スティンガー・アリゲイツ戦
ロロアのフォレストパーク攻略が続く。
父のカインとの確執。
マイキー。
そして、牙をむくアステロイド。
ロロアは混沌の中、新しいパーツを得る。
ドボン!!!!
と言う物凄い音と共に私の身体が浸かった。
水とは違うとろみのある水。
幸か不幸かそれに救われて衝撃はほとんど無かった。
「ぶえあはっ!!コホッ!コホッ」
浮上し、オイルを吐く。
あまりにもそれが気持ち悪くて咳き込んだ。
「な、何よここ!?」
浮上した瞬間、電源が近いことに驚く。
おそらく20メートルはあるであろう巨大なドックが、今では天井が4メートル先に迫っている。
足下に当たるのは浸かった車だろう。
ところどころに工具や袋。
メンテナンス用のアステロイドが浮いていて、兵士達がそれに掴まって手を振っていた。
兵士A:「ようこそお嬢ちゃん!」
兵士C:「会えて嬉しいぜ!!最高だろ??」
「まったくもって、会えて嬉しいわ!忠告したのに、あなた達のせいで最高な気分よ!」
兵士A・C「はははははは!!」
兵士A:「皮肉を言うようになったかお嬢ちゃん!」
「あなた達の喋り方が移ったわ!急いでここから出るよ?」
私は呆れながら広大なドックを泳いだ。
とりあえず現状を確認して、脱出ルートを探さなければ・・。
兵士C:「とにかく金めの物を探そう!」
「まだ探すの??」
兵士A:「元をとらないとな!!」
すると、胸に柔らかい何かが当たる。
「・・・ん?何これ?」
私はそれをザブンと両手で掬い上げた。
「・・・あっ!!」
兵士A:「おい!!マジかよ!!!!」
それは肩から上のアメルア兵の死体だった。
よく見ると他も所々に衣類の一部が見え隠れしていて、それが兵士達であると確認できた。
兵士C:「おいおいおいおい!!!そこら辺にあるぞ!!ここにも!!あれも!!」
兵士A:「ここはアメルア兵の墓場だ!!!!俺らは罠にはまったんだ!!」
ザバン!!
兵士A:「なんだ!?」
何かの視線を感じ、奥の方で何かが着水する音がする。
水深のうねりが水面に現れる。
何かが泳いで兵士Aに向かって来ていた!
「何かが来るーー!!!」
兵士A:「おいおいおいおい!!なんで俺なんだ!冗談じゃねえぞ!!」
私は肩にかけていたスパークライフルを構えて引き金を引いた。
「え!!動かない!!」
だが、オイルに塗れたライフルは動かず、シリンダーを叩いた!
兵士C:「ちくしょう!このポンコツ!!」
兵士Cもライフルを怒りに任せて叩く。
スパークピストルも同様で、引き金を引いてもスライドを動かしても動かなかった。
「ダメ!動かない!!」
兵士A:「それは良かった!」
「よくないじゃない!!」
兵士A:「うわーーーー!!!!」
水面から巨大な口が出てきて兵士Aの腕に噛み付く!
「アリゲイツ!!」
頭がワニで身体が人型の分厚い外骨格を鱗のようにつけた大男だった!
「アリゲイツ!!離しなさい!!」
私は咄嗟にアリゲイツの背中に飛びかかり、頬にパンチする。
「グオオオオ!!」
アリゲイツは兵士Cを突き飛ばし、兵士Aを噛みついたまま投げ飛ばすと、私を背中に乗せたまま潜水を始めた!
「ぐう!」
深くなるにつれて身体に圧がかかり、 本来あったであろう地面にお尻が付いた。
アリゲイツは回転しながら振り解こうとし、私は腕を廻すと全身全霊を込めて締め上げた。
ゴキゴキゴキパキュンッッ・・。
と言う音と共にアリゲイツの首の装甲が壊れ始める。
アリゲイツもその不気味な音に気づいたのか抵抗を激しくし、思い切り急浮上した。
「ぶっは!!がはあ!」
私は投げ出され、壁に激突すると工具が入っていた棚に腰をかける形になって倒れ込んだ。
「グォオオオオ!!!ガァアアアアーーー!!!」
アリゲイツが背を向けると尻尾をあげ、強烈な振り下ろしの攻撃をしてくる!
ズシン!!
と言う衝撃波を伴った尾が私の身体を打ち据える。
「げはっ!!ごはっ!!!」
強靭な鱗の尾の一撃は凄まじく、私の瞳にノイズが入る!
次の一撃!
「ゴホッ!!」
口から電解液を出し私は必死になってチャンスを伺った。
兵士A:「ロロアーーー!!!!!」
ギュルッ
ギュルルルル!!
不意に音と渦巻きができる。
アリゲイツがそれに気を取られた瞬間、力が抜けたまま振り下ろされた尻尾を掴み、隠し持っていたアトムナイフで右脇腹を思い切り突き刺した!
「グオオオオオオ!!!!」
「させるか!!」
私は尻尾をロックしてアリゲイツを動けなくすると、右足でアトムナイフを何度も蹴飛ばした!
オイルのプールが何らかの形で抜かれてゆき、みるみううちに天井が遠くなってゆく。
私は逃してなるものかと尻尾を掴んで捻り上げると、アリゲイツは激痛に悲鳴をあげながら必死に水面を掻いて逃げようとした。
ドガァ!!!
と言う物凄い音がしてゲートがこじ開けられ、強靭な角が水の奥で突き出ているのがわかる。
兵士A:「助かった!!ヘラクレスが外からこじ開けてくれてるぞ!!」
兵士C:「ロロアがんばれ!!みんなの仇を取れ!!やっちまえ!!」
「ウおおおおお!!!!」
アリゲイツはアトムナイフを決死の思いで引き抜くと、ゴツゴツした腕を振り下ろした。
「いたい!!」
肩がはずれそうになり、オイルが抜かれたおかげで足が地面に付くと、その反動で強力なアッパーをアリゲイツの顎に当てた。
牙が数本折れ、口から泡を吐く。
アリゲイツの左フックも交わすも尻尾が当たって吹き飛び。
アリゲイツは勝てないと判断したのか、倒れた私の隙をついて、露出した通風口を口で破壊し、何とか身体を捩って逃げ出そうとした。
「ま、待て!!逃がさないぞ!!!」
私は尻尾を掴むと捻りあげ、右手でチョップしたとたん、勢い余って斬り落としてしまった。
「これあげる!!」
兵士A:「うわぁ!!気持ち悪い!!」
私は、まだ動いている尻尾を兵士に投げると通風口から逃げ出そうとするアリゲイツを引っ張り出し、回し蹴りをした。
「グワアアアアア!!!」
アリゲイツが吹き飛び、負けじと大きな口を開けて、牙の形をした小型爆弾を飛ばす。
私はそれを咄嗟にしゃがんで交わすと大声を出した!
「みんなぁああ!!!!お願い!!!!」
兵士:「「ウーーーーアーーーー!!!!!」」
ヘラクレスが開けたハッチからアメルア軍が突入し、怒涛の一斉射撃が始まった!
シード:「バスターで牽制しろ!!」
老兵:「撃て!!撃ちまくるんだ!!!!」
アリゲイツは降り注ぐバスターの雨で腕が吹き飛び、脚が破裂した!!
「グワァアアアア!!グワァアアアアーーー!!」
アリゲイツは叫びながら七転八倒に転げ周り、その身体にバスターが降り注いだ!
そして激痛のあまりそり返ると、胸をおさえて倒れ込んでしまった!
兵士C:「や・・やったか・・!?」
私は息を弾ませながらアリゲイツを見た。
他の兵士が駆け寄り、アリゲイツを確認する。
兵士「アリゲイツの沈黙を確認!!!!繰り返す!!アリゲイツの沈黙を確認!!!」
マイキー:「うおら!!このバグズめ!!思い知ったか!!」
マイキーがアリゲイツを蹴飛ばし周りの兵士がそれを笑顔で見る。
老兵:「素晴らしい活躍だロロア!」
兵士C:「俺はこの目でしっかりと見たぜ!!この子は俺ら10人分の力がある!」
兵士A:「種も仕掛けもなくな!!誰だ?カイン博士から特殊な武器を貰ってるって言った奴は!!」
兵士:「ロロアにある熱いハートが勝利を道びたのだ!」
兵士達が称賛し、私は控えめにみんなの声援に応える。
みんなウィングのように血生臭く戦いに飢えているようだった。
シード:「大丈夫か??ロロア。少し休むか??」
「ん・・」
私はシードを見た。
シードは青い瞳で私を見る。
「シード、どうかアリゲイツを手厚く葬って」
シード:「・・分かった。約束しよう」
「私はこのまま進軍する」
マイキー:「少し休んでけよ!」
ドン!パパパッ!
街の何処かで戦闘の音がして、私はマイキーに振り返る。
「まだ、こうして他の部隊が戦闘し、メルヴィアの大地が燃えているの。ジッとなんかしていられない・・!!」
マイキー:「手ぶらでか!?」
私は全身を見た。
オイルで汚れた装備。
スパークライフルも使えるか怪しい。
「じゃあ・・ちょっとメンテナンスするよ」
兵士達は進軍する者、ベースに戻る者で散り散りになる。
兵士Aが負傷した腕を押さえながら私に挨拶する。
アリゲイツに大きく噛まれ、鎮痛剤の薬液を打たれている。
兵A:「ありがとうなロロア。すこしクレジットを稼ぐのに盲目になりすぎた…」
「気をつけて。その腕はどうなるの??」
兵士A:「またクレジットを消費することにはなるが…新しい腕に交換するよ」
「えっ!?新しい腕!?」
まるで部品を交換するような言い方で驚く。
「まさかロボットの腕にするの??」
兵士A:「まさか(笑)アメルア軍はクレジットさえ払えば、医療は手厚いんだ。俺の培養した身体がベースにあるはずだ。そこで適合手術をする。3日無駄にするが直ぐに戻ってこれるよ」
「パパ・・カイン博士の医療用アームは使わないの??」
兵士A:「そんなの旧世代のテクノロジーさ!自分の身体に“異物”を装着するなんて気持ち悪いしリハビリもある。確かに自分以上の力は発揮できるが、一介の兵士の俺には必要ないね」
「ふーん」
時代は刻一刻と変わるものらしい。
兵士A:「ちなみに俺は5回変えたぜ??当たりどころがよければ何度も復活できる!まさに超人だろ??」
「それはすごいわ。私よりコストがかからないかも・・」
私は自分の手を見た。
もしかしたら私も、昔の型落ちなのかもしれない。
兵士A:救急車が来たから俺は行くわ。達者でなロロア!武運を祈るぜ」
「ありがとう。あなたも無理しないように」
私はマイキーと目を合わせると眉をあげ、水道管が破裂してシャワーになっているところで身体を洗うことにした。
『…ロロアちゃん。…ロロアちゃん。聞こえますか!?』
「あっ!!」
そこで私はテリンコがずっと呼びかけていた事に気がついた。
私は慌てて水道管に隠れて通信を受け取る。
「ごめんなさいテリンコさん!!」
『もう!通信を遮断していたから心配していたわ!!パパが怒ってるよ!』
「パパなんて無視でいいよ。早速アステロイドを撃破したわ。まだヤタガラス隊の事は聞けてない」
『了解。セーブしておくね』
「アメルア軍の信頼の為にも、バスターと通信は控えているの」
『それは良い選択だわ。でも命は大切よ。危なくなったらバスターは使ってね』
「うん」
『あと・・カイン博士から贈り物があるわ』
「なに??」
『そこの隅に行って??』
私はアメルア軍から隠れるように廃墟となった通路にすすむと、瓦礫の間に突き刺さった円盤上の物を発見した。
「・・何これ?」
『開けてみて』
私が来ると、円盤が開き、巨大なカプセルになった。
そのカプセルの間からパパがホログラムとして登場した。
ホログラムでもわかるくらい顔がやつれており、私からの通信が途絶えている間、本当に心配していたのだろうと察した。
「パパ!!」
カイン:『ロロアちゃんすまない・・いろいろロロアちゃんをサポートするアイテムを渡したかったのだが、君との関係を復旧することなく出撃させてしまった事を許してほしい・・』
「それで・・何のよう??」
カイン:『このカプセルにはロロアちゃんに役にたつフットパーツが入っている。ロロアちゃんが必要としないなら破棄しても構わない。ただ・・僕は君との関係性の改善を求めている・・どうか生き残ってもらうためにも・・活用してほしい・・』
パパは深々とお辞儀をするとホログラムが消え、何もない空間のみが残った。
『これはロロアちゃんに任せるわ・・でも私からもお願い。強化パーツを受け取って・・?きっと役にたつはずよ』
「・・・・」
私はテリンコに促され渋々内部に入ることにした。
ウィーーーンガシャン!!
ドシャ!!
カプセルが瞬時に閉まり、強力なスパークと共に私の身体を洗浄した!
そして!
両足が輝き、足の底にブースターの穴がついたフットパーツが私の足に付いていた!
カキーン!
フットパーツが輝き、私も自然とポーズをとる。
そして自動的にジャンプし、地上から3センチほど離れた空中を10キロのスピードでホバリングした。
「すごい!」
『特殊な重力コントロールパーツが付いているわ。他にも2段ジャンプが可能よ。これで水の上や棘の上、地雷原の上も移動ができる!』
「ありがとう…パパにも伝えて??」
『必ず伝えるわ』
「ゴホン」
「あ、マイキー」
見るとマイキーが瓦礫の影で待っていた。
「見て見て!新しいパーツ!!」
私が金に縁取られた新しいパーツのお披露目をするとマイキーが笑った。
その顔がゾーン2学生連合時代のコーディアスのマイキー。
そして学生連合に反したマイキーと混合する。
挿入したトオルのデータと混合し、私は回りながら少しだけ混乱した。
(トオル、貴方なの??)
私はメモリーに話しかけた。




