再出発だよ!ロロアちゃん
満を持して記憶を取り戻したロロアちゃん。
そして、ロロアちゃんは宿命とも言えるパワーマン討伐の熱意を語る。
「・・玉砕した。と、表向きはなっている。ママ、ホログラムをお願いします。」
「はい。」
テーブルユニットが拡張され、目の前に見覚えのあるニュートリノ発電所が映った。
ヴィシソワーズを飲みながら聞いていたので思わず吐いてしまいそうになる。
戦況は次の通りだった。
私が破壊された後、パワーマン率いるロボット兵団が5000人の追加兵力を率いて襲いかかった。
この戦いで特殊部隊チームガンバと、警察官で構成された連合部隊は作戦本部まで追いやられてしまう。
野砲を爆破されながもロボットの猛攻を耐えている間、政府は発電所一体を巨大な防護壁で覆う事に成功する。
一方、ガンバ連合部隊の救援に駆けつけたキグナス艦隊は、武装決起したストリームマンと空中戦を展開した。
ストリームマンは艦隊の大半を失い敗走するも、キグナス艦隊がそれを追い。
キグナス艦隊の脅威と、ガンバ連合部隊の野砲を破壊したロボット兵団は電力の供給に成功する。
フォレストパークまで誘い出されたキグナス艦隊は、ガイアコアを奪われた為の天候不良。
電力の供給で造られた新型ロボット達。
ストリームマンの逆襲を受けて撤退。
メディアは、チームガンバの玉砕を美談として称え。
巨大な防護壁で目隠しをした。
「多分、チームガンバは玉砕も出来ず。撤退も出来ぬまま僕の作ったパワードスーツで戦っているだろう・・」
パパが言い終わり。
私は右手に持ったパンが震えた。
「テリンコさんや真夏さん達を助けにいかないと!そしてパワーマンを倒したい!!」
私はパパに言う。
「パワーマンだって馬鹿じゃない。きっと井上ルートは塞がれているだろうし・・」
「それはやってみないとわからないわ!」
「確かにそうだが・・」
「きゃああ!」
私は飛び退いてバスターを構えた!
突然、リビングにパワーマンが現れたのだ。
「落ち着いて!ロロア。ホログラムだ!」
パワーマンが静かに消える。
「ロロア、まずはメンタルと鍛練だね」
パパがスープを飲みながら言う。
「でも、ロロアちゃんすごいわ。パニックになりながら急所は確実におさえてある。」
ママが言う。
「ん?」
パパはパワーマンのいた壁を見た。
そこにはスプーンが刺さっていた・・。
朝。
「いってらっしゃーい!!」
空に昇るパパを見送り、メリルを待った。
メリルは私を見るとお辞儀する。
私もお辞儀する。
「おはよ!ロロアちゃん!」
「おはよう、メリルちゃん!」
私が言うと、メリルは少し寂しそうな顔をした。
でも、あるものを発見して目を見開いた。
「ロロアちゃん!?それ!?」
「ロロアちゃーん!ユミルちゃん!おはよー!」
そこに走ってきたユミルが来る。
「ロロアちゃん!それ!!私達が作ったヘアゴムじゃない!?」
ユミルが固まるメリルより先に言う。
「うん!!転入してきた時にくれたんだよね!メリルちゃん、ブルーベリーを届けてくれてありがとう!」
私が言うとメリルは驚いた顔をして口をパクパクさせた後、顔をくしゃっとさせた。
わー、泣いちゃうと思った私はメリルを抱き締めた。
「ロ、ロロアちゃーん!!良かった!!良かったよー!!!私、うわーん!!ロロアちゃんが記憶が戻らなくてぇええ!!ロロアちゃんのお母さんに話ををを!うわーん!!!」
「ごめんね、メリルちゃん。よしよし。よしよし。」
メリルの涙が私の肩の装甲から胸に落ちる。
私はメリルの頭を撫でると、ユミルが小さく目を擦りながらユミルにティッシュを渡した。
「ロロアちゃんも、ホラ!」
「ごめんね。私も目から電解液がでちゃう・・」
「ロロアちゃん!それは涙って言うんだよー?」
そういえば、前はカボチャのスープで泣いたっけ・・。
昨日のヴィシソワーズの味が全然わからなかった・・。
教室に入り、皆が泣き腫らしたメリルを見てギョッする。
記憶が戻ったからか。
なんだか、とても懐かしいような。
帰ってきた気持ちになった。
ルルが私に小さく手を降り、私のヘアゴムを見ると深く頷いた。
「よぉ!ロロアちゃん!」
「リクト!おはよう!」
「『リクト君』じゃないんだね?」
「え?・・・そうだ、リクト。ふっふーん」
私は椅子に左足をかけると得意気に右手をバスターに切り替えた。
「うわぁっ!ロロ、ロロアバスター!!?」
「うん!!リクト、私を最強のロボにするんだよね!?」
「ん!?ロロアちゃん、記憶が戻ったのか?」
「戻ったよ!だから、特訓を再開してちょうだい!私、パワーマンを破壊したいから!」
「パワーマンを破壊する!?」
「パワーマンを破壊するだなんて!!ロロアちゃん、またやられちゃったらどうするのよ!!」
メリルが悲痛に叫んだ。
「大丈夫!!私は負けないから!!」
「その自信、どこから来るんだよ!」
ガキ大将のダイチが痛烈なツッコミを入れる。
「ダイチ、その豪腕で容赦なく私を殴ってみて?」
「えっ!?」
「いいから。」
「おう!・・とりゃ!!」
ロロアはダイチのパンチをヒラリとかわすと、バスターに切り替えてダイチの顎に押し当てた。
「ね?私はアップデートしたの!」
「熱?あっっつ!!」
バスターの先端が熱かったのかダイチが転げる。
「ゴメン!ダイチ!これが私がパパに貰ったコピー能力!!並みのパンチは学習済み!」
「いや、まずバスターの先端が熱いって先に教えて!!」
「リクト、ユミル分かったでしょ!?私は鍛練すれば鍛練するほど戦いが有利になるの!力を貸してくれないかな?」
「・・・。」
メリルは押し黙ったままだ。
「やろう!ロロアちゃん!!」
「やってみよっか!ふふふ!」
「・・リクト!?ユミル!!」
私はリクトと握手をし、ユミルの笑みに癒された。
「俺らも・・参加させてくれよ!!」
「トモヤ!カイセイ!」
「ちょっ!俺も!」
「ふふっ!ダイチ!!ダイチは分かってたよ!」
私は3人組と握手する。
「みんなやるなら、学級委員の私もやらなくてはなりませんね!」
「ルル!ありがとう。ティファナやカコも!!」
「もぅ!!分かったよ!!好きにすれば!?」
メリルが頭をグシャグシャしながら言った。
「でも・・必ず戻ってきね!ロロア。」
「うん!!ありがとうメリルちゃん!」
そしてクラス全員が集まり、私の特訓計画が始まった。
「よぉーし!そうと決まれば特訓だ!!みんな!先生には内緒だぞ!?」
「はーい!!!」
「みんな!そしてリクト!お願いね!」
私が言うと、リクトは嗄れた(しわがれた)声で言った。
「ワシの修行はちと、厳しいぞい?」