バトルオブガンピット
戦いと言う名の、一方的なロロアの殺戮が始まる。
まだ幼いロロアには、裏で暗躍する黒幕や主義や思想は通用しない。
ロロアは大人達や、様々なロボ達の理想郷。
戦争経済で暗躍する全ての勢力を破壊し、メルヴィア国・フォレストパークの広大な大陸で、天空の頂点に君臨する。
私は十二単を着て艦長室の座敷に座ってこれを見ていた。
モニターにはいくつもの赤い狼煙が上がっているのが見え、爆撃要請の本格的なGOサインがアメルア共和国から発信されたのが確認できた。
アウルは私の横で常に立って寄り添ってくれている。
「ロロアちゃん、これから正視に耐えない事が始まります。何かアメシストに気分が晴れる舞を躍らせますね・・?」
「う、うん」
ゴウンと言う音がして強めのGがかかり、ホワイトスペクターが急上昇する感覚がする。
モニターはホワイトスペクターの頭から胸までの映像に変わり、眼下の戦場を見渡していた。
私の胸のフィンが高鳴る。
そして・・。
アウルが軍配を私に持たせると号令するように促した。
私は怨みをもって叫んだ!
「攻撃開始!!」
「はっ!攻撃開始!!」
「攻撃開始!!」
モニターに一斉に攻撃対象が表示され、その中でも一際大きな施設がクローズアップされる!
「天空の槍、発射!!」
前で操作しているウィング達が忙しくタッチパネルを操作し、2発の音と共に細長い光の矢が発射され閃光が走って大爆発する!
ウィング達がコックピットで戦況を叫ぶ。
「スプラッシュツー!!損害報告は180ケーアイエー!!」
「次の標的!行きます!!」
ピーーー!!
ドンドン!
攻撃に驚いたZM達が対空砲をこちらにむけるも、すぐさま巨大なバスターの火の雨が降り注いで立ち所に引火して爆発した!
「スプラッシュ!!あたりは火の海だ!」
「このまま行きます!」
ピーーーー・・・!!
ドンドンドンドン…!!
私達を攻撃すべく飛来したバトル・スパロウがバスターの雨を受けて逃げ惑う!
「スプラッシュワン!敵のバトルスパロウ!10機!」
「見事だ!そのままガトリングを浴びせてやれ!」
ピーーー・・・!!
ドドドドド!!
ZMの潜伏している詰所や、塹壕に大きなバスターの掃射が降り注ぎ、あっという間に粉々になる。
「やったぞ!ケーアイエーだ!」
「損害報告は25ダウン!45キル!」
戦闘機や、逃げ惑うZMや反撃しようとするロボ達がけたたましい音でロックオンされ、ガトリングやバスターが当たるとマークが消え、煙や破片になって散らばる。
叫び声は聞こえず、敵を捕捉した単調な音とバスターの放たれる音、そして破壊されたパーツのみが映し出される。
ホワイトスペクターは単調に、そして確実に作戦に適した兵器を使い、破壊してゆく。
爆弾の投下される音が船体に響き、慌ただしくウィング達が叫ぶ。
ピーーー・・!!
ガコン!
ピーーー・・!
ガコン!
数回の閃光と衝撃波が地上を襲っているのが見える。
「スプラッシュツー!!損害報告は256ケーアイエー!」
爆発が振動となって身体を震わし、私はZM達の殺戮を見ていた・・。
ピピピピ!
ピピピピピ!
「ロックオンされました!」
「攻撃してきます!」
私は心配になってアウルを見る。
「大丈夫ですよロロアちゃん。本艦の装甲は最高級のアクチアニウムで構成されています。並の攻撃では擦り傷一つ、つけられません」
グオ!!と言う音と共に敵のガン・スパロウが通りすぎ、バスターの連射が機体に当たる。
しかし、ホワイトスペクターに付いている機銃が反応し、すぐさまガンスパロウを撃ち落としてしまった。
「スプラッシュワン!!こちらの損害なし!!」
「そうだ!!」
アウルが叫び、私は金平糖を口にしながらモニターの惨状を見続けた。
幾度となく光りの矢が施設を破壊し、風呂敷を持って逃げ惑うZMを容赦なくガトリングが撃ってゆく。
「このままフォレストパークへ侵攻しましょう!!ロロアちゃん!」
「うん・・!!」
ホワイトスペクターが大きく羽ばたくと海岸の破壊を辞めて、砂漠地帯へ進んで行った。
────その大地の端々で、戦いとは程遠い殺戮と破壊が繰り広げられた────
私はアメシストの狂気に満ちた舞踊を見ながら、モニターに映る惨状を金平糖を食べながら見ていた。
もしかしたら、このZMシリーズの中に私と会った事があるロボもいるかもしれないのに・・・。
爆撃を終え、ホワイトスペクターが更なる標的を探して飛行する。
「ロロアちゃん、まもなくフォレストマンが最後に確認された基地に向かいます」
「どこにあるの??」
「サバナ地帯にある砦です。我々の部隊は、そこに着陸する筈だったのです」
「そこで何をする予定だったの??」
「・・そうですね・・ロロアちゃんには全てを話さなくてはいけませんね・・」
「うん。教えてアウル?」
「ロロアちゃん?」
「ん??」
アウルがいつになく真剣に私を覗き込む。
大きな目がパチクりし、私の驚く顔が瞳に映っている。
「ロロアちゃん、私が全てを打ち明けても、怒らないで聞いてくれますか??」
「え・・・えぇ。努力するわ」
「約束してくれませんか??」
「う・・うん。約束する」
「分かりました。アメシストよ、ロロアちゃんにお茶を立てて下さい」
「畏まりました。ロロア姫」
アウルは私が抹茶を飲み終わるまで静かに待ち続け、烏帽子を取って座敷の小上がりに座って語り出した。
「まず私達、ホワイトスペクターはキグナスの艦隊と言う、主民主義国のロボット航空部隊でした。メルヴィアでのフォレストパークでの反乱、ニュートリノ発電所でのパワーマンの武装決起があり、私達はメルヴィアに要請されて武装鎮圧の為に飛来したのです」
「つまり、最初は私達の味方だったの??」
「そうです。パワーマンは私達の艦隊に動揺し、ニュートリノ発電所は簡単に攻略できると考えていました・・・・。しかし、あるアステロイドがストリームマンをはじめとする私達にコンタクトを取りにきたのです」
「そのアステロイドって??」
「女型の・・キュラー・テティアと言う外交官でした。私達は彼女をメルヴィアの使いと信じて疑わず、彼女はストリームマンと密約をしていました。そしてある時、ストリームマンが言ったのです“我々の活躍できる場所がそこにある”と」
「(キュラー・テティア・・聞いた事があるわ・・)それで、マッド師団の味方に?」
「そうです。・・ロロアちゃん?手が・・」
「ゴメンなさい。無意識に・・」
私は思わずバスターになっていた手を元に戻した。
「申し訳ありませんロロアちゃん。我々は主民主義の、私欲にまみれていました・・。このホワイトスペクターはキグナスの艦隊でも後方火力支援であり、同胞のロボからは『キグナス ホテル』と揶揄されていたのです・・キュラー・テティアはそんな我々の心を突いたのです」
「ニュートリノ発電所にあった兵器は、あなた達の忠誠の証って訳??」
「・・そうです。私達はマッド師団の為にアメルア共和国の兵器を手土産に配下に下りました。それは来るべきキグナスの艦隊を迎え撃つ為だったのです。メルヴィアにこれほどの武器と、武装勢力が居ると分かったらアメルア共和国を始めとした諸国が黙っていませんし、マッド師団は来るべき諸外国の脅威を迎え撃つべく、強固な砦を造っていたのです。・・・しかし、ニュートリノ発電所で予期せぬ事が起こりました・・それが・・」
「私の存在・・」
「そうです。ハルミオ小学校の小学生であるロロアちゃんがニュートリノ発電所を奪還しました。チームガンバを包囲していたマッド師団とパワーマンを、わずか1人で撃破した謎の女の子が・・」
「一度、パワーマンに殺されたけどね」
「・・・」
「続けてアウル?」
「・・・はい」
「パワーマンの撃破はストリームマンを始め、マッド師団に激震が走りました。しかしアメルア共和国と始めとした調査団が来ている以上、これから来るであろう大部隊を撃退する事、強固な砦の建設と防衛は急務です。
マッド師団は本来の立場を崩さず、アメルア共和国の撃退を優先する事を曲げませんでした。そして、この戦いが長い持久戦になる事も想定していました。
ですのでマッド師団は、標的になりやすい空中戦ではなく、ホワイトスペクターの装備を解体し、陸上作戦の砲台にしよう打診したのです・・!」
「うん・・」
「ストリームマンは”空の誇りを解体するとは言語道断”として、これに大変激怒し。
“ならば、メルヴィアを素早く陥落させて従わせてみせる”と言い放ちました。
マッド師団も、メルヴィアに伏兵を忍ばせているようで、その件に関しては反対は致しませんでした。おそらく工作員がメルヴィアにいたのでしょう・・」
「きっとそれはブルーシグナルズね・・」
「・・む!?ロロアちゃん、それは何処で?」
「ここに来る前に“お話”したの」
「“お話”!?」
アウルが私を見て驚く。
「い、いや。ここまで来れたロロアちゃんなら今更驚きませんか・・」
「うん。私のクラスメイトを誘拐したから、返して貰ったわ。きっと私の能力を探っていたのね」
「そうでしたか・・。まぁ、ロボット擁護派の共民主義者なんて幾らでもいますから、彼らも私達と思想は違えどマッド師団の手先だったのでしょう。しかし、ストリームマンはマッド師団の予想を遥かに超えた方法でメルヴィアを自分の物にしようとした・・」
「・・それが、メルヴィアの空爆ね??」
「そうです。未知の存在であったロロアを炙り出す為に・・そしてメルヴィアを力と信仰で服従させようとしたのです」
「・・・!!」
私は思わず金平糖をこぼすと、バスターをアウルに向けた。
胸のフィンが高鳴り、口から火炎が出る!
「それで、あなたはハルミオ小学校や街を空爆したのね!!」
「・・そうです・・!」
「殺してやる!!」
ウワワッ!
他のウィング達が驚き、アメシストが震えながら抹茶を作る!!
「ロロアちゃん!!落ち着いて!抹茶を!!」
私は怒りのあまりバスターを向けながら抹茶を飲んだ。
しかし、口から火炎が出るので抹茶が蒸発してしまい。
私は喉を潤す事もできなかった。
ちがう!!
潤していけないのだ!!
メリル!
ユミル!
リクト!!
全てのクラスメイトの為に!!
「ロロアちゃん、申し訳ありませんがバスターを・・うわぁ!!」
持っていた茶器が電撃で割れ、内包されていた怒りで発光し、浮遊した。
十二単がはだけ、今までの戦いでボロボロになったボディが青く光るのが見えた。
ここにいる全員の頭を吹き飛ばして、二度とメルヴィアを爆撃するなんて考えられないようにホワイトスペクターを粉々に粉砕してやりたい!!
私の中に憎悪と残忍な計画が何度も浮かび、あたりを睨みつける!
ウィング達は飛び出すように座席を離れ、恐怖と不安の表情を浮かべながら此方を見ていた。
「ロロアちゃん!!聴こえますか!!」
「殺してやる!!!!ズタズタに!!跡形もなく!!!!」
「ひいいー!!」
アメシストがお盆を頭に乗せて怯え、アウルが叫んだ!!
「ロロアちゃん!!」
「なんだ!!?」
「ママを呼びますよ!?」
「ママー!?」
「ええ!!機能停止したママに電池を交換します!!全て話してロロアちゃんを説得してもらいます!!いいですねそれでも!?外にいるウィングに呼んでこさせますから!!」
「それは・・!!!!それは、いや!」
私の口の火炎が鎮火し、内包されていた力が落ち着いて行き、ゆっくりと降りてゆく。
アウルが駆け寄り、すがるように言った。
「ロロアちゃん!!私達は正々堂々と戦い・・そして今があります!!あなたは苦しいでしょうが、これは紛れもない事実であり、現実です!!どうか・・どうか冷静になってください・・!!何卒!!ロロアちゃん!」
「ロロア姫!私からもお願いです!一生懸命踊りますから!静まってくださりませ!!」
アウルとアメシストが畳に頭が付くくらい土下座し、他のウィング達も平伏す。
「・・・ママには内緒にしてくれる?」
「内緒にします!!」
「電池を入れない?」
「入れません!!」
「・・パパやママを巻き込みたくない・・!余計な事を言われたくない・・!!」
「そうですとも・・!!あぁ、アメシスト!!ロロアちゃんに冷たい抹茶ラテを!!氷を多めに!!」
「キャラメルもお願い・・」
「キャラメルもだそうだ!!急げ!!早く!!」
私の周りに着付け用のアメシストが2体寄り添い、私の十二単を直してくれた。
すぐさま私の口に冷たい抹茶ラテが運ばれ、ここでようやく私は冷静になった。
周りのウィング達も持ち場に戻って行き、アウルに抱かれるような形で座布団に座った。
「皆の為に破壊しなきゃ・・」
「そうですね。”とっておき”があります」
「とっておき?」
「本来、メルヴィアの2つの都市に放たれる筈だった兵器です」
「どんな兵器?」
「ホワイトスペクターの主砲であります”原初の火”です」
「原初の・・火?」
「世界でも有数の、大変な火力を誇る兵器です。これが私がロロアちゃんにできる償いであり、代償です」
「メルヴィアに落とす筈の物を、逆に落としてやるって・・そう言う事?」
「そうです」
「・・・!!」
私は高鳴る心のフィンを抑えながら、顎に手を当ててZMに放った時のリスクを必死に考えた。
もしも今、原初の火を落とさないとどうなるのだろう??
このホワイトスペクターやウィング達だって無事でいられるとは限らない・・。
そして・・
「それは・・・。これでメルヴィアが平和になる!!!!そうでしょ!?」
「え、ええ。少なくともZMの脅威は無くなります。跡形もなく」
私は袖からバスターを出すと、射出される内側の輪を撫でた。
目を瞑ると、ZMの叫び声や冷酷なメカニロボ達。
そしてパワーマンが私を痛めつけた記憶がフラッシュバックする・・。
その都度、私の身体は痛みを演算し・・。
その時の苦痛を再現して顔が歪む。
「ZMやマッド師団が居ては・・永遠に戦いが続く・・!話し合いは意味をなさない・・!!」
私はコックピットに居る全てのウィング達に言った。
「お願い・・!!悪の根源をやっつけて!みんな!!アウル!!」
「仰せのままにロロアちゃん。皆!!聞こえたな!!パワーを最大限まで充電せよ!!目標!ZMとマット師団の本拠地!!『ナルキリア』!!!!」




