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世界史学習

ストリームマンとロロアの決闘はロロアの勝利に終わった。


その戦い方は鳥類型アステロイドに見られる伝統的な決闘作法で、お互いを抱き合い上空高く旋回した後、そのまま落下し、如何に地面に叩きつけられる恐怖に耐えられるか度胸試しの意味合いが多かった。


ストリームマンは翼をもたないロロアを抱きしめ、そのまま天高く上昇した後、地面スレスレまで急降下し、ロロアを破壊して自分の権力を誇示しようとしたのだ。

「が・・がはぁ!」

「お目覚めですか?アウル様!!」


アウルが飛び上がってあたりを見る。


「私は・・なぜここに!?」

「ロロアに斬られたのです!急所を外れ、近くに医療用メカニロボがいたのが幸いでした」


ストリームマンの配下になったスズメ型のウィングに支えられてアウルが起きる。

場所は医務室だが、既に破壊されたロボ達は破棄され、負傷したロボ達も撤退する他の艦に乗せられて居なくなっていた。


「ホワイトスペクターに居る残存兵力は!?」


「アウル様と、私達スズメ型ウィングが30体です。ストリームマン様が亡くなった今、指揮権はアウル様に以降したのです。ホワイトスペクターもアウル様の指示を待っています」

「なんですって!?ストリームマン様が・・!」


「軍人らしい見事な最期でした。つきましてはロロアの処理を───」

「ロロアは生きているのですか!?」


アウルは烏帽子を付けるのを忘れて駆け出した。

外の様子を映したモニターには友軍のマンタ型爆撃機はなく、ホワイトスペクターが孤立したまま浮遊しているのが確認できた。


通路には何のロボとも確認がとれない残骸が転がり、床に深く刺さったサーベルが闘いの壮絶さを物語っていた。


「あー!いけない!みんな離れて!」

スズメ型ウィング達が燃え盛る五重塔の消火活動をしていた。


アウルを認めると敬礼をし、事の次第を話した。


「ストリームマンの破壊を確認後、バスターを撃ちながらロロアが堕ちて来たのです。どうやら衝撃を吸収する為にバスターを使用したようです!」

「ロロアは?」


「瓦礫の中です!!」


バシュッ!

と言う音がしてロロアのバスターが炸裂する音がした。

途端にウィング達がかがみ、次の攻撃に備える。


*1「・・この調子で、ロロアの対処に困っていたのです」

*2「アウル様、いかがなさいますか??」


「うーむ。ストリームマン様が亡き今・・ロロアを破壊する名文を失っているし・・しかしロロアを乗せたまま基地に帰還する訳にもいかないし・・」

アウルは嘴に手を当てて考えた。


(ただでさえ、自分もロロアに瀕死の重症を負わされているし、真っ向に戦って勝てるとは思えない・・)


アウルはウィング達に消火活動を辞めさせて緊急徴収させると、ホワイトスペクターの艦長としての行く末を発表した。




「諸君、今までの作戦において私やストリームマン様に従ってくれて感謝する。そして今日において言わなければならないことが2つある」


ウィング達は真っ直ぐアウルを見た。

アウルも皆の顔を焼き付けるように見つめる。


「──我々の事実上の“メルヴィアの敗北”をここに宣言する。もう我々にはロロアを倒す使命も、ロロアを倒せる火力もない。よって、ロロア・フローラウス・メリアスと和平交渉と治療。メルヴィアとの正常化をこれからの任として行きたい!・・これに反対するものは??」


「・・・」

ウィング達がお互いを見る。

しかし、彼らもまた疲弊し。

アウルに対して異論を言えるほどの言葉も体力も持ち合わせていなかった。


「よし!では・・ふぅー。ロロア“ちゃん”と話し合いましょう」




ウィングが瓦礫をかき分けてアウルが歩く。


五重塔の頂上が既に崩落し、ストリームマンの本陣を潰していた。

炎は消火活動と酸素不足で消え、黒煙が至る所から立ち上っている。


「・・・!!前方にロロアちゃん!!」

「どこですか?」


アウルが前を見た瞬間にバスターが掠める!

「お!恐るべき女の子だロロアちゃん!!この期に及んでまだ戦闘の余力があるとは・・!!」


アウルは慌てて軍配に手拭いを巻きつけると、ロロアがいると思しき所に振ってみせた。


ウィング達もサブスパークガンを見えるように棄て、両手を広げる。

尽かさず、ウィングが赤飯の握り飯とA缶を持ってくる。


「私が持っていきます」

「アウル様、自らですか?」


「ええ、あなた方は下がっていてください。もしも私が倒れる事があったら、すぐさまホワイトスペクターの主要の兵器を破壊して、速やかに戦闘機で離れて下さい」


アウルが黒煙の立ち込める瓦礫をお盆を持って歩く。

背中には白い手拭いを巻いた軍配を差している。



「・・・ロロアちゃん聞こえますか!?和平交渉を持ち掛けたい!」


・・反応がない。


「ロロアちゃん、行きますよ」

アウルは腰がひけながら歩く。


「・・ロロアちゃん!!!!」

「はぁ・・はぁ・・」

瓦礫の奥にロロアは居た。


顔の右半分が捲れあがり、ボディが壊れながらもバスターを持つ手を支えていていた。

左目はアウルを見据え、睨みこそしなかったものの確かな闘気が漲っていた。


「・・大丈夫だ。もう戦いは終わったんだよ。貴女の勝ちだ」

アウルがA缶と赤飯を差し出す。


ロロアは少しだけ迷い。

赤飯の握り飯を持った。


「・・・・!」

アウルが驚いたようにウィング達を見る。

(※1伏線)




ウィング達の足下には武装解除したスパークライフルがある。


「あん・・モグモグ」

アウルは赤飯を食べるロロアを見ていた。


・・・が。


「あっ!!」

ロロアの瞳の光りが無くなりアウルに倒れ込んだ。


「アウル様!!」

数体のウィングが駆け寄り、アウルがロロアを助けおこす。

その中のウィングの一員がスパークライフルを拾い上げ、他のウィング達を突き飛ばしながら突進した!


「そのスパークライフルで何をするつもりだ?・・おわっ!」



*1「アウル様!!」

「・・・!!どうしましたか!?」


*1「そのアステロイドを渡してください!!コイツを倒せば戦争が終わる!」

「ロロア・フローラウス・メリアスだす!!(※アウルが間違えた)」

*1「は!?」


他のウィング達も駆け寄り、アウルとウィングを囲むように見守った。

*1のウィングは気付かなかったようだが、他のウィングとアウルは事の重要さにすぐさま気が付いた。


「ウィングよ。彼女は・・彼女は確かにロボですが・・例えば人間に近いと言われているアステロイドは、自己回復の観点からA缶を選ぶ筈なんです。しかし、彼女は赤飯を選んだ。それがどう言う事か分かりますか?・・彼女は人間と同じ住民票を持った人間であり小学生なんです。もしも子どもを撃ったとなれば・・どうなりますか??」

*1「しかし、このまま機能停止したなら、勝機が・・!」


「そこまでして勝って、あなたは軍人サムライとして恥ずかしくないのですか??彼女は”人間である部分”を持ち合わせながら、ロボとして闘いに参戦し、なおかつ独りでこれを撃破した。敗北を宣言した後に不意を突くなど言語道断です!!恥を知りなさい!!」

*1「申し訳ありません!!」


「さぁ、納得していただけましたか。ロロアちゃんを医務室に運びましょう」



ロロアの損傷は激しく人工皮膚もないため、ウィング達のパーツと十二単の着物で隠すことにした。





────



「ロロア姫のおなぁーーーりぃーー」


通路に渡された鈴が打ち鳴らされ、家臣であるスズメ型アステロイドがこうべを垂れた。

私は金の髪飾りと扇子を持ち、通路を煌びやかな十二単で歩いていた。


通路には歴代の艦長の写真や様々な功績を上げたロボ達が並び、紫水晶でできたメカニロボが金の刀を持って私の前を歩いた。


右と左の通路から渡された綱は突き当たりの部屋の観音開きのドアを南京錠で一つに繋がり、メカニロボがそれを開けた。



「ようこそ、ロロア・フローラウス・メリアス様。あなたをホワイトスペクターの艦長に任命いたします」

「私を歓迎してくれてありがとう。わぁあ」


私は所々に金をあしらった、艦長室を見てため息をついた。

天井には龍と鳳凰がグラフィクスで表現されて舞い。


自分の座るであろう艦長席は一番高いところにあり、朱色の手摺りと、2畳ほどの畳が置かれていた。

その周りは6角形の透明の屏風で仕切られており、艦長室から見下ろす形で、様々なモニターと操作する座席が置かれていた。

真ん中には球体があり、世界の雲様子や軍事力の情勢が手に取るように分かった。


私は畳に置かれた座椅子に座って鎮座するとフクロウ型アステロイドが星の形をしたお菓子を持ってきてくれた。

「これは・・?」

「金平糖でございます」


「普通の話し方でいいわ。なぜ私を大切にしてくれるのですか??」

「ロロアちゃん、あなたはここの艦長であるストリームマンとの戦いに決闘にて勝利し、戦闘の継続が不可能なほどに私たちを屈服させました。ですから、貴女に私たちの権利を移行し、こうして貴女にお遣いするするのが私達の責務となったのです」


「ふーーん」

よくわからないけどそう言う事らしい。

私は袖口から自分の手の平を見て、頬を触った。

少し、痛みがあり。

着物で隠れているものの身体のいくつかも治した形跡があった。


「ロロアちゃん、顔の白粉が取れてしまいます」

「私、メイクしないから普通に戻してください。・・それで、これからどうするのですか・・?えっと」


「アウルでございます」

「アウル?私がメルヴィアに帰りたいと言えば帰してくれるの?」


「左様です。艦長の言葉が絶対ですから」



「じゃあ・・家に帰ります」

「は。それではメルヴィア本部に連絡を・・」


「ねえアウル??」

「なんでしょう??」


私は疑問に思っていることを質問した。

ミーさん(ZMー300)やニーさん(ZMー200)にも聞こうとしたけど、こんなに落ち着いて話せるような時間は無かった無かったし。

他のロボ達は襲い掛かってくるのでまともに聞けなかったからだ。


「あなた達は何なの??」

「私たちは主民主義国であるアメルア共和国の、キグナス艦隊・ストリームマンの配下の者です。パワーマンやZMシリーズがメルヴィアで武装決起したと聞き、パワーマンがキグナス艦隊から外れ、この戦いに参加致しました」

「なぜ??」


「わかりません。私たちは主民主義国のロボです。全てはクレジットが支配し、私たちは戦う為に製造され、雇人であるストリームマン様に従う事が基本となっていますから」


「・・じゃあ、ストリームマンはなぜ、キグナスの艦隊から抜けたの??」

「おそらくは、マット師団からクレジットにて買収。または雇われたか・・。または・・」


「または・・??」

「・・私と同じ、アルムシュアの戦いに飽きていたのではないでしょうか??」


「・・・。ではなぜ、メルヴィアを空爆しようとしたの??」

「・・・それはストリームマンの意向です。マッド師団はアメルア共和国の軍事介入を予見し、フォレストパークの深層に軍事拠点と要塞を作り上げました。マッド師団はホワイトスペクターの主砲を解体し、防衛拠点の砲台にせよと命令いたしました。しかし、ストリームマンはそれを許さず、メルヴィアを早期に攻略し、来るアメルア共和国との戦いを有利に進めようと考えたのです」

アウルが淡々とメルヴィアに侵攻した動機をはなす。


私の鼻は膨らみ、怒りに腕がバスターに切り替わった。

「あなたは・・あなた方はアルムシュア条約で軍隊を持たない私の故郷を・・攻略しょうとしたのね!!」


「はい・・」




「ロロア様!!アウル様!!」

「どうしました?」


私は怒りが冷めやらぬまま、前でモニターしているウィングを見た。


「メルヴィアを攻撃した攻撃隊が10機!着陸を要請しています!」


私は唖然としながらモニターを見た。

モニターはコックピットに繋がり、戦いで高揚した鷹型ウィングが言った。

『ストリームマン様!!ストリームマン様!こちらバイパーイーグル!!メルヴィア・ハルミオ小学校は火の海だ!』


「バイパーイーグル!ストリームマンは撃破された。後の指揮はロロア・フローラウス・メリアスが指揮を取っている」

『ロロア・・フローラウス・・メリアス!?』


「ストリームマンはロロアちゃんに撃破された。もう我々はロロアちゃんを攻撃する意味もメルヴィアを攻略する意味もない!作戦は終わりだ!」

『な・・!!』



私はモニターを見て絶句した。


そこにはバイパーイーグルスらがメルヴィアを空爆する映像が映し出されていた。


炎上するパラボナビーム。

炎上する戦闘車両や対空砲。


走行している路面電車に機銃を撃ち込み。

ビルが倒壊する。


そして・・そして・・

「あーーー!!」

私は思わず膝に置いた金平糖をこぼしてしまった。

ハルミオ小学校にミサイルが撃ち込まれている映像があったのだ!!


そうだ!!

私はメルヴィアの方向に飛び立つ飛行機を見たのだ!


なんで戦闘を早く終わらせなかったのだろう!?

私は・・自分の事でいっぱいいっぱいだったのだ!!


私は思わず立ち上がり、モニターを見た。

コックピットのウィングが驚いた顔をする。

私は怒りで涙が沸騰し、水晶になり、鉄を含んだアメシストになって・・怒りを称えた黄色いシトリンに変化した。


『・・・!!ロロア!!』

「ロロアちゃんと呼びなさい!!艦長ですよ!!」


私は涙の結晶を落としながら聞いた!

「貴方は・・あなたはなぜ小学校や街を空爆したのですか!!」

『・・・!!それは・・!!』


私はモニターに向かって叫ぶ!

「小学校にいるのは一般市民です!!なぜ、あなたは住宅地やビルを破壊したのですか!?」


『ストリームマン様の命令で、それに従ったまでだ!』

「だからと言って非戦闘民の居住区を破壊して良い訳ないでしょ!?アウル!!ウィング達!!説明なさい!!説明できる者はいないの!?」


私はいつしか皆にバスターを向け、心のフィンが激しく回り、口から火炎を吹いていた!

このままホワイトスペクターもろとも破壊してしまいたい衝動にかられた!


アウルは黙って頭を垂れ、他のウィング達も静かにモニターを見ている。


沈黙を破ったのはバイパーイーグルスのウィングだった!

「ロロアがここから出撃した以上、非戦闘民も何かしらの戦いの準備、または加担した可能性は否定できない!!我々は、実証が出来ない以上、兵士とみなし───」

「実証が出来ないのに兵士として空爆するなんて!!ここに居たのは・・」


私は泣きながら叫んだ!

先生(レイズ)と私のクラスメイトだよ・・!!」


『しかし・・!!それは任務であり・・』

「あなたはどう思ったの!?あなたは私のクラスメイトを戦闘員だと思ったの!?私の街が、あなた方を危害を加える兵器を作っていると思っていたの!?」


『・・・ロロア!!どうか降りて話をさせてくれ・・!バイパーイーグルスの燃料が切れそうなんだ!!アウル様も言ってください!』

「黙れ!!黙れ!!黙れ!!」

私は怒りに合わせてバスターを撃った。

バスターは感情が昂るあまり形を成さず、火花が出ただけだった。



「アウル!」

「はっ!ロロアちゃん!」


私はアウルを見た。

アウルが涙で歪む。

その中でクラスメイトやメリルやユミルの顔がフラッシュする。


「ホワイトスペクターに帰る戦闘機を全て残さず破壊しなさい!!!!」

「・・・・はっ!」


『それは蛮行だ!!ロロア!!』

*1『ロロアちゃん!ストライクホークス2です!!確かに私たちは、君に取って損益になる事を行った!!しかし、考えてもらいたい!!我々は一軍人として任務を───』

*2『ロロア!ロロア!!頼む助けてくれ!!俺はただクレジットで雇われただけなんだ!』


目の前のモニターに帰還を懇願するたくさんの兵士達の顔がでる。

皆、声に疲労を感じ、メルヴィア攻略の大変さが伝わってくる。

本当は、もっともっと沢山の戦闘機が出撃して、その中の生き残りかもしれない・・。

でも、私は許すことが出来なかった。

いえ、自分の故郷を爆撃した張本人を、一体だれが許す事ができるだろうか?



「アウル!!私が命令する!!破壊しなさい!!」

「攻撃目標!バイパーイーグルス!!」


『アウル!!貴様!!ツェッツ様はその様な事許さないぞ!!』

「ツェッツはストリームマンに従わずに処刑され、ストリームマンはロロアちゃんに破壊された。そして君たちは、新たな時代の礎になるのです!!変化に適用できないものは主民主義では生きていけない!分かりますね!?」


*管制官「レーザーアロー発射!!攻撃開始!!」


モニターが切り替わり、10機の戦闘機が散り散りになる。


ピーーーーーーバシュッ!!!!


無機質な音と共に光の矢が飛び、それを合図とばかりに機銃が炸裂する。


*1『ストリームマン様!!我々は!間違っていたのでしょうか!!ぐわーーー!!!!』

ストライクホークスに機銃が当たり、回転しながら落下する。


*2『た、助け───』

レーザーアローが上昇する戦闘機のコックピットを射抜き、空中分解する。


『いくらホワイトスペクターでも許せん!!』


2機のストライクホークスが背面を付け合い、バスターを撃ちながら突進してくる。


「心配には及びませんロロアちゃん。相手も分かっています。どちらにせよ燃料切れでは生きられませんので、相手は一矢報いるつもりで来ているのです」


私が心配したと思ったのかアウルが腰を据えるように促す。


バスターはホワイトスペクターの白鳥の首に当たるも、シールドが効いて特殊なプラズマ光と共に消え去ってゆく。

2機は機銃を受けながら砕け、やがてお互いにぶつかり合って火の玉になって通りすぎる。



モニターはどんな環境でも見やすいように解像度が上げられており、外が夜なのか昼なのか、どんな天気なのかわからない・・。

その中で、戦闘機達の惨劇と、敵を捕捉する無機質な電子音が響いた。






「ねえアウル・・“艦長の言葉が絶対”といったわね」

「はい」


「それならフォレストパークに居る、ストリームマンを雇った組織も破壊できるの??」


「その対象がロロアちゃんの敵対勢力と言うならば可能です」


私は驚いてアウルを見た。

本当にそんな事、可能なのだろうか?


「アウル・・?あなたの味方を空爆すると言うんだよ?辛くないの?おかしいと思わないの?」

「それは・・私個人の意見と言う事でしょうか?私は主民主義国のアメルアで作られた戦闘用アステロイドです。代々キグナスやストリームマンに支えてきましたが、今はロロアちゃんの配下です。それ以上でもそれ以下でもありません。私に人間の様な感情の介入はありません。実力が支配する世界ですから。他の者も、ロロアちゃんに艦長の任が渡ったのを受け入れて既に切り替えています」


「・・それが主民主義と言うの?」

「そうですね。それが主民主義と言うなら・・そうですね・・」


「じゃあ、私がアウルに“死ね”と言ったら??」

アウルは私を見て言う。

「意図的な自爆は主民主義に反し禁止されています。それが解任ならば私はそれに従い、アメルア共和国のガイドに従い新たな指揮官を探すように出来ています」



「・・・・」

「それが主民主義です。個人は大切にされ、実力は評価されるのです」


「実力が無かったら・・どうなるの??」

モニターに最後の一機が爆発するのが映る。


「実力が無いものにあるのは“死”です。でも、その者が評価しないなら新しく評価してくれる者を探せばいい。幸い、この世界の価値観はバラバラです。新たに評価してくれる者なんて幾らでもいるのです。主民主義国は常に自由であり、生まれながらの身分や権力の搾取は許しません。常に上に登れる権利、チャンスがあり、それは平等に存在しなくてはいけないのです」

「そう・・そう・・」



「フォレストパークに向かいますか・・?」

「・・お願い」


これが世界なのだろうか?


私はもう、精神的にいっぱいいっぱいになって座敷に横になった。

アウルも疲れたのか充電ポートに座り、他のウィングからA缶を貰っている。


しばらくしてホワイトスペクターの主動力が動くのを感じ、後ろにひっぱられるような力を感じた。



・・・・。


(損害報告は??)

(はっ。通路の損傷が数件。しかし、動力には支障がありません!損壊したロボの破棄を続けています!)

(よし!)


(メルヴィアとの連絡はどうなっている?)

(いま、メルヴィア政府は代表者を決めているそうだ。我々が味方する事に困惑しているようだ。そんな事あると思うか?)


(報告致します。通路に有害な結晶が複数確認できました)

(了解。直ちに除去せよ。できるか?)

(やってみます。すごく強烈な光線です)



私はウィング達のやりとりを聞きながらいつしか眠ってしまっていた・・。





───────



キュウーーーン。


目を覚ますと、目の前に不思議な生き物のホログラムが浮遊していた。


「お目覚めですか?ロロアちゃん」

「・・・ん。。おはよう」


私はあくびをして起き上がるとアウルが十二単を直してくれた。

不思議な生き物は私の手にまとわり、人なつこく指を突いた。


「この生き物は??」

「イルカです。なんでも古の時代、世界で1番賢い生き物だそうで・・」


「生き物・・?」

「動力は脂肪を燃やしたエネルギー消費の生命体です。古代人はこれを食べる事もあったとか・・」


「ふーーん。愛てよし、食べてよしね」

「そうですね」


「どんな味かしら??」

「味・・ですか?」


「そう、味」

「味・・記録にはありませんね」


アウルは烏帽子を外し、私の周りを囲む壁を背にして向き直った。


「ロロアちゃんを見てると識別装置が狂います」

「それはアステロイドとして?」


「ええ。アステロイドと人間とです。先程もウィング達と話ましたが・・ロロアちゃんはボディこそロボなのに実に人間らしいなと」

「ふぅん」


「そして、すいません、個人的な興味なのですが・・」

「はい」


「ロロアちゃん。あなたはなぜミサイルに乗り突入を試みたのですか?これがどうしても私には理解が出来ません。人間と言う生物ならば本能的に自分の身の防衛を行うはずですし、ロボだとしても自傷行為は非効率的です」

「・・でも、ブレードマンは私の前で自分のお腹に刀を刺したけど・・」


「・・それは・・」

アウルは首を傾げながら大きな目をパチクリさせた。


「それは実に共民主義的ですね。何か”製造者”の意図的な”美学”を感じます。では・・ロロアちゃん、なぜあなたは突入を?」

「わたし・・私は・・」


「私は・・??」

「なんとなく」


「な、、、なんとなく!?」


私は袖から手を出して考えた。

私はなぜ突撃したのだろう??

そうだ。

私が突入することは私が作戦に参加する前から既に決められていたことだ。


「ロロアちゃん?それは果たして自分の意志と言えるのですか??」

「え?」


「例えば意図的にプログラムされた違法な・・いや、そうだとしては、ロロアちゃんを生還させる意味がないか・・」

「私は・・・うーん。」

私は考えた。

なぜ突入する事にしたんだっけ??


学校に行って、双胴機に乗って・・。

ああ、そうだ。

メリルやユミル。そしてリクト。


「私は・・みんなを守る為に突入したんだよ」

「それは国家や思想と言う事ですか??」


「いいえ。そんな大きな物じゃなく。クラスメイトや街の皆を守るために私はミサイルに乗ったの。どこかの偉い人や思想なんかじゃない・・。みんなの為に・・そして今。みんなの為にホワイトスペクターの艦長になり“災いの根源”を断ち切ろうとしている。うん。」

「私達に対しての憎悪を持って??」


「ううん。助けてくれたアウルや味方してくれる皆には感謝しているし・・ZM達とも踊ったし食べ物を貰った。私はみんなを恨んでなんかいないし、正義と悪で戦いを片付けたくない。私の行っている事が正義であるとは胸をはって言えないし」

「ではなぜ戦いを選ぶのです?」


「それが。それが相手が望む“会話方法”ならば私は全力で相手するまで。共民主義派のブルーシグナルズとも、ロボ達を率いたパワーマンとも戦った事があるけれど・・彼らには会話をする機会も、そんな時間もなかった。会話の前にスパークライフルが向けられ、そして私も彼らにバスターを向けた。そして私を前に散っていったの」

「ブルーシグナルズ・・コーディアスで暗躍した過激派の共民主義者ですか。まさかメルヴィアに根を伸ばしていたとは・・」


「アウルは知らなかったの??」

「ええ。しかし、耳にした事はあります」



「・・・いいわ。アウル、いつかみんなで話をしたいと思っているの。なぜ共民主義の団体が廃工場に居て、主民主義のあなた方が来たのか。マット師団はなんなのか・・。マット博士と関係があるのか・・そして」


「そして?」


「”“私が何者なのか”“。パパが何者なのか。あと・・友達のもとに帰りたい!!」

「トモダチ・・」


私は泣いた。

そうだ。

みんなに会いたい。

メリルの悲しむ顔を見たくない。

ハルミオ小学校は・・みんなはどうしているのだろう?


「トモダチとは・・上官や部下と違うのですか?」

アウルは大きな瞳をパチパチとさせた。

どうやらアウルは初めての事を体験したり、興味深い事があると瞬きをする癖があるらしい。



「教えてあげるよ。すごく良いものだから・・」

私は言った。

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