ロロアちゃんの出撃
ロロアに出撃命令が出て、悲しむメリル。
ロロアは悲しむ事も喜ぶ事もせず遠くを見ていた…。
「ささ、どうぞストリームマン様」
「うむ」
Z Mー300(ミーさん)がストリームマンの朱色の盃に酌をする。
「さささ、どうぞアウル様」
「俺はいらん」
アウルら戦艦の大将達は短冊に筆を持って記念すべき戦勝であるウエストドラゴ山脈の爆撃の様子を唄にしようとしていた。
「うーむ、山脈の・・降りたる火の粉の、てらてらと、光る御霊の、露といふのに」
「辛気臭い!もっと喜びを入れて唄わないか!」
アウルの唄にストリームマンが怒る。
「だって仕方がないですよ・・主力戦闘機の支援のないカチューシャなんて我々の敵になったどうか」
「アウルよ、有利不利なんて関係ない。我々の敵として相対してくれた事に感謝しなければならんのだ。
鳥型ロボの頂点に君臨する我々だからこそ、強く敬意を持たなければならないのだ」
ストリームマンはそう言うと盃に入った酒を呷る。
勝利を確信したのか敵方の尊敬心か、ストリームマンのいるホワイトスペクターは様々な装飾品や建築物で飾られる事が多くなった。
まず、白鳥型の背中にポッカリと空いている展望台には朱色で六角形の五重塔が造られ、開け放たれた襖には金の屏風が飾ってあり、黒い瓦と金の鳳凰が飾ってあった。
そしてヒノキを贅沢に使った木製の床が一面に敷かれていて、展望台の際まで伸びている。
そして『せんぞだいだいの云鬼がしあわせ』と書かれた巨大な鳥居がホワイトスペクターの白鳥の首元にそびえ、鳥型アステロイドのウィング達が刀をガスバーナーで熱して叩いたり、茶をミキサーで混ぜたり想い思いの事をしていた。
ZMシリーズはウィング達にことごとく給仕として呼ばれ、時に流鏑馬の的になったり、餅をついたり、舞踊を舞ったり大忙しだ。
「ミーさんよ。これが『歌舞伎』だ。これから我々はメルヴィアに爆撃を行い強襲をしかける。これから散るであろう御霊と戦いの場を提供してくれた恩義に感謝し思い思いの事をして楽しむ・・。これが『武士道』なのだよ」
「は、はぁ」
ストリームマンが盃に入った酒をグイと呑むと、胡座をかいたまま大袈裟に両手を広げて言った。
「ミーさんよ、メルヴィア音楽堂が血の朱色に染まりし時、彼らが見るのは我々に征服された『希望』であろう。
ホワイトスペクターの白鳥が天空を舞い、この巨大なタワーを見てメルヴィアの民は“新しい信仰が出来た”と感謝するのだ。
我々は崇高で慈悲深い。それ故、散った魂にも敬意を払う。あの鳥居は、そんな精神で建立されているのだ」
「ほあー。そこまでかんがえられているですか。このZ Mー300感服致しましたでさ」
「そうとも!!我々はメルヴィアをアルム派主民主義、カルダ派共民主義の代理戦争から解放すべく舞い降りた崇高なるアステロイドなのだ。我々の戦いは後の世まで語り繋ぐ事になるだろう」
「ははははは・・」
Z Mー300(ミーさん)が接待を追えて展望台の隣に作られた台所に引っ込むと、他のロボ達が傘とボールを持って大道芸を始めた。
「がはははは!もっとやれー!!」
ウィング達に蹴られ、爪で引っ掻かれながらも必死にZMシリーズが傘でボールを回す。
ミーさんが温めた燗をすくい上げると、手ぬぐいを巻いて赤飯を炊いていたZMー3333が堰を切ったように話しかけてきた。
「ミーさんの旦那・・」
「へい・・」
「あっしら・・これで良いのでしょうか??」
「・・・」
「ミーさん!あっしらは自分たちの地位向上の為に決起し、特殊部隊を撃退し、チームガンバをニュートリノ発電所で包囲しました。
人間にへーこら言っていたあっしらがですよ??いっちゃ悪いが、このウィング達やストリームマンはいけすかねえ!人間と戦ってきた場数はあっしらの方が上です!アイツらのように頭脳で戦うんじゃない。あっしらは自分たちの手でスパークライフルで戦ってきたんです!!それなのに何ですか!?今じゃ人間と働いてきた時と同じどころか、さらに虐げられているときてる。ミーさんは悔しくないのですか!?」
「・・・」
「ミーさんの旦那!!」
ZM-3333が詰め寄ると、ミーさんがポツリと喋った。
「・・・こりゃいい機会だ。皆に内緒にしていた事があるんでさ」
「なんですか!?」
「・・じきにロロアちゃんが来ます」
「は!?・・ロロッ!!えぇえ!!」
ZM−3333の手が震える・・。
「そ・・それはどこのタレコミで!?」
「ストリームマンでさ。でも、旦那はロロアちゃんを“ただの小学生”だと思い込んでいる。あっしが言っても聞かないんでさ」
「・・・!!」
「して、ZMー3333よ。何としやすか??」
「・・・・」
「何も出来ないでしょ。何も出来ない・・。ある時はパワーマンの配下に・・ある時はストリームマンの配下として。あっしらは時と共に流れるのですよ」
「・・はぁ。その川の行き先は、何処に続くでやんすか??」
ミーさんは空を見ながらため息をつく。
そして話した。
「時の流れるまま、流れるままです。もしかしたらロロアちゃんが、あっしらを導いてくれるかもしれない。そんな希望もあっしにはあるんでさ・・」
「ロロアちゃんが・・あっしらを導いてくれる??あの残虐非道の阿修羅の娘のロロアちゃんが・・!?」
「そうでさ!あっしは、それを見届けたい。
このホワイトスペクターより高い所から見てやるんでさ。
高座から見れるなら、あっしは道化にも喜んでなりやす。
そして、あっしの忠告を無視した事を後悔させてやるんでさ!」
「は、はぁ」
「さ、熱燗が冷めてしまう。仕事、仕事!!」
ミーさんは熱燗を持ってウィング達の所に向かった。
「すげえなミーさんは・・。これは仲間達に知らせなきゃならねえ・・」
ZMー3333は呟いた。
いつもと変わらない朝。
ロロアは緊張した面持ちで、モーニングと山高帽を着用したパパの乗るサポートカーで学校へ登校した。
テリンコから昨日の作戦の概要が伝えられ、ロロアの父であるカイン・メリアスの”娘を見送りたい“と言う希望もあって車での登校が許されたのだ。
いつも登校する街をロロアは助手席で静かに見ていた。
ぬいぐるみのママはロロアの膝に乗り。
ときおりロロアの心拍数が早まると優しく手を握った。
「・・うっぷう」
パパは不健康そうなシャックリをする。
「ロロアちゃん、僕の知らないところでブルーシグナルズと戦っていたなんて・・」
パパが運転しながら沈黙を破るように口を開く。
「うん。でも大丈夫だよ?怪我もないし、メリルも助けたし」
「ブルーシグナルズの人と何か話たかい??」
「うーん。ちょっとね・・パパ、ブルーシグナルズとはどんな関係だったの・・??」
ロロアの質問にママがビクンと反応する。
「・・・・いつかロロアちゃんに話さないといけないね・・」
「それはいつになるの??」
「ロロアちゃんがストリームマンの作戦から帰ってきたら話すよ・・本当はロロアちゃんが高校生くらいになったら話そうと思っていたんだが・・」
「・・・それは・・・」
────「・・それは、パパはブルーシグナルズと悪いことをしていたと言うこと??」────
「・・・・・」
「ロロアちゃん、あなたは今の問題の事を考えなさい。この話はじっくり話す必要があるのよ」
ロロアはパパをジッと見ると窓に向き直りママの頭を優しく撫でた。
一昔前はパパに抱きついていたロロアだったが、パワーマンに破壊されて生まれ変わったあたりからロロアは身体の成熟と共にパパとの絶妙な距離を保っていた。
そして何より決定打になったのは『ブルーシグナルズの戦い』であった。
ロロアはトオルとバスターを交えながら、どことなくパパが関与しているのではないかと勘を巡らせていた・・。
それは、ブルーシグナルズのメカニロボ達がパパのデザインしたものと酷似していると言う点もあったが、なんとなく『女の勘』で感じていたらしい。
ロロアはその『女の勘』を言葉として表現する術をもっておらず、パパに対して『結局は自分の都合の良い事をする大人』として嫌悪感すら抱いていた。
しかしロロアは女の子であり、時より両親に懐く素振りをしながら『ブルーシグナルズの事』を会話に挟む意地悪をした。
「ロロアちゃん。僕は君の味方だから」
「ありがとうパパ。私、嬉しい」
パパがロロアの鼻を優しく摘み優しく微笑んだ。
ロロアも微笑み返し、ママが安心したように前を見る。
「おはよー!」
「おはよー!!」
「おはよっ!ロロアちゃん!お父さんと一緒??」
「・・・」
「・・?ロロアちゃん??」
「メリル・・。私────」
チームガンバのプロペラ機が上空を通り過ぎ、メリルの瞳孔が驚いたように見開く・・。
そこへリクトとユミルが合流する。
「よ!!ロロアちゃん!メリル!!おはよう!!」
「みんなお早う!!」
しかし、ロロアの固い表情とメリルの強張った顔に直ぐに察しがついた。
リクトが聞く。
「・・今日、行くのか??ロロアちゃん」
「うん」
「何時から!?」
「マナツさんからGOサインが出るみたい。チームガンバの飛行連隊が私をホワイトスペクターまで導いてくれるって。私達はそれに合流して“突撃”を行う」
「・・・!!」
皆が思わず絶句する。
ロロアが駆け出してマナツのいる飛行機に向かう。
既に校庭には石灰で白線がひかれて滑走路のようになっており、隊員は軍服にアイロンかけをしたり靴を磨いている。
双胴式のプロペラ機の下にはミサイルが積まれ、横のハッチが丸く空いていた。
クマのぬいぐるみや星々が描かれていて、ポップで可愛く塗装されているが、改めて見る先端の尖ったミサイルは殺意の篭もった兵器そのものであり、中に入って何をするかなんて一目瞭然だった・・。
「あれに乗るんだよな・・ロロアちゃん・・!!」
リクトが呟き、ユミルが口に手を当てる。
他の生徒達も改めて披露されたミサイルを見てギョッとしたように驚く。
遠くではマナツの会話をロロアとママが大きく頷きながら真剣に聞き、マナツの右手が頭の上まで上げられたと思うと左手で何かを模した物にぶつけるジェスチャーをしていた・・。
メリルも必死に理解しようと、ジェスチャーだけを食い入るように見ていた。
その瞬間、空襲警報が鳴り。
すぐに雲の合間からキュアーーッと言うストライクイーグルの鳴き声がした。
「メリル!体育館に行きましょ?」
「行こうぜ?メリル」
「・・うん。」
ユミルがメリルの手を取り、なかば強引に体育館に連れて行った。
ドンドンドンドン!
ブシュワン・・!!
体育館に高角砲とパラボナビームの放たれる音がこだまする。
ドンドンドンドン!!
キュワーーーッ
ドンドンドンドン・・!!
生徒達は慣れたように三々五々に集まって体育館で座っていた。
そんな中、メリルだけは耳を塞ぎながらうずくまる・・。
「おっ、ありがとうユミル」
「うん。きょうはオレンジペコだよ」
「オレンジの茶葉なのか??」
「ううん違うの紅茶の茶葉の二番目の葉を使うからオレンジペコっていうのよ」
「へぇ・・」
リクトが座り直して絨毯を敷き、ユミルがティーポットに入った紅茶をカップに4人分注ぐ。
「・・・」
ユミルが困ったようにリクトを一瞥し、リクトが他人事のようにメリルの方向に呟くように言った。
「あいつらアルム派(主民主義)だから決まった時間にしか空襲にこないんだよ。きちんと休みだってあるし、合理性が基本だから・・メルヴィアが必要ないってわかればこんな嫌がらせすぐに辞めるって」
体育館では先生が駆け回り、チームガンバの隊員がスパークライフルを持って護衛している。
生徒達は、手を組んでタッチする遊びをしたりトランプに興じたりしている。
メリルは耳を塞いだま小さく呟く
「・・・こんなの・・おかしいよ」
「え!?」
「こんなの!!ぜったいにおかしいよ!!」
メリルが突然立ち上がって駆け出そうとする。
「ちっちょっとメリル!!」
「メリル!!!!」
ユミルが危うく紅茶をこぼしそうになり、リクトが慌てて立ちはだかった。
「どいてリクト!!」
「メリル!!俺らに何も出来る事はないんだよ!!今はこうして空襲が終わるのを待とう!!」
「リクト!!あなたそれで良いと思っているの!?」
「あぁ!!俺はロロアちゃんを信じているからな!」
「違う!!何も分かっちゃいない!!」
「何が!?」
「この大バカ者!!」
「えええ!!おおい!!メリル!!」
メリルは駆け出すと息を弾ませながら生徒達の間を通り過ぎて走った!
「メリルさん!鬼ごっこはしてはいけません!」
「おにごっこじゃありません!!」
先生の間を通り過ぎ、メルヴィアの国旗がある壇上を駆け登る!
そしてマイクを奪うように引ったくると
キュン!というハウリングの音を周りにさせた。
マイクは円形の光輪を発生させるとメリルを顔をスキャンし、後方にあるスクリーンにメリルの正面と斜め右、斜め左を映し出した。
「メリルさんっ・・一体何を!?」
先生方がメリルを追いかけようとしたときルルが立ちはだかる。
ルルは静かに微笑みながら先生を見る。
「・・・・」
生徒達はトランプや自分たちの会話に夢中で気づかない・・。
しかしメリルは静かに周りを見ていた。
「・・?あの子何をやっているの??」
「あれ、メリルちゃんだよ?」
そこへ、何人かが気がついて壇上を見た。
それは生徒から生徒へ電波し、だんだんメリルの方を見るようになる・・。
「メリル・・なにをやっているんだろ??」
ガキ大将のダイチもそれに気付きトモヤやカイセイも異変に気付く。
ティファナやカコもルルの所に駆け寄って優しく見守
った。
メリルは話し出した。
「みなさん!!この間、私たちのクラスは共民主義国であるコーディアスの特別授業をしました!
コーディアス製の電化製と言えばみんなはすぐにわかるはずです。
コーディアスの人たちは勤勉で、礼儀正しく、そして平和を愛している国民でした。
私たちと同じでアルムシュアの戦いに参加せず、こうして知るように世界のトップシェアのブランドとして駆けていったのです!
しかし輝かしい実績とは反対に、コーディアスはアルムシュアの戦いで対立している共民主義と主民主義の代理戦争が始まってしまいました!
国は2つに分断され、サーダ将軍が病死するまで突然の分断と戦争の恐怖に悩まされ続けていたのです!
そして・・・そして私は・・内緒にして居たのですがコーディアスの共民主義の残党であるブルーシグナルズに捕まってしまいました!
それを助けてくれたのは他でもない・・私のクラスメイトのロロア・フローラウス・メリアス!ロロアちゃんでした!
私はこのように拉致され、助けてくれるまで、アルムシュアの戦いなんて遠い国の、自分とは関係のない小競り合いだと思っていました!!
しかし、私は自分の肉眼で暗躍する過激派を目の当たりにし、そして助けてくれる大きな存在を目撃したのです!!
そして・・今ここにある危機!!!!
あなた方は体育館に座り、誰かがどうにかしてくれると思っている!!
私たちは極めて無力であり、メルヴィア神が最高神であるマザーアカナに叛逆したと言う『過去の過ち』から、争い事をしてはいけないと教育されています!!
皆が平等で暴力のない世界!
皆が過去の過ちから学び、戦争をしないと言う固い誓いを持って生活しています!
しかし!私達の平等は、本当に『平等』なのでしょうか!?
こうして空を脅かされ、何処とも 分からぬ思想を持った集団が暗躍するのを許すのが、本当の平和でしょうか!?
ロロアちゃんはそうは思って居ません!!
ロロアちゃんは心配する私に言いました!
『メリル。あなたが泣いているのを想像すると倒せる敵も倒せないよ。
私はどんな敵でも必ず勝つし、私には皆やパパや、心強い味方が沢山いる。
私は必ず勝って、メルヴィアを守り抜いて見せる!
メルヴィアの空を私達の物にする。メルヴィアを誰にも渡さない』って・・!!
彼女は人知れず、パワーマンに挑み、撃破され、なおを自分の身一つで勇猛果敢に戦い・・そしてブルーシグナルズに捕まった時は私を助け・・そして・・!!
そして・・!!
えっぐ・・!!」
メリルは先程の校庭で見た光景を思い出して泣き始める。
しかし、鼻を思い切り啜ると叫ぶように訴えた。
「ロロアちゃんは・・!!ロロアちゃんはミサイルに入って単独で戦いに挑もうとしているのです!!!!
私のクラスメイトであり、親友であり、美味しくケーキを食べてくれるロロアちゃんが、敵の艦隊に突っ込む大変な作戦に参加しようとしてくれているのです!!だから・・!!どうか皆さん、応援して欲しいの!!こうして国の為に戦ってくれる人がいることを!!!!
見返りを求めず、私達の為に血を流してくれる人の事を!!!!
これは『過去の過ち』ではない!!
これは私達に向けられた悪意に対しての正義の剣です!!
これを失うのが本当の平和でしょうか!!世界はそこまで青く美しく、優しくはないのです!!そこにあるのはゴツゴツした岩場と、なんとかしてメルヴィアを分断させようと画策する悪意なのです!!
みなさん!!ロロアちゃんにエールを送ってあげてください!!戦いに行くロロアちゃんを誇りに思ってあげてください!!それが私達に出来る本当の『平和を想う気持ち』でありメルヴィア神から学んだ『過去の過ち』なのではないでしょうか!!!!私からは以上です!!」
メリルの嵐のような演説が終わり、それと同時に空襲警報が解除されたアナウンスが鳴り出した・・。
メリルが体育館から出ていき、リクトとユミルが追いかける。
残された生徒達は何が何だか分からず自分のデバイスで調べたり先生に聞いていた・・。
教室に着くと誰よりも先に席についている生徒がいた
。
「あっ!メリル!!マナツさんのブリーフィングが終わったから戻って来ちゃった!1時間目くらい受けようと思って・・わっ!」
メリルがロロアに抱きつく。
「ロロアちゃん!!ロロアちゃん!!ブルーシグナルズの事・・全部話しちゃった!!ごめんなさい!!」
「メリル!」
リクトとユミルが駆けつけ、ダイチや他の生徒達も駆けつける。
しかし、2人が抱きしめ合っているのをみて皆は静かに見ていた・・。
「・・必ず帰って来て・・!!死なないで・・!!ロロアちゃん!!」
ロロアはメリルの頭を撫でながら静かに遠くを見た・・。
1時間目は理科の授業だった。
教室にホログラムで様々な惑星が映し出され、先生が説明する。
先生も特にロロアの事を言うわけでもなく・・一見すると、ごくごく普通の日常があった。
「────ですので、私達のテクノロジーは宇宙を飛び出し・・大いなる宇宙航海時代は私達に多大なる科学の叡智と、スペースデブリと言う宇宙ゴミの負の副産物を産み出してしまったのです。ですのでメルヴィアではこうした宇宙の負の副産物を処理する宇宙ステーションを作りだしたのです。そして────メリルさん?」
様々な星座の神々がメリルを心配そうに覗き、ロロアは静かにそれを見ていた。
星座の神々や惑星達は、メリルがなぜ悲しいのか分からない・・。
ウーーーーーーッ
その時、サイレンが鳴るのをロロアちゃんのクラスメイト達は確かに聞いた。
「いかなきゃ・・」
ロロアは静かに呟くと席を立つ。
生徒が立ち上がった為、安全のためにホログラムが自動で解除され普段の教室に戻る。
『ロロアちゃんGOサインだ!校庭で待ってる!出撃しよう!!』
マナツの放送が入り、廊下に『非常事態・駆け足可能』を告げる青いランプが点灯した。
ロロアは気合を入れる為に自分の頬を数回叩き、ヘッドギアを被る為にヘアバンドを口に咥えて、長い髪を後ろに束ねた。
「あ・・ロロアちゃん・・私のあげたヘアバンド
」
「メリル。あなたの心は私の中に常にあるよ。だから悲しい顔をしないで」
「ロロアちゃん・・頑張って・・!!」
ロロアのカチューシャ型ユニットとヘッドギアが装着されて額の上に付いているライフコアが赤く点灯する。
そしてメリルの声に頷くと風のように走り去ってしまった。
「うぉおい!!ロロアちゃん頑張れよー!!」
リクトが尽かさず大漁旗を机から引っ張り出して廊下を飛び出す!
「ロロアちゃん頑張れ!!」
「訓練の成果を思い出せよ!!」
「絶対やれるって!!」
他の生徒達が叫びながらロロアを応援する!
─────
放送では出撃を知らせるラッパの音!
私は廊下を抜け、ガラスの階段を降りる!
「ロロアちゃん!!行こう!!」
「うん!」
ママが2階から飛び出し、私のリュック型ユニットに飛び乗る。
「君がロロアちゃんですか!!頑張って下さい!」
「どうもありがとう!!」
他の学年の生徒も教室から飛び出し、私を応援する。
私は一階まで降りると、別の地方で空襲で被災した遺族に手を振って答えた。
「捧げー!!筒!!」
昇降口にはやウエストドラゴに散った兵士達の写真と、礼服を着たチームガンバの隊員達。
そして校庭を飛び出すとプロペラが回った双胴機が待っていた!
「ロロアちゃん!いつでも行けるぞ!!準備はいいか!?」
「ええ!いつでもOKよ!」
「よーし!行くぜ!!」
マナツがコックピットに乗り込むと、私もミサイルに飛び乗った。
内部は、私が座れる程の広さで股の間にある一本の操縦桿をママが操作した。
『マグネットユニット・・オン!!』
ミサイルが双胴機に装着され、周りの風景が外部透視プログラムによって映し出される。
音は反映されないらしく、窓から沢山の生徒達が顔を出して応援しているのが見えた。
・・正面で合図があったようだ。
双胴機が徐々に進み出し、やがて速度を上げ始める。
「しばらく操縦はマナツさん達に任せましょう。ロロアちゃん緊張してる?」
「ううん。みんなが居るもの」
「そうね・・」
ミサイルの壁がガタガタ鳴り出し、速度が更に上がる。
やがて双胴機のタイヤが徐々に地面から接するのが少なくなって行き・・。
「あっ!パパだよ!ロロアちゃん!」
サポートカーの上から手を振るパパを飛び越えるようにフワリと地面から離れた。
「行ってきます・・パパ」
私とママは、パパに手を振った。




