉が向こう側の木々を駆ける。
私はマイキーのヘルメットを叩くと叫んだ。
「今よマイキー!!あそこの地点まで前進!」
「は?マジかよ!届くんじゃないのかよ!」
「念には念をだよ!行こう!」
シード:「俺らは待機!!ホイップの注意をこっちに向けさせるんだ!」
「マイキーもっと早く走りなさいよ!まだ60年前のモデムの方が早い!」
私はマイキーの首を掴むと強引に白い煙の森の中を走った。
私の瞳には手榴弾投てきの有効範囲が映し出される。
そして適当な所で伏せるとマイキーがちゃんと伏せているか確認した。
「・・マイキ・静かに」
そして何かの気配がしてマイキーの頭を抱きしめる。
(煙で何も見えね!撃ちすぎたか!)
(ペケポーの声が聞こえね!いなくなっただか?)
(回り込む気かもしれん!)
煙の向こうではZMの会話が聞こえ、タコツボから身を乗り出した頭の影が探索用のレーザーを照射しているのが見えた。
レーザーは赤外線なので人間は見る事はできない。
ZM達はこまめに頭を出してレーザーを出し、瞬時に座標を割り出して盲撃ちをしていたのだ。
まさか私達がここまで迫ってくるとは考えもしていないのだろう。
マイキーが私の肩を叩き、引き金を引くハンドサインをする。
確かにここからなら身を乗り出してスパークライフルで仕留められるかもしれない。
しかし、ただでさえ用意周到のZMだ。きっと地雷が仕掛けられているかもしれない。
私は首を横に振ると、手で椀を作って下に伏せ"隠れていろ"とゼスチャーをする。
そして手のひらをグーパーさせて手榴弾を渡すように促した。
(5秒でセットして?)
手で『5』をつくり捻るジェスチャーをすると、マイキーが頷き、手榴弾の先端を捻る。
金属製の円筒の手榴弾は捻られることでカウントダウンが始まり、小さな電子音とランプが点いた。
私は手榴弾を受け取ると上半身を晒すように大きく振りかぶって投てきした。
パッッカンッ!!
と言う破裂する音と共に閃光が走り、“タコツボ”内部から上にかけて光線が弾けた。
「ギャーーーー!!」
「ウワッ!?ウワァーー!!」
ZM達の絶叫が聞こえ命中した事を知る。
(次!!)
私は容赦なく次の手榴弾を投げる。
パッカンッ!!
「ギャーーーー!!」
死に損なったZMがタコツボから飛び出し、仕掛けられた地雷を踏んでメチャクチャになる。
私達の方にZMの破片が飛び、私はマイキーの肩を叩くとタコツボに突撃した。
「ちくしょう!!ペケポー(アメルア軍の蔑称)め!!ギャア!!」
ZMが最後の捨て台詞を吐いて、胸を撃たれる。
マイキーもスパークピストルで瀕死のZMの頭を撃ち抜き、トドメを刺した。
「よく当てたね!」
「こんな至近距離で外すかよ!」
「クリア!!」
私がシードに手を振る。
シード:「クリアだ!全部隊!前進!!」
ヘラクレスがタコツボを埋め立て、兵士達がその上を駆けた。
ホイップを装備したZMが全滅すると、いよいよ敗戦が濃厚になったのか押し破られるZMが増えた。
兵士達の士気が高まり、私の存在を否定していた兵士や怖気付いて動けずにいた兵士も手のひらを返したように前線を駆け抜けた。
─────
「ばふぅ!ぶっ!!」
私は巨大な滝から流れる激流で煤汚れた顔を流した。
流れる滝の勢いは凄まじく、白く噴き出た水は触っただけでも手を持っていかれそうだ。
マイキー:「これは助かるな。俺もやろう」
マイキーも圧縮タオルを私にくれると、スパークライフルを置いて水を呑み、顔と首を洗う。
「ありがとう!」
私が顔を拭き、マイキーに渡す。
マイキー:「ふぅ、気持ちいいや。まだバグズが居るかもしれないが、これほど味方がいてくれるんだ。ひとまず安全だろう」
するとシードとアモンが駆け寄るのが見えた。
シード:「2人とも無事か!」
アモン:「“”ここら辺はクリアだ。じきにDADAも到着するらしい“”」
「DADA??」
アモン:「“”ビーム放射器を装備した兵士だよ。一帯を炭化するまで焼き尽くす。ヘラクレスよりも機動力があって高火力だ。穴に隠れていても無駄だ。それは一時の生きる時間が伸びたにすぎない“”」
マイキー:「それ、映画のセリフじゃないか」
ゴォウと言う音がして、2つのタンクを背負った兵士が歩いているのが見えた。
撃破されたZMや攻略された陣地に太いチューブで繋がれた放射器を向け、熱した鉄の棒のようなオレンジに輝く重みのある棒状のビームを放射した。
ビームは自重で着地すると激しく燃え上がり、仕掛けられた地雷や手榴弾が爆発し、DADAを装備した兵士が頭を竦めた。
「・・アメルアって凄いね。どんな強敵がいてもすぐに問題に対処した兵器や兵士がやってくる」
シード:「伊達にアルムシュアを戦っていないからな!」
「シード、あなたもアルムシュアの戦いに参加したの?」
シード:「・・ん?ああ。何回目だか忘れたが補給部隊だったと思う」
「それが…思い出せる最古の記憶?」
シード:「・・ああ」
マイキー:「どう言う事だ?」
アモン:「・・・!」
アモンは察したのか目を見開いた。
アモン:「"こいつはたまげた・・。そうしたらシードは・・"」
「うん。シードは記憶を消されたんじゃない。無いんだよ。あなたはアルムシュアの戦い時に作られた『光の戦士』。戦争経済が創り出した戦闘用クローンなのよ」
シード:「まさか・・俺が・・!!」
アモン:「“”なるほどな。アステルヒルなのも納得が行く。アステルヒルはアメルアの国防施設だ。そこが出身と言うのはおかしいもんな。しっかしこうしてお目にかかるなんてな!長生きもしてみるもんだぜ!!“”」
「他にも居るの??『光の戦士』」
アモン:「“”いや。50年前にクローンの兵士の使用は禁止になったんだ。『マーデターの反乱』と言うのがあってな。クローンがアメルアに反旗を翻したんだ“”」
シード:「ああ。覚えてる。マーデターが俺の事をブラザーって言ってたな。
“ブラザー、俺の為に戦ってくれ。小さな箱(アステルヒルの事)に飼われたくないだろ?”って、まさか自分がクローンだなんて夢にも思って無かったから聞き流していたが…まさか本格的な内戦になるとは思わなかった…」
マイキー:「と言うか、シードは一体何歳なんだ?」
「データだと98歳になってる。98年間クレジットを使って身体を変え、戦場を駆けていたのね…」
「””おかしいだろ。98年間も除隊できなかったのか・・!?””」
「シード、分かるわね?」
私は腕組みしてシードに聞いた。
シード:「マーデターに負けたんだ。賭け事でな」
アモン:「””は!?””」
マイキー:「借金してんのか!?」
シード:「ああ。あの頃はギャンブルが流行ってな。今も分割で払ってる」
「あと何年残ってるの?」
シード:「負傷して身体もちょくちょく治してるから滞る事もあるが…まぁ、あと1年くらいかな」
アモン「“”マーデターはとっくの昔に死んだだろ??“”」
シード:「ダルチを主催しているのはアメルアを裏で牛耳る軍事カルテルだ・・そこから借りてマーデターに先に支払ってしまったんだ」
アモン「“”よりにもよって一番タチの悪いところから借りちまったのか・・“”」
シード:「ああ・・バカだよな」
マイキー:「俺もダルチをやる時、気をつけよ」
「賭け事なんでしょ?マイキーはツイてなさそうだから、そもそもやっちゃ駄目よ。辞めなさい」
私がマイキーに注意していると通信兵が走ってきた。
休憩している兵士に何かを呼びかけている。
通信兵:「緊急クエストだ!緊急クエスト!!」
通信兵が兵士達に呼びかけ、徴収が始まる。
明らかに兵士の目が変わりやる気に満ちているようだ。
シード:「どんなクエストだ??」
通信兵:「近くにバグズのキリカルテの入り口を見つけた!どうも、造りが違うようでネームドのエネルギー反応。そしてエネルギーコアの反応を確認した!」
「エネルギーコア!?」
アモン「””ほぉ!エネルギーコア!こりゃ、見つけ甲斐があるな!””」
アモンもいつになく、やる気を見せる。
「そんなすごいモノなの?」
「””そりゃ凄いモンだよ!貴重すぎて並の兵士は狙わないシロモノだ!あまりにもハイリスクだからな!””」
「売ったら一生暮らせる?」
「””一生は無理だが、一目は置かれるだろうな!エネルギーコアは自発的に動ける動力源なんだ。それだけ
高エネルギーでガードロボのディフェンスも高い””
」
「ふぅん。シードの借金も返せる??」
私がアモンに聞くと、シードは言う。
「ロロア、俺はいいよ。それよりマイキーや、アモンに使ってくれ」
「””まぁ、取ったら考えようぜ?ロロアでもこれは無理だろうからな””」
「そうね」
私は頷いた。
─────
『お前達は包囲されている!!直ちに武器を棄て、降伏せよ!!』
ヘラクレスや兵士達がキリカルテの入り口を包囲していた。
入り口には輸送型メカニロボのステゴサウルスが横向きに倒され、捻り鉢巻と白襷をしたZM達が陣地を築いて抵抗をしていた。
「誰が降伏するか!!おんどれ!! 」
ZMがヘビースパークライフルを撃つ。
「バスターが飛んで来るぞ!!」
「降伏の意識は無い!!」
アメルア兵がバスターが飛んでこない場所まで退避し、ZM達の抵抗が始まった。
ZM:「上様の願い成就の為、マット師団の任務遂行の為に!!俺らは降伏を拒否する!!最後の1兵となるまで!!!!!」
「うがぁ!!」
アメルア兵の頭を撃ち抜き、吹き飛ぶ。
ZMの使用するヘビースパークライフルの一種である『プレーナ』は小口径でありながら貫通性能、連射性能があった。
その貫通性能はパワードスーツやアメルア兵の盾、そしてヘルメットの装甲すらも容易に破壊するものだった。
シード:「相手の兵器はプレーナが2機!!頭を出すなよ!!!!地面ごと貫通してくるぞ!!」
マイキー:「ひいい!!!」
アモン:「DADAはどうした!?」
通信兵:「DADAのタンクは脆いので来てくれませんよ!ヘラクレスの要請をお願いしてみます!!」
アモン:「“ヘラクレスが来たら他の増援もくるだろう!!お宝が奪われるぞ!!”“」
「ここへ来てエネルギーコアの心配!?」
私はアモンの発言に呆れる。
アメルア兵と言うのは、つくづく私欲とお金に満ちた人達だ・・!!
「ぎゃあ!!!」
「ウワーー!!」
兵士の伏せていた地面が抉れ、プレーナの猛烈なバスターの餌食になる。
吹き飛んだ兵士のヘルメットの破片が飛んできて、内側に忍ばせていた家族の写真が私の前にハラリと落ちた。
きっとこの死んだ兵士も何かの夢があって兵士になったのだろう。
そうだ・・!私はシードに戦争の無い自由の世界を、マイキーに閉鎖的なコーディアスには無い世の中を、アモンにはフィアンセとの幸せを見せてあげたい・・!
「こうなったら!!やるしかない!!」
私がスパークライフルをマイキーに預けると腕をバスターに切り替えて連射する。
「ロロアバスター!!」
毎分900発のバスターがZMに襲いかかる。
バスターは土煙りを巻き上げ、ステゴザウルスに命中する。
『ロロアちゃん!聴こえる!?』
「久しぶりね!テリンコさん!」
『久しぶりでも無いわ!ずっとモニタリングはしていたからね!ロロアちゃん、運搬用メカニロボのステゴサウルスは厳しいフォレストパークの大自然でも長年運用できるボディーなの!!例え貧弱な頭を吹き飛ばされても剛性はそのままよ!』
「ポイズンバレットなら使える??」
『装甲は貫通するけど、ステゴザウルスの体内に留まるだけかもしれない。
それにロロアちゃん!よく聞いて。サイフォノイスを見たでしょ!?アメルア兵は同盟国ではあるけど味方では無いの!あなたの身体は、言わば軍事機密の塊で手の内を見せるのは外交問題に発展する事もあるの・・!』
「・・・くっ!」
『とりあえず今は、アメルアの軍事力を信じなさい!』
「おのれ!!なんぼのもんじゃい!!」
ZMが私の方に向き直ってプレーナを撃つ。
私は素早く隠れ、寸前でプレーナのバスターが頭上を飛ぶ。
私は頭のサーキレットを手で支えると叫んだ!
「ダメ!!ステゴサウルスが邪魔してバスターが貫通しない!!」
シード:「ロロア、みんな!!プレーナは弾板を連結させて射撃している!!弾板の途切れる一瞬を狙え!!」
アモン:「“”しかしシード!!そのための2機だろう!!弾が切れた所で次のプレーナが撃ってくるぞ!狙えるかよ!!“”」
シード:「だから放火を集中させるんだ!!俺たちは!?」
マイキー:「ウーーーアーーー!!!!神に選ばれし光の戦士!!!」
兵士:「ウーーーアーーー!!!!」
シード:「そうだ!そろそろだぞ!!行くぞ!!」
2機のプレーナの音が止み、ZM達が慌てる。
アメルア兵を見て血気立ったZM達はお互いをカバーし合う筈の2機のプレーナを同時に使ってしまったのだ。
ZM射撃手:「弾が切れた!!装填手!何をしているか!!」
ZM装填手:「すいやせん!!今新しいの装填しやすんで!!」
ZMの装填手が慌てて弾薬箱から弾板を取り出す。
しかし、もしもの為にと開け放たれた弾薬箱には泥がおもいきり被っていた。
ZM射撃手:「バカもん!!蓋を開けっぱなしにするなとあれほど言っただろ!!弾板に泥が付着しているではないか!!プレーナは精密なんだ!!弾が詰まるだろうが!!」
ZMの装填手が慌てて付属のブラシで泥を拭う。
ZM射撃手:「いいから、はやく装填しろ!!」
ZM射撃手A:「こっちも動かなくなったぞ!!」
ZM装填手A:「弾板が焼きついちまった!!」
ZM達はあからさまに声をパニックになって更に手こずり、私たちは飛び出した。
シード:「今だ!!突撃!!!!クレジットの稼ぎどきだぁ!!」
兵士達:「ウォオオ!!」
兵士達が鬨の声を出しながら飛びかかり、ステゴザウルスに身を乗り出すとプレーナを操作していたZM達を吹き飛ばした!
「ホワーーー!」
マイキー:「くらえ!」
マイキーもバスターを当て、ZMが火花を出しながら吹き飛ぶ!
アモン:「“”一気に攻めるぞ!!バグズの動揺を逃すな!!“”」
兵士:「行くぞ!!」
陣地に居た他のZM達もアメルア兵の勇猛さに押される形で次々と倒されて行き、潜伏していたZM達も駆けつけたと同時に待ち構えていたアメルア兵達に撃破されていった。
アメルア兵達のヘルメットにはバイザーが付いていてAIが戦術的に有効な場所を指示し、見事な十字砲火の連携が、駆けつけたZMの迎撃を可能にしているのだ。
ZM:「私も行かねば・・!!グワァ!!」
ZM:「仲間と最期を共にーー!!ギャア!」
駆けつけた最後のZMが頭を撃ち抜かれ、地面に突っ伏す。
兵士:「このバグズが!!死ねい!!」
誤射による怪我人は出たもののアメルア兵の勝利に終わった。
シード:「キリカルテ前をクリア!!キリカルテ前をクリア!バグズの兵力の主力を倒したぞ!」
マイキー:「おーー!!」
兵士A:「やったぞ…!我々の勝利だ!シードが居ると心強いな!」
兵士B:「シードはツイるからな!」
兵士達が手を叩き合い健闘を称え合う。
マイキー:「ロロアもよく頑張ったな!」
マイキーも私の肩を叩く。
私の方が様々な戦場でZMを倒したのだ、少しプライドが傷つく。
「『も』って何よ?私なんてまだ本気すら出してないんだからね!」
マイキー:「わりぃ!」
───!!!────
「・・・!!」
その時だ!
マイキーが笑う後ろのジャングルに不思議な物陰を確認した。
「マイキー!伏せて!」
「えっ!?おわっ!」
マイキーを左腕で倒すと、マイキーの肩を銃座にしてライフルを構えた。
他の兵士達も素早く転回してしゃがみ込み、ライフルを森に向ける。
「だれ!?我々はアメルア軍よ!!出てきなさい!!」
他の兵士達も目を細め、何が居るのか見極めようとして照準がぶれる。
「ピーーガガガ……」
すると古めかしい電子音と共に、幹が残った腐敗した森の中から苔むした鉤鼻の旧式のメカニロボが複数出てきた。
皆、無骨で細い外骨格の巨大な身体を猫背にし、苔や泥の蓄積したボロ布には僅かに美しい刺繍の痕跡があった。
腕や指には金の宝飾品が光り、ガラクタに宝石が付いたものを杖にしている者もいた。
アモン:「””なんだ・・?コイツら!?」
通信兵:「たくさんいます…!!確認できるだけで20体はいます!囲まれている!」
マイキー:「ロロア、俺にも見せてくれよ!」
シード:「パキア族か!!みんなライフルを下げろ!敵じゃ無い!!」
「えっ!?」
シードがライフルを置くと、ステゴサウルスを飛び越えてパキア族の中でも長い羽根の頭飾りを付けたロボに駆け寄る。
そして人差し指を頭の近くまであげると
「イーーキー」と言って挨拶した。
「「「「イーーーキーーー」」」」
他のパキア族も挨拶をし、まるで地鳴りのように深い音がこだました。
マイキーが好奇心で動こうとするので、私は大人しく銃座をやれと頭を叩いた。
シード:「パキア族の族長よ。我々は敵ではありません。大地の調和、月の調和を目指す者。この地に居るZMを私達は叩きに来たのです」
「うむ。我、枯れた大地を掘り起こし、大地の神マモーに誓って命続く限り種を植える者。どちらの味方でもない。我、予言に従い、見に来た…」
シード:「は。何を…?」
パキア族は私の方を向くと、細く刻まれただけの目で私を見た
「・・・そこに居るのは…””アカナの赤い瞳””」
シード:「ロロアの事か?ロロア、ライフルを下げなさい。みんなもだ!出来るだけ先住民とイザコザはしたくない!彼らは大丈夫だ」
兵士達がライフルを降ろし、私はシードに促されるとパキア族の族長の前にやってきた。
族長は首にたくさんの“ガラクタ”を下げていて、何かの樹脂を熱してわざと甘い匂いを発していた。
とにかく不気味で気持ち悪く、そのプログラムに無いような不可解な雰囲気に、私はすっかり引いてしまった。
「こ、こんにちは。」
とりあえず挨拶をしてみる。
すると族長はポカンと首を傾げてシードを見た。
シード:「ロロア…!イーキーだ」
「イ、、イーキー!?」
私も例に習ってパキア族の挨拶をする。
「「「イーーーキーーー」」」
「ホワワワワン!アイッアイッアイッ!」
「アイヤッ!アイッアイッアイッ!」
私が挨拶すると森から複数の挨拶と奇声が聞こえた。
何が嬉しいのかダンスが始まり、とりあえず敵対はしていないと分かった。
「どうして私を『アカナの赤い瞳』って言うの?」
私が聞くと族長が言った。
「時が来ればじきに分かる。神話は繰り返されるのだ。その根拠に、人間、私達を『デルマ人』と呼ぶ。
かつて神々が人間を造って地球に住まわせた時、その初めての人間を『デルマ人』と言ったように。人間が私達を造って『デルマ人』とした時、マザーアカナの赤い瞳、神々の前に現れた。つまりお前の事』」
「それで、どうして私が『アカナの赤い瞳』になるの?」
「それは・・運命なのだ。大いなるアカナの赤い瞳。じきにわかる。決断が来ると」
族長は私の手を握ると踵を返した。
「それを・・伝えにきたの??」
パキア族の群れは影となって移動する。
どれほどの群れか分からないが、かなりの個体数のようだ。
しかし私達の火力なら簡単に黙らせることも可能だろう。
それは私のみならず好戦的な兵士なら少しばかり脳裏を過った筈だ。
しかしまるでこの荒廃した森全てを敵に回してしまうような、そんな漠然とした危険さを孕んでいた。
沈黙。
マイキーが汗を拭い、唾を呑む音が聞こえる。
通信兵:「音声反応の沈黙を確認・・。クリアだ」
フゥーーーーー
兵士達から緊張の糸が解れるのが聞こえる。
アモン:「“”汗かいちまった・・。一体全体、なんなんだアイツらは・・“”」
シード:「デルマ人と呼ばれている旧式のメカニロボさ。約100年前に、ピット(この世界を形成している資材)の作りすぎで二酸化炭素が減ってこの星が住めなくなった事があったみたいでな・・。その昔の人間が『月の天宮』という衛星に住んで、ロボットをこの星で活動させて植林させていたらしい・・イーキーと言って指さす先は『月の天宮』と言う事さ」
マイキー:「他にも居たのか?」
シード:「ああ。17億体は居たらしい。この星にセルロースの人工樹木に変えられ、樹木の“棚田”が出来たと言う」
「17億体もいたの!?それほどの数のメカニロボが、、このフォレストパークにしかいないの?」
シード:「ああ。まだいる事に驚いたがな・・」
「なんでそこまで減ってしまったの?」
シード:「マーデターの最初の任務がデルマ人から世界を取り戻す事だったんだ」
アモン:「“”デルマ人のくだりは世界史の授業で習う筈だぞロロア?“”」
アモンの言葉に私はムスッとして睨んだ。
「他の子は学校に行っていたかもしれないけど・・私はずっと戦ってたもん!授業そっちのけでね!」
アモン:「“”スマン、ロロア“”」
「・・パキア族もいなくなったことだし、キリカルテを攻略しましょうか」
マイキー:「おう!」
兵士:「そうだ!お宝が待ってる・・!」
兵士A:「ははははは・・!」
「私がポイントマンをするから、みんなついてきて?」
マイキー:「おう!」
私達はZMの潜むキリカルテに侵入したのだった。




