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メルル・ヴィアスの傷

皆の想いをのせて出現するロロア。


美しい科学のテクノロジーの先には、毒々しくて高圧的な戦争が見え隠れする・・。


それはメルヴィアが行っている国民に対しての政策そのものであり、平和を守る上での足枷に他ならなかった。


そんな中、メルヴィアの国民の代名詞である気象現象が現れる…。

ロロアは苦悩し、迷いに迷うのだった。

「あれはなに??」


私は海上にある四角いミルフィーユのショートケーキのような基地を指さした。


「あれは気象調整基地ね。台風の目にアイスブラストを打ち込んで消滅させたり、災害級の危険な雲を消滅させる基地よ」

「ふーん」


「あれは??」

私は海上にプカリと浮かぶクラゲのような基地を指さした。

「単体水中都市群のエルムよ。普段は海底に沈んでいるけどソーラーエネルギーを充電するために浮かんできたのね」


「へぇー」

私は海を見ながら感心した。


海洋除染プラントの螺旋状の海上除染基地が巨大な海水を巻き込んで美しいガラス張りのビルのように海上に聳え、海洋養殖所の葉っぱ状の水槽が太陽を反射してキラキラとひかる。



社会で勉強したとは言っても、こうして目で見ると面白い。

「そうだ、メリル達に観せてあげよ!学校新聞の記事にできそうだし!」

「それはいいわね!!」

「うん!」

私の頭のヘッドギアが点滅し『録画モード』になる。


瞳の上に『REC』と点滅し、私の視点に合わせてデータベースに保存する。

外を眺めるママを撮影すると、少し恥ずかしそうに話をしてきた。


「ロロアちゃん、録画したデータは何処かにクラウドするの?」

「ううん。メモリーデバイスに保存する!」


ママが私を見上げる。

「・・それはトオルさんの?」


「うん。トオルさんのデータに更新してる。メルヴィアの海なんて見た事ないだろうから」

「そう。きっとトオルも喜んでいると思うわ」

ママが手を頬に当てて言う。


「うん。そう言えば、ママと旅行するの初めてだね?」

「そうね。これを旅行と言うのかはアレとして・・もう!ロロアちゃん、私ばかりを撮らないで!?」

ママがようやく、私のイタズラ気付く。


「だってクマさんなんだからいいじゃん!」


「ダメよ!!この格好だって恥ずかしいんだから!!」

「小さいママ!!」

「もう!ロロアちゃんたら!!」

「あはははは!!」

「ふふふ!ふふふふふ!!」


私とママは戯れ合う。

そして何気なく外を見た瞬間、何かが映った。

「はっ・・あれは!?」

『ロロアちゃん!ママ!!見ると良い!』


「マナツさん!!あの船団は何!?」

『主民主義国 アメルア共和国の上陸船団だ!!』

「上陸・・船団!?」


上陸船団は高圧的に大砲を撃って、進路にあった海上施設を退ける。


…それはまさに鉄の城だった。

波の波動を模したトゲトゲした巨大な銀色の造形に、無骨な主砲が2本伸びていた。

そのトゲトゲの上にちょこんと飛行艇が留まれるポートがあり、スズメバチ型の戦闘ヘリや、トンボ型の爆撃機が幾つも留まっている。

その巨大な毒々しい銀色の城が縦に連なり、間に物資を乗せた船団や兵士を乗せたお碗のような船が挟まる。


『あの、お碗型の船の内部には水陸両用船が入っていて回転しながら射出できるようになっているんだよ』

「フォレストパークに向かっているの?」

『そうだ。メルヴィアはニュートリノ発電所のクーデターからフォレストパークの問題は他国の介入に任せている。しかし同時に主民主義国の同盟国が治安を維持した場合メルヴィアもアルムシュアの戦いに参加せざる得ないだろうな』

「もしも介入を拒否したら?」


『マッド師団と言う大規模で謎の組織をメルヴィアが認知して隠していたとして、世界中から非難されていただろう。フォレストパークからは、フォレストマンやマッド師団のロボット軍団が。

ニュートリノ発電所では電力の阻害とストリームマンの武器が・・。

政治の裏では共民主義のブルーシグナルズが暗躍し、それに資金を受けたメディアが政権批判をする。メルヴィアはマッド師団が支配して、生き延びた国民が共民主義を信じる。恐ろしい国になっていた事だろう』


「マッド師団って、そもそも何なの??」

『ロロアちゃんが戦ったZMシリーズやYWシリーズの他に赤と黒と緑のメカニロボが居ただろう??』

「あー。うん。いたような・・」

『あの軍団は、本来メルヴィアが正規の軍隊を作れないので、どちらの思想にも左右されない中立的で公平的な軍隊を目指すべく作り出されたのさ』

「じゃあ、私たちに牙を剥くのはなぜ??」


『それは中立であるが故の事なんだよ。マッド師団はイデオロギーも大義名分もなく、ただ自衛の為に動いているんだ。そして指揮系統の大本が無くなっても、独自に展開できるように造られている。


つまり、ニュートリノ発電所やフォレストパークを守るための本来の防衛能力に、我々人間が『排除』と言う形で乗り込んで行った。故にロボ達は自分の防衛拠点が破壊されていると誤審したのだ。そして、さらに不満を持ったロボ達や反思想の者達が傘下に加わり、マッド師団は『メルヴィアを守る』と言う歪んだ情報をアップロードしたまま我々に牙を剥いているのだよ』


「つまり・・それって。彼らからしてみれば私たちは『メルヴィアを危険に晒す異物』と言う事になるの・・??」

『彼らの言い分としてはそう言う事になるね。しかし人間を守らないと言うのは許されるべきではないし、俺らチームガンバは毅然とした態度で戦って行くよ。マッド博士が何と言おうと、もはやそれは欠陥品イレギュラーだからね』


「マッド博士は何処にいるの??」

『メルヴィア音楽堂のワープでしか行けない特殊ルームに軟禁されている。一応、重要観察人としての身柄確保だからあまり強制力はないけれど・・』

「でも・・この騒動の犯人なのでしょう??」



「ロロアちゃん?世の中にはプリティアのように簡単には善と悪に分けられない勢力が存在するの。マッド博士はこの反乱に対して明確な指示や共謀はしていないし・・あくまで彼の創り出したロボが悪さをしているだけあって、彼を迂闊に捌くことはできないの」


『それにマッド博士はチームガンバに技術提供をして貰っているんだ。もしもマッド博士が悪い人なら、そんな事しないだろう??』

「そうだけど・・明らかに怪しいわ?マッド博士はどんな協力をしているの??」


『ロロアバスターの開発と、”残機“の制作顧問だよ』

「残機・・!?」


「もしもロロアちゃんが破壊された場合のバックアップボディーね」

「・・・」


「それに、もしもマッド博士が『悪』ならば・・きっとパパも悪になるわ・・」

「そっか。じゃあ・・私もマッド博士とパパに作られたから・・悪になるのね」


「・・・。まぁ、難しい話は後にしましょ?」

『あぁ。考えても仕方がない。俺らチームガンバの任務はメルヴィア国民の命を救う事だからな・・。それ以上でも、それ以下でもない』


「うん。・・私もみんなの笑顔を守る。それだけよ」

私は首を横に振ると戦いに集中した。

そうだ、私はみんなの笑顔を守るために戦っているんだった。


でも・・もしも戦って撃破した敵の中にパパが居たら。

マナツは私を褒め、メリルは笑顔で迎えてくれるだろうか・・。






────


ロロアを乗せた双胴機が飛行機雲を作りながら飛ぶ。


そんな中、アメルア共和国の碗型兵員射出船の甲板に一個のドリームメイクチェンジャーと言うコンパクトの電源がひとりでに入った。


『作戦本部よりヤタガラス隊。作戦本部よりヤタガラス隊・・聴こえるか??オーバー??こちらは作戦本部・・君たちの夢を叶える執事セヴァスチャンだ。オーバー』


それをベネリと言う女の子が中央のクリスタルのボタンを押して応答に答える。

「聴こえるわ!!セヴァスチャン!!」


『OK!!お嬢さん方!!点呼を取るぞ!!』


「みんな!!点呼よ!!集まって!!」

ベネリの号令に他のヤタガラス隊が集まる。

以下、ヤタガラス隊は全てアステロイドで構成された斥候部隊だ。


『隊長 ベネリ!!』

「サー セヴァスチャン!!」

ベネリは赤髪をボサボサのウルフカットにした小柄な女の子だ。

勝気な性格で、愛情や友情に関しては強欲であり、時に人情や愛情表現の露骨さから煙たがれることが多い。

仲間を何よりも大切にし、その情熱的な性格から、他の隊員の信頼も熱い。



『攻撃手 シルス!!』

「へーい セヴァスチャン」

シルスはガムを噛みながら分子破壊アトムナイフをクルクル回した。

「セヴァスチャン??あの双胴機は何なのさ??」

『あれはメルヴィアの船だ。我々には関係はない』

「・・ちっ。人が戦いに行くってのに呑気に飛びやがって・・メルヴィアンめ」

シルスがガムを噛みながら、上空を見てボヤく。

シルスは銀髪をオールバックにしてカチューシャ留めにした女の子だ。

好戦的で喧嘩早く、戦闘となると常に前線を駆け抜けて道を切り拓く強力なアタッカーだ。

言葉遣いも乱暴で、とてつもなく残忍である。



『狙撃手 ニキータ!! ・・・ニキータ??』

「イエア(手を挙げる)」

ニキータは青髪で長髪であり、長身の女の子だ。

常にSスナイプSスパークライフルの手入れをしており沈着冷静で静寂を好む。

一匹狼気質で常に後方で待機している。

猫耳の広範囲集音器をつけている。


『通信手 アルネリア!』

「サー セヴァスチャン! 通信状態、オールクリア!」

金髪をお下げにしたアルネリアは丸メガネを直した。

いつも何かに緊張していて落ち着きがない。

しかしネットの世界に強く、メカニックも強い。


『衛生兵 ミラルル』

「サー セヴァスチャン 私の愛しきリールフレンド♪(バーチャル世界でティーンエイジャーが行っている性的スレスレな遊戯)」

『ミラルル!変な疑いがかかるからこう言う呼び方は辞めてもらえるかね?』

ミラルルは豊満な胸に、オレンジの長髪をポニーテールにしていた。

食事と治療を主な仕事にしている。

皆よりどことなく大人びており、底抜けに優しい。


『みんないるな!?

アメルア共和国の壮大なパーティーにようこそ!お嬢様方!我々は何の為にいるか分かるかね??』


「「「メルヴィアの尻拭い!!」」」」

皆がドリームメイクチェンジャーに呼びかける。


『そうだ!!我ら戦闘に特化したアメルアの兵士達がメルヴィアの女神に真の戦い方を教えるのだ。

我々が多くのバグズ(メカニロボを差別する言葉)を倒せば倒すほどメルヴィアは恋をし、より施設を爆破すればするほど水の無かった砂漠から水が滴り、やがてフォレストパークより深い茂みを濡らすことになる。

じきにアルムシュアのベットで一緒に寝たいと懇願するようになり・・いつまでもいい子ちゃんぶっている淑女から、神話よろしく戦いを欲するアバズレに成り上がるだろう』


ミラルル:「わぉ」

アルネリア:「あー」


セヴァスチャンの下品な皮肉に、ミラルルとアルネリアがニヤリと笑う。


シルス:「その淑女が呑気に上空を飛んでいるわけね」

ベネリ:「まあ、私たちの標的じゃないから自由に飛ばしてあげるけど」


シルスとベネリがお互いを見る。



『ベネリ?その淑女の乗った飛行機に誰が乗って居ると思う??』


「え??」


アルネリア:「先ほどメルヴィアの軍事データベースで搭乗員を調べたの・・ロロア・フローラウス・メリアスが搭乗しているとありました!」


ベネリ:「ロロア・フローラウス・メリアスですって!?」


『正解だ!ロロアはカイン・メリアスの愛娘であり、君達と同じ────』


「「「「カイン・ナンバーズ!!!」」」


ニキータ:「イェア」

シルス;「そうだ!!」

ミラルル:「私たちと同じ!!」

アルネリア:「登録上では姉妹も同然!!」


「姉妹・・!!今誰が言ったの!?良い響きね!!」

ベネリが胸を抑え、あまりの響きの良さに感動する。


「ま、向こうがどう思ってるか分かんねーけどな!」

シルスが言いながら風船ガムを膨らます。

ベネリはムッとした表情になった。


「何よシルス!?姉妹と言う言葉に感動しないの!?シルスの脳はそこら辺のバグズと何ら変わらないわ!!小さな感動は、時に大きな物を動かす時がある!覚えておきなさい!」


「ふん!やってる事はバグズと変わらないけどな」

シルスが甲板に腰をかけながら言う。


「そのバグズをロロアちゃんはミサイルに乗って倒しに行くのよ」

アルネリアがボソリと言う。


「ミサイルに…乗って?」

ニキータがピクンと反応する。


「とんだクレイジーね。それとも私達以上の『契約』

をしているのかな?」

とベネリは言った。


「どんな『契約』をしたのか気にはなるね。もちろんプライベートを詮索つもりはないけど…あくまで個人的興味として。もしかしたら、サイクノイドになる身体を手に入れる為とか。人間の知識に関する欲は凄まじいから」

と、アルネリアが分析する。



ミラルル:「いえ、きっと身体を焼くような恋をしたんだわ!そして恋は愛に変わり、やがて愛の結晶は子供として産まれるの!ロロアは、そんな生命の神秘に魅了されたのよ!」



ニキータ:「・・・静寂こそ正義。もしかしたら永遠の静寂と黄昏の大地が欲しいのかもしれない。人間誰しも、人と関らず静寂を求めるもの」


シルス:「破壊だよ!全てが平伏す壮大なパワーを欲しているのかもしれねぇ。ミサイルに乗ってるんだぞ?そうとしか考えられねぇ!」


ヤタガラス隊があれやこれやと話し合う、もうこうなってしまったらセヴァスチャンは蚊帳の外だ。

『・・では、次の作戦が発令されるまで待て。以上だ』

と、セヴァスチャンは一方的に通信を切ってしまった。




飛行機はいなくなり、やがて小さな飛行機雲ができた。

ベネリの前髪が海風で揺れ、彼女はポツリと言った。

「私達を探しているのかも・・」


「「「えっ!?」」」


「私達を探しているんだよ!!ロロアは私達を欲しているの!」


ミラルル:「ベネリ?それは・・ないかと」



アルネリア:「ロロアは私達を求めているどころか・・認知すらしていない可能性があるわ。アメルア共和国と違って、メルヴィアはテレビの個人報道の規制が強いもの」


「今度、何かの機会があったらロロアに会いたいわ!たとえ今は認知していなくとも・・きっと私たちの存在を知ったら会ってみたくなると思う・・。きっと身体が先に欲する筈よ・・!!」

ベネリがミュージカルのヒロインのように言う。


「はえー。そんなもんかねえ・・」

ベネリの言葉にシルスは半信半疑だ。







───────



アルメアの船団から離れて、なだらかな大海原がひろがる。



私は手持ち無沙汰なのでプリティアを観る事にした。


少女達4人が、闇に閉ざされた世界にしようとする悪の組織と、人間の負の力で召喚されるフザケンナーと呼ばれる敵と戦うのが主な話のようだ。


“”「プリティア!!オービタルメテオホール!!」“”

“”「ぎゃあー!!フザケンナー!!」“”


プリティアの必殺技で、フザケンナーが弾ける。


“”「ありがとうプリティア!!」“”

“”「うん!危ないところだったわね」“”


プリティアは最初から最後まで笑顔で、フザケンナーを倒す事に躊躇いはなかった。

いちいち戦う時に緊張し、破壊する度に自分を慰める私とは大違いだ。



ガタッガタガタガタ

ミサイルの側面に霧雨が当たり、水滴となって現れる。



海から六角結晶の巨大な岩山が露出し、霧が山岳地帯を隠し、稲妻が駆け回る。


結晶はいつしか大陸と見分けがつかなくなり。

巨大な亀裂や異常に隆起した六角形が、硬い鉱物しか生存を許されない大地である事を教えてくれる。


そして、その六角結晶の土台に生えた草が草原を成し、必死に暴風雨と戦い、赤松が岩山に根をはる。


向こうでは岩が剥がれ落ち、稲光と共に雷が落ちた。



その眼下に広がる壮大な自然の猛威の中で、私の後ろにある夕陽は夕陽として優しく沈もうとしている。


そして私は、日が沈む夕陽と山脈の空に一筋の縦長の雲がオレンジに輝くのを発見した。


『ロロアちゃん。メルル・ヴィアスの傷だ』

「メルル・ヴィアスの傷!!」


『メルヴィアがマザーアカナと戦った際に受けた引っ掻き傷さ』

「2人はなんで争ったの?」


『これは神話の話さ。

マザーアカナは、月の天宮と言う楽園で産み出した他の神々と暮らしていたんだ。しかし、イルとナニスの両性具合の兄弟神がマザーアカナを真似て人間を産み出し、他の神々がマザーアカナには内緒で『世界』を創って、密かに育てていたんだ。

人間は瞬く間に成長していき、イルやナニスが教えた技術を呑み込んでいった…。

やがて、月の天宮に来た侵入者が捕らえられた。


侵入者は神の1柱であるミミエ・アルマを殺害し。

神々の技術が書かれたレコードキーパーと言うデータの結晶を持っていた。

自らを『人間』と名乗り『ナニスやイルはいるか?』

と尋ねた。

人間の無礼と、神々の行いに激怒したマザーアカナは、人間を殺害し。

メルヴィアに人間や世界創りに携わった神々を月の天宮から追放するように命令した。


星や万物の理や時間の無くなった月の天宮は荒に荒れ。


深い疑心暗鬼に陥ったマザーアカナは、やがて2人ぼっちになったメルヴィアさえも疑いの目を向けるようになる。


メルヴィアはマザーアカナの折檻の惨さに月の天宮を逃げ出し。

怨みと怒りで追いかけてきたマザーアカナと、この世界で戦った。

メルヴィアと追放された神々、そして神々の操るテテュリスと言うロボットがマザーアカナと衝突。


マザーアカナの悲しみは荒波となって大量を呑み込み。

怒りは大地を沸き立たせた。


メルヴィアはマザーアカナの腹を剣で貫き、激痛のあまりマザーアカナの涙が星として地上に落ちた。


マザーアカナは命懸けでメルヴィアを爪で引き裂き、その隙を突いて泣きながら月の天宮へ帰って行った。


その時に流れた血が天の川になり、メルヴィアはそれを見ながら泣き続けた。


やがて、メルヴィアは自分の受けた傷を夕陽の空に飛ばし。

人間や神々が争った時の永遠の戒めとした・・。

それから、メルヴィアが統治する世界で人間や神々が争い事をすると彼女は決まって『メルル・ヴィアスの傷』を指さしたそうだ。

それが後の『過去の過ち』であり、アルムシュアの戦いを拒む理由であるのだ・・』

「・・・」



“戦いを終えたプリティアがフザケンナーに支配されていた人々に感謝されてる”

私はプリティアを観ながら考えた・・。


「・・・つまり、私はこの国で信仰している神々でさえも敵に回すと言う事なのね・・」

そう解釈した途端、直ぐにママが訂正に入る。


「ロロアちゃん?メルル・ヴィアスの傷はただの気象現象よ。空気中の水蒸気が帯状になって氷になり、夕陽に反射して照らされているに過ぎないわ」



『そうだロロアちゃん。・・こんな話をしてしまってすまない。これはあくまで神話の話であり、これは大きな戒めであり、外交上の強靭な盾でもあるんだ。それに・・外を見てごらん??』

私が外を見た瞬間、巨大な船が顔を覗かせた。


『共民主義国 アルシウス公国の救助船だ。ロロアちゃんや僕らに何かあったら助けてくれる手筈になっていて、これが公平でどちらの思想も絡まない戦闘である事を共民主義国ながら証言してくれる重要な船だ。・・そして』


「わああ・・」

雲からたくさんの双胴機が出現する。

双胴機のコックピットがキラキラ光り、私達にメッセージを送ってくれている。


『チームガンバの双胴機 40機だ! 彼らがロロアちゃんを戦場へ連れてゆく。メルル・ヴィアスの傷は戒めであり、強大な圧力に抵抗した戦いの勲章なんだよ』

「すごい船団・・!」


『ロロアちゃん!!君は1人なんかじゃない!!俺らが付いてる!!』

「私もよ!!ロロアちゃん!ママも付いているわ!!」



*『ロロアちゃんだね!フラッシュアロー隊の連隊長のスバルだ!!よろしくな!!』

*『ロロアちゃん!お会いできて光栄です!!私がサポートしますわ!』

*『ロロアちゃん!!がんばろうぜ!!』

*『がんばれロロア!!』


「ありがとう!!ありがとうみんな!!」


私は辺りを飛び交う双胴機にライトを点滅させて答えた。





『・・!!みんな!ウエストドラゴ山脈だ!!』

双胴機は横一列で飛行し、私の乗っている飛行機だけ護衛するように後方を飛行した。






────


アウーーーー!!アウーーーーー!!!

「敵機来襲!!敵機来襲!!総員甲板にて出撃を準備せよ!!」


ホワイトスペクターのマンタ型爆撃機の上の甲板には

たくさんのバイパーイーグルスが飛び立つ準備をしていた。

ZMシリーズの整備士たちが対空ミサイルに大麻おおぬさを振って祈願をし、ウィング達が朱色の盃を

グイと煽ると隊員同士でパラシュートなどの装備の点検をお互いにする。



ストリームマンはホワイトスペクターの展望台にある屋敷に陣を置き、袴に陣羽織を羽織り、ニクゼンやトサカに煌びやかな装飾や勾玉。そして冠を付けていた。


そして手には金色のストリームマンの家紋が入った扇子を持っている。


身の周りの報告はアウルとツェッツが行っていた。

彼らもこれまでの戦争の報酬で得た煌びやかな着物や装飾品を身につけ、白く化粧をした頭には大きな烏帽子えぼしが乗っている。



「ストリームマン様・・バイパーイーグルスの攻撃隊が飛び立ちます」

「うむ」

「我々は如何いたしますか??」

「我々バイパーイーグルスとなれば負けはせん。陣形を維持して停滞せよ」


「はっ」

「問題はその先よ。チームガンバの40機を撃滅させたら我々も動くぞ。メルヴィアに我々に楯突いた報いを受けさせる!本陣をメルヴィア音楽堂に集結させ、作戦通りに音楽堂を残して、目に見える全てを灰塵にせよ」

「はっ!!」


ストリームマンは玉座に深く腰掛け、アウルとツェッツが頭を下げた。

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