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ストリームマンステージ

メルル・ヴィアスの傷が見守る中、ロロアの決死の特攻作戦『フラッシュアロー作戦』が始まった。


主民主義派のストリームマン達はロロアの直向きな戦い方に混乱し、命のやり取りに困惑する・・。

そしてそれは敵すらも、ロロアの心に熱く打たれるのだ。


「こちらバイパーイーグルス!チームガンバの機体がまっすぐこちらに向かって来ている!奴ら横に1列に並んでいる!!オーバー!」


「了解、了解。その他動きはあるか??オーバー」


「いいや。それより雲やダストが邪魔をする!!迂闊に高速で入り込むと危険だ!!注意されたし!オーバー!」



日が西に傾く中、静かに戦闘がはじまった。

ウエストドラゴ山脈の一帯は、天然の要塞を成して大気は不安定で、それがホワイトスペクターを外敵から守る反面、熟年した飛行技術を要した。


チームガンバの40機が、高度3000メートルを維持しながら横一列に編隊飛行を開始して霧雲の中から現れ。

ストリームマンの攻撃機30機が高度10000メートルから撃ち下ろすように絨毯掃射を始めた。


しかし、バイパーイーグルスの自機のスピードに合わせられず、絨毯掃射は失敗。

通り過ぎた途端、横1列に並んだチームガンバの編隊が機銃掃射で迎え撃った。

両者、悪天候と機体のスペックの違いで、どちらも撃ち落とす事なくこう着状態が続き。

ウィングの乗るバイパーイーグルスが必死に翼を広げて乱気流から風を掴み、戦闘機の悲痛な鳴き声が山脈に児玉した。


「くそ!!チームガンバが遅すぎて狙いにくい!!外すと腹を見せて旋回する事になるから危険だ!オーバー」

「敵も馬鹿ではない!!後ろから追尾してミサイルで狙えないか!?」

「そうすると山脈に異常接近してしまう!オーバー!」






───────






『ロロアちゃん!!フラッシュアロー作戦が始まったら、すぐさま高度10000メートルに急浮上するぞ!!みんなに敵を引きつけてもらって、一気にホワイトスペクターに突撃だ!!』

「うん!!!!行こう!マナツさん!!」


私はリュックを開けると今一度ママと装備品を確認した。

「A缶は持った?」

「うん!!」


「CXは!?」

「入れたよ!」


「ティーセットは!?」

「大丈夫!!」


ドォン!!

「きゃあ!!」


機銃のスパークビームの音がした瞬間、目の前を飛んでいた双胴機から火が上がった!


*『だめだ!被弾した!!ロロアちゃん頑張ってくれよ!!我々は離脱する・・!』

「きゃあああ!!」


プロペラが爆発し、編隊から離脱すると火を噴きながらクルクル回って落ちてゆく。

そして雲の中に消えてしまった・・。


「はわわわわ・・!!」

私は目の前で起きた惨状に震えが走った。


他の機体は何事も無かったかのように横一列に並び。

驚くほど変わらずに飛行を続ける・・。

その機械的で事務的な編隊と、目の前で起きた『死』に、私の手はガタガタと震えだした。


「ロロアちゃん!大丈夫!?」

「ああ・・・あぎゅっ!!あぎゅ!」

慌てて右手の震えを抑えるも、今度は歯がガチガチと震えだして言葉がでない・・!




────『死』────




私の中でパワーマンに痛めつけられた事がフラッシュバックして頭の中が真っ白になる!

コックピットの色が白しか認知できなくなり・・・また、双胴機が火を噴いて撃ち落とされた・・!!



「ロロアちゃん、しっかりして!!マナツさん!ロロアちゃんが!瞳の色が光を失っている!!」

『大丈夫か!?ロロアちゃん!!』

「精神薬を投与!!」

『ダメだよママ!!今、精神薬を投与したらロロアちゃんが依存してしまう!!』

「・・でも!このままだと戦い所じゃ!?」


『ロロアの底力を信じるんだ!!この子は強い子だ!!我々を勝利に導くメルヴィアの化身なんだよ!ママが信じられなくてどうする!!』

「・・・っ!!」


『ロロアちゃん!!予定位置に着いた!!フラッシュアロー作戦を開始する!!上昇するぞ!!うおおおお!!!!』


「・・っ!!」

上昇した瞬間声が出て、私の瞳に光が戻る!

プロペラの後ろからエネルギーが射出し、強力な出力で上昇しているのを感じた。



「ロロアちゃん!?大丈夫!?」

「うん!なんとか・・!」


私達の上昇を認めると、編隊が散り散りに分散するのが見えた。

その編隊が一瞬にして小さくなり。

雲すらない何もない中空に放り出された。


私は後部に張り付くリュックを引き寄せて背中のマグネットユニットにくっつけると、ようやく双胴機は上昇を辞めて正常に戻った。



『ホワイトスペクターは何処だ!?近くに居る筈なんだが・・!!』


雲がなくなり、あたりは夕陽のオレンジが支配する何もない空間だ。

眼下では、様々な飛行機が入り乱れて戦闘を行なっている・・。


「ホワイトスペクターはどこ?見える??ママ?」

「見えないわ・・!!このぬいぐるみについているレンズではわからない!」


雲が眼下に通りすぎ、巨大な山脈から少し行った所に夕陽に輝く建造物が見えた。


「マナツさん・・山脈の向こう側に不思議な建物があるんだけど・・?」

『ん?どれだい??』

私はヘッドギアを望遠機能にすると、算出された座標をマナツに転送した。


望遠機能で捉えたそれは、皮肉にもホワイトスペクターを飾り立てた五重塔だった。


『ロロアちゃん・・あれだ!間違いない!ホワイトスペクターだ!!』

「ホワイト・・スペクター・・!!」

『ああ!!俺たちの標的!!ストリームマンが乗っている攻撃目標だよ!!』

「・・・・!!」


アメリア共和国の船団が鉄の城なら・・マンタ型の巨大な爆撃機の4機が周回するホワイトスペクターは鉄の都だった。

そのマンタ型の爆撃機の甲板から容赦なくバイパーイーグルスが飛来し、チームガンバの方向へ編隊を成して向かっている。



私の瞳孔が開くのを感じ、震えが止まって、腕にツブツブとあわ立つのを感じた。

国語で習ったけど・・これがあわ粒なのか。

私はホワイトスペクターを目の当たりにして逆に冷静になるのを感じた・・。


「ロロアちゃん?準備はいい?いける??」

『ロロアちゃん?こちらは問題はない。大丈夫かい??』

ママとマナツが心配そうに私に聞く。


私は息を吸い込んで言った。


「行こう!マナツさん!!」






───────



その頃、ZM-300達はメルヴィア音楽堂の勝利に備えてホワイトスペクターの展望台に建てたヒノキの床をブラシで磨いていた。


「くーにを追うのも 爆弾落とすも 誰も本気じゃないれど♫

トコトンヤレ トンヤレナ♫

ストリームマン様の ストリームマン様の

先手に手向かい する故に

トコトンヤレ トンヤレナ♫」


「ふう。じゃあ、休憩にしようや!!」

「うぃー!」

「あいよ!」

ZM-300ことミーさんが他のZMシリーズに呼びかける。


見上げると五重塔が聳え、その下には障子を締め切ったストリームマンの本陣がある。

衛兵も出払い、時より障子越しにアウル達の影が動くのを確認できる。


「ミーさん?この作業、まだつづけるんですかい??もう晩飯の時間ですぜ??」

ZMシリーズの1人がぼやく。


「そりゃ、ウィングさんが敵とドンパチやっているんだ。あっしらだけ休めねぇよ」

と言った。

「あ、そうだ!」

ミーさんは台所に赤飯があるのを思い出した。

それを握り飯にしてストリームマンに差し入れようと考えたのだ。


「みんなはA缶を呑んでてくれい!!あっしはストリームマン様のために握り飯拵えてくらぁ!」

「へーい!」

「ミーさんは優しくていけねえ!」


ミーさんが台所に続くハッチを開けていなくなり、ZM-3333が何を思ったのか不意に空を見上げた。


「あれ??」

「どうした??」


「ホラ、あんな高高度にチームガンバの双胴機が・・」

「へ??」

ZMシリーズ数人がブラシを置いて見上げる。


はるか彼方の高高度にキラリと光る一機の双胴機がポツンと居た。

ZMシリーズは口々に“おかしいね”と言い合い、首を傾げる。


「連絡した方がいいだろか??」

「いんや。流石にバイパーイーグルスが放っちゃおかないだろ。ま、俺は止めねーけどな」



そんなやりとりを聞いて、胸騒ぎを覚えたZMー3333は台所に続くハッチの横にある黒電話で管制室に連絡した。


『はい、こちらホワイトスペクター管制室』

「もしもし?いやね?間違いならいいんですが・・すごい高い西の空を双胴機が飛んでいるんです。ありゃ、なんなのかなーって」

『へ?双胴機??ちょっと待って下さいね・・』



しばらくオルゴールの音・・・。

ZMー3333は受話器のコードを指でクルクルしながら待っていた。


『・・ブツッ・・。お待たせしました。あぁ、あれね。脅威ではありませんから心配には及びません』

「え!?それは本当ですか?」


『えぇ。なんでもパイロンに人が乗ってるばかりの代物だから大丈夫だって・・』


「いや、人が乗ってるから大丈夫っておかしいでしょうに!何か思惑があるからいるんでしょ?」

『いやいや、何でも違うモンだって話です!上がそう申していますから安心なさい!』

「・・それは、きちんと調べたんですか!?」


『それを貴方に話す必要もないし、疑問に思わないでよろしい!では!!』

「はぁー!?」


ZM−3333の心配をよそに一方的に電話は切られてしまった。



「・・どうでした??」

「ちぇっ、ZMシリーズの言葉だからって一方的に切られちまったよ!」


ZM−3333は不満そうに腕組みしながら空を見上げた。

「どうしても嫌な予感がするんだよなぁ・・」





───────


ロロアが手のひらに『ロの字』を書くと呑み込み、ママを抱きしめて股の間にある操縦桿の間に乗せた。


『それじゃあ!!行くよ!!ロロアちゃん!!』

「うん!!」


モニターには

『ロロアちゃん、武運長久をお祈りしております。作戦隊一同』の文字が現れた。

それを確認した瞬間、マナツの号令が聞こえた!


『ロロアちゃん!!投下ぁーーー!!!!』

*『ロロアちゃん投下!!』

*『ロロアちゃん投下します!』


双胴機の他の隊員の声を確認して上を見上げた瞬間、ガタンとロックが外れる音がした。


その瞬間、髪がふわりと浮かび内臓がヒュンと下に落ちる強烈な感覚が私を襲った!


一瞬にして無重力・・!!


そして、ミサイルがホワイトスペクターにあった方角に向いた瞬間!!


「うぎゅう!!!きゃぁあああああ!!!!」

ドッパン!!

と言う空気の壁を突破する音と共にブースターが火を吹いて一気に加速し、座席の後ろに貼り付けになり、高速の光になった!!!!





───────




「飛翔体発射!!!!」

「飛翔体発射!!」

「飛翔体を確認!!!!」

それは瞬く間にホワイトスペクターの管制センターを駆け巡った!!


「何ぃ!!飛翔体だと!?」

それはすぐさまストリームマンに伝えられ、本陣のテーブルや屏風に飛翔体が映った!


『ロロアを乗せたポットがまっすぐこちらへ向かっています!!!!ストリームマン様!!いかになさい────』

「馬鹿者!!あれはミサイルだ!!ミサイルとして対処せよ!!」

『はっ!!』


ロロアのミサイルがホワイトスペクターに向けて発射され、それを迎撃するように妨害フレアが放射された!

だが!!

ロロアのミサイルは妨害される事なく真っ直ぐこちらに向かってくる!

『妨害できません!!』

*『外部からの操作でミサイルが射出された訳ではないようです!!』



「迎撃ミサイルを撃て!!何としてもミサイルを止めろ!!」

マンタ型爆撃機の背中から小型のミサイルが射出される。

しかし、射出された迎撃ミサイルは西日の赤外線を感知して太陽の方向へ向かってしまった!

『迎撃ミサイルの対赤外線フィールドを展開しているようです!太陽を熱源と感知して向かってしまいました!』




「ええい!!妨害機雷を発射しろ!!!!」


『それは出来ません!!そんな事をしたら出撃したストライクイーグルス達に何が起こるかわかりません!!』

「構わん!!早くしろ!!」

『はっ!!』


ホワイトスペクターの翼が開いて球状の爆弾が射出される。

そして機雷は花火のように炸裂した。


ミサイルの先端が揺れ、外のランプが点滅する。


『妨害機雷、効果ありー!!ミサイルはロボットが内部で操作しているようです!!』

「・・うむ!?一体どう言うことだ!?」


『ミサイルは内部で操作されている事に間違いありません!!操作しているのは・・ロロア・フローラウス・メリアス!!!!』

「ロロア・フローラウス・メリアス!?」


『ダメだ!!!!ぶつかります!!!!』

「うわああああ!!!!」


妨害機雷を受けたミサイルはホワイトスペクターを大きく外れ、五重塔の瓦屋根をソニックブームで吹き飛ばして通過すると、一気に軌道を変えて上昇した!


「わああ」

ウィングや対空砲手から悲鳴に似た声があがり、参謀達が思わず甲板から上空を見上げ、縦横無尽に飛び交うロロアのミサイルを目撃していた。


ロロアの目的は明らかであり、尚もそれを実行しようとミサイルは飛び狂う。


しかし金による富と。

そして権力による搾取、政権争い、裏切り、騙し打ちを経験していたストリームマン達にとって、敵の艦隊に突っ込むと言う行為そのものがまったく理解できなかった。



「アイツは何を好き好んでホワイトスペクターを狙う!?自分を犠牲にしてまで富が欲しいのか!?名声か!?宗教上のパラダイスか!?それとも家族が人質に取られているのか!?なんなんだ!?」

『わかりません!!唯一分かるのは』

「何だ!?」



『彼女は自分の意思でミサイルに乗り込み!そして私たちの艦隊にぶつかろうとしている事です!!』

「うわーーー!!!!」





───────




「いけえええええ!!!!」


私は操縦桿を必死に握ると前に倒して下降した!!

妨害波で頭がビリビリして、腕に力が入らない!


「ロロロアちゃん!!ここここれが、さいごごごのチャチャンス!!」

ママも必死に全体重を操縦桿に乗せて手伝ってくれる!!

クラスメイトの笑顔が、妨害されるデータの中でリピートされる!

メリルの言葉も・・!


“”元気だしてロロアちゃん!あなたは仕事をしたまでなの。そしてこれから普通の女の子に戻るの!“”


「うん・・。私は平和を取り戻して戻ってくるよ・・!まっててね!!メリル!!!!」

メリルの悲しそうな顔が混乱したデータの中に埋もれる。

私はデータの集合体に微笑んだ。







───────


「うわ!!これはヤバい!ぶつか───!!」

ZMー3333が叫んだ瞬間、五重塔がミサイルに貫通して吹き飛んだ!

しかし木造の建造物は柔らかく。

そのままホワイトスペクターの尾の方にある金の茶室を瓦礫もろとも破壊しながら吹き飛ばし、ミサイルは爆発する事なく船外に飛び出した!


そして、2号館と言うマンタ型爆撃機の横腹を直撃し、外部の分厚い装甲にミサイルの先端が食い込んだ!

そして小さな穴から、ミサイルの先端に詰まった高温に熱した炸薬が流し込まれ、爆撃機の隔壁を内側から熱で剥がしながら推進力で突き進んでゆく!


ロロアは仮死状態になり、コックピットに耐衝撃用の液体が充填。


充填が済んだと同時に、二重構造のブースターユニットが回転するように射出され、ロロアを乗せて高速回転するドリル刃の弾丸のように内部を削りながら進んで行った!


当初の作戦の予定では、ホワイトスペクターの内部まで突き進んだ後に、ロロアが駆動部に爆弾を仕掛ける予定だったのだが・・・。







───────






ロロアが突撃を終え、チームガンバの編隊10機が撤去してフラッシュアロー作戦は終了した。


ロロアのミサイルを受けた五重塔は激しく燃え上がり、ヒノキの床を清掃していたZMシリーズが瓦礫の下敷きになって死亡した。



ZMシリーズによる血の滲むような決死の消化活動が功を奏し、本陣までの延焼は阻止できた。

ストリームマンは尚も燻る煙をそのままに、艦隊の長達や参謀を緊急招集した。





…数時間後。




本陣のテーブルにはロロアが突撃したマンタ型爆撃機の2号艦が映し出され、ツェッツとアウルがマップに指を指して被害報告をした。


ツェッツ:「・・ロロアの乗ったミサイルはマンタ型爆撃機の装甲を破壊し・・内部の隔壁を破壊しながら進みました。そして・・兵舎の居住区を熱線と外気圧で吹き飛ばしましたが、内部で停止して留まっています」


ストリームマン:「それで?今何処にいるんだ?ロロアちゃんは」


マンタ型爆撃機の長達が気まずそうにアウルを見る。


アウル:「その・・ロロアちゃんは・・」


ツェッツ:「ロロアちゃんは、火薬庫の外部装甲を破壊して内部で留まっています・・!」


ストリームマンはそれを聞くと。

震える手で冠を取って、静かにテーブルに置いた。


「今から言う奴は残れ・・ツェッツ。アウル・・管制センターの参謀達・・」


マッド師団の参謀や、他の艦隊の長が出ていき、襖が閉まる。

ZMー300ことミーさんは、握った赤飯をお盆に乗せたまま障子の前で立ち尽くした。


その瞬間、ストリームマンが堰を切ったように怒り出した。

「なんだこの惨状は!!!!チームガンバにまんまとしてやられたな!!!!最初から本隊の突撃が本意では無かった!!!!ロロアと言うガキを突撃させる事が本当の作戦だったのだ!!!」


ツェッツ「しかし、メルヴィアの歴史においてこのような作戦は発案された事はありませんでしたし・・!」


「まだ言うか!!最初から奴らは明らかな不利でも諦めて居なかった!!肉を切らして骨を断ったんだ!!本隊の被害は無かったが、五重塔の塔が破壊され、3号艦が中破と言えど危機的状況である事は変わりがないんだ!!これでは完璧なメルヴィア制圧とは言えん!!」


ストリームマンがツェッツに羽根ペンを投げつけて叫んだ!

「ちくしょーめ!!!!」


ストリームマンは取り乱し、幾多の戦いで磨きあげてきた戦いの美学が崩れ去るのを感じた。


「────浅はかな読みと油断から、美しい勝利の方程式が阻害された・・!ボロボロな五重塔では、たとえメルヴィアを陥落して降伏させても、民衆の心には響かない・・!

これは我に対しての最大の裏切りであり、ニュートリノ発電所を戦い抜いた兵達への裏切りだ!!敵は身中の虫だったのだ!」


アウル:「お言葉ですがストリームマン様!我々はチームガンバに立ち向かい、これを撃破しました!それすら裏切りと言うのは、もはや侮辱行為に他なりません!たかだかミサイルに乗った小学生でしょ!?我々に何の脅威がありましょうか!?」



「ミサイルに乗ったアステロイドだ!!それは妨害機雷が証明したんだバーカ!!」


アウル:「しかし、ハルミオ小学校のデータベースでは普通の小学生と・・!」


ツェッツ:「・・・いや残念だが・・」


アウル:「・・どういう事だ!?」


作戦本部の屏風にロロアのデータが映し出される。

そこにはロロアが対ストリームマンの為に体育館で訓練を受け、腕に強靭で残忍なバスターが装備されている事を示していた。


ツェッツ「・・ハルミオ小学校の学年だよりにあったらしい・・。題して『ロロアの安心のひみつ』だそうだ・・チームガンバは隠していない。完全に我々がノーマークだったんだ」

アウル:「そ・・そんな!!」


「火薬庫に突入したロロアがどうなったか調べるのだ!!」





───────


「ダーパ作戦長。敵の艦隊に潜入したわ。でも・・ごめんなさい。妨害電波のせいで隣の艦に入ってしまったみたい・・私とロロアちゃんは無事・・周囲を報告するわ」


薄暗い空間で、コックピットの前方が大きく開いたのでママがライトを照らしながら分析する。


私が眠りから醒めるシーケンスを発動する中、ママはいち早く目覚めて辺りの状況を作戦本部に伝えた。


「突き破った隔壁の穴とZMシリーズの断片が見える・・。空気が漏れていて、おそらく兵舎を突き抜けたみたいね。このフロアは何かしら?『────』・・わかりました・・ダウンロードします・・」



「うーん・・」


「ロロアちゃん。起きたみたいね・・わっ!」


私が動いた瞬間、ミサイルが大きく揺れた!


「ここはどこ!?」

「まだ、わからないわ!」


私は、瞳がライトモードになったママを抱っこしながら周りを照らす。

どうやら何かの部屋の壁を突き破り、頭が出た状態で止まっているようだ。


「下はどうなっているんだろう・・??」

私がママを抱いたまま下に向けた瞬間、私たちは驚きの声を上げた。

「「はぁあっ!!」」


それは床一面に規則正しくならんだ焼夷爆弾の筒だった!!

キャットウォークと言う簡単な足場が随所にあり、その下全てが焼夷爆弾で囲まれている・・!!


ガガガゴ・・!

ミサイルが前のめりに動き出し、滑り落ちようとする。


「・・ロロアちゃん!!このままミサイルが下に落ちたら爆発するわ!早く出ましょう!?」

「うん!!」


私は座席のマグネットロックを解除するとママを背中にのせてキャットウォークに飛び移る準備をした。


「おそらく様子を見に敵が来ると思う!早くここから脱出して、ホワイトスペクターに向かいましょう!」

「うん・・!」



ダン!タッタッタッタッ・・。


「誰か来る!」

私は思い切り飛び移ると、足のエアーを出して優しく着地した。

その瞬間、キャットウォークを支えていたワイヤーの一部が切れて、キャットウォークが傾いた。


「貴様!そこで何をしている!?」


「きゃっ!ロロアちゃん!!」

「大丈夫!私が殺る!」


私は咄嗟に、キャットウォークのワイヤーに捕まると、駆けてきたウィングの腹に飛び蹴りを喰らわせ、くの字になって伏せた顔面に曲げた膝を当てた。

「ぐぉあ!!て、敵か!!ぐががっ!!」


そして素早く後ろに回り込んでウィングの左腕を私の左腕に絡めて押し倒し、そのまま左手をウィングの腰の下に添えて動けなくすると、バスターに切り替えた右手を突きつけて尋問した。


「動くな!!この爆弾は何!?何をするつもりなの!?」

「何って!メルヴィアを火の海にするに決まっているだろうがよ!!」


「メルヴィアを・・火の海に!?」

「ああ!!メルヴィア音楽堂の周辺をナパームで火の海にした後に、音楽堂をペンキで赤く染めてやるのさ!!それだけじゃないぜ!?ホワイトスペクターの主砲がメルヴィアの主要都市の2箇所を破壊するだろう!!いくらお前が捨て身の戦術で突撃して来ようが

他の艦隊が実行に移す!!もはや作戦は止められないんだよ!」


「く・・っ!!」

私は規則正しく並べられた焼夷弾の畑を見た。

その中にリクトやダイチの恐怖に慄く顔・・。

ユミルが叫び・・メリルが泣き叫ぶ顔が浮かんだ。


「・・だから、その手を離しな!!」

「はっ!」

私は、向き直るウィングの仕込みナイフを首を反り返えて交わすと、そのままバスターを放った!

チュンッ!!


「うわわ!!何しやがる!?」

バスターはポイズンバレットになっており、火薬庫の壁を跳ね返って私たちの方へ飛んできた!!


「わわわわっ!!」

私とウィングが慌てて離れ、その間をバレットが通過する!

そして壁に跳ね返って上に跳ね返り、下に跳ね返って斜めに跳ね返り、やがて焼夷弾の畑に入り込んでしまった!!


トン!カッカッカッカ!!!

と言う音と共にバレットが焼夷弾の中を貫通しならが進む・・!!


ボッ!!

そして焼夷弾の畑からメラメラと火の手が上がった!

「うあーーー!!火事だ!火事だ!!知らせなくては!!」

ウィングは慌てながら消化活動をしようか本部に知らせようかアタフタする!


私は消化器を掴むとウィングに渡した!


「あ!ありがとう!!」

ウィングが消化活動をする。

しばらくそれを見ていたのだけど・・ママが耳打ちした。


「・・ロロアちゃん!私たちの目的を思い出して!!ここはウィングに任せて行くよ!?」

「・・うん!!」


「うおい!!俺を放って行くな!!戻ってこい!!うわわっ!火がっ!!」

私が駆け出し、ウィングが叫んだ!


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