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私はここにいる。

イコクの兵士を撃滅し、自身もダメージを負うロロア。


合間に見た物は夢か・・はたまたバックアップで見た記憶か・・。



私は夢を見ていた・・。




なぜか私は車に乗っていて、運転席にパパが乗っている。

車は地下にある駐車場に停まっていてママを待っているのだった。


「あっ!ママだ!!」

自動ドアのガラスの向こうにママがいる!

ママは花束を持ち、改めてスタッフにお辞儀をしていた。


そうだ。

メルヴィア音楽堂でママのコンサートがあったのだ!

照明に照らされて輝くドレスにママの歌声がホールに響く。

“あぁ、美しい!”

パパはうっとりしていて、私は感動する反面、ママがママではないような。

どこか遠くに行ってしまったような淋しさがあったのだ。



「ママ!ママ!」

私はママに抱きしめてもらいたくて窓を叩く。

ママは私に気付くと手を振り、花束を抱いて駆けて来てくれた。


「ロロアちゃんお待たせ!!パパ!ありがとう!」

「ママ!」

ママがドアを開け、私を抱きしめる。

薔薇の香りと確かなママの温もりを全身に感じた。


「素晴らしかったよカイナ!」

「ありがとうパパ!」

「なんか、こう・・。ドキドキした!」

「ふふふ。相変わらず褒めるのが下手ね!」


ママの手にパパがキスをすると車が走り出す。


「さぁ、帰るぞ!今晩は僕とロロアちゃんが作ったシチューだ!」

「ロロアちゃんとパパが!?」

「うん!がんばって作ったんだよー!」


「あらあら!ふふふ!すごく楽しみね!」


そうだ・・私はママの為にパパと一緒にシチューを作ったのだ。



私は車の中でママに寄り添いながらコンサートの何が凄かったのか一生懸命説明した。

歌が凄かった!

照明が凄かった!

音楽が凄かった!

ママに淋しかった事を悟られないように一生懸命喋った。

ママを離したくなくて寄り添った。


ママは私の頭を撫でながらウンウンと聞いて笑った。

帰ったら腕に寄りをかけたシチューもある。


あれ?

その後、シチューを食べたんだっけ?

キオクがない・・。


私はいつしかママの膝の上で眠ってしまい、車のなめるような滑走音が心地よく耳に残った。



いっつ・・!!!


その後、私にはシチューを食べたキオクがない・・。






後に記憶にあるのは、赤く光るメルヴィア音楽堂と・・ぽっかり開いた巨大なクレーター。

そのクレーターの周りに散乱しているピット(※1)の一部で、かつて道路だった事がわかった。

空は夜なのにクレーターの中心で何かが白く輝き、辺りを照らす。

そして、その毒々しい灯りを祝福するようにメルヴィア音楽堂が輝き続けた。


「いっ!!」

意識を取り戻し、あたりの状況が見えてきた瞬間、激痛が身体を駆け抜けた。

「いっあっ・・!!!」

あまりの激痛に泣く事すら忘れ、口を開けたまま目を瞑る。

お腹の辺りを触ると何か金属の棒が突き出しているのを感じる。

「うっ・・ぐっ!」



「ロロアちゃーん!!カイナぁああー!!」

パパの声が聞こえ、私は思わず顎を上げて上方を見た。


「ママ!!あぁあ!!そんな!!ロロアちゃん!!」


ママは座席に座った状態で剥き出しになった道路の一部を背面にして座り込んでいた。


驚いた顔をしながら微動だにせず、頭から薔薇のように赤い血を流している。


「今、救急車を呼んだから!!ロロアちゃんしっかり!!」

「それより・・ママは・・?」

「ママは・・ママは大丈夫だ!それより意識を失ってはダメだ!ロロアちゃん!!動かないで!」


パパに自分の着ていた服を枕にして私の下に敷いてくれる。

「自分の心配をするんだロロアちゃん!!ママは大丈夫だから!!大丈夫だからね!」

私はパパの顔の向こうに居るママを見た。


ママ・・そこにいないで来て・・。

ここに来て・・。

私を抱きしめて・・・。




*******************



「・・・ん。・・・・ちゃん!・・ロロアちゃん!!!戻ってきて!!!」



「う!!!ごほっ!!ゴホッ!!ゲホッ!!!ゲェエーッ」

私は起き上がると水を吐き出した!

「やったーー!!!」

吐いた後にクマのぬいぐるみのママが私の胸に抱きつき頬づりする!


「ロロアちゃん!!私の愛娘!!!!よかった!!よかったー!!!」

「はっ!!・・わ、私は・・!?」


見ると私の胸と足下に洗濯バサミ(?)が付けられ、そのコードがママの背中に伸びていた。

工場内は水浸しで、ママのお尻くらいまで水が溜まっている。


「バックアップ出来て良かった!!通信が遮断されたから見に来たのよ!?大丈夫!?」

「だいじょうぶじゃないけど大丈夫!」

「敵が全滅したわ!!一体何をしたの?」

「サンダーブレイクを・・・」

「え!?」

「スプリンクラーが作動したから、それを逆手にとってサンダーブレイクを放った。」

「っ!!!!」

ママは絶句し、小さく悲鳴を上げた。



「ど、どうりで敵がみんな破裂しているのね・・。水を被りながらサンダーブレイクを使うなんて自殺行為だわ!でも・・まさか兵士を全滅させてしまうなんて・・!」

「何度も電撃を浴びせたから。あと、漏らしちゃった。」


ママは目をパチクリさせて意味を理解しようとした。

そして意味が分かると私の頭を撫でる。


「・・・・内緒にしておくわ・・。」




私は立ち上がり、ママが私のリュックに収まる。


工場の壁を見るとムカデ型のメカニロボが這っていて

バード型メカニロボが飛来した・・。

嘴からビームやキチン質を出し、私が小型のミサイルで破壊した壁を修理している・・。

他のメカニロボ達は破壊したガードロボや兵士の残骸を啄み、それを体内で分解して素材にしているようだ。


「この工場は生きているの。ロロアちゃんの強烈な攻撃や、世間の動向に揺らぐ事なく存続しようとしているのね・・。」

「工場が・・生きてる?」

「そうよ。フォレストパークの技術を工場内に応用したのね。いえ、この星における大地の理そのものを科学者が解釈し。それをロボに落とし込んだと言うべきか。」

「もう人間なんて必要ないわね・・。」

「そうね。でも必要か不必要かで決めれる程、人間は立派じゃないわ?」

「ママ。それは皮肉?」

「ふふふ。自然の摂理そのものよ。」



私は、ルーマも乗れる巨大なエレベータに乗り込むと『下』を押した。

エレベーターと言っても、ビルを清掃するゴンドラのような形状だ。

無機質で無骨なエレベーターは乱暴にガラガラとゲートが閉まると水を流しながら下へ降下した。



「ロロアちゃん、敵はあと10人。2人が見回って8人が制御センターに立てこもっている。1人は新聞記者で厄介だわ。メリルの安全が確保できるまで、ポイズンバレットか体術で静かに始末してね。」

「分かった。」


「私は通風口に潜入して敵を伺う。ロロアちゃんはーーーー」


私はママの説明を聞いた。

メリルも心配だけど、私の見た夢の真相を聞きたかった。


ママは私を蘇生しようとした時『バックアップした』と言った。

あの夢は私に残された最古の記憶ではないだろうか?


「じゃ!ロロアちゃん!敵の様子を見てくる。少しの間隠れていてね?」

「うん。」

ママが手を振り、エレベーターから飛び降りる。


暫くして。

ガチャン・・と言う音がしてエレベーターは階に止まった。

一階と同じ作りだが隔壁が閉じられており、人が通るくらいのゲートが左側に開いていた。


「さて・・どうしよう・・。」


とても静かだ。


私は物音を立てないようにしながら、足のエアクッションを出して歩く。

ガードロボもいないし、工場の様々な機能を管理する部屋が密集しているようだった。

どれも部屋に続く扉が閉められており、意図的に電源がショートして開かない物ばかりだ。

錆が浮いて付着しているので出入りはしていないだろう。


「ウワァア!!スドゥー!!」

何処かのフロアから異国の声がして飛び上がる。


私はポイズンバレットに切り替えるとマナツさん達に教えて貰ったカッティングパイをしながら進んで行く。


「スドゥー!!スドゥー!!!」


よほど取り乱しているらしい。

いろんな機材を倒す音が聞こえて私の方に走ってゆくのが聞こえる。

尋問しようとも考えたが、大きな声を出されたら厄介だ。


ウィーン、ガシュン。

と言う音がして『放送室』の扉が開く。

私はそこに半身を隠してしゃがむと、通路から飛び出してくる敵をまった。


よし!

今だ!!


「エルカ・・・グアァツ」

撃った瞬間、即座に隠れる。

スーツ型のフォーマルな外骨格をしたアステロイドがパタリと倒れたが、アタッシュケースを拾うとすぐに起き上がって駆け出して行ってしまった。


さらに足音がする・・。

私は唇を舐めて湿らすと、地面に手を付いた。

「・・サンダー・・ブレイク・・」


ローブを着たメカニロボが駆け抜け。

「うわっ!」

と言う声と共にビクンと飛びあがって硬直し、地面にパタリと倒れた。

私は静かに、確実に電圧を高くする。


が!

放送室の自動ドアが閉まる音がして、思わず私は地面から手を離してしまった。

メカニロボはすぐさま立ち上がり、フラフラと逃げ出す。


「がはっ!た、タルーデォ!!がはっ!」


わわわ!敵が逃げてしまう!!


しかし。見つかって増援と鉢合わせたら厄介なので追いかけられなかった・・!

敵は体液を吐き出しながら逃げ出して何処かに行ってしまった。





数分間、その場で考え。

・・とりあえず『放送室』に入って、呼吸をととのえる。

メリルが心配だ。

どうしよう。

お腹もすいたし、喉も渇いた。

きっとメリルも同じに違いない・・。


見ると放送室にはマイクと制御盤があった。



そうだ。せめてメリルに私が来た事を伝えよう。



でも、さすがに呼びかけたら位置がバレるし、敵を刺激しかねない・・。

私は考えた。


「あっ!」


私はマイクをどけると制御盤を操作する。

モニターを指で操作すると流行りの音楽から昔の音楽。

カラオケモードもあり、自己採点モードや、なんとなくカラオケに飽きた時に観る他愛もない動画も収録してあった。



「あった!敵には分からなくてメリルに分かるもの。『ハルミオ小学校の校歌』!!」


私は工場の隅々まで聞こえるように音量をMAXにすると『ハルミオ小学校の校歌』を選択した。


ジジャーン!!!!


「ぎゃーー!!!!」

最初のイントロが爆音でながれ、私は思わず耳のハッチを閉めて絶叫した!

メリルが死ぬ!!

慌てて音量を40くらいにして調整すると、ようやく馴染みのある校歌に変わった。

「はぁ、はぁ。死ぬかと思った。」


1・ぬける青空は明日の空ーーそびえるビルはその理想ーー。

僕らの歩むその道はーーーメルヴィアの未来ーー。


さぁ広げようーー手をのーばしーー♪

大きな空へーーー♪


メルヴィアの空に天高く!ハルミオ小学校!!



2・聴こえる街の歯車のー、大きく動くこの音が。

僕らの胸にある高まりはーーメルヴィアの発展ーー。


さぁ進めよーー足をまーえにーーー♪

広大な大地にーー♪


メルヴィアの大地にどこまでも!ハルミオ小学校!!



気づけば、いつもの癖で背筋をピンと立てて歌っていた。


メリル、聞こえる!?


私はここにいるよ!!


学校に行こう!


ユミルやリクト、ルルに会いに行こう!


私はママの連絡を待った・・。



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