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ブルーシグナルズの終わりの始まり

タケノコ族から学生連合。

そして共民兵から、ブルーシグナルズとして成長を遂げた。


しかし時代とともに忘れ去られ、カイン博士の暗黒の歴史と共に滅ぼされてしまうのだった。

それから貨物として出荷されたブルーシグナルズは、東と西で分断されるコーディアスから逃げ出し、メルヴィアの国に行き着いた・・。


彼らは極めて地道に大統領をマット博士とする偽装投票用紙を生産し続け・・キュラーの掲げる理想のもと、ロロアが未来を創り共民主義の明日が来ると信じて内部工作を始めた。



しかし著書である『共民思想はなぜ廃れたのか?』『ブームとして過ぎ去った共民思想』に書いてある通り、メルヴィア国内で2年に渡って行われたキャンペーンに等の国民がなびく事がなく・・。

共民思想はマット博士の大統領出馬構想と共に国民に忘れ去られてしまったのだった。


上記の著書である ロボガミ・アキラはこの一連の共民思想に対し


『そもそもメルヴィアの国民は、神話を教訓とした為に争いを嫌い。極めて勤勉で。デモや暴動といった行動を起こしたがる国民ではないからではないか』

『中級所得者が占めている事から、社会に不満がなく。革命にリスクしか生まれなかったからではないか』

と解説した。


いずれにせよ共民思想が終わってしまった彼らに未来はなく、ニュートリノ発電所の戦いの余暇兵力すらなれない彼らはキュラーからも忘れ去られ・・。


やがてパワーマンの撃破により電力の供給もストップして行き場所を失ってしまう・・。


しかし、ブルーシグナルズは電力の支援が得られない事を逆手にとって電力格差社会を問題としたネガディブキャンペーンを行って工場を買い取り。

政府に批判的な記事がウリのメロディアス新聞にメルヴィアの現状の取材を行わせた。


それがメルヴィア国内の一定の成功を生み出し、メロディアス新聞の記者は更なるトクダネをブルーシグナルズに要求する。


メロディアス新聞の記者はニュートリノ発電所の戦局を一転し、奪還したチームガンバこそ、アルムシュア協定に違反する武器を所持しているのではないかと指摘した。


そこでブルーシグナルズはストリームマンを迎撃する為の飛行機が停泊しているハルミオ小学校の生徒を誘拐することでチームガンバの動きを探ろうとしたのだった。



────


「・・それで、キュラー様から連絡は?」

「ないわ!」

「はぁ・・。」


あのコーディアスの分断から脱出し、タルマことギーガーや、カネダとトシヲがガガとジジと言う名前でメルヴィアの工作に加わった。


そして俺らの活動を聞きつけて、東コーディアスから寝返った兵士たちが新たに加り、一つの師団になった。

そして、メロディアス新聞の記者、サルダ。

彼はかなり古いアステロイドだが、共民派のロボガミ・アキラとも繋がりがあり、メルヴィアに居る共民主義者ともつながりがあった。




そう・・共民主義はこのメルヴィアで再び花開くのだ。

それが国民の一過性のブームで廃れたとしても・・。

たとえ俺らがロボになって次の世代が産まれないとしても・・。

メロディアス新聞から共民主義を発信し、新たにメルヴィアの子らに教育してやるのだ。




我々ブルーシグナルズがメカニロボ管制センターに布陣し、地下のエレベーターホールと工場の1階を兵士達がかためる。

サルダがカメラを持ち、管制センターからチームガンバを撮影して世界に発信するのである。




・・何も映し出されていないモニターに拘束して眠らせた女児が映る。

メロディアス新聞のデータバンクで調べた所、ハナゾノ・メリルと言うハルミオ小学校の女児らしい。

服装はオシャレに着飾り、イヤリングを付け。

共民思想とはかけ離れたチャラチャラした格好をしていた。



「トオル・・間違えた。アルガー?」



「おい?何度目だメルダ?」

「ごめんなさい」

「その・・ハルミオ小学校の事なんだけど。ここは、ロロア・フローラウス・メリアスの母校らしいの」

「ロロア・フローラウス・メリアス!?」

「ええ」

「彼女は・・メルヴィア音楽堂のテロで死んだんじゃなかったのか??」


俺らの会話をよそに動く気配がし、女児が目を覚ました。

「う・・うん・・ここは・・」

「ハナゾノ・メリル。起きたみたいね。」


「はっ!・・くっ!!」

メリルは拘束されている事に気がつくと生意気にも拘束を解こうともがいた。


メルダはそんな主民思想の反乱分子に、至って冷静に話しかけた。


「大丈夫。私たちはあなたを傷つけたりしないわ。私たちは『ブルー・シグナルズ』。政府に異議を唱えるものよ。

ここに居るのは『メロデアス新聞』の記者 サルダさんと有志の者達の20人。みんな政府の『暴力的な政治』に辟易しているの」

「ブルー・シグナルズ?」

「そうよ。知らないかしら?」

「・・すいません。」

「あなたSNSやSNSS(ソーシャル・ネットワーク・サイバー・スペース)をやっていないの?」

「母に禁止されているので・・」


「世界の情勢を見せないワールドブラインドの家族。メルヴィア国の衰退・・。」

サルダはホログラム用のカメラを撮り出すと女児を撮りながら見出しの文章をブツブツ言った。


これがコーディアスの決起に憧れを持ったメルヴィアなのか・・。


そうだ・・これはメルヴィア国の衰退を意味しているのだ。

俺らが導かなかれば、今にメルヴィアはフォレストパークに侵攻しているカルダ派(主民主義)やキグナスの艦隊によって主民主義化し、アルムシュアの無益な戦いに巻き込まれることだろう。



メルダの質問は続く。


「まぁ、ミュラー派の人間は世界情勢を知らないでしょうね。青派であり音楽で反戦を訴えたトゥルーマス・エディオンを知らないでしょう?」

「わかりません。」

「メカニロボに人権を訴えたエルディア・ルメイは?学校で習わなかった??」

「わかりません。」


「あきれたわ!チームガンバのスクープ記事より『メルヴィアにおける小学校の教育現場』を取材した方がいいんじゃなくて??まさに『教育の失敗』!無知からなる『無言の暴力』!!」


ガガが言った。

「一番の被害者はメルヴィア国民ではない。メカニロボの人権や負の歴史を学習させないミュラー大統領にあるのだ。この子らも被害者だ。

サルダ、これも記事にしてくれ『メルヴィアの子ども涙の訴え。教育機関への絶望』」

ガガが俺に聞こえるように説明し、サルダに記事にするように頼む。


他の共民兵達も僕らのやりとりで物珍しそうに集まってくる。

メリルはガガの言葉にムッとしたのか生意気にも反論した。


「私は被害者でもなければ、大統領に失望なんてしてません!」


俺は主民主義に洗脳されたと言う軽蔑の眼差してメリルに言う。

「そうやって人間は嘘をつくんだよな。」


もはや、我慢の限界だった。

なんて平和ボケした奴らなんだろう?


メルヴィアの国民は主民主義者(ミュラー大統領)の言葉を疑う事なくホイホイと信じ、メロディアス新聞が失態を掲載しても『ムーブメント』を起こさない。


それは、メルヴィアの国民が不満を持ったとしても、それを恥として内に閉じ込め、法律と言う殻で世界から守られていると言う危険な安心感に囚われているに過ぎないのだ。


俺らはタチツテトと言った言語統制や、栄養の制裁を受けながら必死に戦ってきた自負がある。

もしかしたら、メリルを根本から教育し直す必要があるのかも知れない。


「メリルと言ったなクソガキ。その落ち着きぶりは『自分は法律で守られている』とか思っているのだろう?

お前はメルヴィアと言う国に護られ、温室で育てられた『ウィジット』だ。自分の『ウンコ』すら見た事がない平和でクリーンな世界で育てられたアルダンスなんだよ!」

俺は周りに聞こえるようにこれみよがしに言った。

メリルも、それは禁止られている悪口と知って顔を硬直させる。



「おぃサルダ!チームガンバが兵器を携えて来たら真っ先に撮影するぞ?見出しは『武装したチームガンバ。暴力と独裁にまみれたミュラー大統領』だ!」

「これは明日の見出しになりそうですね!」

「そうだとも!マージンはブルーシグナルズか、マット博士の選挙事務所に入れておけよ?個人献金はなしだ!」

「はい!」




「おっと、そうだ。メリルのお嬢さん。その手錠はオモチャだ。外したい時にいつでも外せるからな。俺は確かに言ったぞ?皆も聞いたな?」

「聞いた聞いた!」

「記憶しました。」

「ふふふ。聞いたわ。」


拘束しているとなると後々面倒になるので、メリルに言って聞かせた。

メリルは鵜呑みにし、外そうともがく・・。


『ハード・・ろっく・・アクティベイト・・』

手錠が言い、メリルが苦しそうに呻いた。


「ふははは!間に受けてやんの!!」

ギーガーが笑う。


「ははははは!」

「ほほほほほ!!」

俺らはは管制センターの机をバンバン叩きながら笑った。

メリルは泣きながら、俺らを睨みつける。


「ロロアちゃん・・!」


メリルが悲痛な顔をして言う。






「そうだ・・トオ・・っ間違えた。アルガ。話の続きだけど・・」

メルダが監視カメラのモニターを点けながら話をする。



「なんだ?」

「ロロア・フローラウス・メリアスのことだけど・・」

「あぁ」

「彼女はメルヴィア音楽堂近くで主民主義のテロリストの自爆に巻き込まれたの」

「それで?」

「音楽家である妻のカイナ・メリアスは死亡・・。ロロアも肉体的な損傷が大きく、カイン博士はドライバーズプロテクトのお陰で軽症だった。その後・・」


「その後??」


「ロロアは復活した」

「へ??どうやって・・」


「アルガ??俺らを見てみろよ??」

「へ??あ・・ロボになったのか?」

「そう!それもアステロイドに!」

「それで??」

「ん?」

「それでロロアは今どうして居るんだ??カイン博士と共民主義の啓蒙活動を展開しているんだろうな??」

「それは・・分からないわ。とにかくハルミオ小学校に居た事はわかってる」


リリリリリリン!

リリリリリリン!!

その時、外部の警備に繋がる黒電話が鳴った。


「しもしも??」

『何か爆発があった!・・身体の様子がおかしい・・』

「どうした??体調不良か??」

『な・・何かがおかしい。少しの間離脱する・・!!』

「どうした!?何があった!?」



暫くすると電話が切れ、間髪いれずに正面ゲートを警備していた兵士から電話が入った。

そして外部の侵入者を知らせるけたたましい警報が鳴り響き、その警報に負けぬくらい大きな事で兵士が叫んだ!

『何者かが乗ったルーマが破壊の限りを尽くしている!!ガードロボを要請する!!』

「ルーマ!?」

『ルーマだ!!』

「チームガンバは確認できるか??」

『・・・』

「おい!チームガンバの仕業なのか!?」


「あ、アルガ!監視カメラに何か映ってる!!」

モニターを観ていたジジが正面ゲートの画面をクローズアップする。

皆は画面に釘付けになった。


正面ゲートの兵士達がライフルをデタラメに撃ちなが逃げ出している・・。

炎の中から外で警備していた筈のルーマが入ってきた。

そして・・。


「うわ!!」

「おい!嘘だろ!?」

俺らはどよめいた・・。

ルーマは躊躇いもなく兵士を踏みつぶしながら、逃げ惑う兵士を容赦なくガトリングで薙ぎ払った!


「おかしいですね・・!」

「どうしたサルダ?」

「こんな戦い方・・国家が認める行為に反しています・・!!チームガンバと言えど、国の公認機関です。私たちはあまつさえメリルと言う人質を取って居るのですよ!?普通はネゴシエーションするのが普通でしょ!?しかも鹵獲した兵器とは言え発砲している!!」

「あっ!?確かに・・」


「この『ルーマの操縦手』はメリルの事なんか考えて居ない・・!!ただただ兵士を殺戮しながら前へ、前へと進んでいるんです!単独でね!!」

「なぜ!?」

「なぜ!?知りませんよ!!子どもでも乗ってるんでるかね!?でなきゃ、子どもの頭脳のバカか?」



「か・・快楽殺人!?」

ユーユウが不吉な事を呟く・・。


「俺、見てくる!!」

「俺も!!」

たまりかねた他のブルーシグナルズがスパークライフルを持って出ていき・・残ったのは


アルガ・トオル

サルダ(メロディアス新聞の記者)

ガガ(カネダ)

ジジ(トシヲ)

ギーガー(タルマ)



メルダ(ヒトミ)

ユーユウ(カナ)

ヒミス(ワカナ)

ヒルダ(ミドリ)


…そしてメリルだ。


俺らは監視モニターで固唾を呑んで監視を続けた。




────数時間の激闘の末────




『ルーマが真っ直ぐ向かってる!!』

「今、ブルーシグナルズが向かっている!!防衛陣地を築いて何としても侵攻を阻止しろ!!」

『あんたらが来てどうしろって言うんだ!?』

「君たちは兵士だろう!?全ての兵器を用いてルーマに集中砲火を浴びせれば必ず勝てる!!」

『俺らは兵士・・!?』

「そうだ!!同輩!!今から対峙する『悪魔』は俺らの過去だ!!ルーマに乗って居るだろう!?それは、俺らが見てきた悪夢なのだ!!」


『悪夢・・??』

兵士が受話器を持ちながら監視モニターをジッと見る。

メカニロボなので顔は伺いしれないが・・瞳に確かな光があった。


「そうだ同輩!!悪夢は必ず覚める!!その悪夢を覚ますのは────」

『俺らだ!!ウアッ!!俺らだ!!!!』

「そうだ!!」


兵士は乱暴に受話器を置くと、他の兵士達に大砲を用意させてキビキビと防衛陣地を作り始めた。

「ふぅーー」

その横のモニターでは何者かが乗ったルーマが縦横無尽に暴れ回り、隠れている兵士を丁寧に1人ずつ潰していっている・・。




「アルガ・・もしも防衛陣地を突破されたら??」

メルダが聞く。


「大丈夫だ。エレベーターホールの電気の供給を停止している。ルーマと言えど、隔壁の突破に時間がかかるだろう。その頃には万全の状態でルーマと対峙出来る。負けるはずはない!!」

「それって・・背水の陣ではないですか??」

サルダが俺に言う。


「だってエレベータも止めて居るのでしょう??もしもまけそうなったら────」

「共民兵は負けはしない!!」

俺は怒りが込み上げ、サルダに詰め寄った。

「な、なんですか!?・・がっ!!痛い!!」

そして思い切り後頭部にパンチした。


「お前は他の兵士が頑張って居るのに弱気な発言しかできないのか!?え!?」

「わかりましたから!!暴力は辞めて下さい!!」

「オラオラ!」



「アルガ!!電力が復旧したわ!!」

「なに!?何故だ!?」

「分からないわよ!!」

「止めるんだ!」

「誰かが制御版に直接アクセスしている!」



ルーマは気持ち悪いくらいに礼儀正しく隔壁の真ん中に立つと、大人しくゲートが開くのを待っている。

誰かが乗って居るのは確かだが・・モニターでは伺い知ることは出来ない。

兵士達は配置を整え、ルーマを待ち受けようとライフルを構えている。


「・・頼むぜ同輩!!ルーマをぶっ壊してやれ!!」

先ほどから武器のメンテナンスをしていたギーガー(タルマ)と、ガガ(カネダ)とジジ(トシヲ)がやってくる。

兵士が右手を上げ、一斉掃射が始まった!

ルーマは全ての兵器を使って兵士を薙ぎ倒すも、兵士の武器を持ってして、いよいよ膝を付いた!

「膝の油圧をぶっ壊したぜ!!行け!!」

ガガが叫び、ギーガーが俺に言う。


「アルガ!悪夢が覚めるな!ふはははは!」


ついにルーマは油を噴き出し、炎上したと同時に工場内のスプリンクラーが作動した。

「どんな悪党が乗っているか見てやろうぜ!!」

ギーガーが跪いたルーマを拡大する。


そこに映って居たのは・・。

「な、子ども・・!?髪の長い女の子だ!!」


「見間違いではないだろうな!?」

「いいや!確かに女の子だ!!」


女の子はスプリンクラーの水を浴びて両手を広げた・・。

そして・・。

「うわ!!」

数回、強烈な光を発した後にモニターが壊れてしまった・・!!


「はぁ・・はぁ・・あれはなんだ!?あれは・・!!」

俺は絶句したまま皆を見た・・。


「くっ!!同輩達を助けにいかないと・・!!ギーガー、行くぞ!!サルダ!!お前も来い!!スクープだオラッ!!」

「まって!!ここでバラバラになったら、それでこそ危険じゃないの!?」


「メルダ・・!!お前は他の女の子達と、防御を固めておいてくれ!集中砲火は一定の効果がある!頼んだぞ!!」


俺はスパークライフルを掴むとギーガーとサルダを連れ通路を出た。




心臓のフィンが冷静さを取り戻し、瞳の中にレティクル(照準)が表示される。


スパークライフルのハンドルには分厚くダクトテープが巻かれ、コッキングハンドルを引いて内部のチェンバーを見るとジェネレーターがバレルの中に二重に入っていた(※1)。

どれも主民主義者やねじ曲がった政府と戦った生きる知恵だ。

犠牲も多く子ども達を飢餓から守れなかったが、こうして工夫として息づいているのだ。



小さなエレベータから降りると、ギーガーはクリアリングを開始した。


前に出て片膝を付いてライフルを構え、俺がライフルを構えたまま前進した。

ギーガーが立ち上がると、俺の斜め後ろからライフルを構える。

サルダはスパークピストルで後ろを警戒した。



「・・あっ!!おい!!共民兵が居たぞ!!」

兵士はエレベーターホールに続く通路で倒れていた。

両腕はエレベータの防火用ハッチを閉めた状態で千切れている。

額のライフコアが点灯して居るので生きては居るのだろう。

サルダがカメラで撮影する。


「大丈夫か!?他の兵士は!?」

「開けるな!!!!」

ギーガーがハッチを開けようとした瞬間、兵士が叫んだ!

俺は兵士を抱き抱えながら呼びかける。

「一体、相手はなんだ!?ルーマに誰が乗っていた!?」


「あれは・・あれは・・バケモノだ・・!他の奴らは娘の電撃で全滅した・・!!」


「娘!?女か!?チームガンバか!?」

兵士はカッと目を見開くと俺に言った。

「あれは・・!!魔女だ!!皆殺しにされる!!みんな死ぬ!!」



「ダメだ!半乱狂になってやがる!!」

「とりあえず管制センターに運ぼう!!サルダ!運ぶぞ!!」


ギーガーがライフルを構えて警戒し、俺とサルダは兵士を引きずって退却した・・。




────


「エレベーターホールに行きたかったが、兵士を救助するのに精一杯だった・・!」

「じゃあ、女の子とやらは見ていないのね??」

「あぁ」

「この兵士は・・」

「エレベーターに乗せた時には死んでいた・・」



ひとまず死んだ兵士をテーブルに乗せると、作戦会議が始まった。

「とりあえずルーマの破壊には成功したようだ。

モニターで観た通り、侵入したのは1人。相手が武器を持って居るのは不明。動機も不明だ」


「つまりチームガンバでは無い可能性もあるわけね??」


「えぇ。チームガンバどころか政府の組織である可能性は極めて低いでしょう・・。これほどの殺傷能力と機動性・・兵器による残忍性・・。これは政府機関で認められてはいませんから」

メルダの問いにサルダが答える。


「モニターから察するに子どもではあったけど・・。

人の子どもでは出来ない筈だし・・やはり子ども型のロボや小型のロボである可能性は高いわね・・。でも、アルムシュア条約はあるから殺傷能力のある小型のロボとは考え難い・・」


「つまりアルムシュア条約に無い残忍な思想を持ったロボが使われている可能性があります。おそらく、ごく最近に製造されたロボで、条約の網の目を通過できる法外のロボであることは間違いありません」



「そんなロボット。この国で作れるのか??」

「製造過程で残忍さをプログラミングすることは出来ません。しかし・・洗脳や、たとえば私怨など個人的な恨みによる残忍さでは、プログラミングに及ぶものではないので可能です」


「それはつまり・・子どものロボが私怨で同輩を殺戮していると・・??」

「あ、あるいは・・」

「あるいは・・?」


サルダの瞳が困ったように点滅する・・。

「あるいは・・。私たちを1人ずつ痛ぶって殺すことを楽しんでいると・・そうは思えませんか・・??」

「・・ひっ!」

サルダの言葉にユーユウが小さな悲鳴をあげた。


「情けないわね!!今のは何?ユーユウ?」

ユーユウの遺命に、重機関ライフルを腕に装備していたヒミスが叱る。

「だ・・だって・・」


「だって何よ!?まさかブルーシグナルズともあろう者が怖がっているんじゃないでしょうね??」

「そ・・そう言う訳じゃないけど・・警察を呼んだ方がいいんじゃないですかね・・?」


「「「警察!!!!」」」」

ユーユウの言葉に一同は驚いた。

そうだ。

なんでこんな基本的な事を気がつかなかったんだろう?

「た、確かに・・!!警察組織の犯行じゃないと分かった今・・。警察を呼ぶのは一理あるかもしれませんね!!」

「でしょ!?じゃあ・・!!」

「待て!!」


ユーユウが黒電話の受話器を取ろうとした瞬間ギーガーが制した。


「この武装をどう説明する??」

「それは・・」

「旧コーディアス政権の残党兵士の仕業にしましょう?みなさんのボディは分解した後、メロディアス新聞の本社で組み直せばいい。または・・無理やり連れて来られた事にすれば・・」

「そ・・そうね・・!!」


賛同してくれた同輩の兵士達を犯人に仕立て上げるのは少し気が引けるが・・緊急事態ならば仕方がない。


ユーユウが警察に電話をした。


「・・・メリルはどうしましょう??」

サルダが皆に聞く・・。


「・・・・」


「・・・私が殺るわ。原子室なら電源を動かすだけで人間は死ぬ。私が連れて行く!」

「じゃあ、私は車を取ってきます!!」

「皆でここから脱出しよう!!」



「「「あっ!!!」」」

「きゃっ!」


「ママさん!だめよ!!」

メリルが叫び、皆が一斉に天井の通風口を見た!


「な・・なんですかアレ!?」

「ぬいぐるみ!!」

俺は皆が動揺して固まるなか、本能的にライフルを撃ち放った!!

「きゃあっ!!」

ぬいぐるみは目があった瞬間、物凄い俊敏さで身体を引っ込めると、強化したライフルが天井を撃ちぬき金属板がバラバラと落ちてきた!

それに続いて皆の集中砲火が天井に浴びせられる!




「今のは何だーー!?」

「あれが、この事件の犯人ですよ!!!!私は行きますよ!!」

「あ!!待てサルダ!!ガガ!護衛してやれ!!」

サルダが駆け出しガガが追いかける!

そして、メリルを連れてエルダが飛び出した!!


「クソ!!バケモノめ!!」

皆が穴の開いた天井を警戒する。

俺はコッキングハンドルを引いてジャネレータを取り出すと、新しいジェネレータを二重装填した。



トッタタタタタタ・・。



小さな足音が通風口から聴こえる・・。

「死んでない!!」

「やはり小型のメカニロボだったか・・!!」

「あれだけ小さかったら何処へでも行けるな・・!」


暫くの沈黙・・。



聞こえるのは皆の息遣いとフィンの音だ。




「・・あの1匹だけでしょうか・・?」

ユーユウがボソリと言う。

「あんなのがいっぱい居るのはごめんだぜ!!」

ギーガーが叫ぶ。


「はっ・・はっ・・!!ア、アルガ・・!!」

「サルダ!!どうした!?」

自動ドアが開いて負傷したサルダが入って来た。


「すぐ近くの放送室に・・お、お、お、女の子が・・!!笑っていました!!」

「ガガは!?ガガはどうした!?」

「アルガ!!」

「ガガ!!無事か!?」


ガガは慌てて自動ドアをロックした。

身体の一部が裂けてオイルが出るも・・必死になってバリケードになりそうな物を探している。


「大丈夫か!?」

「あぁ!!間違いない!ガキだ!!」

「ガキ!?」

「サルダの言っていた女の子だ!!」

「そんな事が出来るのは・・」


「・・ロロア・フローラウス・メリアスしかいませんよ!!」

「ロロアが・・!!共民派のカイン博士の娘がなぜ!?」



その時、凄まじい爆音で音楽が鳴った!!

「うわっ!!今度はなんだ!?」

音量が調節され、何かの音楽が流れる。


『ぬける青空は明日の空ーーそびえるビルはその理想ーー。

僕らの歩むその道はーーーメルヴィアの未来ーー。


さぁ広げようーー手をのーばしーー♪

大きな空へーーー♪』


「ハルミオ小学校の校歌です!!」

「く・・・狂ってる!!」

「誰か放送をやめさせろ!!」

「誰が!?」


「ひ!!ひゃあああ!!」

サルダが悲鳴をあげて壁の隅に逃げ出す!

「うるさい!!ガキが来たらどうする!?」

「もう!ぬいぐるみが来ている時点でバレてるわよ!!」

ヒミスが重機関銃をドアに向ける。

ヒルダはヒミスの機関銃にジャネレータの弾帯を装填した。


ギーガーは天井にライフルを向けた!


「もしかしたら・・!!メルダが内通者なのかも!!」

ユーユウが不吉な事を言う。

「はぁ!?」

「きっとそうだよ!!私達は仕組まれていたんだわ!!だって!そうしている今も帰って来ない!!きっとメリルと一緒に脱出しているんだわ!!もしかしたらキュラー様が私達を処分するために仕組んだのよ!!」

「黙れ!!!!」

「きゃあーー!!」


俺はユーユウにライフルを撃ち込んだ!

ライフルは胸ごと全身を吹き飛ばし、後ろのモニターを叩き割った!


「さっきから快楽殺人だメルダが悪いだ、ふざけるな!!サルダ!!おい!サルダ!!」

「はっ!!はい!!」

「何とかして、お前の車で脱出するぞ!!」

「どうやって!?このまま行くと私たちがイレギュラー扱いになりますよ!?」


「ロロアが犯人である証拠を掴まないと!!」

「どうやって!?」


「兵士の電子頭脳にルーマに乗ったロロアを目撃したデータが残っている筈だ!ジジとギーガー達は扉を警戒しろ!!これは先制攻撃された証拠になる!!」

「はっ!?同輩を損壊すると言うのか!?」

「そうだ!!頭部をジェネレータで破壊する!!」





───────


「・・ロロアちゃん。ロロアちゃん聴こえますか??」

「はい」

「メリルを発見したわ。ブルーシグナルズは混乱しているみたい・・制御室にいるわ」

「わかった・・じゃあ・・遠慮はいらないね?」

「えぇ。遠慮はいらないわ。敵を殲滅なさい」

「うん」


私は通信を切ると立ち上がった。


※1 二重装填

ブルーシグナルズによる独特な装填方法。


スパークライフルはボルトアクション方式で、弾薬ジェネレータを薬室内の4つあるシンダーで回転させることで射撃を行っている。


ブルーシグナルズは、このシリンダー内のジェネレータの他に、新たに単体のジェネレータを手動で薬室に送り込むことで威力を増すことに成功した。

これはコーディアスの装甲隊の装甲や分厚い盾を貫通し、ブルーシグナルズの活躍に長きにわたって貢献した。

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