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真のサムライ

ストリームマンの五重塔、鳥居、檜の櫓。


絢爛豪華なホワイトスペクターの内部には『人間』を理解し、神として君臨するための様々な施設が用意されていた。

ストリームマンはかつて存在した旧時代の『日本』を再現する事で、人間が深層心理に懐く死生観や神々しさに語りかけようと考えたのだ。


それはストリームマンがアステロイドとしてメルヴィアに住む人間を理解しようとした『歩み寄り』でもあり、アルムシュアの戦いが、回を重なるにつれて人間の手すら離れた混沌とした闘いになっていたかをメルヴィア国は嫌でも理解したのだった。


休戦を宣言した戦場。

その死線の中で不釣り合いな歌声が響いた。


ZMの太鼓による“田園の舞い”が始まったのだ。


これは農作業を生業としてきた地方のZMシリーズが、効率よく仕事をする為に編み出された郷土踊りであり、主に人間が食べる食物生成プラントで行われていた。

踊り手であるZMは中腰になり、生成プラントに発生した虫を掬う仕草をする。

時より右手を仰いで空調を感じ、風に乗って滑空するバッタを手で捕まえる動作をするのだ。


この独特の舞は、水耕紫外線栽培や、レーザー照射で駆除する従来の殺虫方法を嫌う、一部の高所得者層の食物生成プラントで行われており、より虫に食べられている野菜が健康的で生命力があると富裕層に求められていたのだ。



ドーン!

「はっ!」

ドーン!

「はっ!」

ドドン!

「・・よっ!」


ドン!カッ!ドドン!ドドドドド!

ドン!カッ!ドドン!ドドドドド!

「えいやぁあーーーーー!こーーらよっ!」


ドン!カッ!ドドン!ドドドドド!

ドン!カッ!ドドン!ドドドドド!

「みずーーが無きゃぁああーああん、稲育たぁぁぬ!」

ドン!カッ!ドドン!ドドドド!!

ドン!カッ!ドドン!ドドドド!!

「おいらぁああーーーああああ!蟲を取る!」

ドン!カッ!ドドン!ドドドド!!

ドン!カッ!ドドン!ドドドド!!

「えいやぁあーーー!こらい!」



ZMが韻を踏みながら中腰で水を掬う真似をしてみせる。

そして首を傾げると、もう一度掬ってみせて腰蓑殺虫ユニットにしまいこむ。



────


この一連の行動は、ホワイトスペクター内のロロアとZMの戦いにおいて最も『奇怪な事』の一つであり。


戦後、しばし主民主義国や共民主義国の学者の中で議論や争点の的になった。


主民主義国であるアメルア共和国の戦争学者 モルドモンド・アメルは 『極めてスピリチュアルで、民族学的であり。偶然に偶然が重なった結果である』と発表した。


ロボカバリーチャンネルと言う番組で、アメルは語っている。

「この“”踊り“”について、当時は軍部からは何も命令は出ておらずZMの独断で行ったものだと発表がありました。

しかし、近年見つかったロボ達の手記や日記、メモリーレコーダーには、ストリームマンの言葉が“”あった“”と見解がなされています」

*「それはどのようなモノだったのですか?」


「いえ。正確には指示ではありませんが。“ロロアを牽制せよ“”と記録にはあります」

*「それでは作戦命令になるのでは??」


「いえ。そう言う訳でも無いみたいです。どうやらストリームマンは正確には“”休戦中も戦闘中であるから、ロロアに精神的な脅威を与え続けろ“”と軽く指示したようなのです。しかし副官のアウルはそれを理解できずに前戦のウィングに“”ロロアを牽制(けんせい)しろ“”と伝えました。

しかしウィングは『休戦中』であると知った上の“牽制”が理解できずに大変苦しみました。そして更に最前線のZM達に“ロロアの前で何かやれ”と指示をしたのです」


*「そして導きだした答えが“田園の舞い”だと?」


「えぇ、そうです。これは極めてユニークなのですが、ZM達は“”自分達が健全であり、踊る余裕すらある“”とロロアに見せつけると言う答えを導きだしたのです」

*「これは効果はあったのですか??」


「一応効果はありました・・・・一応はね」




───────


ZMの不思議な舞に、いつしかロロアも笑顔になりZMからもらった“いぶりがっこ”を食べながら隔壁に腰をかけて合いの手を入れ始めた。


「ママ、田園の舞いをBBSしていい??」

「いいけど・・ここを戦場だと言うことを忘れないでね」

「うん。わかった」

ロロアは脳内にデータを入れると、隔壁に隠れる。


そして破壊された壁から出た、遮熱用のグラスファイバーシートを衣のように纏うと、踊るZMを恥じらいながら覗く“”月の天女“”を演じはじめた。


ドン!カッ!ドドン!ドドドド!


衣を被り、顔を隠しながら、ロロアは音楽に導かれるようにフワリと舞台に舞い降りた。


踊るZMが少し驚いたが、すぐに舞に戻る。

舞の中のお約束として、天女役は“見えない”設定なのだ。


天女が息を吹きかけ風をつくる。

蝶を表現し、ZMが捕まえる。


ロロアはヘッドギアやヘアゴムを付けず、腕もバスターにしていなかった。

それはまるで少女が本当に迷い込んだような錯覚さえ覚えるほどであったと言う。


「ロロアちゃん・・あぁあ」

「ぐしっ!!」

「・・・あれが・・ロロアちゃん・・!!」

しかしZMやウィング達はロロアを見て絶句した。

その時の様子がZMの手記に記されている・・。



『休戦中 しばし仲間の踊りを見る。お偉いさんから“ロロアちゃんの餌付け禁止”が言い渡されるも古参の仲間が食料を運んでいるのを見た・・。

(中略)

“”ロロアが疲弊している“”それをお偉いさんは大変喜んでいる。しかし、踊りに釣られて出てきたロロアは、本当に普通の少女だった。そして俺らは絶句したんだ。オイルにまみれた髪と身体。所々、爆風で焦げ付き怪我もしていてヤマアラシのそれだった・・!

俺は何の為に戦っているんだ?

彼女は誰に指示されてここに来たんだ?

なぜ・・俺らは彼女を傷つけなければいけないんだ・・?』


第56波歩兵団 ZMの手記より



ロロアが両手でアゲハ蝶を表現し、ZMが捕まえようか迷う仕草をした。

芋虫なら間引くが、蝶々は悪いことをしない・・。

ロロアは衣で口元を隠すとクスクスと笑い、くるりと翻って温かい風を表現した。


対峙するZMはロロアの変わり果てように見て入られなくなり、時に別の艦隊に逃げ出す者も出始めた。

しかし、ホワイトスペクターの避雷針には命令に従わなかったツェッツが串刺しになって晒されていて・・そこへ来て思いとどまるZMも居たと言う。


マンタ型爆撃機に搭乗しているロボ達は、戦闘用の物資や兵員を送る傍ら、ストリームマンのやり方に疑問を持ち始めていた・・。




───────


「開戦再開までーーー20ふんーー!!開戦再開までーーー20ふーーん!!」

ZMが呼びかけて周り、ロロアもバリケードに引っ込んだ。




「うんとこどっこいしょ!うんとこどっこいしょ!

程なくしてZM達が部品を運んで組み立て始める。


それを休憩していた他のZMが聞いた。

「これは、なんじゃいな?」


「お?知らんのか?野戦砲じゃよ。メルヴィア本土で使う兵器を運用せよとの命令じゃと!」

「はぇー!また物騒な!」


それは4尺(1200ミリ)の砲身が防楯から突き出た野戦砲だった。

それが複数門組み立てられ、3体1組になって動かし、固定したのち、射手と装填種と指揮者に分かれて運用した。


ウィングが軍配を持って先陣に立つ。

「いいか!ロロアの“”心“”を突くのだ!!情けをかけるな!!ひとたび戦闘が始まれば、そこは正義と悪が穿つ戦場だ!!」


「はい!!」


「突入し、たとえバスターにこの身が倒れても睨み続けろ!!メルヴィアの魔女を完膚なきまで叩きのめすのだ!!」


「はい!!」


ZM達は胸を叩くとウィングの命令を待った。



───────


「ロロアちゃん・・戦闘が始まるわ!」

「うん・・」

ロロアはメリルから貰ったヘアゴムにキスをすると髪を束ねた。

そしてヘッドギアをする。


「ママ、敵の動きを教えて?」

「わかったわ・・」


ママがバンガシラの残骸を階段にして隔壁によじ登る。


「────ロロアちゃん!!!!」

ママが悲痛に言う。


「ど、どうしたの!?」

私が思わずママの視線をエディットする。

そこに映るのは・・。

「や、野戦砲!!!!」


「ロロアちゃん!!チャージできる!?」

「えっ!?」


「あんなモン、一斉に打ち込まれたらひとたまりもないわよ!!早く早く!!」

「え!!う、うん!!」


「早く!!ロロアちゃ───────」

「きゃああ!!」




───────


「撃てぇーーーー!!!!」


野砲が一斉に放たれ、ホワイトスペクターの通路内を砲声が轟く。


バスターの炸裂でZMの外骨格が震え、それは一時ひとときの戦場からの解放を忘れるに十分の威力があった・・。


ロロアの潜んでいた隔壁が瞬く間に吹き飛び、壁が破壊され、天井が抜け落ちる!


「よし!野戦砲の砲撃後、斬り込めーー!!我に続けーー!!」

「うおーー!!」

「それいけーー!!」

ウィングが軍配を持って突撃し、赤いハチマキに銃剣を差したZMや刀を持ったZMが続く。



───────


「ぶはっ!!ゲホッ!ゲホッ!!ロロア!ハイパーカノンバスタぁあああ!!」

私は瓦礫から顔を上げると、突撃の鬨の声がする方角に特大のバスターを放った!!

ママが慌てて私の首に捕まる!


ピカッ!ドォオン!!

と言う、物凄い音と共にバスターの衝撃で瓦礫から飛び出し、バスターの威力をロケットブースターのように使い、尻餅をついたまま通路を滑るようにして駆け抜けた!


「今よ!ロロアちゃん!ひとまず撤退しよう!」

「うん!!」


私が飛んでくるビームを交わしながら走った。


*「敵発見!!ロロアちゃんだ!!」

途中のT字路でZMと出会して、やり過ごす。

ZM達は私たちを認めると、すぐに運用していた部品を組み立て出し、野戦砲として撃ってきた。


「無謀な応戦は避けて!!こっち!こっち!!」

頭に乗るママに指示されながら通路を駆け回る。

流石に学校でシュミュレーションしただけあって、なんとなく此処が何処なのか分かる。

みんなありがとう・・!私はみんなのお陰で迷わないよ・・!!


「ロロアちゃん敵が2体!!」

「うん!!」

私は素早く放置されていたホログラムを照射する台を倒すと、即席のバリケードにした。


チュンチュンチュン!!


カキン!

刀を持った、赤い八巻をしたZMがバスターを跳ね返すも、顔面が吹き飛んで力尽きる。

そして、もう1体が射撃しながら飛びかかる。

私の顔スレスレをビームの熱が駆け抜け、反射するようにバスターを撃ち返した。


「ほーーっ!!」

ZMの腹に当たって崩れ落ちる。

まだ息があり、刀を持って倒れたZMに語りかけた。

「ハァ・・ハァ・・サンサ・・!!俺は──」


私は崩れ落ちたZMの頭を撃ち抜いてトドメを刺すと増援が来ないか警戒した。

このハチマキは何の理由があるんだろう・・?


「クリア!!ロロアちゃん!ムーブ!」


ママが言った瞬間、奥の通路から野戦砲の砲身が飛び出した!!



「ロロアちゃん!!撤退!!!!」

「ひいい!!」



───────


「確かな手応え!!野戦砲を前にロロアは手も足も出ません!!」

アウルがホログラムのロロアを見ながら得意げに言う。

ストリームマンは満足そうに頷くと指示を出した。

「うむ!!勝機あり!!このまま“”ニホン庭園“”まで誘導しろ!!」

「承知しました!!」


アウルが前線に居るロボ達に放送する。


『前線のウィング、ZM達よ聞こえるか!!無意味な突撃をするな!!“ニホン庭園まで誘導せよ!』

「ラジャー!!」

ウィングの指揮官が手をグルグルと回し、ZM達に撤退するように指揮する。


そして隔壁を閉じると、確実にロロアを日本庭園に追い込んだ。



───────


幾重にも繋がる通路を駆け抜ける。

途中で野戦砲とぶつかり、慌てて別の通路へ・・。


「ロロアちゃん!この先に大きなフィールドがある『日本庭園』らしいわ!!」

「ニホンテイエン??」

「旧時代のガーデンよ!!そこそこ広いから野戦砲を誘き出して各個撃破しましょう!」

「うん!」


「ねえ、ママ??ZM達が日本庭園に誘導してるってない??」

「・・それは・・うーん。でも、私たちはストリームマンの貰ったデータで学校で訓練だってしてる・・。地の利と広いフィールドなら、私達の方が有利よ!」


「そっか・・!」

私は頷くと走り出した。


カキカキカキカキ・・。

電子錠が解除され、扉が上下に開閉する。

カキカキカキ・・ドシャン。

私達を中に入れると扉が閉じる。

中は2人が通れるくらいの小さな通路になっており、向こう側にも同じ規格の扉があった。


カキカキカキカキ・・・。

カキカキカキ・・ドシャン。


通路を抜けると体育館くらいの広いフィールドに出た。

「うわーーすごい。これが日本庭園?」

「こんな風になっていたのね」


そこはまさに“”ニホン“”だった。


ママが頭を上げ、音声や赤外線、ロボが出す微弱な電波を探して索敵をする。


「エネルギー反応なしよロロアちゃん。念のために注意して、ムーヴ」

「わかった!」


私はバスターを突き出して警戒しながら歩いてゆく。


目の前には“”寺“”があり、大きく開け放った堂にはストリームマンの金色の像が鎮座していた。

特に人の気配もなく、像の前の灰皿にタバコが立てて香りを放っていた。

その前に溝が掘ってある箱が置いてある。


「これは何??」

「これは賽銭箱ね」


「サイセンバコ??」

「金属の物や紙を中に入れるの。それを“”硬貨“”や“”紙幣“”と言って、時にそれはクレジットチップとしての役割りがあったそうよ」


「クレジットチップ!!でも、そんな金属の物や紙なら、簡単に偽造できてしまうと思うけど・・」

「今は出来てしまうかもしれないけど、昔は出来なかったのよ・・私かコーディアスに居た時は────」

「コーディアス!?ママ、コーディアスに居たの!?」

「・・コンサートをした時ね」


私は寺の壁に背を任せながらバスターを外に向けて警戒しながら進んだ。


奥は竹林になっており、苔むした小さな岩の山から水がこんこんと湧き出し、池の水を成していた。

石のオブジェは“”灯籠“”と言い、庭園を見るにあたり灯籠を基本にして庭園を楽しむそうだ。



「あの家は何??」

「あれは茶室ね。ロロアちゃん、はやくホワイトスペクターの心臓部にいかないと・・」

「わかってる、少しくらいいいでしょ!?」


私は茶室に駆け出した。

どうせ爆破するのだ、少しくらいニホンを楽しみたい・・。


「なんか家の中、臭いね」

「これはイグサの匂いよ。私は嫌いじゃないけど・・。あ、ロロアちゃん、靴を脱がないと!」

「私はロボなんだから脱げないでしょ!?もう!ママ!」

「ご、ごめん。ロロアちゃん」


私は縁側からよじ登ると、畳の間に乗り出した。

畳の間には見事な金の色彩の屏風が壁に伝うように置いてあり、奥には重箱に入った茶道具が入っていた。


鉄の急須があり、ウィング達はここでティーを楽しんでいたようだ。

床の間の掛け軸には『風鈴かざん!!』と書かれており、良く見たら格子状に貼られた紙(*障子)にも『ゴスロリ』や『祝い』『家の大切さ』『明日の晩』『強火と弱火』と言った“ニホン文字”がギッシリと書かれていた。

私はヘッドギアを録画モードにして記録し『ありがとう』と書かれた障子に指で穴を開けた。


「いい加減にしなさいロロアちゃん」

「・・みんなより大変な事をしているんだからいいじゃん」

「その“”みんな“”が、大変な事になって居るのに遊ぶの?ロロアちゃん!」

「少しくらい遊んでもホワイトスペクターは逃げないわ」


「ロロアちゃん!」

「私は私のやり方でやる!」


「もう!なんでそんなに私に反抗的になるの!?さっきまで私に従ってくれたのに!」

「別にママに反している訳ではないわ!ただ私は少しでも落ち着きたいから、楽しみたいだけよ!」


「え!?」

「さっきまで一緒に歌を歌って踊っていたのに、戦闘が始まったら殺し合わないといけない!!その苦しみがママにはわかる!?」

「・・・!!・・・ごめんなさい。ごめんなさい・・!」

ママは(あぁあ・・)と嘆くように言うとリュックから降りて縁側に腰をかけた。


陽の光を模した照明が庭園を照らし、私も気まずさと怒りから座布団クッションを敷いて大の字になって横になった。

天井には大きな鳳凰が力強く書かれ、今にも私を掴んで飛んで行きそうだ。


「何かを破壊する度に心が裂かれる思いなの・・」

「・・・私もロロアちゃんの近くに居るから気持ちは良くわかるわ。でも、ホワイトスペクターを破壊しないと更なる犠牲者が増える・・分かってるわね、ロロアちゃん」

「・・うん。でもねママ。わたしは────」



カキカキカキ・・


遠くで扉が開く音が聞こえて、私たちは瞬時に屏風に隠れてバスターを構えた!

ママも伏せて、遠くの音の正体を見極めようと目を凝らせた。


「・・何か・・来るわ・・」

「なに!?」


ママのビジョンをエディットする。

何者かが庭園の向こう、私たちが入ってきた扉から近づいて来る。


それは、頭に2本のブレードが生えたアステロイドだった。

全身は黒い外骨格で覆われており、両腕に鎌のように刀が腕から伸びている・・。

さながらクワガタとカマキリが混ざったような昆虫のようなロボだった。

これが“サムライ”と言うのだろうか??


「・・だから言わんこっちゃない・・早いとこホワイトスペクターを爆破すればこんな事にはならなかったのに・・」

「ママ、そんなの初耳だけど・・?撃ってみる??いくよ!」


私は屏風から飛び出すと、ブレードマンに目掛けてバスターを放った!


黄色い弾道と甲高いバスター音が響いてブレードマンに直撃し、足元の枯山水が弾けて砂埃が立つ。


しかし・・。


「バ・・バスターを斬ってる!!撃つのを辞めて!!」

「え!?」


ブレードマンの赤い目が光り、ニンジャのようなフォームで私の所に駆けて来た!!

突き出た2本の刀が、ハサミのように交互に動く!

私を真っ二つにする気だ!!


「ママ!!どうする!?」

「ミドルバスターをロロアちゃん!!」

「あ!そっか!!」


私は唇を噛み締めるとミドルバスターを放った!!

・・・が!!


ショキン!!


空間もの両断する音が響いた瞬間、私のミドルバスターが二つに斬れ、寺と庭園に着弾して爆発した!


「バスターが・・効かない!!」

言った瞬間サッと血の気が引き、心のフィンが激しく回るのを感じた。

ブレードマンの顔はニンジャのような黒い頭巾のような外骨格で隠れ、赤い目には表情を感じない・・。

その“”死“”を表現した様な邪悪な者が、脇目も振らずに突進してくる!


「ロロアちゃん!!ここはひとまず隠れましょう!ロロアちゃん!!」

「隠れるって何処へ!?きゃあー!!」

ショキン!!

ブレードマンの頭が私の首を捕えようとして、間一髪でママに押し倒されて交わした!


私は寝た状態でブレードマンの腹を蹴ると、体勢を立て直して玄関のある土間に走った!

ママは縁側に逃げ、ブレードマンの腕についた刀が屏風と障子を切り裂いた!!


サンダーブレイクは両手を使わなければならないし、バスターを打つ時は静止しなければ正確な射撃が出来ない!!


土間を駆け降り、滑るようにいしずえを降りると、クルリと転会してバスターを放った!

「ポイズンバレット!!」


ブレードマンが畳を持ち上げるとポイズンバレットを受け流すように畳を投げ捨てた。



「サンダーブレイ──!!」

私が玄関のかまちに手をかけて一か八かサンダーブレイクを放とうとした瞬間、ブレードマンの前蹴りが炸裂した!


「わっ!」

前蹴りを瞬時に交わした瞬間、右腕に仕込まれた刃が私の胸を不気味な冷たさで滑り、それに合わせるように肉がはち切れるように裂けた!


“斬られた!!”と思った瞬間に力が入り、上を向いたバスターが天井を破壊する!

ブレードマンが飛び退き、それと同時に恐怖と激痛が身体を支配した!


「うぐう!!」

私は床にバスターを放った反動で何とか外に飛び出し、茶室に怒りのバスターを浴びせる!

屋根が崩れ落ち、瓦が吹き飛ぶも、ブレードマンが瓦礫から飛び出して確実に私のバスターが振れない絶妙な間合いを攻めてくる!!

「きゃああっ!」

右腕の刃を振り上げ、左腕の刃を振り下ろす!

少し間合いが開くと頭のハサミで攻撃し、それを避けると前蹴りが飛んでくる!


情けの無い攻撃が私の顔や身体を掠める!

「ロロアちゃん!迂闊にバスターを撃ってはダメ!!ブレードマンはバスターを射撃した隙を狙ってくるわ!!」


「じゃあ、どうすれば良いの!?ポイズンバレット!!」


私のポイズンバレットがブレードマンの脹脛(ふくらはぎ)に命中するもブレードマンは残像が二手に別れて分身し、姿を消してしまった!




───────


この怪極まるアステロイドは、ロロアとの応戦によって世間に知られる事になり、彼女はこれを『ブレードマン』と名付けて恐れた。

ZMー300(ミーさん)はロロアの犠牲になったロボを解剖し、ロロアの繰り出す技とバスターの種類を見い出した。

しかしロロアの戦い方の癖や、どのような場合にバスターを切り替えるのか・・またロロアの心情の変化を知るには『ロロアと応戦して生還したロボ』を探さなくてはならなかった・・。


───────


ブレードマンが突入する数時間前。


救護所には変わらずロロアに破壊されたロボたちがとめどなく搬送されて来た。


「ぐあああーー!!助けてくれよーー!!」

「ぐうう!!早く、痛点感知システムを抜いてくれーー!!」


その中を赤い八巻を持ったZMー1*3(イシさん)とZMー300(ミーさん)が歩く。

イシさんが、負傷した1体のZMを見かけた。


「む!お前、これで3回目だな!」

「は・・はい」

「では、この赤い八巻を巻いてやろう!次に戦闘して破壊されたら前線を離脱出来るぞ!!」

「あ、ありがとうございます!自分、やってやりますよ・・!!絶対に!!」

「励めよ!」

イシさんが手を握り、他の医療班に治療を託す。

その様をミーさんは複雑な心境で見ていた・・。



「またみんな、手ひどくやられましたな・・」

「仕方がない・・ロロアの武器は別格の強さだ・・それ故に俺らも気合を入れて望まにゃいかん・・」

「へえ・・」


「ちょいと退いてくんな!!」

瀕死の重傷を負った赤い鉢巻をしたZMが担ぎ込まれた。

手には刀が握られており、それを無理やり引き剥がす。

体には青のシールが貼られており、顔のパーツを交換すれば助かりそうだ。

「彼は・・?」

「ロロアちゃんと近接戦闘に持ち込もうとしたみたいなのよ!赤い鉢巻してるでしょ!?勇んで飛び出して行ったらしいのよ!」


「そうでやんすか・・」

イシさんはミーさんを見ると目配せをする。

そして救護をするZMに悟られないように、ミーさんは青いシールから赤いシールに変えた。


「イシさん、彼を運びやしょう。おそらくロロアちゃんに一番近い戦闘をしたに違いないでやんす」

「そうだな。赤い鉢巻・・。歴戦の勇者ほどロロアを良く知る手がかりとなる・・シリアル番号は・・ZMー303だ」

「ZMー303!!サンサでやんすか!!」


「・・・!!ゴボゴボ!」

ZMー303ことサンサが僅かな聴覚で反応した。

口や目は吹き飛んでしまっているがメモリーディスクは無事なようだ。


「メモリーディスクは無事だ!やるんだろ?ミーさん!!」

「へい!!サンサを食堂へ運びましょう!!生きた情報が欲しいのでさ!!その為には、メモリーディスクが無事な個体が必要なんでさ!!ゆるしてくれよ!!」


・・普段ロボたちのメモリーは、ロロアが破壊した激痛とショックで焼けてしまう為、ミーさん達は死亡したZMを解剖することでロロアの戦いのパターンを突き止めようとした。

しかし戦況の変化や、ロロアの心理、戦い方の癖を分析するには限界があり、より緻密なロロアの情報を必要とした。


その為、ミーさんとイシさんは極めて非人道的な荒業をやってのける。


それは、修理して戦いに復帰したZMに赤い八巻をつけさせ『次に戦闘で故障して帰ってきたら、戦線から離脱出来る』と謳って八巻を付けさせ “”生きたまま“” メモリーディスクを取り外すと言う荒業だった。


それは、主民主義の出身であるウィング達を驚愕させ、ロロアとの戦いの過酷さをまざまざと知らしめる結果となった・・。

しかし、この“”生“”の情報がアウルの目に止まると。

アウルはすぐさま食堂にやってきた。



ミーさんもイシさんも黙々と解剖をしている・・。



「ZMを解剖してメモリーディスクを読み出しているのは、ミーさんとイシさんでしたか・・!」

「へい・・」

「どうです?その情報、我々にも教えてくれはしないでしょうか?」

「一体どうするのだ??」


「その情報をもとに・・新たなアステロイドを1から創るのです。ロロアの戦いに特化した・・本物の戦士を!!ZMの技術力と我々の能力で・・!!」


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